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−accessの「Rippin'GHOST」リリース時以来、1年半ぶりのインタビューになるんですが、あのaccessの一連の活動から今回の7作連続リリースの制作に入るまでの期間っていうのは、どういった活動をしていたんですか?

浅倉大介(以下A):「Sequence Virus 2003」を出したり、クラブイベントやったり。

−クラブイベントは、毎回どういった感じの内容にしてるんですか?

A:普通のDJの方から見たら「なんじゃこりゃ!?」という感じだと思うんですけど、僕はハードディスクDJなんですよ。ターンテーブルとかCDJを置かずに、コンピュータと液晶タブレットを置いて、ペンを持ってDJしてるんですよ。それで音の破片やパーツをハードディスクにたくさん入れておいて、その場で音をもう一回再構築して、踊り続けられるクラブならではの音楽の発信をこのイベントではやっていました。

−それ以外にはどんな活動を?

A:去年の大晦日には、埼玉の大宮ソニックシティでaccessとして年越しのライヴイベントに出たりとか。「今年1年はどっぷりソロでいけるところまでいっちゃおうかなぁ」と思ってからも、ゲームのサントラや「T.M.Revolutionの曲書いてほしい」とかあったりして、結構てんやわんやに(笑)。

−あと、日本武道館で行われたTM NETWORKのライヴ(『TM NETWORK DOUBLE-DECADE TOUR』ファイナル)に出演しましたよね。

A:ご覧になりました?

−残念ながら行けなかったんですけど。

A:2日目は見ておくべき!自分で言うのも変ですけど(笑)。あれはもう本当に圧巻でしたね!自分も含めて、TM NETWORKに携わってきた人が全員勢揃いして、ステージ上で最後に1曲セッションをやった時の、音の持っている力と深みに歴史が感じられて、実際、一緒に演奏していて鳥肌立っちゃいましたね。

−その話を今聞いただけで、想像で泣けますよ(笑)。

A:(笑)。

−その時セッションで何の曲をやったんですか?

A:「SEVEN DAYS WAR」を最後にやりましたね。

−泣いているファンもいたでしょうね。今回の顔ぶれが揃ったのは本当に久々って感じですか?

A:初めてじゃないですかね。僕、B'zの松本(孝弘)さんと一緒にステージに立ったのが初めてなので、松本さんと「あれ?今までやったことなかったよね」みたいな話をしてて。あと、僕がTM NETWORKのサポートをやっていた時は、ちょうどギターが葛城哲哉さんで、ドラムを阿部薫さんがやっていたんですけど、彼ら以外にもあの日はFENCE OF DEFENSEの皆さんも一堂に会して、非常に20年間の音の歴史の重みを感じましたね。僕がベーシック弾いていて、小室(哲哉)さんがシンセザイザーでベース弾くシーンもあったりして。昔は僕がサポートでシンセサイザーでベース弾いていたんですけど、気付いたら小室さんがベース弾いてた!みたいなのが面白かったしね。

−TM NETWORKっていうと、浅倉さんの古巣や故郷的なイメージがあるんですけども、そこで一緒にやってきたメンバーというのは今でも特別な存在だったりしますか?

A:素敵な音楽セッションの中のお兄様たちですよね。すごく刺激になる。なかなか今そういうミュージシャンいないんじゃないでしょうかね。“超絶技巧”と言うと、言葉が軽すぎるかもしれないんですが、本当に深いテクニックを持っていて、音楽がどうその場で変わっていこうが、生プレイのアンサンブルがきちんと音として繋がっていくっていう。そういう部分は毎回リハーサルをやっていても絶対同じにならないしね。そういう面白さとかスリルを小室さんが一番楽しんでいて。やっぱり20周年ともなるとね、今までやってきたモノをその音に再現するだけでも、もちろんOKになっちゃうって感じじゃないですか。ただ小室さんの方向性というか、横浜アリーナ(04年4月)ではまた全然新しいアプローチだったり、試みもたくさんしてて、究極のデジタル・テクノロジー・セッション。なんかそういう部分で、僕は非常に楽しかったし、刺激になったし。気付いたら打ち上げもそんな面子で朝まで(笑)。小室さんがこっち側に、松本さんが反対側にいて、3人で「そうだよねぇ!!」なんて言いながら、朝まで盛り上がっちゃって。

−すごく昔の話になってしまうんですけど、浅倉さんはどういった経緯でTM NETWORKと出会って、共に活動することになったんですか?

 浅倉大介ファンの皆さまお待たせしました!accessの「Rippin'GHOST」リリース時以来、1年半ぶりに浅倉大介さんにインタビューを敢行してきました!1年足らずで7枚ものアルバムをリアルタイムで次々と作り出していく『Quantum Mechanics Rainbow』シリーズについてはもちろん、彼のソロワークへのこだわりを存分に語っていただきました。また、彼の古巣でもあるTM NETWORKファミリーとの久々の共演についても話していただきましたので、浅倉大介の新旧ファン共に楽しんでいただきたいと思います!それではどーぞ♪

対談

浅倉大介
×
Tetsuo Hiraga

Quantum Mechanics Rainbow 第3弾
「Blue Resolution −青の思覚解析度−」

01.Tyltyl -omoide no kuni-
02.Quantum Mechanics Rainbow III
03.'Deep Blue' Resolution
04.cobalt shore
05.BLUE SKY BLUE
06.etude on A-String
07.Replicate VIRUS -Blu-ray ver.-
08.hikokigumo
09.青い花 -Heinrich von Ofterdigen-
10.Mytyl -mirai no kuni-

DWDA-004
¥2,800(tax in)

2004.7.30 in STORES

(C) BLUE ONE MUSIC
http://www.danet.ne.jp/

このCDを購入、
または過去の作品を知りたい方は
こちらまで

浅倉大介

A:元々はね、僕が18〜19才くらいの時かな。YAMAHAでシンセサイザーを作る開発スタッフみたいなことをやっていて、そこでTM NETWORKがコンサートで生でコンピュータを使って、すべて再現したいんだっていう時に、ちょうどYAMAHAが持っていたテクノロジーと小室さんがやりたい方向性のすり合わせで、「じゃあお前が行け」みたいな感じで(笑)。ちょうど間に入ってプログラミングというかマニュピレートを全部やらせてもらったのが、小室さんとの最初の出逢いのキッカケですね。

−どっぷりこの世界に入るキッカケにもなったというか?

A:そうですね。それまでも、もちろんすごくハードウェアよりな部分で音には携わっていたんですけども、元々は音楽が作りたくてシンセサンザーを始めたので、小室さんに出会ったのが良いキッカケで、今度は音楽のソフトウェア部分で「ソロ・デビューしてみたら?」なんてアイデアもらったりとか。

−そんな浅倉大介さんが、今年はアルバム7作連続リリースという未だかつてないプロジェクトに挑むわけですが・・・最初シングルかと思ったんですよ!

A:アルバムじゃなくてシングルだったらまだ普通なんですけどね。

−その話を中心に今度はソロワークについて色々聞かせて下さい。まず、ソロとして音楽を作るっていうのは、accessとしての活動だったりとか、プロデュースワークだったりとか、色々ある中でどういった部分が一番魅力的だったりしますか?

A:自分の中での実験が出来る場所。最初の1音から最後の1音まで、とことんこだわって作れる。今回7枚のアルバムを作ろうと思ったのは、普通だったら3年で1枚、多くて1年で1枚のアルバムを出す感じだと思うんですけど、今テクノロジーの恩恵で色んな作業がすごくスピーディに機械処理が出来るようになって、リリースするまでにも以前ほど時間が掛からなくなったっていうのは、ひとつのキッカケだったんですが、「それを使って面白いリリースの仕方を出来ないかな」という風に思って、それをやるならソロしかないなと。で、例えば、「隔月雑誌のような音楽のリリースの仕方をしたら面白いかなぁ」なんて思って。月刊誌って連載コーナーもあれば、特集コーナーもあれば、編集後記みたいなところもあるし、お休みするコーナーももちろんあったりするんですけど、とにかく毎回次が楽しみで雑誌を手にしているみたいな感覚をアルバムでも味わってもらえたらなと。

−なるほど。

A:それが僕の中でひとつあったのと、もうひとつは、色々なテクノロジーがある中で“ファンタジー”っていうものが今あえてすごく注目されていて、映画だったり小説なんかもそうだと思うんですけど、人ってやっぱり夢を見ないと生き甲斐ないしね。想像する楽しみを色々持てるのも人ならではだし。なんか人にとってすごく大切なものっていうのを、僕は今回“虹”というものに置き換えて、その七色をそれぞれアルバムにして、「色んなメッセージを発信できたらいいなぁ」と思って、「そんなことが出来るのは今しかない!」と。それで、1年で虹の七色のアルバムにしようと思って、ただ繋がっていく作品もあれば、独自の作品もあればっていう、そんな発端で始めましたね。

−そういうことが出来ちゃうのもソロワークならではの自由さですよね。

A:一緒に誰かとやってたら反対されると思いますよ(笑)。「それはやめた方はいいって!」「絶対無理だって」とかになると思いますよ。

−その7枚のアルバムシリーズには『Quantum Mechanics Rainbow』という名前が付いていますが、どんな意味が込められているんですか?

A:テクノロジーが進化して今、光というものが粒子でもあり波でもあるっていう分析をされている中で、空想的なイマジネーションとテクノロジーっていう、相反するものが同居した時に出来る新しいものっていうイメージを虹に例えると、量子的、メカニズムの虹。「すべては光の粒子から出来上がっているんだ」という、そんなイメージで付けたタイトルなんですけど。

−まさに今のイマジネーションとテクノロジーの融合という部分はすごく感じました。やっぱり浅倉さんのテーマというか、浅倉さん自身が作ってきた曲って、基本的にそういうのが根底にある曲が多いですよね。

A:好きなんだよね、やっぱね。特に男の人とかには共感してもらえると思うんですけど・・・結構ない?そういう言葉って。男の人には分かるキーワードって。

−ありますね。

A:やっぱりそれって大人になっても全く変わらないものでね。“SEQUENCE MEDITATION”とか、色んなタイトル付けましたけどね。ちょっと僕のパターンというのは、キーワードがタイトルだったり、シリーズにも一貫して付いていますが(笑)。

−今回このシリーズの構想自体っていうのは、いつ頃思いついた感じなんですか?

A:構想は去年の終わりから今年の最初ですね。

−さっき今回のシリーズをやることになったキッカケの話を聞かせてもらったんですけど、非常に面白いアイデアだと思いますし、やるべきだなっていうのはすごく分かるんですけど、実際やるってなると、シングルだったらリアリティありますけど、アルバムになるとリアリティがないですよね。

A:(笑)。

−これを長い年数をかけてやっていくっていうのであれば分かるんですけど、1年足らずじゃないですか。1年といっても、もう1発目は3月から出て、予定では年内中に全部出してしまおうという形っていうのは・・・。これを実現しようと思ったのは浅倉さん自身だと思うんですけど、“年内での実現”っていうのはやっぱりあったんですかね?キーワードの中には。

A:1年を通して、今だから出来るリリースの仕方かなっていうのは、僕の中で漠然とありましたね。これが5年前でもないし、5年後でもないと思うんですよね、現実性としては。で、その中できっと何かまた次の機会の入り口も見えるだろうしね。ただまぁやっぱり物理的にはすごくシビアなところが出てきますね。半分すごく楽しみながらも、やっぱり「時間の流れ」と「締切」というね(笑)。

−今のところ今回の「Blue Resolution −青の思覚解析度−」まで3枚のアルバムが完成しているのは認識しているんですが、それ以降の4枚っていうのは、まだ制作途中のものもあったりっていう感じだったりするんですか?

A:まだ緑(第4弾)を作り出したばっかりですね。本当もうリアルタイムに作っていって。作ってあったら楽なんですけど、ただそれはね、僕は今回面白くなくて、作って発表してから次の作品の制作に入るっていう。もちろんそこには雑誌でいう読者からのお便りもあるわけで。僕がすごくこのシリーズを作っていて面白いのは、好きな曲っていうのがそれぞれ聴いてくれる方の中ではっきりわかれてるのが面白くて、1枚の中でもトランスもあれば、歌モノのポップスもあれば、シンセサイザーで作ったオーケストレーションアレンジもあれば、ピアノの即興曲もあればって、「私はこの曲が好きだけど、でも他にもこういうのも気持ちいいと思うな」っていう、その心の余裕とゆとりみたいなのも、すごくフィードバックで感じられてる部分がすごく良いなと思っていて。

−そういったフィードバックを受けながら、次へ次へって出していきたいっていうのがあるからこそ。

A:もっともっと色んなの作っちゃうよ!みたいなね。

−そうなるとなおさらタイトですよね。1枚ずつ完成させて作っていく流れでやってるんだろうなと思いつつも、1枚につき約10曲として、7枚出せば70曲前後の曲を作るわけですよね。それをその短い期間でやるってなると、曲が思いついた順番に「これはこの色、この色」っていう仕分け作業をしているんじゃないか、なんて思ったりもしていたので、今の話を驚きです。

A:出来たら良いよねぇ(笑)。ただ、それだけスケジュールはもちろんタイトではあるんですけど、やっぱり持っているテーマがすごく大きい。“虹”というすごくイマジネーションを掻き立てられるものと、漠然とひとつの色っていう、それが僕の中で一貫して筋が通らないと今回のシリーズは出してないですね。そのくらいひとつの色にどっぷりとハマっていって。で、虹の順番に、暗い色から順番に作っているんですけど、紫(「Violet Meme −紫の情報伝達値−」)を作ろうとした時は、まず「紫色って何?」って周りを見渡すじゃないですか。ないんですよ、身近に!で、「紫ってすごく難しい色だな。もっと明るい色から始めれば良かったな・・・」とちょっと思いながらも、ふと朝方の空を見ていた時に、真っ暗闇から太陽が出てオレンジ色になる一瞬前にすっごいキレイな紫色になるんですよ。ほんの数秒なんですけど、すべてがリセットされるような気持ち良さを感じたんですね。で、「僕の中での紫ってこれだ!」と思って、それぞれの曲の中でも、どの曲も塗った紫ではなくて果てしなく透明に近い、水晶のようなものなんですけど、よく見ると紫が付いているような、そんなイメージで作って。で、音色もガラスが奏でるような音だったり、「果てしなく透明に近い鉄の音はどんな音だろう?」とか、そんなところからシンセの曲を作りだして、それぞれの曲を完成させていきました。

−2作目の「Indigo Algorithm −藍の電思基数−」をどのような流れで作っていったんですか?

A:「藍色。また暗い色だ・・・」みたいな(笑)。もっと明るい色になればいいのになと思いながら、またこれも身近じゃないですよね、全く。「藍色のものって何?」って言われた時、パッと言葉に出ない。でね、僕のイメージの中での藍色っていうのは人の手の届かない、でも圧倒的なパワーを持っているもの。例えて言うならば、深海とか宇宙の果てとか、でもそれがなかったら人の命は生まれなかった。そういうものが藍色で、それをテーマに音色も自然と壮大な音だったり、空間を感じられる音だったりとか。で、音色を作って。歌詞ももちろんその世界に広がっていって、なんか“サイバーファンタジー”みたいな音が出来上がって。そこまでは良かったんですけど、次に1回大きなハードルが来ましてね(笑)。今こうして出来上がったから良かったんですけど、「Blue Resolution −青の思覚解析度−」の時に、急に身近になりすぎて、「ブルーって空とか海だよね」っていう、すごく身近なもの。身の回りで見ようと思えばすぐに見られる気持ちのいいもの。そこで、すごく悩んで。

−意外な落とし穴がそこにあったんですね。

A:そうなんですよ。で、本当に空が晴れ渡った気持ちのいい日、日比谷公園だったんですけど、外のテラス席で食事しながら、ゆっくりしていたんですね。本当に静かで空だけ見えて、「この気持ちよさって、青が持ってる気持ちよさだよな」なんて思ったんですけど、「どんな音が聞こえてくるのかな?」と思って耳を澄ましてみたら、聞こえてこないんですよ、青の音が。で、聞こえてくる音と言えば、すべてがシンセサイザーでいうノイズですよね。風が吹いた時に葉っぱと葉っぱが擦れ合う音だったり、車のノイズだったり、たくさんのコンクリートのビルディングが発する室外機のノイズであったりとか。とにかくノイズだったのね、音程がない。ただそこに気持ちの良い風が吹いた時に、共鳴して音程が生まれてくることにふと気付いて。風が強い日に風の音って、ヒュ〜♪っていう音程が聞こえてくるじゃないですか。あの風が発信した時のノイズが音程に変わった瞬間の気持ちよさっていうのは、ブルーの音なのかなと思って。この「Blue Resolution −青の思覚解析度−」のオープニングとエンディングにインストがあるんですけど、これはほとんどノイズをフィルターで発信させて作った音で、チルチルとミチルという『青い鳥』をモチーフに作った曲なんですけど、鳥の鳴き声や羽ばたきから、鳴ってるファットからリズムから、全部ノイズを発信させて音程を持たせて作ったら、本当に青が持っている気持ちいい音、風が流れてる、でも涼しい音が生まれてきたりなんていう。

だから結構ね、1枚ごとに難関が(笑)。面白いんですけど、(難関が)多くて。ただそれが音になった瞬間得られた、音に色があるっていうね。僕の得たものも大きいし、その色から感じられる気持ちよさっていうのを、本当の意味で感じてもらえるのかなと。これが歌詞があったら、すごい簡単だと思うのね(笑)。“青い空が”とか色のキーワード入れちゃえばね、楽なんですけど、それをあえてインストで表現する面白さとか、イマジネーションを掻き立てられる面白さっていうものを感じてもらえるのかなぁなんて。

−今3つの色について色々話していただきましたけど、そこに辿り着くまでっていうのは、やっぱり色々苦しむわけじゃないですか。で、その都度、締切もあって、そういうのがある中で「ちょっと今回は無理かも?」って思うことはないですか?

A:それは逆にないですね。気づいたら夢中になっている自分っていうのがすごく多いですね。今年になって、この虹シリーズを作り出す前に新しく自分のスタジオを作ったんですよ。自分専用の、自分がとにかく気持ち良い音を作り出せる環境を作って、気付いたら36時間経っていたとか。「Blue Resolution −青の思覚解析度−」とかも最後の方とか70時間経ってたとか、結構ありますね。出来上がって「わぁ!ベッド久しぶり」みたいなこともあったりとか。あとね、この7作作り出してて今面白く感じるのは、とにかくクリエイターにとってすごく新しい、でも本当は古き良き作り方かもしれないんですが、1枚で完結させるんじゃなくて続きがあるっていう、ゆとり。1枚だったらもっとピリピリしてるところが、「この曲のお話の続きは次のアルバムで続けていこうかな」とか「これはまだ実は僕の中で完成させてないお話なんだ」っていうのも全然アリだし。言ってしまえば、「Quantum Mechanics Rainbow」っていうシリーズで作っている曲があるんですが、これなんかは本当古き良きクラシックの人の作曲の仕方と同じものを僕はちょっとやりたくて。ベートーヴェンとかモーツァルトとかシューベルトとか、偉大な作曲家の方々がいらっしゃいますけど、そういう人たちってやっぱり生涯の中で何曲も大作があって、楽章ごとに完成させて披露されていって。今のポップスの作り方とは全く違うと思うんですよね。ポップスってほら、メロディとコード作って、別の日に今度はバンドアレンジとかアレンジをして、ダビングがあって、ミックスっていう作り方なんですけど、「Quantum Mechanics Rainbow」だけは、一番このシリーズを作る時に毎回時間をすごく掛けているんですが、1日4小節出来ればもうOKっていう作り方。そのクラシックの作曲家がオーケストラのスコアをメインに、羽根ペンを持って自分で試行錯誤しながら、色んな楽器に割り当ててモチーフを作っていく作り方を、テクノロジー調でマウスを持ってドラッグしていく作り方をさせてもらってて。本当にこれっていうのはクリエイターにとって、すごく面白い環境を与えられたなって、自分で思ってしまうんですけど。贅沢な作り方なので、聴いてる方もその贅沢な気持ちよさを感じてもらえたら面白いなと思いますけどね。ただ聞こえてくる音は、結構クラシックなシュミレーションの音ばかりなんですが、実はフタを開けてみると、すべての音はコンピュータの演算で作られているっていう、生の楽器ではないっていうところもまた今の時代の面白いところかなぁなんて。

−7曲全部が揃って「Quantum Mechanics Rainbow」が完成したら浅倉さんにとって、今までにない超大作になりますよね。

A:一番楽しみなところです。1曲ずつ分かれてるんですか、実は全部繋がっちゃうんです、これ!そういう作り方をしていて、自分の中でも前代未聞の大作になるんじゃないかなぁと。

−今作「Blue Resolution −青の思覚解析度−」の中からいくつかの曲について話していただきましたが、まだ出てきていない曲についても触れさせて下さい。まず「'Deep Blue' Resolution」。とにかく歪ませた感じの曲になってますけど、この曲はどんなイメージを形にしていった感じなんですか?

A:これは“青”っていうイメージから、人間の“青さ”がパッと思いつくものであったりするんですけど、テクノロジーを味方に付けてでも、人間性の駆け引きみたいなところで、人間にしか出来ないやんちゃな冒険をしている人ってたくさんいると思うんですね。その応援歌のつもりでもあるし。実は“Deep Blue”っていうのは、初めてチェスで人間のチェスのチャンピオンに勝ったコンピュータのニックネームが“Deep Blue”っていう名前だったんですけど、そんなテクノロジーが心を持ってやんちゃなことをやらかすぞ!みたいな、そんなストーリーをコンセプトに作りました。

−続いて、4曲目の「cobalt shore」ですが、この曲はもう本当に素直に静かな海のイメージっていうのを聴いていて感じたんですけど、実際作っている時もそういうイメージを浮かべながら作っていった感じだったんですか?

A:これは僕の中でのイメージは、インストだからどう捉えても全然良いんですけど、波打ち際という“Shore”があったりするんですが、別に波だからって正面からだけじゃなくて、上からでもね、遥か彼方からでもコバルトの色がそそぎ込んでくるような、そんなイメージで作った曲ですね。

−あと、今作で何曲か、浅倉さんの新しい一面を感じた曲があったんですけど、その中でも「BLUE SKY BLUE」。この曲に関しては、女性ボーカルの効果もあると思うんですけど、ある意味新しい浅倉大介さんの世界が出来た曲かなっていうのを聴いて感じたんですけど、本人的にはどうだったりするんでしょう?

A:これはね、ゲストヴォーカルで、女性ヴォーカルと、僕の声とずっとハーモニーのまま完全に曲を通していくアプローチをしている曲なんですよ。そういうのやったことなかったなと思って。あとはすごく淡々と流れる青い時の世界っていうのを僕はイメージして音を作ったので、音自体はすごくシンプルなんですけど、それだから感じられるハーモニー世界っていう。歌詞も非常に井上秋緒さんが、すごく青が持っている歯がゆさというか、切なさを歌詞でも表現してくれていて、スルッと聴けちゃうんですけど、歌詞を観ながら聴いてもらえると共感してもらえるかなって思いますね。

−続いて「、Replicate VIRUS −Blu-ray ver.−」。この曲は去年に行ったクラブイベントで披露した曲みたいですけども、元々どういった雰囲気の曲ですか?

A:クラブイベントやりだす時に1個自分でテーマになるような曲を書こうかなと思って、「Replicate VIRUS」っていう、すごく音数の多いトランス、デジタル、テクノみたいな要素を持った曲を作ったんですけど、その曲自体はとにかくウィルスが増殖していくかのような、すごく温度感も熱い曲なんですね。それをきちんとリリースしたことがまだなくて、この曲には何か青いイメージっていうのは作っていた時からあったんですよ。で、その中の実はこんなパーツがその青さを感じていたのかもっていう、パーツのみ取り出してリミックスしてしまった曲ですね。コンピュータウィルスが今多いじゃないですか。前のアルバム(「Indigo Algorithm −藍の電思基数法−」)でも「Angel Algorithm」という曲で、歌詞の中に片っ端からコンピュータウィルスの名前が登場するような曲もあるんですが、なんかそんな切り口で。これは僕の声を使って、テクノロジーでここまで色んな組み合わせで面白いアプローチが出来るんだよっていうのを楽しんだ曲ですね。

−続いて、8曲目の「hikokigumo」ですが、この曲は正にひこうき雲をイメージして作り上げていった曲だったりしますか?

A:もうね、作り上げたというか、生なんですよ(笑)。それはね、自分で気付いたら、実は今までやったことがなかったアプローチで。結構曲を作っている時には、こういう段階のものってたくさんあるんですけど、作り込んでいってしまうと、そういう形や面白さって、普通にインテンポの中にマスキングされていってしまうんですけど、この曲は本当に“ザ・シンセサイザー・ソロ”っていう、シンセザイザーってこういうこと出来るよねっていう感じの曲なんですよ。とにかく片手でパッと弾きながら、もうひとつの手でリードを弾きまくるっていう、モチーフからだんだんフレーズが増えていって。ただこの曲はタイトルを実は先に付けていて、青の中に1本、ひこうき雲がスーッと抜けていく気持ちよさを、ソロで表現したらどうなるのかなぁというところから作りましたね。

−続いて、9曲目の「青い花 −Heinrich von Ofterdigen−」。この曲も今までの浅倉さんのイメージとは一線を画く曲になっていますよね。

A:イントロがフォークですからね(笑)。“テクノロジー・フォーク”なんですけど。青い空の下に合う音って、パッと想像するとハーモニカとか口笛とか、アコースティックギターとかありますよね。じゃあアコースティックギターを自分ならではのアプローチで出してみようかなと思って、すごくフォークなんですが、でも曲を聴いていくと、最後に残っていた音はコンピュータのシーケンス音と加工した声だけだったっていう、そんなちょっと面白い魔法がかかったような曲なんです。これはタイトルとかは後から付けた曲ですね。これの面白いところは、ワンコーラスしかない。

−確かに短いですよね。

A:フォークソングで「ひこうき雲」だったら8番目くらいまで延々語れるんでしょうけど、なんか僕の中での「Blue Resolution −青の思覚解析度−」のイメージって、真っ青な景色をスケッチしたものを音で表現した、“音のスケッチ”っていうのを次から次へとページをめくっているような、そんな感覚のアルバムにしたかったんで、スケッチなら2番はいらないなって思って、思い切りました。もうコンピュータって簡単に2番でドラッグするだけであっという間に曲が作れちゃうから、増やすことは出来るんですけど、あえてそこしか使わないっていう。そんなアプローチをさせてもらってて、続きは想像してくださいっていう。これは歌詞がすごく大好きで、気持ちよく聴けちゃうんですけど、是非最後の2行なんかはじっくり言葉を見てもらえると、メビウスの輪みたいに時間軸がすごくグシャグシャになっている歌詞を作ってもらっていて、実際自分がどの立場からその青い花を見ていたのか考え込んでしまうくらいの科学的な歌詞なんですよ。その辺が面白いところで、気に入ってます。

−その「青い花 −Heinrich von Ofterdigen−」が9曲目で、そのあと「Mytyl −mirai no kuni−」で、頭に「Tyltyl −omoide no kuni−」があって、チルチルミチルの中に色んな曲が入っているアルバムになっていますが、元々『青い鳥』自体は好きだったんですか?

A:これもね、青盤でパッとひらめいたキーワードのひとつであって、「青い花 −Heinrich von Ofterdigen−」もそうなんですけど、インクを吸わせて作れば作れるんでしょうけど、青いバラって実は世の中に存在してなくて、ただこれを作ってる時に面白かったのが、サントリーが遺伝子操作で青いバラを作り出すことに成功したニュースが流れていたのを観て、世の中になかったと言われていたものがテクノロジーで出来てしまっているの!?みたいな、そんなイメージが「青い花 −Heinrich von Ofterdigen−」にはあるんです。『青い鳥』の話も実は、そういうお話で、実際幸せを呼ぶ鳥を探しに行くんですけど、最終的には一番身近なところにいたんだけど、また見失ってしまう、そんなお話をモチーフに音で真っ青な世界を作り出しましたね。

−さて、この青の次は、緑、黄、オレンジ、赤の制作が待ってるわけですね。

A:まだ半分(笑)。

−このままいけばどれも充実した作品にはなりそうですかね?

A:ねぇ!どうなるんでしょうかね。僕も楽しみですね。これは是非聴いて続きを楽しみにしてもらえると、すごく嬉しいですね。

−良いですよね、リアルタイムな感じで。今、この話をしている段階で緑はまだ出来ていないっていうのが。

A:そう。0.1も出来ていないです(笑)。

−全作品に期待しておりますので。

A:多分ね、全部揃って7色揃えた時の感動はスゴイと思いますよ(笑)。

−あと、3年ぶりの全国ツアーも決定しているんですよね?

A:また色々な試みにトライしてみたいですけどね。とにかくここのところちょっと弾きまくってないんで、弾き狂って楽しみたいな。あと、今回のアルバムで結構歌モノなんかは、あえてクセのない歌の雛形になるような、どんな人がこれから歌ってくれても変化していって面白い曲になっているので、会場に来てくれた方がメインボーカルになって歌ってくれたりなんかしたら嬉しいし、たくさん踊って、たくさん歌って、気持ちいい音を楽しんでもらいたいなぁと。でもまだ7作揃ってる段階ではありませんので、途中経過で。あと、夜のクラブイベントを全国各地でやるんですが、そっちはディープなレコードのハードディスクDJを。一日祭り状態で楽しみたいなと思います。

−では、最後になるんですが、読者の皆さんにメッセージをお願いします。

A:とにかくインストっていうのは、決められた答えがない分、たくさん色んな想像をして、夢をたくさん持ってほしいし、この虹シリーズのアルバムが乾いた時代に聴いてくれた方の潤いになってくれたら嬉しいなと思いますね。どんな音楽好きな方も楽しめるんじゃないかな、どれかは必ず。そこから広がって僕の音の世界を楽しんでもらえたら、すごく嬉しいですね。是非聴いてみてください。

Interviewer:平賀哲雄

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■Quantum Mechanics Rainbow III
7月30日リリース『Blue Resolution〜青の思覚解析度〜』
品番:DWDA004 品番:2,800円(TAX IN)
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★Daisuke Asakura Live Tour '04
Cultivate Meme〜about Quantum Mechanics Rainbow〜

9月4日(土) 北海道・Zepp Sapporo
[open/start=17:00/17:30]
チケット料金:¥6,300(tax in/1 drink order)
チケット発売日:7月24日(土)
Information/WESS 011-614-9999

9月11日(土) 福岡・Zepp Fukuoka
[open/start=17:00/17:30]
チケット料金:¥6,300(tax in/1 drink order)
チケット発売日:7月24日(土)
Information/キョードー西日本 092-714-0159

9月12日(日) 広島・CLUB QUATTORO
[open/start=16:30/17:00]
チケット料金:¥6,300(tax in/1 drink order)
チケット発売日:7月25日(日)
Information/ユニオン音楽事務所 082-247-6111

9月18日(土) 宮城・Zepp Sendai
[open/start=17:00/17:30]
チケット料金:¥6,300(tax in/1 drink order)
チケット発売日:7月25日(日)
Information/G.I.P 022-222-9999

9月24日(金)愛知・名古屋クラブダイアモンドホール
[open/start=18:00/18:30]
チケット料金:¥6,300(tax in)
チケット発売日:7月31日(土)
Information/サンデーフォークプロモーション 052-320-9100

9月25日(土) 大阪・Zepp Osaka
[open/start=17:00/17:30]
チケット料金:¥6,300(tax in/1 drink order)
チケット発売日:7月31日(土)
Information/キョードー大阪 06-6233-8888

10月10日(日) 東京・Zepp Tokyo
[open/start=17:00/17:30]
チケット料金:¥6,300(tax in/1 drink order)
チケット発売日:8月1日(日)
Information/キョードー東京 03-3498-9999

<<追加公演>>
10月11日(月・祝) 東京・Zepp Tokyo
[open/start=17:00/17:30]
チケット料金:¥6,300(tax in/1 drink order)
チケット発売日:8月1日(日)
Information/キョードー東京 03-3498-9999

★クラブイベント[Seq Virus 2004 -Summer Party-]

8月20日(金) 東京・六本木 SPIRAL
OPEN/START=22:00 (オールナイト)
チケット発売日/8月14日(土)
Information/キョードー東京 03-3498-9999

9月4日(土) 札幌・HALL F-45
OPEN/START=20:00 (finish=23:00)
チケット発売日/8月28日(土)
Information/WESS 011-614-9999

9月11日(土) 福岡・O/D
OPEN/START=20:00 (finish=23:00)
チケット発売日/8月29日(日)
Information/キョードー西日本 092-714-0159

9月12日(日) 広島・ 4.14
OPEN/START=20:00 (finish=23:00)
チケット発売日/9月4日(土)
Information/ユニオン音楽事務所 082-247-6111

9月17日(金) 仙台・ADD
OPEN/START=20:00 (finish=23:00)
チケット発売日/9月5日(日)
Information/G.I.P 022-222-9999

9月24日(金) 名古屋・RADIX
OPEN/START=20:30 (finish=23:00)
チケット発売日/9月11日(土)
Information/サンデーフォークプロモーション 052-320-9100

9月25日(土) 大阪・TRIANGLE
OPEN/START=20:00 (finish=23:00)
チケット発売日/9月12日(日)
Information/キョードー大阪 06-6233-8888

チケット料金/¥3,800(tax in)
*札幌公演以外は1drink order

■Daisuke Asakura Official Website http://www.DAnet.ne.jp/
■Darwin Records http://www.darwin.co.jp
■Daisuke Asakura Online Shop http://www.sonymusicshop.jp/da/