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サカナクション 『アイデンティティ』インタビュー

シングル
サカナクション シングル『アイデンティティ』

『アイデンティティ』
[初回限定盤 CD+DVD]
2010.08.04 RELEASE
VIZL-386
\1,800(tax in.)

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[通常盤]
VICL-36603
\1,200(tax in.)

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01.アイデンティティ
02.ホーリーダンス
03.YES NO(AOKI takamasa Remix)
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サカナクションのアーティストページへ
サカナクション 『アイデンティティ』 インタビュー

--その為にも、サカナクションは素晴らしい音楽を発信していかなくてはならない訳ですよね。

山口一郎:もちろん責任感はありますよ。ここで自分が躓いたりね、自分が発言していることと全く比例しないことをやった時点でね、ただの嘘つきになってしまう。自分が口に出したことをひとつずつクリアーして認めていってもらうこと。それが僕は信頼になっていくと思うし。やはり“リスペクトされる”ということがね、これからのミュージシャンにとって最も重要なこと。作品においてリスペクトされることが第一前提にあって、次にそのミュージシャンが何をしているのか知っていってもらう。その健全な順序はずっと守らなきゃいけないなとは思ってます。

--それだけのことを実現できる自信はあるんですか?

山口一郎:自信っていうか、やらなきゃいけないですからね。もちろん「音楽なんて幾らでも作れるし、何曲でもできる」なんていう風になったことはないけど、でも「やらなきゃいけない」っていう信念がね、僕にはあるし、僕だけじゃなくメンバーにもあるし、チーム全体にある。だから目標を到達する為にはね、僕は身を削ってでも音楽を作りたいと思いますよ。礎になりたいですからね。

--その長いストーリーの中において『アイデンティティ』がすごく重要な曲になる自負はありますか?

山口一郎:常に外に向けて音楽を作ってきた中で、ひとつの方法論みたいなものを見つけられた曲なんですよ。僕は恋愛の曲とかをね、自分の世界と向き合っている過程で大真面目に書くことが出来なくて。でも世の中のほとんどの人って恋愛に対して物凄く人生の重きを置いてる。そこをテーマにするのは実は簡単だけど、そうじゃなくて「自分が外と繋がれる表現方法ってなんだろう」と思ったときに見つけた方法論がこれだった。ストレートだけど、どこかシュールである。そこは僕はアートかなと思ったし、僕らにとっては『アイデンティティ』がまた新しいデビューシングルなんですよ。

--ラテンビートを取り入れようと思ったのは?

山口一郎:僕らはいろんな音楽が好きだし、いろんなことに挑戦することに対して後ろ向きなメンバーがいないので。サカナクションというバンドが次にシングルとして何をやったら面白いか考えた上でね、最初にアイデアとして出てきたのがあれだった。しかもそれが曲調に合っていたし。誰も「いや、これは無いんじゃない?」と言わないから、行けるところまで行ってしまおうと。で、時間が経ってから俯瞰的に考えてみても「全然面白いじゃん」と思えたんですよね。

--個人的には、今までのどのサカナクションより「これでもか」感が凄まじいなと。1曲の中でどれだけスパークすることが出来るかの挑戦みたいな曲になっていると感じたんですが。

山口一郎:自然と「詰め込め、詰め込め」ってなっていったんですよね。とりあえずすべて詰め込んで、その中でサカナクションらしさみたいなものがどれぐらい出せるのか。そこをすごく整理した結果、この曲が完成した。だからライブで盛り上がってくれたらいいなっていう気持ちもあるし、内なるものを燃え上がらせてくれたらいいなという気持ちもあるし。どちらにも向けて作れたっていうのは大きいですよ。

--で、その爆発の連続みたいな曲の最初を飾る言葉が「アイデンティティがない 生まれない」であるのも印象的でした。

山口一郎:ライブでね、僕がステージからお客さんに向けてこの曲を歌って、お客さんがみんなで手を挙げて「アイデンティティがない」って叫ぶ姿が頭に浮かぶんですよ。それってすごくシュールな光景でね、みんな笑顔で「アイデンティティがない 生まれない」って合唱している姿は、端から見たら「どこの新興宗教だ?」って感じなんですよ(笑)。もう“ええじゃないか”思想そのものですから。でもそれって、端から見ている人、中にいる人、ステージの上にいる僕ら、いろんな見方でね、その光景を楽しめる、自分がどこに参加するか選べる、ひとつのアートかなと思うし。別にアイデンティティが自分にないと思っているから叫んでいる訳じゃなく、楽しもうとしている感覚でそういうアートが形成されるのは面白い。

--そんな『アイデンティティ』、世にどんな風に響き渡ればいいと思っていますか?

山口一郎:僕らが思っているようにこの曲が響けばすごく良いと思うけど、僕らが狙っているように響くだけだと、それはマスに広がったとは言えないんですよ。やはり勝手に一人歩きしてくれないと、いろんな聴かれ方をしてくれないとね。『だんご3兄弟』なんて正にそうじゃないですか。作り手の狙いとは全然違うところに動いていって広まっていった。それを僕は大衆音楽だと思うので。僕らはロックと文学とクラブミュージックというものを使って、ひとつの大衆を動かそうとしている。なので、自由に受け取ってもらえたら良いなと思いますけどね。それが本当のポップだと思うし。

--初回限定盤にライブDVDを入れたのは?

山口一郎:やはり僕らを知ってもらう為のシングルですから、それを気に入って買ってくださった方にね、僕らの世界観を見せる場所であるライブを観てもらえたらなって思ったし。特に【kikUUiki】ツアーっていうのは僕らにとって本当に大きいライブだったんで、そこを観てもらえたら『アイデンティティ』で感じる僕ららしさだけじゃない、僕ららしさを感じてもらえるのかなって。それで収録を決めました。

--ちなみにこれだけ短いインターバルで次の一手を打とうと思った要因は何だったんですか?

山口一郎:攻め時だと思ったからですね。僕らは今まで1年にシングル1枚、アルバム1枚という感じだったんだけど、【kikUUiki】ツアーでひとつ見えてきたものもあったし、表現しきったところもあったので「ここで更なるスタートを。攻めるしかない」って思って。あと、僕が今、調子良いんですよね。曲作りが。今はすごく気持ちが入りやすいというか「もうすぐ死んじゃうんじゃないか」と思うぐらい(笑)気持ちはすごく昂ぶってますね。

--この勢いだと年内にもう1枚ぐらいアルバム出せるんじゃないですか?

山口一郎:年内にアルバムを出すかどうかは分からないけど、今までとはちょっと違うペースで動いていくことは間違いないと思います。

--以前のインタビューで「2010年で自分たちの限界が見えるようならば、2010年代には生き残れない」と言っていたんですが、完全に今年は限界への挑戦をしていますよね?

山口一郎:毎年挑戦ですし、一度も自分たちが成功したとは思ってもいないし、もっと挑戦したいし、もっと上に行かないといけない。だから若手のバンドと対バンするときも「絶対負けない!」みたいな気持ち。胸を貸すなんて気持ちは一切ない。出る杭は全部打ってやる!

--(笑)。

山口一郎:でも今本当に若手で良いバンドが多いんでね、うかうかしてられないんですよ。ビクターだから言う訳じゃないですけど、モーモールルギャバンとかすごく格好良いしね。制作スタッフに新しく若い女の子がひとり入って、その子がいろいろ情報をくれるんですよ。それでDroogとか、世界の終わりとか、神聖かまってちゃんとか聴いて。なんか、今ってガレージが流行ってるんですよね。その中でモーモールルギャバンは本当に面白かったな。あのバンドはちょっと違うものがありますね。まぁ出る杭は打っていきます。ビクターのバンドであっても(笑)。

--あと、これは褒め言葉としても受け止めてもらいたいんですけど『アイデンティティ』以上のシングルを今後生み出せるんですかね?

山口一郎:サザンオールスターズが『勝手にシンドバッド』を作った後に『いとしのエリー』を書いたように、僕もそういう風に挑戦すべき場所はまだまだあるので。違った意味で良い曲というのを作る自信はあります。無かったらもうやってないですし、解散(笑)。

--あと、これも大きな事件だと思うんですが、10月8日には日本武道館を控えています。どんな空間を生み出したいと思っていますか?

山口一郎:武道館は神聖な場所だと思うし、ビートルズがやった場所だし、ロックのひとつのステータスじゃないですか。そういう部分でそこでしか表現できないことを、一発勝負できちっと表現したい。サカナクションのベストライブというか、ベスト盤的ライブにしようかとは思っています。【kikUUiki】ツアーをやり切った自信もあるんでね、照明もPAも同じチームで臨もうと思っているし。あとは僕らが魂を込めた演奏をするだけ。そこに尽きますね。

Interviewer:平賀哲雄
Page Design:佐藤恵