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シアターブルック 『intention』インタビュー

アルバム
シアターブルック アルバム『intention』

『intention』
[初回限定盤(CD+DVD)]
2010.05.26 RELEASE
ESCL-3450/1
\3,780(tax in.)

シアターブルック アルバム『intention』<初回限定盤>を購入する

[通常盤(CD)] ESCL-3452
\3,059(tax in.)

シアターブルック アルバム『intention』<通常盤>を購入する
01.お尻をひっぱたけ!
02.SNAKE BOOTS
03.明日のかけら
04.イカロスの大地
05.裏切りの夕焼け-Album Ver.-
06.恋人よ
07.'74年の日曜日
08.大気圏突破
09.未来を今
10.旅人と踊り子
11.夢とトラウマ
12.理想のオレ

シアターブルック 最高傑作『intention』リリース記念特集“ロックスター、音楽と人生を語る”シアターブルック 特集公開中!タイジから貴方へのプレゼントも!?

シアターブルック 『intention』 インタビュー

--あと、この曲について聴かずに俺は帰れません。『未来を今』。アルバムにも収録したことからバンドにとっても大切な曲であることは伝わってきましたが、そもそもどんな想いや背景があって生まれた曲なんでしょう?

佐藤タイジ:ニール・ヤング&クレイジー・ホースって俺にとって理想的なロックバンドで、ストーンズより好きなんだよね。演奏の仕方とかライブのやり方が。それで「クレイジー・ホースのようにやりたい」という意識のもとに作った曲ですね。でも2006年に作ってるから気分的には落ち気味のときで。だから「奇跡はもうないぞ」「未来はもうないぞ」とか歌っちゃってるじゃん。よくよく考えると酷い歌詞なんだよね。気持ち良いんだか、悪いんだか、分かんなくて、そのまんま投げっぱなしで終わってる(笑)。「権力の大津波でオマエの苦しみを奪おう」とか、歌詞的には混沌とはしてるよね。でも提出するモノが必要だ、みたいな意識はこの辺からあるんだよね。それはここ数年ずっとテーマとしてある。最近のMCとかでも気に入って使ってるんだけど「意味はないけど意図はある」みたいな。大体ロックバンドをやっていること自体に大した意味はないねんけどね。でもちゃんと意図は感じている。

--その意図を感じるからか、混沌とした歌詞であってもこの曲はなんか救われる……

佐藤タイジ:ところはあるんだよね。不思議なんだけど。

--ポジティブな力が働く。

佐藤タイジ:そうなんだよ。それが俺も気に入ってるところで。だから音楽には謎の力があるんだよね。これは特に謎の力に満ちていると思う。

--あと、今作はグッと来る歌詞がすげぇ多くて。重いことをガツンと言いながらもこっちの心を軽くしたり強くする言葉のオンパレードだと感じているんですけど、そこは自覚的ですか?

佐藤タイジ:わりと人生のファイル化というところで、自分の人生の大事な場面を詞にしてるからだと思う。例えば『'74年の日曜日』について語ると、1974年は名古屋にいたんですよ。小学校1,2年生の頃。で、文房具屋さんの軒先に“'74”って書いてある旗がたくさんあって、多分それが何なのか親に聞いて「今が1974年なのよ」って教えてもらったと思うんですよ。今が何かを最初に自覚した出来事。で、何故か自分の中に残っていたその瞬間のビジュアルを意味付ける為に「俺はこれを歌にするから憶えていたんだ」ってことにして。

--その記憶の1ページが「未来をつかさどるは光のカテドラル 新しい未来」に繋がっていくと。

佐藤タイジ:74年って今から考えてみるとすげぇ良い時代だったから。街中に希望はあったし、まだどんどん良くなっていくイメージが満ち溢れていて。で、音楽もやっぱり素晴らしいじゃん。良いバンドもいっぱいあるし、豊かなんだよね。

--そんな強い力を持つアルバムにおいて、個人的にすげぇ共感できたのが『夢とトラウマ』で。全人類に聴いてもらいたい。少なくとも今燻ったり動けないでいる人たちには聴いてもらいたい曲ですよね。

佐藤タイジ:この曲もクレイジー・ホースみたいなデカいロックをイメージしてて。詞に関しては実際にウチのおかんに言われたことなんだよね。全部夢なんだっていう。でも小さい頃って「これって全部、夢なんじゃないの?」みたいな感覚になるよね? 実は世の中に俺ひとりしかいないのかもしれない、とか。そんな時期におかんに「その通りなのよ、全部ひっくるめ アナタの夢なのよ」みたいなことを言われて、それは完全にトラウマなのよ。それのおかげで今の状況があるわけ。もちろん生きていく上でしんどいことはある。しんどくない人生なんてないから。でも「アナタの夢だから 思い通りなのよ」って言われたトラウマがあるから今の自分がある。だからトラウマって悪いことばっかりでもなくて。たださ、思い通りってことは責任が必要で。

--そうですね。

佐藤タイジ:ブッシュのときにさ、デカいテロがあったやん。あの時期、あんまり自分の状態もよくなくて。それはなんか責任みたいなモノを感じたんだと思う。このトラウマがあるから。「思い通りっていうけど、俺はこれを望んだか」みたいな。あのテロで世の中変わってしもうたやん。で、あれはみんなが責任をシェアせなあかん出来事だったし、その後のアフガンもそうだし、普天間の問題もそうなんやけど、関係なくないんだよね。みんながどういう風な世の中にしたいか、ちゃんとイメージできるようにしたいなって思う。その為にはツイッターは始めねーとなぁって、ちょっと思ってるんやけど(笑)。

--そしてアルバムの最後を飾る『理想のオレ』なんですが、この曲にはどんな想いを?

佐藤タイジ:音楽のことを歌ってる。今回のレコーディングで4人が揃う日ってそんなに多くなくって、楽曲の絞り込みとプリプロダクションは全部家でやってて。メンバーのスケジュールに合わせなあかんから「ヤバイ。今日中に2曲仕上げねぇと」みたいな日もあったわけ。もう気を失うように寝て、3時間ぐらいで起きてまた続きをやって。もう朝の5時なのか夕方の5時なのか分からない感じ。そんなだんだん朦朧としてくる状況の中で『恋人よ』を作っていたら、女の人の声で俺が作ってないメロディが聞こえてきて。それであのギターで弾いてるメロディがあるんだけど、その経験があってた上で『理想のオレ』は書いたの。だから“理想のあなた”っていうのは音楽のことなんだけど、女性の形をしているわけ。音楽の神様ってミューズ、女神やんか。で、俺が聴いた女神の声はちょっとハスキーで、ちょうど昨日ライブを観たリッキー・リー・ジョーンズみたいな。それを追い掛けてるイメージで書いてます。

--さて、このとんでもないアルバム『intention』、どんな風に世に響いていけばいいなと思いますか?

佐藤タイジ:一昨日の【Natural High】でさ、同年代のアーティストがいっぱいいる中で「やっぱり私たち世代が頑張らなきゃダメなのよ」ってCharaが言うわけ。そういう気分は確かに俺の中でもあって。いわゆるロックみたいなのがさ、完全に産業になった時点で俺らってキャリアが始まってるわけやんか。でも今よりももっと有象無象の時代で。その中で続けることができたのは、みんな別にビジネスが上手かったからじゃないじゃん。結局音楽に引っ張られていってるわけやんか。そこで多分感性とか感覚とか姿勢とかを学んでいって。フェアであることとか、曲げないこととか、自分のやったことに責任を持つことを俺はロックから教えられて育ってきたんだよね。そういうのを分かってほしい。そういう人間がいつもどの時代にもいるのだ、必要なのだっていうことを。

--なるほど。

佐藤タイジ:あと、いわゆる権力とは違うところにおるんやけど、ちゃんとモノを言う人が必要なのだって。それを知って若い子にもバンバン言ってもらいたい。日本ってわりとお行儀良くして、あんまり口にしない方法を取るじゃないですか。でもジョン・レノンを観て格好良いと思った日本人はいっぱいいる訳だし。まぁジョン・レノンの言動とか酷いときあるんだけど(笑)でもそれで世の中が大きく変わったと思うし。そんな感じで、シアターブルックをやっている佐藤タイジはロック的なフェアな感覚っていうのを世の中に出していかないとダメなんだろうなって思うんですよね。今、俺の声は届きそうな雰囲気があるんですよ。3,4年前とは違う気がする。なんか、聴いてくれそう。だから「なるべく言おう」っていう。それで面白がってくれりゃいいのよ。このアルバム聴いて「タイジくんってオモロイな」って。それでいい。

Interviewer:平賀哲雄
Page Design:唐沢友里江