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lecca 『TSUBOMI feat.九州男 / Snow Crystals』 インタビュー

シングル
lecca シングル『TSUBOMI feat.九州男 / Snow Crystals』

『TSUBOMI feat.九州男
/ Snow Crystals』 2010.04.28 RELEASE CTCR-40311
1,260円(tax in.)

lecca シングル『TSUBOMI feat.九州男 / Snow Crystals』を購入する
01. TSUBOMI feat.九州男
02. Snow Crystals
03. 猫視眈々(ねこしたんたん)
04. デリバメン
lecca  インタビュー

 レゲエシーンにおける……、もとい、日本音楽シーンにおける異端児にして革命児。何かに捕らわれることを嫌い、ダンスホールだろうが、ラブバラードだろうが、演説的メッセージソングだろうが、自身の欲求と信念に素直に表現を続けるシンガーソングライター lecca。この冒頭文を読んでもしかしたら首をかしげる人もいるかもしれない。当インタビューはそんな彼女の強烈な魅力を知り得ていないリスナーの為に敢行した。ロック界にもヒップホップ界にも弱体化したシーンを盛り上げるべく、反撃の狼煙を上げるアーティストたちが生まれているが、leccaもまた2010年代を語る上で欠かせない音楽人であることを感じてほしい。

--唐突なんですが、自分自身ではleccaってどんなアーティストであると自覚されていますか?

lecca:例えば、可愛くて綺麗なシンガーさんが言えないようなことを言える、汚れ役もできるような(笑)歌い手になれたらいいなと思っていて。自分の中の二大巨頭がメアリー・J. ブライジとリュダクリスなんですけど、特にリュダクリスは小さい頃から地元のラジオ番組で社会的なことをみんなと話し合っていて、言動や社会との関わり方がちょっとアーティストっぽくないんですよ。普通に生きている人の声を拾って、その人たちの悩みを改善する為には「こういう風に変えていかなくちゃいけない」ってみんなを啓発するような存在。私もそういう人になれたらいいなと理想としては持っているので、いろんなことに関して歌っていたい。人生って恋愛だけじゃなくいろんな面があるので、その様々な場面で私の曲を使って「それでも頑張る」って自己肯定をするきっかけにしてもらえたらいいなと。そういうちょっと変わった人なのかなという感じはしています。音楽的じゃないとは思っています、自分のことを。

--どちらかと言うと……

lecca:演説タイプ(笑)。

--僕が初めてleccaの音楽に触れたのは、2005年4月の渋谷CLUB QUATTRO、MEGARYUとPANGと共に開催したイベントで。あのときはバリバリのレゲエアーティストという印象だったんですが、昨年7月リリースのアルバム『BIG POPPER』を聴いたら、ジャンルの壁を飛び越えた一枚になっていて驚きました。その変化の背景にはどんな想いやストーリーがあったんでしょうか?

lecca:スタッフが変わったんです。そのQUATTROでライブを観てもらった頃は「レゲエ マガジン」を創刊した人がマネージャーをやって下さっていまして、その人に連れられて【ジャパンレゲエスプラッシュ】にも出させてもらったり、すごくレゲエの濃密なところを教えてもらっていて。それはすごく勉強にも刺激にもなったんですけど、私の思うレゲエっていうのはすごく幅広くなっちゃうし、ヒップホップやR&Bを聴いて育ってきているし、ダンスホールやその精神が好きでレゲエにハマっていっているので。だから結構異端児だと思うんですよね。レゲエを代表している気はさらさらないんです。

--なるほど。

lecca:で、エイベックスへ移籍して今のディレクターと作品をつくるようになってから、自分の良いと思うモノをどんどん入れていくことが可能になって。それから「レゲエじゃなきゃ」っていう縛りはなくなって、どんどん自由になっている気がします。

--僕はあのアルバム『BIG POPPER』の『Hameln』という曲が好きで。「「隣の人を愛せよ、同じ神様なら」そんな制約のある音楽なんて奏でたくない」っていうフレーズを聴いて「ぬぉっ!?」ってなったんですけど、あれは今のleccaにおける信念みたいなものでもあるんじゃないですか?

lecca:『Hameln』はちょっとキツいことを言っちゃったんですけど、でもそれは常日頃感じていることで。「これをしなきゃレゲエじゃない」とか、そういうマナーありきがすごく嫌いだったんですよね。顔を合わせれば「ヤーマン」とか「ワンラブ」とかだけ言っていれば、レゲエシンガーになれると思っている人もいるし(笑)。

--(笑)。

lecca:そういうんじゃなくて「もっと精神的なところだろ、もっと根本的なところだろ」と思っていて。で、私はレゲエというすごく広い枠の中で、孤高の人が結構好きで。THE HEAVYMANNERSの、元DRY&HEAVYのベーシスト 秋本(武士)さんとかは、1回自分が持っているものを全て捨てて、そこから戦う姿勢を見せる熱い人なんです。それで「ああいう人になりたいなぁ」「じゃあ、自分はどういう戦いができるのかな?」って思いながら『BIG POPPER』は作っていて。で、大事なことっていうのはまず伝えること。それを聴いてくれた人を鼓舞する。その人に元気になってもらう。っていうのが一番大事だろうと。それを表現するときに「こうじゃなきゃいけない、パトワじゃなきゃいけない」とかは関係ないなと思っていたので、私は私の音で、自分から出てくるトラックで勝負する。それが「レゲエじゃない」って言われたら「すみません、そうですよね」って言うしかない。『Hameln』はそんな想いから生まれた曲ですね。

--確かに近年のleccaは形としてのレゲエに捕らわれない。その上で、少しでも多くの人々と共感するための音楽に拘っている印象を受けます。

lecca:正にそうだと思います。けど、難しいのは、みんなと繋がることを一番の目的にしてしまって、そこだけに振り回されてしまうと、泣き曲ばっかになっちゃてバラードシンガーみたいになっちゃうので。本当にそこは難しいところで、自分の曲で表現していくしかないとは思うんですけど、例えばシングルのリード曲は会社の意向もある中で決める。でもそこに入れるカップリングだったりとかで自分の伝えたいことは必ず伝えていったり。誰も言わないことってまだまだ音楽の世界の中であると思うので、それを自分なりに言っていけたらいいなとは思っていますね。

--僕はそうした意志をあのアルバムから感じる中で、この人は結構本気でレゲエというか、音楽そのものの在り方を変えようとしているなって感じたんですが、そこはどうですか?

lecca:レゲエを変える気はないんですけど、自分が思う“元気が出る音楽”というのは、本当にジャンルを問わず人に聴いてもらえる音楽だと思うし、そうなってほしいし。そうする為には自分も壁を作らないで、ジャマイカの旗の洋服を着てない人にも曲を聴いてほしいし。というか、ジャマイカとか関係ないし。日本の中で生まれ育って、日本独自の生活とかその中の悩みから生まれるものを歌いたい。レゲエからもらった折れない心とか、バビロンと言われる商業主義と戦う姿勢からはすごく影響を受けているんですけど、でも私なりにそれを表現しないと結局トレースになってしまうし、誰がやっても同じ、歌い手が変わっただけっていうことになってしまうので。そうじゃなくて、私は東京に生まれ育った31歳の女なんですけど、そういう東京に生まれ育った人が聴いて納得できる歌詞にしたいし、ガンジャがどーのこーのとか、ボンボクラーみたいなことを歌っても分かんない人がいっぱいいると思うんですよね。


Interviewer:平賀哲雄
Page Design:唐沢友里江