--また「誰も気づかないけれど、この胸は泣いている」って、正にその歌詞通りで、誰にも言えないじゃないですか。言っても解決しないことの方が多いし。で、そう思っちゃってる人も多いし。
アンジェラ:見かけに寄らず、ということってすごくたくさんあって。『手紙』のときの女の子たちの中にも、すごく明るくて、みんなを仕切っている子がいて。でもその子が私だけに書いてくれた文章を読んだら実は一番暗かったというか、一番背負っていて、一番色々な事を背負っていて、一番家庭の状況が大変で。みんなは笑顔で明るい彼女を頼っているんだけど、彼女自身は本当はボロボロなの。で、私も嫌なものをはね除ける為に“明るさ”っていうのは自分の武器として今まで使ってきたから。私は根から明るいだけな訳じゃないし、そういうときって戦闘態勢のときもある。だから他人が表で見るものと自分の中で渦巻くものっていうのは違うんだっていう気持ちで、そこのフレーズは書きました。
--だからこの曲はすごく孤独な歌だなと思ったんです。でも孤独だからこそ「輝く人になりたくて」っていう想いに繋がっていく。ちなみにアンジェラが幼い頃に描いていた“輝く人”ってどんな人?
アンジェラ:時代によって全然違うけど、私が一番臨んでいた“輝くもの”っていうのは、偏見のない人生かな。ジャッジされない、ありのままの自分を受け入れてもらえるような世の中にいれば、自分は輝けると思っていた。だから初めてハワイに引っ越したときにそういう世界になって、やっと「自分っていうものは何なんだろう?」って客観的に見れるようになったり、自分を好きになっていくプロセスが始まっていった。
--夢を叶えた瞬間、日本武道館のステージに初めて立った瞬間のアンジェラも間違いなく“輝く人”だったと思うんですが。
アンジェラ:目標を設定して死ぬほど努力をしてきた成果があの日の武道館でしたからね。そういう瞬間は誰でも“輝く人”だと思うんですよ。例えば、必死に受験勉強をしてきて入りたい学校に受かった瞬間とか、何時間も苦しみながら子供を生んで抱っこした瞬間とか、それはもう輝いている訳じゃないですか。だから何であっても目標までの道のりをイメージして努力することですよね。
--でも「私は今、輝いている」って一瞬なんですよね。それ以外は下手したら“淀む人”だったりして(笑)。
アンジェラ:そうそう(笑)。だからこそ日々イメージしたり、それを想ったりすることが大事だと思うのね。私も武道館が終わったら何もイメージしていないかって言ったらそんなことはなくて「じゃあ、次はどこへ向かうのか」って考えるし。例えば、恋愛だったら「どうやったら上手くいくのか」「この状況からどうやったら抜け出せるのか」って、そういうことも含めてイメージしていかないといけない。
--アンジェラは何事においても常にイメージをしながら進んでいるの?
アンジェラ:多くするようにはなった。私は自分がなかなかデビューできないのは周りの環境のせいだとずっと思っていたんだけど、実は周りのせいじゃなくて自分自身があんまりにもイメージをしていなかったのかなって。「シンガーソングライターになりたい」っていう大きな夢の後ろで甘えていた自分に気付くのが遅すぎただけ。たまたま私が恵まれていなかったとかじゃなくて、イメージをしない自分のせいなんだよね。
--ただ、何か目標がある人はそうしたイメージをする意味をすぐ見出せると思うんですが、世の中には目標を見つけられない人、何をやっていいのか分からない人がたくさんいます。その状況に対してはどんなことを感じますか?
アンジェラ:「自分の好きなことをやってご飯が食べられているんだから、あなたはラッキーなんだよ。それを忘れるなよ」みたいなことをよく言われて、その通りだなと思うけど。でも“輝く人”って別にそういう人のことを言っている訳じゃなくて「ああいう人間になる為には何をしたらいいんだろう?」とか「もっとポジティブになる為に何をしたらいいんだろう?」とか、そのイメージの先にいる自分のことだから。だから私みたいに「何年何月何日までにこれを成し遂げる」みたいな、そんな乙女座A型的なことをみんな揃ってしなくてもいいと思うし(笑)。
--あと、この曲の詞にある「たくさん笑い 夢も見たり きっと幸せになれるだろう」みたいなことって、そう伝えたい誰かがいるからメッセージできるっていうか。だんだん年齢を重ねていくと「幸せになりたいなぁ」っていうより「あの人には幸せになってもらいたい」っていう気持ちの方が強くなりませんか?
アンジェラ:そうかもしれない。だから『手紙』の交流から『輝く人』みたいな曲が出来たんだと思うし。正直、あの中学生たちの気持ちを私は受け止めきれなかった部分があるんですよ。重すぎて。話す度に抜け殻になるぐらいだったし。だから昔も今も子供は変わっていないと思う反面、やっぱり今は情報が多いせいでより複雑になってるし、家庭のあり方が違うじゃないですか。昔ながらの家族揃っての団欒がなくなったり、会話も少なくて、みんな別々に行動していて。だから「たくさん笑い 夢も見たり きっと幸せになれるだろう」っていうのは、あの子たちに「絶対そうなれるから」って言い聞かせてあげたいし、届いてほしいと思って書いたところもあります。
--聴いていて“誰かの人生にも重ねられる曲”って僕は強いと思うんです。自分の人生に重ねられるかどうかだけの曲だと、その人の状況によって妙に冷めてしまうことがある。「今の俺はこの曲を聴いて感動できるほどピュアじゃない」とか。ただ“誰かに届けたい曲”と思わせる側面もあると「今の俺はこんなだけど、あの人にはこうなってほしい」って思えるじゃないですか。
アンジェラ:すっごい分かる。多分そういう年齢なんだろうね、私たちって。30代中盤に向かっていく年代ってそういう心の余裕ができてくるのかもしれない。まぁでも自分に危機が迫ったときは自分の世界でいっぱいいっぱいになるんだよね!
--で、なんで今の話をしたかと言うと、僕は前作『愛の季節』が出たときに本当に感動したんです。あの曲は、何度でも2人の春を、終わらない愛の季節を巡っていく曲で。ただ、実際にそんな春夏秋冬を4年ぐらい繰り返していた彼女と別れた途端、『愛の季節』が聴いてて辛いだけの曲になったんです(笑)。
アンジェラ:うんうん。
--いや、そんな真面目な顔で聞かれると……
アンジェラ:いや、あのね、私は『愛の季節』みたいな曲を書く方が珍しいの。私はいつも別れの曲ばかり書いてしまうから。
--いやいや(笑)。
Interviewer:平賀哲雄
Page Design:佐藤恵