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サカナクション 『kikUUiki』 インタビュー

アルバム
サカナクション New single『kikUUiki』

『kikUUiki』
2010.03.17 RELEASE
[初回限定盤]
VICL-63556
2,800円(tax in.)

サカナクション アルバム『kikUUiki』<初回限定盤>を購入する
hr

[通常盤]
VICL-63557
2,800円(tax in.)

サカナクション アルバム『kikUUiki』<通常盤>を購入する
01.intro = 汽空域
02.潮
03.YES NO
04.アルクアラウンド
05.Klee
06.21.1
07.アンダー
08.シーラカンスと僕
09.明日から
10.表参道26時
11.壁
12.目が明く藍色
《初回限定盤のみ収録》
13.Paradise of Sunny

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サカナクション 『kikUUiki』 インタビュー

--それで変われたと?

山口一郎:それからは考え方も変わってきて「ロックとかバンドのシーンを活性化させていくこと。それがちゃんと出来てなかっただけなんじゃないかな?」と思って。で、その為にはどういうことをしていくべきなのか、真剣に考えるようになりましたね。なので僕らは『シンシロ』で“クラブミュージックを融合したバンド”っていう部分で売り出していったし、僕らの音楽を聴いてくれるリスナーの分母を増やしていかなきゃいけなかった。それで『アルクアラウンド』という楽曲を作ったことによって広がったこの波を“どういう方向に導いていくか”っていうのが、今回の『kikUUiki』の役割になるんです。

--先程“ケータイで音楽を聴くユーザーへの挑戦状でもある”という話がありましたが、そこに向けて何かしらのアクションを起こすべきという考えは以前から強く持っていたんでしょうか?

山口一郎:僕はケータイやパソコンで音楽を聴くことには否定的ではないし、逆にそういう風に音楽を聴いていくことは自然な流れだと思うし、音楽を好きな人が広がっていくのは全然良いことだと思うんですよ。ただ、ひとつ注意したいのは、そこで終わらないこと。例えば、ケータイで音楽を聴くリスナーがどういう風にまた音楽を聴き始めていくのかを考える。音楽を聴く媒体は変わっていくべきなのか、そのままで止まるべきなのか。でもより良い音を求める人たちが増えてくれば、それに応えなきゃいけない人たちが出てくる。メディアも流しにくい音楽があったとしても、それをリスナーが求め始めたら流し始める。そうしたシーン全体の流れに僕は挑戦していきたいんです。アーティストがリスナーを変えて、リスナーがメディアを変えていく。そういう流れを作ることが出来てくると、より日本の音楽シーン、特にバンドシーンというのは良いモノになっていくんじゃないかなって。

--そういう意味でも、過去のどのアルバムよりもいわゆる“勝負作”という言葉が相応しいアルバムなんじゃないですか。『kikUUiki』は。

山口一郎:毎回勝負ではあるんですけど、今回は『アルクアラウンド』のヒットもありましたし、あの曲を聴いてくれた人たちに『目が明く藍色』という7分のロックオペラのような組曲を聴いてもらいたいんです。それがどう感じてもらえるのかは、ひとつの勝負ですよね。それ以外にも自信のある曲を揃えましたし。だからここが僕らのひとつの大きなターニングポイント。このアルバムを受け入れる人、受け入れない人はもちろん出てくるし、賛否両論もあるだろうし。でも『アルクアラウンド』のような楽曲は作るけど、アルバムのリード曲として『目が明く藍色』を出すということ自体が、バンドがシーンに対してアプローチしていく方法論であるし、それを“戦略”と呼ばずに“表現”と呼べるような時代が来たら、すごくリスナーの楽しんでいる声が聞こえてくると信じてるんです。

--なるほど。

山口一郎:僕らが中学生や高校生の頃って、好きなアーティストの新譜が出る度にね、ラジオで初めてオンエアされるのをドキドキして聴いていた訳ですよ。それで僕は「こんな曲だったんだ!」「こうアプローチしてきたんだ!」って楽しんで聴いていた人なんですよ。シーンがどういう風に作られていってどういう戦略があったかとかは一切抜きにして、アーティストのポテンシャルとして僕はそれを楽しんで聴いていたんですよ。でも今はインターネットなどで音楽の情報が物凄い速さで入ってきて、簡単に試聴しようと思えばできる。YouTubeですぐプロモーションビデオが観れたりする。当時は深夜のPV番組を頑張って起きながらジーッと見ていた訳ですよ(笑)。

--懐かしいですね。

山口一郎:CSで音楽チャンネルが観られる環境でもなかったし。そういう風に音楽の楽しみ方は変わってきてるんですよね。でもそれに対して否定するんじゃなくて、逆に利用した形でより当時と同じ感覚のモノやシーンを作っていく。それをレーベルやマネージメントが作っていくんじゃなくて、アーティストとしてアプローチしていくってことが僕は一番大事だと思うんです。それがダイレクトにリスナーに届く訳ですからね。リスナーも情報収集能力が高くなっていて、戦略としてやったことってバレてしまうんですよ。感じられてしまう。でも僕らが熱量を持って「アーティストから発信してるんだ」ってなれば、そういうモノは絶対に届いていくし、伝わると思うんです。で、リスナーが賛同してくれれば、アーティストだったり、それを抱えているレーベルやマネージメントに対してのリスペクトも生まれていく。それが僕は2010年代の新しい音楽の作り方だったり、成り立ちだと思うんですよね。そうすればどんどん良いシーンになってくるし、どんどん良いアーティストが生まれてくる。

--何だかめちゃくちゃテンション上がってきました。

山口一郎:僕は爆発的に流行ったポップアートのようなね、商業主義の中にあるアートを音楽として確立していく時代を作っていきたいと思うんです。こういうこと言うと「デカイ口、叩いてる」って言われるんですけど、でも本当に実現していきたいと思ってるから。仮にそれが出来なくても爪痕ひとつ残していきたい。と思って作ったのが『kikUUiki』ですけどね。

--『目が明く藍色』は9年間もの構想の末に生まれた曲と聞いていますが、完成に至るまでのストーリーを教えてもらってもいいですか?

山口一郎:9年前にこれの原曲を作っていたんですけど、当時はアマチュアバンドでしたし、こんな曲を外に出すということはただの自己満足にしかならなかったんですよ。それに当時のバンドメンバーでは形にすることはできなかったし、僕自身の頭の中で構築することができなかったんです。でも“汽空域”というテーマのアルバムを作っているタイミングで『目が明く藍色』という曲のことを思い出して。これ1曲で“汽空域”というモノを説明できるし、『アルクアラウンド』を聴いてくれた人たちに正にダイレクトに聴いてほしい曲だなって。しかも今はメンバーとのコミュニケーションだったり、それぞれのスキルだったりを見ても「確実にこの曲は形にできる」と思ったんです。

--その曲の仕上がりを聴いたときはどんな気持ちになりました?

山口一郎:物凄く感慨深かったです。僕の大切な曲でしたから。で、僕の頭の中で鳴っていた音がそのまんま形になったんですよ。普通だったら僕の頭の中で鳴っているモノっていうのは、メンバーの意見が反映されていくので良い意味でも悪い意味でもちょっと変わっていく。でも『目が明く藍色』に関しては、本当に頭の中で鳴っていたそのまんま。コーラスワークはベースの草刈(愛美)に作ってもらったんですけど、僕はざっくりとしたイメージしか伝えなかったのに、デモとして完璧なモノを作ってきたし。そういう部分でも僕の頭の中の見えないモノがみんなに見えている実感があったのが物凄く嬉しかったし、達成感も物凄かったです。「これがリスナーにはどう響くんだろう?」っていう不安もありましたけど、スタッフのみんなも感動してくれたことで、きっとこの曲はサカナクションが好きでも好きじゃなくても伝わるモノなんだろうなって安心できましたし。

Interviewer:平賀哲雄
Page Design:唐沢友里江