--例え話をひとつしたいんですけど、仮に熊木杏里に月9ドラマ主題歌の話が舞い込んできたとする。そして「君の考えはまぁいいから、こういう曲をオーダー通りに作ってください」と言われるとする。で、そこに熊木杏里はきっと甘んじることはないんだよね?
熊木杏里:ない!
--じゃあ、月9ドラマはいらないと言える?
熊木杏里:ううん。そしたら絶対に自分も良いと思えるモノを作ってみせる。相手のリクエストを取り入れつつも。それは出来なくない。むしろそこで自分が納得できるモノを作ったときに、絶対に聴いてくれる人たちは感動すると思うんですよ。「いいね!」ってなる状況を自分で作る。
--それは自分を守りながら、戦ってみせるってこと?
熊木杏里:うん。守りながら戦う。そこでは絶対に違うパワーを出すことができるから。だからそういう状況に早く陥りたい。
--まぁ僕や周りの人間が何と言おうと、あなたはあなたが思うように進んでいくべきだと思います。そういう風にしか生きられないでしょうし。超頑固だから。
熊木杏里:(笑)。
--でもね、綺麗にまとめる訳じゃないけど、ベストアルバムを聴いてると、熊木杏里という人は自分を失わずに自分の音楽で自分の未来を切り開いてきたことがよく分かる訳ですよ。それはもちろん多くの人の力もあってだけど、自分でもよくやったなって思うでしょ?
熊木杏里:そうだなぁ……?「短いな」と思っちゃった。8年もあったのに、振り返ってみると「短いモノだなぁ」って。あとこのベストアルバムを聴いて「自分が好きな作品だなぁ」とは思いました。でもまだ「よくやったな」とは言えないです。それはもうちょっと後で言おうかな?
--なるほど。ただ、どんなにデカいタイアップが来ても、その曲が熊木杏里としての純度を薄めることはなかったし。これ、ぜーんぶ、誰が何と言おうが、1mmも狂わず熊木杏里な訳ですからね。それが今の自信に繋がっているのは確かですよ。
熊木杏里:そうなんですよね。だから次に私が世の中に届けたいと思っている歌たちは、例えば何かCMやドラマなどの映像作品と出逢ったときに、今までとは違う威力を持つと思うんです。その自信はある。やることは変わらないから。作れるモノは変わっていくかもしれないけど、やることはひとつだから。そこは絶対に乗り越えていかなきゃいけないし。
--だから堂々と世に残るべきベストアルバムだし、またこのアルバムで熊木杏里の歌に新たに魅了される人とも出逢う訳だから。しっかり自分でも宣伝してほしいと思います。「これ、良いよ、買って」って。
熊木杏里:言いたいですよ。本当に純粋にそう思うかも。
--で、いよいよ今日のインタビューはラストシーンへと突入するのですが、どんな質問で締めるのがいいかいろいろ考えたんですよ。で、少し答えるのが照れくさい質問をみっつ思い付いたんです。まずこれまでの熊木杏里にメッセージをお願いします。
熊木杏里:え!? 自分に? ……………(笑)。「あなたはあなたで良かったんじゃない?」かな?「あなただったから、この赴くままの曲ができたんじゃないの」っていう感じかな。
--そして、これからの熊木杏里へメッセージを。
熊木杏里:「何年先までも音楽をやっている自分を、ずっと信じなさい」かな。
--では、最後になるんですが、熊木杏里の音楽を聴いてきた、聴いていく人々にメッセージをお願いします。
熊木杏里:本当に、本当に、応援してくれてありがとうございます。何度も励まされながら、手紙とかメールとか、ライブでは直接声も掛けてもらって、何度も救われた自分がいます…………、涙が出てきた。でも本当に自分がこれだけ頑張って音楽をできるのは、やっぱり「聴いて良かった」って言ってくれる人がいたからだし。だから私はライブでも歌えたんだろうなって。なので、これからも応援してください。
Interviewer:平賀哲雄
Page Design:唐沢友里江