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木村カエラ インタビュー

Album

『HOCUS POCUS』
2009.06.24 RELEASE
[初回限定盤(CD+DVD)]
COZP-373/4
3,465円(tax in.)

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[通常盤(CD)]
COCP-35635
2,940円(tax in.)

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01.Dear Jazzmaster '84
02.マスタッシュ(album ver.)
03.Phone
04.乙女echo
05.Butterfly
06.どこ
07.HOCUS POCUS
08.Another World
09.season
10.キミニアイタイ
11.Jeepney
12.BANZAI(album ver.)
13.Super girl

Archive
木村カエラアーティストページ

過去のインタビューはこちら

−−そのチチンプイプイなモードで過去作品を作ったことってあるんですか?

木村カエラ:ないです。これまではすべて妄想に任せてしまえばいくらでも書けたんです。もちろん身を削って書いていたと思うし、それなりに時間が掛かることだから「面倒くさい」っていつも思うぐらい嫌だったけど(笑)でもテーマが決まったりとか、自分の妄想がパン!って曲と一致した時点ですっごい楽しくなるんですよ。言葉を探していくのが。でも今回はそれが一切なかったのでパニックになっちゃった。それこそ「アルバムが出来ないんじゃないか?」って思うぐらいシリアスな心の持ちようで、ずっと詞を書いていて。なのに完成してみたら今までで一番ポップなアルバムになったから、自分の中ではすごくビックリしてるんですよね。

これまでも、元気で幸せなときには暗い詞がたくさん出てきたり、悩んで悩んで頭の中がぐちゃぐちゃしてるとすっごい明るい詞が出てきたりして。だからそのメカニズムみたいなモノは分かってはいたんですけど、今回は全曲に対して頭の中がぐちゃぐちゃな状態で向き合っていたので、もうシリアスにしかなりようがない感覚だったんですよ。でも出来上がったときにポップだったから、逆にちょっとムカつきましたね(笑)。

−−(笑)。でも『どこ』で「心よ今日はどこ向かうのだろう」と歌った先がこの世界で良かったね。

木村カエラ:本当に。暗い作品は作りたくないと思っていたし、やっぱり5周年だったり、前回のアルバムを作り終えたときに決めていた「今こそ外に向けて詞を書かなきゃ」という自分の目標から抜け出せなかったでしょうね。こういうアルバムが完成して良かったなって思いました。

−−では、そのアルバム『HOCUS POCUS』の収録曲について触れていきたいんですが、まず1曲目の『Dear Jazzmaster '84』。これまでも様々な音楽を飲み込んできた木村カエラですが、この曲ではいよいよケルトミュージックにまで手を出しました。

木村カエラ:元々ようちゃん(4106(SCAFULL KING))に曲を書いてほしいなって思っていて。バンドメンバーなので。それで作ってもらったんですけど、私はバグパイプの音を入れてる曲がずっと欲しかったんですよ。イギリス大使館のお祭りとかで、バグパイプのリアルな音を聴きながら小さい頃から育ってきたので。それで「いつか出来ないかな?」と思っていたら、そんな話を一切していないのにようちゃんがこの曲を作ってきたんです。で、この曲を1曲目にしたのは、バンドメンバーの曲が1曲目であることが凄く私の中で大切な意味を持っていたということと、バグパイプの音が本来戦いに行くときに吹く楽器なので、そういった意味でもピッタリだなと思って。

−−続いて、驚愕の4曲目。MO'SOME TONEBENDERの藤田勇(dr)さん作曲による『乙女echo』が、今回のアルバムの中で最もキュートという。驚きを隠せない感じなんですが、これ良いですね。

木村カエラ:私も好きです。これは私が乙女ということじゃなくて、乙女を客観視してるんです。『乙女echo』=乙女の反響という意味なので、イメージ的には女子たちがカフェで盛り上がってる感じ。スタイルの良い女の子が歩いてるときに「わぁ!あの娘、超スタイル良いじゃん」って1人の子が言ったら「本当だ!超可愛くない?」って同じような言葉を繰り返し言うのが“echo”なんです。女性ってひとりひとりはすごく強い生き物だと思うし、前に進んでいくパワーって半端ないと思うんですよね。後ろも振り向かないし。でも「お喋りが大好きで、ひとりじゃ何もできない」みたいなイメージを抱いている男性は少なくないと思うんです。ただそれは見せかけの姿なんで(笑)。だからキュートな曲調ではあるんですけど、最終的には何でも蹴っ飛ばしながらどんどん先に進んでいく女の子の強さを、私が客観視しながら歌ってる曲なんです。

−−その曲に続く『Butterfly』。映画のワンシーンみたいなチャペルソングになってますが。

木村カエラ:私の親友が結婚することになって「結婚式で歌をうたってほしい」って言われたときに、「じゃあ、サプライズで歌おう」と思って作った曲なんです。その後に「ゼクシィ」のCMで使って頂くことになったので、すごく嬉しかったんですけど。結婚する大切な親友に宛てた手紙のような曲なので、その曲を大切な人たちと幸せを分かち合う場で使ってもらえるのは「有り難いことだなぁ」って心から思ったりしました。

−−リスナー側からすると物凄く新鮮でした。「木村カエラが!?」っていう。

木村カエラ:ですよね! 私も思いました。この曲はいろんな方法で何回も書き直したんですよ。ただいつも通りに歌詞を書いてしまったら、みんなが知らない歌を結婚式で耳を澄ませて聴いてるときに、伝わりづらくなると思って。だから手紙の感覚で書こうと思ったんです。それで結婚式で歌ったら友達は大号泣だし、みんな「良い曲ですね」って喜んでくれて。ただ、今回アルバムに入れてみたときに「え!? 私、こんな詞が書けるんだ」って思いました(笑)。だから私も新鮮でしたね。

−−そして『どこ』です。この曲をこの位置へ置いたのは?

木村カエラ:『どこ』が「カエラちゃんは心に振り回されている人で、こういう風に生きている」って考えながらしのっぴ(渡邊忍(ASPARAGUS))が書いてくれた歌でもあったので、『Butterfly』と隣同士にすることに自分の中ですごく意味があったんですよね。

−−で、さっき語って頂いた『HOCUS POCUS』からの流れで聴く『Another World』。これは『どこ』で一度辿り着いたかのように見えた、木村カエラのデビュー時からの「人の心はどこへ向かっていくのか?」というテーマに、更にもう一歩踏み込んで描いたような曲だなと思ったんですが、自身ではどんな印象や感想を?

木村カエラ:自分が「こんな世界が良いな」って思う世界を描いたんです。言葉的には重いモノが最後に来ていたりするんですけど、でもね、自分の中ではすごくポジティブな曲。例えば「世界がもっとより良くなればいい」と思うし、大切な人たちが苦しんでいるのであれば、その人を笑顔にすることが私にとって一番の幸せだと思うし、そういうポジティブな想いを発してる曲なんです。ただ、いろんなことを書いていて。人の生き死にもそうですけど、ニュースで見る悲しい事件、みんなが同じような服を着てる世界。今って人に何かをしてあげる世界というよりは、人を求めているのに会話をしない世界っていうイメージがあって。他人と同じ服を着たり、他人と同じ音楽を聴いたりして「私はあなたと一緒よ」って同じモノを共有することで会話をしてる。そういったモノすべての原因になっているコミュニケーションの不足とかにも目を向けて、まとめて書いてしまったんです。

私的に思う『Another World』を砂時計に喩えると、その砂の一粒一粒が人の夢とか希望で出来ているから、人が夢とか希望を持たなかったら時間は止まってしまうんですよ。でもそこに夢や希望、信じる力が増えていけばいくほど、時間はいつまでも続いていって、私達が日々過ごせる時間もできるっていう。そんな世界になれたらもっとよくなるのになって。そういう「より良くしたい」って思ってる気持ちがここに酷いぐらい出てます(笑)。

Interviewer:平賀哲雄
Page Design:佐藤恵