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いきものがかり インタビュー

Album

『ハジマリノウタ』
[初回生産限定盤]
2009.12.23 RELEASE
ESCL-3354/5
3,500円(tax in.)

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[通常盤]
ESCL-3356
3,059円(tax in.)

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01.ハジマリノウタ〜遠い空澄んで〜
02.夢見台
03.じょいふる
04.YELL
05.なくもんか
06.真昼の月
07.ホタルノヒカリ
08.秋桜(コスモス)
09.ふたり-Album version-
10.てのひらの音
11.How to make it
12.未来惑星
13.明日へ向かう帰り道

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いきものがかりアーティストページ

いきものがかりインタビュー

−−では、そんな激動の1年の集大成とも言えるアルバム『ハジマリノウタ』について話を伺っていきたいんですが、まず自分たちでは今作の仕上がりにどんな印象や感想を持たれていますか?

吉岡聖恵:マスタリングで最後に順番に曲を聴いて。自分たちが作ったし、自分たちの曲なんですけど、本当に1曲ごとに驚きがあったり、どの曲もシングルに負けないぐらいに個性があるなって感じることができたんですよね。だから改めてビックリしながら聴いてました。

山下穂尊:バラードのシングルが多い上に、更にアルバム曲もバラードが多くて。そういう意味ではかなり濃密な印象を持っています。で、詞の内容とかも、昔に書いたモノも結構あったりするんですけど、全体的に大人っぽくて。一番大人っぽさが出たアルバムになったなって。

水野良樹:バラードが多くなったのは結果としてなんですけどね。今までだったら、例えば「10代の女の子の恋をポップに歌った曲を1,2曲入れよう」とか必ず言ってたんですけど、今回はそういう風な選び方をしないで「バラード重なっちゃうけど、良い曲だからいいか」みたいな感じで、とにかく良い曲を選んでいったんです。『ハジマリノウタ〜遠い空澄んで〜』とか『真昼の月』とか重いから「2曲入れるのはどうだろう?」みたいな話に一瞬なったんですけど「どっちも良いから入れようよ」みたいな。そういう感じで、わりと自由に選んでいった感じですね。

−−そのアルバムのタイトルトラックでオープニングを飾る1曲『ハジマリノウタ〜遠い空澄んで〜』なんですが、この曲はどんな想いやイメージから生まれたんでしょうか?

山下穂尊:まず前提として"ハジマリノウタ"は後から付いたんですよ。元々『遠い空澄んで』っていうタイトルだったんです。このアルバムの曲順が決まって、アルバムのタイトルも決まって、1曲目に『遠い空澄んで』と呼ばれていた曲が入って、改めてこの曲の歌詞を見直してみたときに『ハジマリノウタ』っていうタイトル案が出てきて。確かに歌詞を見ると未来に向けての決意めいたこととか、そういうモノがテーマになってるんですよね。それでこのタイトルになったんです。で、この曲で表現したことは、今までやってきたことも大切なんだけど「でもこれからだ」っていう。歌詞に出てくる"証"っていうのは、例えば今までやってきたライブだったり、リリースしてきたCD。で、10年前の高校生の頃の自分たちからすると今の自分たちの立ち位置は、ある意味夢の一端だったりする訳で。でもまだ明日を見て歩こう、これから先はあるぞっていうことを書こうと思って書きました。

吉岡聖恵:この曲は歌ってて、夜のイメージが最初はあったんですけど、でもこの曲のタイトルが『ハジマリノウタ〜遠い空澄んで〜』になってから、夜明けのイメージに変わったというか。あとアコギだけをバックに歌っていたときはもっと呟くような歌だったんですけど、アレンジですっごい広がって。Bメロが弾む感じになったりとか、いつも自分は歌入れする前にスタジオとかで「こういう感じにしたいな」っていうのを自分なりに形にして歌っていくんですけど、この曲はレコーディングで歌が変わっていった。アレンジにすごく助けられたし、ストリングスの力もあって思ってもいない歌になりましたね。

−−あと、このアルバムは1曲目だけでなく「いつか見てた未来へと」だったり「未来(つぎ)の空へ」だったり「明日を照らして」だったり「明日も出逢い続けよう」だったり、とにかく未来を見つめている楽曲が盛りだくさんです。これは結果的に?

山下穂尊:「なるほど」って今思いました。

一同:(爆笑)

吉岡聖恵:これから使います(笑)。

水野良樹:何なんですかね? あんまり普段はそういうこと言わないようにしてるんですけどね。どちらかと言うと男子2人は冷めてる人間なんで(笑)。でも歌ではそうやって書いちゃうんですよね。

山下穂尊:でも本当に今気付きましたよ。

水野良樹:今回そういうことが多くて。後から気付くことが。結成10周年で『ハジマリノウタ』で、並んでいる曲を見てみると、10年前の曲があったり、5年前の曲があったり、つい最近作った曲があったり、全時代の曲が集まってるんですよね。これも全く意識してなくて後から気付いたんだけど。偶然なんですけど、そうやって上手いことハマってる。

−−すごく抽象的ですけど、いきものがかりをこれほどまでに未来へと駆り立てているもの、そうした歌を世に届けようとさせるものって一体何なんでしょうね?

水野良樹:意外とメルヘンなのかも知れないですね(笑)。そこはそんなに深く考えてないんです。でも深く考えてないのに出てるっていうところにもしかしたら意味があるのかもしれない。

山下穂尊:ただ、昔から一貫してとにかく「続けていこう」という言葉を言ってきていて。そこがもしかしたら未来を見つめている楽曲が多い要因かもしれないですね。とにかくその先に向かって続けていかなくてはならないっていう心持ちがあるんで、自然とそういう歌詞が増えていくんじゃないかな。

−−あと、僕は吉岡聖恵のキャラクターに寄せられているところもあると思うんですが。

山下穂尊:どちらかと言うと逆かも知れない。吉岡が歌うと、それがいきものがかりのアイデンティティになる。で、もちろんネガティブな歌とかも書いていくとは思うんですけど、ただ吉岡聖恵が歌えば自然とそこにガムシャラ感は出てくるんですよね。

水野良樹:書くときは吉岡の声はあんまり意識しないようにしてるんですよ。ただ、書いた曲を渡して吉岡が歌うと急に前向きになったり、急に明るくなったり、普通なら後ろ向きに聞こえるような言葉も、意味深い前向きな言葉になったりとか。それはすごく不思議なんですけど、吉岡の声がそうさせてる部分は強くあるんじゃないかなって思います。『ハジマリノウタ〜遠い空澄んで〜』とか意外と暗いと思うんですよ、本当は。男性が歌ったりしたら。でも吉岡が歌うから「こっからまた歩いていくんだ」みたいな感じになっていく。あと『YELL』なんてかなりの暗さを持ってると思うんですけど(笑)吉岡が歌うから前向きに聞こえたり、切々と聞こえたりする。

吉岡聖恵:いやぁ〜、怖くなってきた。

−−怖くなってきた(笑)?

吉岡聖恵:あの〜、私が歌うときに意識していることは、曲の世界観の伝え手に徹することで。本当にいろんな主人公がいて、今回は「私」っていう女の子の主人公が珍しくほとんど無くて「僕」がすごく多かったりするんですよ。そうなると自分自身ってことで一貫してやっていくと矛盾が出てくる。「僕」って言っちゃうと私ではない訳だから。だから性別を超えたところで、その曲の世界観を自分が伝えられればなって。主人公じゃなくて語り部になれればいいなとはいつも思ってます。例えば『ふたり』はレコーディングするときに、寂しさや大人っぽさを出そうっていうテーマが作り手とディレクター側にあって、自分の持ってる明るさとかとは逆の方向で、もっと抑えて歌わなくてはいけなくて。そこはちょっとした挑戦だったんですけど、でも曲が生きる歌い方をするのがベストだと思うので、そこはいつも考えています。

−−でも聴き手からすると、いきものがかりの音楽はどれも"吉岡聖恵の歌"として響くんですよ。それが例え自分とは掛け離れた人物や物語だったとしても、どんな歌い方をしたとしても、そこにちゃんと感情も想いもある。そういうボーカリストって結構希少なんじゃないかなと感じていて。

吉岡聖恵:怖いな〜。

−−(笑)

水野良樹:いや、でもそれは僕も最近感じてます。『YELL』と『じょいふる』を共存させられるって、ほんとに不思議なことだし。あと、曲を作る人間が2人いて、最近では自分が書く曲もある訳ですよ。それを全部一貫性のあるモノとして成立させて、しかも曲の個性を生かしてるっていう。もし吉岡がもっと色として個性的な歌い回しだったり、アクのある声であったなら、また全然変わってくると思うんですけど、吉岡の声って本当にフラットなんで、真っ直ぐ響く。だから声の色としてはある意味濃さはないと思うんですよ。でもそれ故にどんな曲でも対応して、どんな曲でも一貫性のあるモノにして、じゃあ「聞き流すか?」って言ったら聞き流されない。そこが吉岡のある意味での個性なのかなと思うんで、そこはね、最近になって男性メンバーが再評価してる、再評価って非常に上から目線ですけど。

吉岡聖恵:何様(笑)?

水野良樹:って感じなんですけど(笑)。でもほんと最近思いますね。

Interviewer:平賀哲雄
Page Design:佐藤恵