音楽情報サイト:HOT EXPRESSthere is music by side ホットエキスプレス・ミュージックマガジン  
 
   
 
ホームニュースインタビューライブレポート
レビューチャートメールマガジンスペシャルページ
SEARCH
アーティスト検索
 
 

渡辺美里 『Serendipity』インタビュー

アルバム
渡辺美里 アルバム『Serendipity』

『Serendipity』
[限定盤(CD+DVD)]
2011.08.03 RELEASE
ESCL-3704〜5
¥3,500(tax in.)

渡辺美里 アルバム『Serendipity』<初回限定盤>を購入する

[通常盤(CD)]
ESCL-3706
¥3,059(tax in.)

渡辺美里 アルバム『Serendipity』<通常盤>を購入する
01.セレンディピティー
02.ロマンティック・ボヘミアン
03.ニューワールド 〜新しい世界へと〜
04.あしたの空
05.いつも笑って ちょっぴり泣いて。
06.春の日 夏の陽 日曜日
07.しなやかに跳べ! 〜Life goes on〜
08.始まりの詩、あなたへ
09.恋心
10.新月
11.人生はステージだ!
12.世界中にKissの嵐を
13.ぼくらのアーチ
14.光る風
DVD&Blu-ray

DVD&Blu-ray
『うたの木 オーケストラ 2011』
2011.12.28 RELEASE
[DVD]
ESBL-2314
¥5,040(tax in.)

[Blu-ray]
ESXL-16
¥6,090(tax in.)

[収録予定曲]
・10 years
・あしたの空
・My Revolution
・すき
・始まりの詩、あなたへ、他

渡辺美里特集

Archive
Interviewer:平賀哲雄
Page Design:佐藤恵

 デビュー25周年記念BOX『Wonderful Moments 25th』リリースタイミング以来、1年2ヶ月ぶりのインタビューを敢行。実りの多いアニバーサリーイヤーを経ての2011年、ここに詳しく書くまでもなく“激動”であった26年目、どのように心を揺さぶられながら、高めながら、今日まで歩いてきたのか。また、大江千里、鈴木雅之(キーワードは“鳥久”)、佐橋佳幸、Dr.kyOnとの“セレンディピティー”な共演についても語ってもらった。

−−2011年、26年目はどんなモードで始まったんでしょうか?

渡辺美里:久々のニューアルバムを発表しようと思っていて。ずっと作ってはいたんですけど、この機を逃すと「もうちょっとじっくり作っても良いんじゃない?」っていう気持ちになっちゃいそうだったので(笑)いつでも出せる状態にする為のラストスパートをかけるところから始まりました。で、どんなアルバムにしたいのか考えたときに“Serendipity(セレンディピティー)”っていう言葉を思い出して。偶然を幸せに変えていく力という意味だけじゃなく、自分自身が「良い」と思うことを選んでいく能力や、自分が「心地良い」と思うものに向かっていく力を持つ。そういう意味も込めて『Serendipity』というタイトルのアルバムにしようと思ったんです。

−−そのアルバムの制作中だったと思うのですが、4月5日にはニューヨークで大江千里さんと東北地方太平洋沖地震のチャリティーライブを開催。どのような経緯があって実現に至ったのでしょうか?

渡辺美里:あの頃は正にアルバムを完成させる時期だったので、その後に自分自身のメンテナンスをする為にボイストレーニングを海外でやりたいと思っていたんですね。25周年は物凄く忙しくて全くそういうことができる状態ではなかったですし、オーケストラとのコンサートも控えていたので、改めて自分の声を見つめ直す時間を4月に取ろうと前々から計画していて。そしたら3月11日に震災が起きて「自分自身の時間の為に海外へ出てもいいんだろうか」とか考えたんですけど、私自身がいつどういう状況であってもベストな状態で歌えるようにしようと思って。

−−なるほど。

渡辺美里:千里さんは数年前からニューヨークでジャズを勉強されているんですけど、その頃、チャリティーライブに向けて動き出していたんです。で、忘れもしない3月31日。九州でやっていたラジオ番組の最終回の帰り、4年ぶりぐらいに千里さんから電話がかかってきて「場所押さえたから」って言われて。老舗のライブハウスを押さえたからそこで2人でライブをしようと。それで「いいよ」って言って東京に戻ったら、もう「緊急ライブ決定」っていうお知らせがホームページとかに出ていて「早い!」って思ったんですけど、本当に緊急だったし、アメリカでのライブだったので、そこまで大勢の人は来ないと想像していたんですね。でもツイッターを使ったり、千里さんが地元の本屋さんとかラーメン屋さんにポスターを貼りに行ってくれて、当日は100人ぐらいしか入れない会場に300人ぐらい集まったんですよ。

−−どんなお客さんが多かったんですか?

渡辺美里:私とか千里さんの曲を日本にいるとき聴いていてくれて、今はちょうど働き盛りでニューヨークやその近郊で頑張っている人たちが「なんで美里と千里のライブがニューヨークであるの!?」って驚きながら来てくれたんです。震災を受けてのチャリティーライブということで最低10ドルは持ってきてもらって。あと、私は4月4日に現地入りして、カフェで千里さんと曲順考えたりしたんですけど、その後に「せっかくのニューヨークデビューだし、記念になるものをみんなに持って帰ってもらいたいな」と思って、スタンプとかシールとかで名刺サイズのチケットを作ったんですよ。ベッドの上に並べて、言わば内職ですよね(笑)。

−−実際にチャリティーライブをしてみてどんなことを感じましたか?

渡辺美里:千里さんと一緒に音楽をやるのも4年ぶりぐらいだったんですけど、それぞれがしっかり自分のやるべきことをやってきたからこそ、ぶっつけ本番でもそれぞれの役割を担いながら、想いの結集したライブが出来たなって。互いに互いの生き方をきちっと確認し合ったような感覚。あと、すぐに帰国できずに“想いをどこにぶつければいいのか”困っている人たちが集まっていたから、ニューヨークでありながら日本を見つめ直す時間にもなりました。だから物凄く貴重な体験をさせてもらったと思いますね。

−−そのチャリティーライブの開催前、3.11直後の美里さんはどんな精神状態にあったんでしょう?

渡辺美里:しばらくは……本当に放心状態でしたね。地震があった日には「歌の旅人」というBS番組のナレーション録りをしていたんです。そこで取り上げていた楽曲が『北国の春』で。岩手県の“陸前高田”の映像を見ながらナレーションしていたんですけど、震災後に悲しい映像と共に何度も何度も耳にすることになってしまったんです。そんなこともあって放心状態になっちゃって。とあるインタビューに「震災を受けてすぐにピアノへ向かって曲を作りました」って答えているアーティストがいたんだけど「嘘でしょ?」と思ったの。私にはそれが出来なかったから。あと、必要なのは食べ物であり、暖を取る物であり、安全な空間だから、今すぐに音楽は必要にはならないだろうなと思っていて。ただ、物質的に満たされていったら、今度は心を満たすものとして音楽が必要になるだろうと。そのときまでにまず自分で納得できる歌がうたえる状況を作っておくべきだなって。それが良いのか悪いのかは分からなかったけど。