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11曲中9曲が何かしらのタイアップを獲得。それ自体も凄いことだと思うのだが、そのすべてが正真正銘、熊木杏里の生活から、人生から生まれた果汁100%の楽曲であることがもっと凄い。そして、それらが映画やCMから流れてきたときにその映像が持つ世界観と美しくシンクロしているっていうことが、そんな奇跡が起こせるってことが、もっともっと凄い。なんでそんなに凄いことが出来てしまったのか?
その答えは至ってシンプル。彼女と僕らが互いに互いを必要としたからである。
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−−怒濤の3ヶ月連続リリース決定。この知らせを受けたときも驚きましたけど、その第1弾となった『モウイチド』を聴いて更に驚きました。こんなにもシンプルでストレートでポップで抜けが良くて。テンション的には来るところまで来たなと。
熊木杏里:これはかなり苦労しましたもん。ギャーギャー言いながら(笑)。映画「Happy ダーツ」のために主題歌を書いてくださいというお話を頂いたんですけど、アップテンポがテーマみたいで、映画の中ではアヴリル・ラヴィーンが流れていたりしたんですよ。それで「これは新しい扉だ」と思って、最初に作ったのが『晴れ人間』だったんですけど、どうやらボツになって。
−−(笑)。
熊木杏里:映画に寄せ過ぎちゃったみたいで。そこから「これは熊木杏里の中の新しいジャンルだね」ってちゃんと言ってもらえるようなものを作らないとって思って。それで自分を「もう一度!」のテンションまで持っていないとダメだ、今までの自分ではダメだってすごく思ったから、苦しくて。で、監督にも会って話を聞いて、もうね、飛び込んでみようと思ったんです。正直に生きている人たちの中に。そしたらすごく英気をもらった気がして、それでこの曲を完成させることが出来たんですけど、初めて生みの苦しみというものを知りました。
−−奥ゆかしいキャラの熊木杏里がここまで「止められないんだ」ってなってると、否応なしに笑顔になるっていうか、走り出したくなるよ(笑)。
熊木杏里:(笑)。ありがとうございます。
−−今の熊木杏里の流れ的にこのタイミングでこの曲が出てくるのは「お!」って思ったし、正しい感じがすごくしました。
熊木杏里:うん!間違いないっていうか。
−−今年の春の赤坂BLITZで聴かせた『流星』じゃないけど、思いっきり気持ちが前に出てるよね。そういう意味では、今だから行けた場所というか。
熊木杏里:絶対そうですね。
−−今年の春のライブを今までにないぐらい思いっきり気持ち先行でやって、それをやった自分に相応しい『モウイチド』という曲が、映画の主題歌の話が舞い込んできたことによって生まれる。これはもう完全に呼んでるよね。
熊木杏里:呼んでますよね。「熊木、こんな感じでももしかしたら行けるんじゃないの?」って人が思ってくれなかったら、この流れはないですからね。それで、こうやって映画と今の自分の心情がリンクするってことがあるわけだから、それはもう「いただきます」っていう。ただ、この曲はライブで歌うのがわりと難しくて。声が裏返っちゃったりするんですよ。曲がすごく走っていくから着いていくのが大変。自然と自分がノリノリになって歌えるのが一番良いんですけどね、ちゃんと歌わないと気持ちばっかになっちゃうから。
−−あと、この曲は『モウイチド』というタイトルでして。一度立ち止まってしまった上での鼓舞や出発の歌だよね。どうしてこういう歌になったんでしょう?
熊木杏里:諦めちゃってる人たちに対して、もちろん自分に対しても思うんですけど、嫌なことが過去にあるから「そっからどうするんだ!?」っていうエネルギーを生むことができるんだよっていう。それは自分がそうだったから思うし、伝えたいんだと思う。「もう一度」のエネルギーって凄いから。「はじまり」より「もう一度」の方がマイナスからのスタートなんで厳しいんですけど、その分、飛距離があるし、やる気も出る。
−−だからこのテンションの曲なんだよね。今までの曲のテンションでは『モウイチド』は表現できなかった。
熊木杏里:できなかったですね。
−−「傷つくことが待っていても 止められないんだ」っていうね、生きるってこういうことでしょ?と言えてしまえる熊木杏里がそこにいるっていう。
熊木杏里:そうですね。で、その言葉に私もすごく励まされるんです。自分で書いたんですけど、この曲はそういう言葉がいっぱいあって。「余計なものがなくなれば 楽になれるよ きっと」とか「傷つくことが待っていても 止められないんだ」って、ずっと思っていたような気がするのに、なんでこれまではそれを素直に正直に言えなかったんだろう?って。多分それは忘れてたんですよね。その忘れてた部分がこの曲には出たんですよね。だから元々あるんですよ、みんな。そういう気持ちが。だからそこを「もう一度」っていう。
−−それをメッセージしちゃえてるっていう。つーか、もう言いたくて仕方ないっていう。
熊木杏里:怖がらずに言おう!っていうのはあるかもしれないですね。ちゃんと言ってもいいやみたいな。「今言ってもその言葉はナイフにはならないだろう」って。「それは自分も知ってる痛みだし、相手にそれを言ってもいいんじゃないか」って思う。励ますつもりはないんですけどね。でもそうやって言った言葉は届くんじゃないかなって。出てきた言葉を自分で眺めてみてもそう思うし。「ようやく自分は人に怖がらず何かを言えるようになったんだな」って。そういうのがあるから、自分も励まされるんですよね。
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