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ふくろうず 『砂漠の流刑地』インタビュー

アルバム
ふくろうず アルバム『砂漠の流刑地』

『砂漠の流刑地』
2011.6.22 RELEASE
[ESCL-3673] 2,500円(tax-in.)

ふくろうず アルバム『砂漠の流刑地』<初回限定盤>を購入する
01.もんしろ
02.砂漠の流刑地 [PVを視聴する]
03.心震わせて
04.トワイライト人間
05.ユニコーン
06.灰になる
07.スフィンクス
08.通り雨
09.みぎききワイキキ
10.キャラウェイ
11.優しい人

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ふくろうず 『砂漠の流刑地』 インタビュー

 「こんなことばっかり 続けてる日々じゃ 全然だめだって ちゃんとわかってる」でもそれを「愛しちゃってるんだぜ」と歌う内田万里(vo,key)に強く共感したことを覚えている。その『ループする』を聴いた日から彼女にずっとしたかった質問を今回の初対面インタビューではぶつけた。そしてメジャー第1弾アルバムとなる最新作『砂漠の流刑地』について語る姿を前にして、彼女はもうあそこにはいないことを知る。


--自分はアルバム『ループする』でふくろうずを好きになり、その収録曲『ループする』で虜になったリスナーなんですが、あの楽曲はどんな想いや背景から生まれたのでしょうか?

内田万里:小学生高学年ぐらいからモヤモヤしたまま決着のつかないことをずっと考え続けて暮らしていて。で、それを吐き出す機会は一生ないと思っていたんですけど、たまたま今のバンドに誘ってもらって曲を作る機会ができたので、そこで歌ったんだと思います。

--「こんなことばっかり 続けてる日々じゃ 全然だめだって ちゃんとわかってる」。こういうことを子供の頃に考えていたの?

内田万里:毎日こういうことを考えていたんですよね。完全にモラトリアムな学生だったんで、ちゃんとした目標も無かったし。でも日々をそれなりに楽しく過ごしていたので「ダメだな~」と思っていて。「こんなことばっかり」っていうのはすべてのことですね。会話をしてその相手を傷付けたりとか、嘘を付いたりとか、卑屈になったりとか、偉そうになったりとか、あらゆるすべてのダメなところのことを言っていたんじゃないかな。

--その上で「愛しちゃってるんだぜ」と歌ったのは?

内田万里:お酒飲んだり、美味しいもの食べたりすると「楽しい」ってなる。「世界中の不幸を全部背負っている」と言うほどは絶望的な日々ではなくて、それなりに満足していて。それを楽しんでいる自分すら否定するのは嘘になるなと思って。

--自分は正に『ループする』の世界で暮らしていたんですよ。てか、今も暮らしているんですけど(笑)。だからあの曲の終盤で「でもね一生パーティーがいいね なるべく多くの人と踊り続けるんだ」って歌われたことに救いを感じたんですが、あれはその世界で生きていく覚悟の表れでもありますよね?

内田万里:そうやって受け取って頂けたら嬉しいんですけど、これは“不誠実に生きていく”ということの決意で。だから本当はダメで、この状況を打開しなきゃいけないのに「愛しちゃってる」って言ってる。それは「このままでいいです」って開き直ってたんです。でも「多分ダメだな~」っていう気持ちはどこかにあって(笑)。

--だから最後に「切ないね」って歌う訳ですよね。

内田万里:そうですね。

--『ループする』という楽曲を作った今も「抜け出さなきゃなぁ」でも「愛しちゃってるしなぁ」って葛藤することはありますか?

内田万里:そこから次の『ごめんね』っていう曲で「ちゃんと自分の意志で日々を変えよう」っていう気持ちになれて、今回の『砂漠の流刑地』で一応『ループする』に書いてあるようなことには自分で決着を付けられたと思うから、私はもう「このままでいい」っていう気持ちはないです。

--内田さんは音楽と人生がリンクしているというか、ほぼ同じなんですね。

内田万里:私、表現力とか想像力とかがあまりない方なので。歌詞に関しては実体験とか、自分が今思っていること、考えていることをただ書いているだけなんで、等身大です。だから自分が成長すれば歌詞も成長するし。

--そのふくろうずの歌詞を見ながら改めて思ったんですけど、なんで人生ってこんなに複雑化してしまうんでしょうね。

内田万里:私の場合は私が気難しいからだと思います。複雑じゃないことも複雑にするような性格なんだと思います。あと、この世界が…………よく不動産屋とかについて考えるんですけど(笑)不動産屋っていらないはずじゃないですか。家を建てる人とそこに住むことを望む人がいれば成立するはずで。レコード会社とかもそうなんですけど、社会が回る為にそういう仲介役が増えすぎていて、しかも下手したらそこが一番儲かるような仕組みになっていて、私はそれを受け付けないタイプなんだと思います。今、レコード会社に入っているからそのシステムの中に組み込まれているし、そのシステムをすべて否定するつもりはないんですけど、この社会構造にあんまり上手く馴染みきれないところがあって。それは他人から見たら気難しさなんだと思うんですよね。

--この社会に組み込まれることにアレルギー反応を示してしまうと。

内田万里:それがあるくせに、この社会にどっぷり浸かっていて、この社会の恩恵にもすごく預かっている。その矛盾とかも考え出したらキリがないので考えない方が良いと思うんですけど、住みづらいなとは思います。もうちょっと簡単な社会だったらいいなと思いますね。物々交換であったりとか。ただ、みんなが物を作る人になれば分かり易いけど、自分だっていつ曲を作れなくなるか分からないんで。そうなったときに生産者になれるかって言うと、難しいし。

--そういうどうしようもなさ、抗いようがないものについて歌った曲がふくろうずは多いですよね。例えば、2ndアルバム『ごめんね』の『ごめんね』では「殺してくれ!と叫びだすような恥ずかしい夜は 抱きしめててくれよ」というフレーズが飛び出し、さんざ「ごめんね」と歌った後に「ありがとう」と叫んでいます。

内田万里:どうしようもなさを表現しているとは思うんですけど、この曲で「ありがとう」と歌えたことは重要で。それを言わなかったらほとんど『ループする』と一緒だし、同じ事を2度はやりたくない。人間的な成長がないまま歳を取っていくのも嫌だし。だからアンサーソングじゃないですけど、自分が『ループする』よりは成長したっていうことを『ごめんね』っていう曲で示したかったのかもしれないです。

--ちなみに自分では自分のことをどんな音楽家、もしくは表現者だと感じていますか?

内田万里:えーっと……特にないですね(笑)。歌詞に関しては、わりと正直に書いている方だなという自覚はあるんですけど。あと、音楽はあんまり聴かないんですよ。すごく好きな人はいるんですけど、音楽そのものが好きかと言うと、漫画の方が全然好きなぐらいで。

--だけど、曲は作るようになったんだ?

内田万里:小さい頃からピアノを習っていて、普通の人よりは多少音感もあって、なんとなく適当に曲なんて作れるだろうと思っていたところはありますね(笑)。実際に作ってみて難しいことだったって気付いた部分はあるんですけど、曲を作ることが特別なことだと思ったことはなかったです。小さい頃から。

Interviewer:平賀哲雄
Page Design:佐藤恵