アンジェラ:やっぱりね、別れずにしがみついて生きていくってなかなかできない。だから『愛の季節』は書いてみたかったんだけどね。で、今も別れたままなの?
--そうですね。
アンジェラ:良い曲あるよ!すごく聴かせたい曲が今あって。今レコーディング中なんだけど、それが今度会ったときに完成していたら「この曲だよ」って教える! というか、言わなくても分かると思う。
--楽しみにしてます(笑)。ただ『輝く人』は今の自分がどういう状況であれ、本当に多くを感じられる曲で。これはちょっと音楽に依存し過ぎた考え方かもしれないんだけど、『輝く人』には上手く生きられない人たちを救ってほしい。
アンジェラ:さっきの話じゃないけど、あんまり結果を想像したくないの。もちろん「世の中を救いたいか、救いたくないか?」と問われたら「救いたくない」とは答えないですし、救いたいと思う。でも結局救えるのって自分自身なんだよね。曲が救う訳じゃないから。それのきっかけになることはもちろん願う。その人の人生の中の“輝く人”を見つけるきっかけになる曲であったら「幸せだな、この曲の運命は」って思いますね。
--続いて『The Chase』についても話を伺わせてください。とっても軽快なナンバーではあるんですが、歌詞が何気なく重い。
アンジェラ:コミカルに聞こえるんだけど、実は「え?」ってなる内容で。でもこれは『輝く人』がすごく骨太だからその対局の曲として作ったんです。で、こういう恋愛の仕方をする人っているんですよ。追い掛けて、追い掛けて、手にした途端に抜き去ってしまって恋愛が終わっちゃう。私もこういう人と付き合ったこともあるし、自分の周りにこういう感じの女の子もいて。結局こうだと“一生モノ”みたいなものって掴めないんだよね。でもこの曲のポイントとしては“一生モノ”を掴むことが幸せなのか、追い掛けている方が幸せなのかは分からないっていう。で、私は恋愛の歌を作るのが好きなんだけど、こういう側面で歌ってはいなかったんですよね。だから作ってみました。
--続いて『Without You』。この曲を僕は2007年12月25日の日本武道館で聴いてるんですけど、今回このシングルに入れようと思ったのは?
アンジェラ:実は2007年の武道館で歌ったときの『Without You』の歌詞が、今ひとつしっくり来てなかった部分があって。だから「もっと練ってみよう、この歌にはもっと良い歌詞がある」と思っていたんです。でもなかなか手を付けられない中で、たまたま去年の10月に仲の良い友達のところに遊びへ行ったんです。その友達は42歳ぐらいなんだけど23歳ぐらいの女の子と付き合っていて、彼女が建築家ということもあって一緒に家を建てて「一生一緒に住もう」って約束していたらしいの。でもその彼女に「もうちょっといろんな自分を見つけたい」って切り出されたらしくて。20代の若い頃ってみんなそうじゃない? で、彼はもちろん彼女よりも人生経験が多いし、いろんなことをして彼女を逃がさないこともできたんだろうけど「分かった」って手放してあげることにしたんです。で、私が遊びに行ったのは、すでに別れることが決まっているときで。
--それをアンジェラは知ってたの?
アンジェラ:着いてから教えてもらった(笑)。でもね、2人ともまだカップルなんですよ。最後まで愛を通すことを彼は決めていたから。でも「やっぱり引き止めたい。何か奇跡が起こるかもしれない」って毎日を過ごしている感じを目の当たりにして、あまりにも可哀想で。私はそのシチュエーションを曲にしてあげるしかない、彼のこの想いを浄化してあげないとって思って。だって毎日がカウントダウンなんですよ。彼女と過ごす日々がどんどん短くなっていく、タイムリミットがある中で過ごしている訳ですから。で、実際に彼女が出ていって最初の1週間とかは電話にも出れず、1,2ヶ月間ぐらいは酷い状態。「俺、42歳のおっさんやのに、ジャスコで号泣してもうたわ」「一緒に買いに行ったものを見ただけで」みたいな感じで。もう今は大分よくなってきてるんだけど、でも「そういう別れもあるんだ」って思ったときに『Without You』って元々原曲が「あなたなしでは生きていけない」って一人になってしまった男の人が作った歌だから。
--それでアンジェラ・アキver.の『Without You』が生まれたんですね。
アンジェラ:多分、彼の中では「なんで上手くいかなかったんだろう?」ってすごく自分自身を責める時期がいっぱいあったんだろうし、この先もあるんだろうけど。でもようやく彼は「この先には新しい恋があるのかもしれない」って思えるようになったみたいだから。そのエピソードを『Without You』の歌詞に乗せることで、自分の中ですごく納得のいくカバーになったから、今回出そうと思った。
--その彼にはもう聴かせたの?
アンジェラ:まだ聴かせてないんです。でも、「君の話をちょっと歌に入れたけど、いい?」って聞いたら「いいよ」って言ってくれたので。CDが出来たら送ろうと思ってます。
--また、今作の最後には『手紙』の合唱バージョンが収録されています。こちらを収録しようと思ったのは?
アンジェラ:『輝く人』が『手紙』での交流から生まれた曲ならば、そのプロセスはちゃんと描きたいなと思って。で、合唱団の子たちと歌っているバージョンはCD音源としては存在していなかったし、『手紙』から始まった章がここで終わって、また新しい章が始まると思えたので「ここで入れたいな」って。
--そんないつにも増して豪華なシングル『輝く人』なんですが、今作のリリース以降はどんな展開を予定していたり考えていたりするの?
アンジェラ:アルバムを出してツアーをしたいなと思っているので、そこまでは考えています。今、聴かせたい曲とかをレコーディングしているから、それを早く出したい。あと、いつも武道館でやっている弾き語りライブをふるさと徳島でやろうと思ってます。タイトルは【阿波のMYKEYS】ずっとやりたかったんだけど、ちょうど5周年のこのタイミングだし、再出発の意味も込めて今年やることにしました!
--楽しみにしています。では、最後になるんですが、読者の皆さんにメッセージをお願いします!
アンジェラ:『手紙』は“自分を信じる”歌として作ったんだけど、『輝く人』は更に踏み込んで、自分を信じるだけじゃなくて、自分の中の可能性を信じる歌。誰もがより良くなる自分っていう可能性を持っている。ニーチェも「人にはみんな一芸ある」って言ってるぐらいだし。その可能性をね、この曲を聴いて、見つめて、想像して、理想の自分に近付いてほしい。
Interviewer:平賀哲雄
Page Design:佐藤恵
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