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−今回初めてGRAPEVINEのインタビューをさせていただくので、色々と聞かせてもらいたいんですが、まずベスト盤の「Chronology -a young persons' guide to Grapevine-」のリリース後〜今日まで、どのような活動を行っていたんですか?

田中和将(以下T):その前にまず「イデアの水槽」というアルバムを出しまして、それのツアー(「GRAPEVINE tour 2004 “沈黙の臓器”」)をやってる途中に「Chronology -a young persons' guide to Grapevine-」が出て。それでそのツアーの最終日というか、追加公演を東京ベイNKホールでやらせてもらいまして、そこからちょっと休憩みたいな形でしばらくゆっくりした日々を送ってました。で、4月、5月くらいはゆっくりしつつ、曲を作って、7月、8月くらいでレコーディングしたものが、今回のミニアルバム「Everyman,everywhere」になったという感じですね。

−じゃあ夏フェスでライヴしてる頃には、もうほぼ完成していたんですね?

亀井亨(以下K):だいぶ早く出来てましたね。

−そのレコーディング前までは比較的ゆっくりした日々を送れたと?

T:それまでもめちゃめちゃ忙しかったわけじゃないですけど、今年は特にゆっくりしてましたね。

K:ツアーの前とかも休みがあって。

−ゆっくりした日が続くと逆にテンション落ちたりとか、おかしくなったりとかしませんか?

T:実際ね、あまり休みが多いと持て余しますけどね。

−どんな事をしながら過ごしてたんですか?

T:みんな旅行行ったりとか。僕は育児とかですね(笑)。

−(笑)。さっきもちょっと触れたんですけど、今年も夏フェスにいくつか出られていましたが、今年の夏フェスの感想を聞かせてもらえますか?

T:今年の夏はフェスも全然少なくて、ほんの数本しか出てないんですけど、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL'04』はやっぱり気持ちが良いので、毎年楽しみにしてますね。開放感があるし。だから楽しかったですけどね。

−今年の夏フェスで自分たち以外で気になるバンドっていましたか?

T:いや、みんな気になりますけど(笑)。特にサンボマスターはすごかったですね。

西川弘剛(以下N):サンボマスターの喋りがすごかった。「すごい喋る人なんだな」って、ちょっとビックリしましたね。それまでにCD聴いてて、カッコイイなと思ってたんですけど、「ライヴこんな感じなんや」って(笑)。

T:喋る声枯らしてたもんね。飲んでもあんな感じなのかな、あの人は。

K:飲んだらもっとすごいんちゃう?

−夏フェスを経て、今回「Everyman,everywhere」というミニアルバムが出るわけですが、ベスト盤のリリース後っていう事もあって、ファンも「どんな新作が出るんだろう?」って期待する部分ってあったと思うんですけど、自分たち的には「ベストの後だから気持ちも新たに」みたいな意識ってあったんですか?

T:正直言うと全く無かったですね。でも対外的に見て、すごく区切りやすい時期ではあると思うんですよ。

 デビュー以来、何度かにわたってライヴレポートはやらせていただいていたものの、なかなかインタビューをさせてもらえる機会に恵まれなかったGRAPEVINE。新作が出たり、ライヴを見る度に彼らの音楽が好きになり、その憧れ度数は確実に大きくなり、完全に単なるファンへと化していたところでの今回の『hotexpress』初インタビュー!「Everyman,everywhere」という素晴らしい作品の完成のタイミングでインタビューをやらせてもらえる喜びが大きくなりすぎて、思わず緊張(笑)。一方、GRAPEVINEのお三方はめちゃくちゃ気さくで、何に対しても友好的に答えてくれて、何を勝手に気負っていたんだかと勝手に反省(笑)。まぁそんな僕の心境などはおいといて、実にバンドが良い状態になっていることを感じさせてくれる、『GRAPEVINE』 SPECIAL INTERVIEW を楽しんでいただければと思います。

対談

GRAPEVINE
×
Tetsuo Hiraga

MINI ALBUM
Everyman, everywhere

01.Metamorphose
02.Reason
03.Everyman, everywhere
04.スイマー
05.作家の顛末

(初回生産限定盤 DVD付)
PCCA-02096
¥2,940(tax in)

2004.11.17 in STORES

<GRAPEVINE ポニーキャニオン公式サイト>
http://www.ponycanyon.co.jp/arts/grapevine/

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または過去の作品を知りたい方は
こちらまで

GRAPEVINE

その「Chronology -a young persons' guide to Grapevine-」が出たというのもあるし、NK(ホールで)やって、その後しばらく暇でしたからね。

K:でもシングル集が出たからと言うよりか、NKホールで大きいライヴをして一区切りっていう感じですかね、僕らからすると。

−そのツアーで得たものが今回のミニアルバムに反映されてる?

K:されてると思いますけどね。

−どの曲もNK(ホールのライヴ)が終わった後に作り出したんですか?

T:そうです。

−築き上げてきたこれまでのGRAPEVINEのバンドサウンドやメロディが、ひとつの完全体と言うと大袈裟かもしれないですけど、それに近いくらいのところまで磨き上げられた作品だなと、僕は今作を聴かせていただいて思ったんですけど、自分たちからしても今回の作品はそういった自負みたいなのはあったりしますか?

T:そこまで考えてないですね(笑)。毎回言うんですけど、特に達成感みたいなものはそんなに無いんですよ。なのでそういう感じはほぼ無いんですけど、まぁミニアルバムっちゅー事なんで、ある程度の統一感を持った作品にはしたいなという感じはありましたし。かつ前のアルバム「イデアの水槽」とはちょっと違う印象のものにしたいなと思ってたくらいですかね。

−エンジニアの宮島さんや3人以外のバンドメンバーと、「これまで以上に息が合ってきたからこそ」みたいなところが反映されてるのかなと思ったんですけど。

T:それはあると思いますけどね。

−今回5曲入りのミニアルバムという形にしたのは、何か特別な意味合いがあるのか、それとも単純に時間的な都合などがあってなんですか?

T:特別な意味合いがあるわけではないんですけど、フルアルバムにはちょっと早いし。だからいつもであればシングルのタイミングなんだろうけれども、シングルはもうちょっと色のあるものを作りたいなと。かつアルバムまで気を持たせるくらいの物足りなさの曲数で、そういうボリュームで何か作れないかなと思いまして。で、まぁミニアルバムという話になりました。

−その話自体はいつ頃上がったんですか?

N:「ミニアルバムは作りたいな」とだいぶ前から言ってたんですけど、去年の年末くらいにそんな話をしてまして、「そうしようか」みたいな。忘年会で。

−忘年会で(笑)。

N:毎年ね、(忘年会で)ちょっとだけ次の年の事を話すんですけど、その時に初めて聞いた気がしますけどね。

−そこからそれぞれ今回のミニアルバムを意識しながら曲を作るようになったっていう感じなんですか?

T:意識と言うか頭の片隅にはあるんですけど、実際曲を作る時には何も考えてないですね(笑)。

−アルバムが出るからっていう事で曲を作り出すのか、それとも常に曲っていうのは作っていて、リリースのタイミングになると「どれを入れようか?」っていう風に考え出すのか、どっちのパターンが多いんでしょう?

T:どちらかと言うと(リリースが)決まってから作る感じですね。日々はほんまに断片的なものしか作ってないですね。「次こういうのを出そう」ってなった時に、その断片をまとめようとする作業に。

−作品を出す時にコンセプトみたいなものってあるんですか?「こういうイメージにしよう」っていうところでそこに近いものを作ったり、選んだり?

T:いや、ないです。コンセプトもほぼ持たないですね。

−では、選曲基準はどういうところにあるんですか?「その時自分たちが気持ち良いと思うものを!」という感じなんですか?

T:そうですね、カッコ良く言えばそういう事ですけど、選曲が出来るほど曲が上がらないっちゅーのもあるし(笑)。だから最初に手をつけた時点で、ストックっちゅーのは淘汰されるんですね。だからもう手をつけたものは自動的に使用するという形で。

K:手をつけた時点で良くなかったら、その曲とかやらなくなるんで。

T:大体そういう曲はボツになる事が多いですね。

−今作の5曲は、作ってきた曲をお互いに持ち寄って、「この曲が良いんじゃん」っていう感じで一枚の作品になったんですか?

T:そうですね。

K:バランス良く3人の曲が入ってるのが理想なんですけどね。まぁでも今回はちゃんとバランス良く入ってますね。

−今更なんですけど、GRAPEVINEは誰もがGRAPEVINEの曲を書けるというところに、ひとつの強みがあると思うんですけど、そこにはそれぞれの個性もあると思うんですが、それぞれにGRAPEVINEのイメージ像みたいな部分を意識しながら曲を書くのか、もしくはもう3人が書けばおのずとGRAPEVINEの色になっていくのか、どっちなんでしょう?

T:どっちなんでしょうね。

K:以前に比べると、あんまり考えずに作っていったらちゃんとGRAPEVINEの音になるようにはなってると思いますね。昔の方が「この曲は合わないんじゃないかな」とか考えていたような気はしまけどね。

T:最近はほんまに何でもアリな感じは強いんですけど、誰から持ってきた曲をまた1から作っていくようなバンドなんで、どうしてもバンドっぽくなるんじゃないですかね。

−例えばギターを演奏するっていうところではどうですか?GRAPEVINEらしい音とかプレイとかっていうのは意識されたりするんですか?

N:そんなにハッキリGRAPEVINE像を持ってないので、そこまではシビアに考えてないですけどね。

−以前、西川さんは小谷美紗子さんとライヴをやられたりしてましたけど、そういう場合も、GRAPEVINEでやる時も、スタンスはそんなに変わらず?

N:あの時は好き勝手弾いて良いって言われてたんで(笑)。元々ギターの入ってない曲だったんで、「あぁそうですか」って。あまり変わらないですね。

−元々小谷さんの話っていうのは、何がキッカケで?

N:サポートをやってくれている高野さんが彼女のバンドのバンマスをやっていたので、「やってくれないか?」って言うんで「良いですよ」って。面白かったですね。

−今作に収録されている5曲なんですが、今回それぞれ持ち寄って「さぁみんなで聴きましょう」みたいな感じだったんですか?

T:いつもそうですよ。いつも大体出来た人が持ってきて、聴いてみて、「じゃあやってみましょうか」みたいな感じで、あーだこーだやり出すっていう。

−そこで却下されるものとかってあったりするんですか?

T:アレンジがなかなか進まないものとか、上手い方法を思いつかないものとかっていうのが、淘汰される事が多いのかな。

−全員が全員で良い曲って思えるものじゃないと手掛けたくないみたいなところは?

T:良い曲、悪い曲の判断が難しくって。バンドでやるとまた全然変わったりするし、その辺もやってみないと分からないですね。

−今作の場合は、収録されている5曲以外にも候補はあったんですか?

T:6曲録って1曲もれましたね。

−実際に完成した作品を聴いた時、自分たちの作品にどういった感想を持たれました?

T:地味やなぁと思いましたね(笑)。

−どういった部分が?

T:全体的にミドル・テンポですし、歌ってる内容も抽象的ですし。まぁ良く言えば、大人っぽいなと。

−“らしさ”っていうところが出た感じは、聴いてて思ったんですけど?

T:うん、すごく“らしさ”は出たんじゃないですかね。だから噛めば噛むほどな感じにはなったと思いますね。

−「Metamorphose」以外の曲は、もうライヴでやられたりとかは?

T:まだしてないですね。

−曲を作る時にある程度、ライヴでやる事を意識したりします?

T:意識しなくもないんですけど、なるべく意識しないように作りますね。その方がライヴが面白くなる事が多いんで。

−ライヴでやってみて初めて、「あ!こんな風になるのか」とかっていうのが見えるというか?

T:そうですね。まぁ逆に「これはライヴでやりやすそうやな」と思って作ったりする時もあるんですけどね。

−実際に5曲上がってきて、「これやったら楽しそうだな」みたいな事ってあります?

T:いやぁ、「どうやろうかな・・・」って。

K:ライヴでやりにくそうやなって思う曲が多いんですよ(笑)。「どうしようかな」って。

−今現在は悩み中って感じですか?

T:そうですね・・・まぁあんまり考えてないですけど(笑)。やったらやったで色んな事を模索しだすんですけど。

−リハーサルに入ったところから考えるって感じなんですか?

T:そうですね。頭で考えてても、実際手をつけないとほんまに何も始まらないんですよね。

−ライヴアレンジとかは時間を掛けて追求していく方なんですか?

T:人と比べてどうなのか分からないですけどね。

K:ツアーとかやったらツアー中の中で変わっていく事も結構ありますね。そういう方が多いのかな。まぁ事前に「ここはこうしよう」って決めていく事もあるんですけど、ライヴ中に変わっていくのが面白くて、楽しみなところでもありますね。

−GRAPEVINEはツアーを長く回ったりするんで、東京行ってまた地方回って東京に戻ってくるとかあるじゃないですか。そうすると両方行ってたりすると、帰ってきたら(アレンジが)変わってるっていう面白さは、ファンからしてもありますよね。

K:そうですね。

T:実際、ほんま初日と最終日ではえらい違いになってますね。

−良い曲、悪い曲っていうのは自分たちでは分からないと言っていましたが、僕が聴く限り、今作はすごく良い作品だなと思いましました。そういった良い作品を作り続けなければいけないプレッシャーを感じたりする事ってあるんですか?

T:プレッシャー・・・。

−そこはあまり意識しない?

N:そういうのは無いんじゃないですかね。

T:無くは無いとは思うんですけど、あまり意識しないですね。

−それはデビューからずっとですか?

T:良い曲は出来れば書きたいし、常々良い曲、面白い曲を書きたいわけなんですけど、これまでに比べてっていう事よりも、もっと個人的な事が多いですね。「またこういう事やってるから、もうちょっと違う事しよう」とかっていう気持ちの方が強いですね。

−今までのGRAPEVINEに無い要素とかサウンドとかって、どういうところから吸収する事が多いんですか?

T:うーん・・・日々聴く音楽とかですかね。そんな極端に変えようとかっていう事じゃなくて、細かい事やと思いますけどね。

−今、リリースのサイクル的には、気持ちよく曲を作りやすい環境ではあるんですか?

T:どうなんでしょうね。全然気持ち良いかも悪いかもよく分からない(笑)。

−イメージ的にGRAPEVINEが世に出てきた頃は、とにかく新曲が常に出てきてっていうイメージがあったので。

T:いやいや、そうでもないですよ。僕ら尻に火がつかないとやらないんですよ。

−(笑)。今作以降の作品も、もう考えてたりするんですか?

T:一応ね、何となく予定は立ててるんですけど、実際にそれを作っていくのはまだまだこれからですね。

−今回のツアーを回って、来年くらいからですか?

T:そうですね。年末にツアーやって、年明けてからのレコーディングですね。

−今作の収録曲についてもひとつずつ触れていきたいんですけど、まず1曲目の「Metamorphose」ですが、とても西川さんらしさが出た曲だなっていうのを聴いていて感じたんですけど、本人的にはどう思われますか?

N:ライヴでやりやすそうだなという感じですね。よくやってる感じのパターンですね。

−この曲を1曲目にしようっていうのは満場一致だったんですか?

T:満場一致は満場一致なんですけど、まぁ5曲なんで、動かし方で何パターンか考えられて、最終的に一番落ち着いたのはこの形でしたね。

−「Metamorphose」は、作り始めてから形になるまでスムーズに進んだ方なんですか?

N:まぁまぁスムーズな方かもしれないですね。そんなにトリックが無い曲なんで、何となく感じさえ合えば。演奏するのは難しかったですけどね。

−西川さんはどういう流れで曲を作る事が多いんですか?

N:トリックから作る方が多いんですけどね、いつも。でもこの曲は全然トリックが無いですね。普通の曲です(笑)。

−「Metamorphose」の歌詞についても聞きたいんですが、この曲の歌詞はどんなイメージを浮かべながら書いたんですか?

T:なんか二面性みたいなものを歌いたかったんやと思うんですけど、要するに毒を吐きたかったんです。まぁ毒を吐きつつ、いつもの自虐に戻ってくる感じが出てしまったんで(笑)。

−自虐に戻っていくっていうのは、ある種クセみたいなものだったりするんですか?

T:そうですね、「ちょっと言い過ぎた、ゴメン・・・」みたいなところがあるんじゃないですかね(笑)。

−言い切って終わらせないというか?

T:言い切って終わるような曲もあるんですけど、自虐に戻るのは基本的に好きみたいですね。

−詞の生まれ方っていうのは、基本的には自分が感じた事だったり、感情を書く場合が多いんですか?

T:基本的にそうですよ。普段考えてる事しか書けないですね。それをどういう歌詞にするか?みたいな感じですね。だから色んな意味でウソもたくさん含まれてますけど、基本的に最初にポンと落とすのは、やっぱり自分の普段考えてる事ですね。

−言葉の意味っていうところで、使う言葉は重要視します?

T:意味と語呂と両方重視しますね。どちらが欠けてもダメですね。

−リズムにハマりやすい言葉じゃなきゃいけないし、かと言ってそれだけでもっていう?

T:そうですね。

−続いて、2曲目の「Reason」は田中さんが詞も曲も書いてますが、この曲はどういったイメージを膨らませながら作られたんですか?

T:これはロック・バンドがやる黒っぽいというか、ソウルっぽいものを。フィリー・ソウルみたいな雰囲気が出れば良いなと思ったんですけど。

−この曲の詞に関してはどんな想いをぶつけているんですか?

T:1曲目と同じような感じで・・・毒が吐きたいんじゃないですか(笑)。

−根本的に毒を吐きたいっていうのが多いんですか?

T:そうですね。

−それは詞を書き始めた頃からずっとあるスタイル?

T:そうかもしれないですね。

−流れとしては詞が先だったんですか、曲が先だったんですか?

T:ウチは完全に曲が先ですね。

−あぁ全員。曲があって、そこから言葉を見つけてくるというか?

T:そうですね。歌詞がね、僕ら基本的にストックが無いんですよ。曲が無いと書こうっていう気にならないんで。で、まぁ曲を作って、みんなでアレンジとかしていくうちに、ようやく歌詞を書く気になってくるという感じですね。

−中には曲が完全に出来てるのに、詞がいつまで経っても乗らないとかあるんですか?

T:もう多々ありますね。

−今回はそんな事無かったんですか?

T:最近、比較的優秀ですけどね。自分で言うのもなんですけど(笑)。

−いつ頃が一番そういう事が多かったですか?

T:セカンドアルバム(「Lifetime」)、サードアルバム(「Here」)くらいの頃が、一番詞を書くのが辛かったですね。辛かったっちゅーか・・・元々特に書きたい事があるわけでもないので悩みましたね、あの頃は。

−本書く人とか詞を書く人とかって、すごい書きたいなって思って1発目の作品とかに自分が伝えたい事をガーッ!と書いちゃって、さらに2発目ってなった時に「もう伝えたい事ないんだけど」みたいになるケースってよくありますよね?そういうのとは違う感じなんですか?

T:そういう部分も無きにしもあらずなんでしょうけど、どっちかというと最初から特に書きたい事が無かったというか(笑)。いや、書きたい事はあるんやけれども、それをどう表現したいかという欲求には繋がらない。でも何となく分かってきましたけどね、自分がどういう事を書きたいかっていうのは。

−最近、スムーズに書けるようになってきたっていうのは、やっぱりその部分が分かってきたから?

T:(詞を書く)楽しみ方が変わってきたんでしょうね。

−どういうところに楽しみを感じたりするんですか?

T:曲を活かせる気分になってきたというか。詞を書く事によって、生き物に出来るというか、それを今後ライヴで歌っていくという楽しみっていうんですかね。

−それを最近感じられるようになってきた?

T:そうですね。

−「イデアの水槽」(6thアルバム)とかは、結構そういうのが出てるんですか?

T:出てるんじゃないですか。もう随分前からそういう感じにはなってきてますけどね。

−続いて、タイトルトラックでもある「Everyman,everywhere」なんですが、まずこの曲のタイトルを今作のタイトルにもした理由を聞かせてもらえますか?

T:ミニアルバムでなければ、きっとシングルにしてたであろうと思うので、タイトルトラックにしました。

−この曲は亀井さんが手掛けてますけど、曲を作る段階からストリングスを入れようというイメージは、ある程度浮かんでいたんですか?

K:いや、僕が作ってる時点ではなかったですね。もっとギターが全面に出た曲のイメージでした。曲を持っていって、「ストリングスとか合うんじゃないか?」って言われて、「そうかもしれんな」と思って。すごいハマりましたけどね。

−実際にストリングスが入って仕上がったのを聴いた時、それぞれ「おぉー!」っていう感じだったんですか?

T:そうですね。

K:今まで何回か(ストリングス)を入れてもらった事はありますけど、やっぱり何回やっても良いですね。

T:ストリングスはやっぱりね、そういう力あるもんね。

−例えば、ライヴとかで生ストリングスを使う事はあるんですか?

T:それは無いと思いますね。

−それは無いですか(笑)。

T:お金が掛かりすぎるじゃないですか(笑)。

−今回そのストリングスアレンジをしているホッピー神山さんとは、どんな方なんですか?

T:実はファーストフルアルバム(「「退屈の花」」)の時に一度お世話になった事がありまして、その時にもストリングスを入れてもらったりとか、鍵盤弾いたりとかしてもらってたんですけど、そのよしみで今回もお願いした感じです。

−ストリングスを入れたのは、今回何度目くらいなんですか?

T:3〜4度あるんですけど、すごく久しぶりです。特にこの大編成というほどでもないんですけど、結構な人数でやってもらうのは、ほんまに久しぶりですね。ただ、そのストリングス部分を一体ライヴではどう表現するのかっていうのが、これからの課題ですね。

−あと詞に関しては、“やがて忘れてしまうのに”という詞が全体を通して最後に来るっていうのが、結構現実をぶつけられてる感があって、切なくもあったりするんですけど、この歌詞にはどんな気持ちというか、想いを書いたんでしょうか?

T:まぁその字面通りですね。やがては忘れてしまうんだけども、それでも何でやりたいんやろ?みたいな感じが出てれば良いなと思うんですけどね。

−“?”を解くために詞を書いたりすることはあるんですか?

T:基本的に何に関しても答えはあまり無いと思ってるし、特に答えを求めてるわけでもないんですよね。というか、求めてるものなのかもしれないですけど、特に答えがあるとも思ってなくてですね、そういう気分を歌えれば良いなと思ってるんですけどね。

−4曲目の「スイマー」も亀井さんが手掛けたナンバーですが、もうタイトル通りのイメージの曲になってると思うんですけど、作る際に自分の中である程度イメージはあったんですか?

K:イメージね・・・静かなところとドカーンと来るところのメリハリがあれば良いかなくらいで、そんなに深く考えてないですね。

T:個人的にすごく気に入ってる曲なんですけど、何から何まで良く出来てるなと。なんかちょっとセンチメンタルなところをくすぐられる感じですね、僕的には。

−歌っていても気持ち良い?

T:そうですね。これはほんまライヴとかで早く演奏したいですね。

−互いに互いが曲を作り合ってて、今の「スイマー」みたいに「良いなぁ」って曲が上がってきた時に、逆に嫉妬じゃないですけど、同じ曲を書く人間としてそういうのがあったりしますか?

T:そりゃあ当然嫉妬しますけれども、それが楽しみでやってるっちゅーのもあるし。正直、みんなの曲を聴きたい、聴かせてもらうからには自分も曲を書かんとあかんのかなって(笑)。

−それはGRAPEVINEにとっては、やっぱり良い刺激になってるっていうのはあるんですか?

T:そうですね。これ、多分1人でやったら、そんな感じにはなってないと思いますね。

K:影響受けてるのもあるしね、お互いに。

−「Everyman,everywhere」もそうでしたけど、この「スイマー」も映像が浮かんでくる感じがすごくしたんですけど。

K:イメージとか映像とかもそうですけど、そういうのはあまり無いですね。適当にポロンポロンって弾きながら歌って広げていくっていう作業なんで、あまり何も考えてないですね。

−結果、そういう事を言われるっていうのはよくありますか?

K:そうですね。言われますし、不思議がられますね。

−続いて、5曲目の「作家の顛末」なんですが、僕の中で田中さんは文学好きのイメージがすごく強いんですけど、やっぱりたくさんの本を読んできた末に、こういうのを書きたいっていう風になったんですか?

T:そういうわけでもないんですけどね(笑)。どう言えば良いんでしょうかね・・・なんか「ショボッ!」て思う感じを書きたかったんですよね。「なんやコイツ、ショボッ!」ていうような奴を主人公にしたような曲を書きたかったんですよ。

−僕は全ての作家に通じる虚無感みたいなものまで感じたりしてしまったんですけど。

T:そこまで感じてもらえると嬉しいですね。実際、自分自身の焦燥感とかも無いわけではないですからね。そういうものも含ませつつ、客観視すれば「ショボッ!」てなるような感じにしたくて。結果、ちょっと異色の曲が書けたんじゃないかなと思いますね。

−少し話がズレるんですけど、田中さんは文学少年なんですよね?お薦めの作家とか本とかあったら、聞かせてもらいたいんですけど。

T:お薦めの本ですか。それはもう『麻雀放浪記』につきますね(笑)。これは誰が読んでも面白いはずですよ。好きな作家は、坂口安吾とか安部公房とか好きですね。あと、その『麻雀放浪記』を書いた阿佐田哲也、本名が色川武大っていうんですけど、 その人とか好きですね。

−今回の新作「Everyman,everywhere」を引っさげた『Grapevine club circuit 2004』が、

12月から始まるようですが、今の段階から「どんなライヴにしたい」とかあったりしますか?さっき悩んでると仰ってましたが。

T:正直言ってまだ何も考えてないですね。

−『Grapevine club circuit』って、これで何回目なんですか?

T:最近ちょくちょくやってますね。

K:3回目くらいですかね。

T:フルアルバムを引っさげた形の全国ツアーだと、どうしてもアルバムの曲は当然全部やらなければと思いますし。そういうんじゃない小規模ツアー的な『Grapevine club circuit』があると、すごく良い刺激になるんですよね。まぁ別に全国ツアーの時も好き勝手やってるんですけど、より縛りがないというか。なのですごく面白いですね。

−その『Grapevine club circuit 2004』が終わった後、12月末の『COUNTDOWN JAPAN 04/05』があるわけですけど、1年の終わりをライヴで締め括るっていうのは、どういう感じなんですか?

T:『COUNTDOWN JAPAN』は去年から出させてもらってるんですけど、面白かったですけどね。でも出来れば31日は避けたいみたいな感じはありますね。それぞれゆっくりしたいんで(笑)。

K:でもライヴで終わるっちゅーのは、分かりやすくて良いですけどね。仕事納め感があって、「今年も終わりやな」っていう気にはなりますね。

−ライヴはメンバーそれぞれ、最近は気持ち良く出来てる感じなんですか?

T:そうですね、気持ちいいですね。非常に楽しいですね。

K:最近すごく良いんじゃないですかね。前にベーシスト(西原誠)が辞めてから、新しい人に手伝ってもらってるんですけど、やる度にすごい良くなってきてるし、すごい楽しいですね。

N:すごい安定してきてるなと思いますね。当たり外れも少なくなってきてるし、あまり心配せずに気楽にやれるようになってきてますね。元々あまり緊張とかしない方なんですけど、最近はより緊張感がないです(笑)。

−なくても大丈夫なんですか(笑)。

(一同笑)

−メンバーが変わってからの最初の時期っていうのは、ライヴで結構戸惑ったりはしたんですか?

T:結構色んな状況があったんで。その前に一緒にずっとやってきたベーシストが、まず腕を悪くして一旦休んだじゃないですか。結果は脱退って事になっちゃったんですけど、休んでる間とかも色んな形でやってましたからね。だからなかなか定まらない時期みたいなのがあったんですけど、最近はサポートメンバーとは言え、定まってきたというか余裕が生まれるようになってきたんで、よりライヴを楽しめるというか。で、どうもバンドの性質上、余裕があった方が面白い事件が起こって、より音楽的に刺激になるというか、そういう感じになってきましたね。

−今のメンバーは非常に状態が良くなってきてるというか?

T:そうですね。

−では、最後になるんですが、読者の皆さんにメッセージを1人ずつお願いします。

N:デビュー以来のミニアルバムが出来たんですけど、デビュー盤とは全く違うくらいバンドが成長してるんで、それを聞き分けてもらえれば嬉しいです。

K:今年はそんなに忙しくせず、ゆっくりしてるんですけども、その分良いミニアルバムが出来たと思いますし、年末ツアーもあって、来年になったらまたアルバムを作ろうと思ってるんで、楽しみにして欲しいです。

T:またこの5曲が一体ライヴでどんな事になるのかを楽しみにしてもらいたいのと、またそのライヴを経て、新しいアルバムを作るんで、それまでちょっと物足りん程度の5曲で、「物足りんなぁ」と思っといてもらいたいなと思います。

Interviewer:平賀哲雄