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阿部芙蓉美 『町』インタビュー

阿部芙蓉美 アルバム『町』インタビュー
アルバム
阿部芙蓉美 アルバム『町』

『町』
2011.08.24 RELEASE
FLCF-4401
1,800円(tax in.)

阿部芙蓉美 アルバム『町』<初回限定盤>を購入する
01.町
02.Birthday
03.空に舞う
04.その街のこども
05.私たちの望むものは
06.世界
07.ララバイ
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阿部芙蓉美のアーティストページへ

−−そんな阿部芙蓉美からして、今作『町』はどんなアルバムになったと感じているんでしょうか?

阿部芙蓉美:代表的な曲が多く入ってるんですけど、そもそもこのミニアルバムをリリースすることになった要因の大半は、リード曲『町』(NHKドラマ10 向田邦子ドラマ「胡桃の部屋」エンディングテーマ)が占めているんです。また、思い掛けずテレビで曲を流してもらえる機会があって、大友良英さん(「胡桃の部屋」の音楽全般を手掛ける。阿部芙蓉美とは阪神・淡路大震災15年 特集ドラマ「その街のこども」主題歌『その街のこども』でもタッグを組んでいる)と作ることができた楽曲なので、巡り合わせというのはすごく大事だなって。そんな風に思わせる1枚です。逆にどう思いました?

−−やっぱり阿部芙蓉美の音楽はグッと来ます。もちろん声も音もその要因だけど、言葉の選び方がなんだかんだで優しいし、力強いですよね。ちゃんと安心だったり、鼓舞に繋がる。それがアルバムになるとすごく明確になるなと思いました。

阿部芙蓉美:人っぽさとか、生活している感じとか、よりフォーカスしたい気分なんです。人間臭さとはどういうことなのか、とか。人の営みや呼吸、匂いとか。リード曲『町』もドラマ「胡桃の部屋」のそれぞれ人間が持っているものとか、抱えているものとかがあって、そういう人たちが身を寄せ合ったり、もしくは離れていったりする暮らし。そのエンディングテーマは決して大袈裟じゃなくていいし、でも「人間っぽさを曲にできたらいいね」とは制作のときに話していて。それは今後もテーマになっていくのかなって。あんまり飾り立てたり、美しぶったりする必要はないけど、そういうものをすべて排除してもキラキラ光るものは光るから。そうやってどうしようもなく光るものを覆い隠さずに見せることが必要なのかなって。

−−「明日は儚い それでも信じて待つ(町)」「あなたはもう泣かなくていい(Birthday)」「君のしあわせをずっと願うよ(空に舞う)」等々、それは今作の歌詞だけフォーカスしても伝わります。そんな今作『町』において『世界』の「世界でいちばんにあなたが好きよ」は新鮮でした。今まで見たことのない、キュートな阿部芙蓉美が出てきたというか、女の子が描かれたというか。こうした歌詞が、楽曲が生まれた要因って何だったんでしょう?

阿部芙蓉美:何なんでしょうね。この曲の歌詞は世界を使い分けていて、実はトライアングルというか、パラレルワールドみたいになっているんです。でもキュートに響いたりする部分もあるのは面白いなと思っていて。感じ方はそれぞれなので、最終的には聴いてくれる人に料理してもらいたいんですよね。

−−あと、歌詞のなかった『lullaby』が、カタカナ表記の『ララバイ』になりました。まさか家出の曲になるとは思いませんでした(笑)。

阿部芙蓉美:そうなんですよ(笑)。ララバイって子守歌という意味だけど、子供が親に向けて「おやすみ、じゃあね。私はもう行くわ」みたいな。そういう子守歌があってもいいのかなって。

−−あと、歌詞が加わってもなお、いろんな想いや状況が想像できる曲だなと思いました。先日、山下達郎さんが「レコーディング風景が思い浮かぶような作品はつまらない。歌っている姿や演奏している姿ではなく、何かしらのストーリーや光景をイメージさせるものじゃないと」的なことを仰っていたんですが、そこは阿部さんも大切にしているところ?

阿部芙蓉美:ひとりひとりの自由な感性の上で、如何に遊んでもらうか。扱ってもらうか。それがすごく大事。こちら側が「これはこういうものなんです」って決めつけてしまうのは本当につまらないことだし。

−−大雑把な言い方をすれば「そっちで完成させてください」と。

阿部芙蓉美:そうです! それが楽曲にとって一番素敵な在り方だと思う。そこには夢も希望も絶望も全部入ってくるだろうし。それでは商売とかビジネスとしては成り立たない部分もあるかも知れないけど、本来の音楽の素敵な部分というのは巡り合わせだし、1曲1曲と1人1人の出逢いでしかないから。出逢いなくして音楽は成り立たないので。

−−阿部さんは「売れたい」と思ったりすることもあるんですか?

阿部芙蓉美:売れることを必要とされるところもあると思うけど、あまりムチャしてよく分からないものを残すことが一番怖いから。できれば、落ち着いて、冷静にやっていきたいなとは思います。ただ、聴く人にとって易しい構成とか言葉とかは絶対にあるんですよ。普段、生活している中でもそういう音楽はあるなって思うし。自分の世界観とかやりたいことがあるにしても、そういう人に直接届けやすい、伝わりやすい言葉にはいつか自分自身も出逢いたい。

−−今、ヒットチャートを賑わしているような音楽ってどんな風に映っているんでしょう? 別モノって感覚なんですかね?

阿部芙蓉美:分ける必要はないし、多くの人たちが楽しむ作品というのはそれだけの魅力があるんだと思う。ただ、もっとみんながいろんな曲に触れる機会があれば、それはきっと賑わうんじゃないですかね。私は昔より流行っている曲を聴かなくなって、逆にiTunesとかで「これはどこの国? 誰が歌っているのか分からない」みたいな曲しか聴かなくなってるし。

−−では、阿部芙蓉美の曲はどのような広まり方をすればいいなと思いますか?

阿部芙蓉美:タンポポみたいに飛んでいって、想像もしなかったところから咲いたり。その可能性はなくはないと思います。植え付ける感じではないかも知れない。どこかに目掛けていくことが必要な土壌にはいるかも知れないけど、どこへ飛んでいってどこで咲くか分からないものである。というところに音楽の価値があると私は思いたい。僅かな可能性かも知れないけど、その為に曲を書いて、歌う。それが阿部芙蓉美なのかなって思います。

Interviewer:平賀哲雄
Page Design:佐藤恵