音楽情報サイト:HOT EXPRESSthere is music by side ホットエキスプレス・ミュージックマガジン  
 
   
 
音楽情報サイト:HOT EXPRESSニュースインタビューライブレポート
レビューチャートメールマガジンスペシャルページ
SEARCH
アーティスト検索
 
 

倉橋ヨエコ インタビュー

次のページへ
  アルバム
『解体ピアノ』

2008.06.04 RELEASE
VICB-60028
\2,500(tax in.)



01.鳴らないピアノ
02.依存症〜レッツゴー!ハイヒール〜
03.春待ちガール
04.電話
05.裏目の女
06.友達のうた
07.恋予報
08.バルンの不思議な旅
09.あなた
10.雨の羽生橋
11.マネキン人間(Extra Piano Mix)
12.輪舞曲
 
   
   
   
   
 
Interviewer:平賀哲雄
Page Design:杉岡祐樹
   
 
 
   
   まさかのアーティスト廃業宣言。理由は最高の作品を生むことが出来たから。なんて潔いのだろう。仲違いで解散するバンドや金銭的な理由で消滅を余儀なくされるアーティストはたくさん知っているけど、この例を僕は他に知らない。だから衝撃だったし、理解に苦しんだ。しかし彼女はこの決断を死すら怖れない表現者としての信念のもとに下していた。
 
−−え〜っと、みんなそうだと思うんですけど、めちゃくちゃ驚きました。みんな「なんで?」と思ってると思うんで、まずは倉橋さんの口から今回の決断について説明してもらってもいいですか?

倉橋ヨエコ:『解体ピアノ』という今回のアルバムで、倉橋ヨエコの言いたいこと、表現のすべてを出し尽くし、もうこれ以上のモノは出来ないであろうという確信をしたんですよね。それで、31年間生きてきた中で経験したことをすべて出し尽くした今、これ以上新しい作品を作ることは出来ないと。自分の経験していないことは、私の信念の中では書けないし、同じことを書いても二番煎じになってしまう。だったら一番煎じの状態で私は「倉橋ヨエコを廃業します」と言いたい。一番倉橋ヨエコの良い形のまま終わらせたかったんです。

−−「休業」という言葉を選択しようとは少しも思わなかったんですか?

倉橋ヨエコ:私は“倉橋ヨエコ”を職業だと思ってるんです。それ故に「5年間待ってください」「10年間待ってください」っていうのは、やっぱり現実的に難しいことで。で、私は作詞作曲は自分でしていますけど、その後のアレンジも、レコーディングも、CDプレスも、デザインも、流通も、全部1人で出来るんだったら「10年後に、20年後に」って思えるんですけど、やはりいろんなスペシャリストの力をお借りしてCDを作っているわけじゃないですか。私は総合商社の作詞作曲部門を担ってるに過ぎない。という意味で「5年間待ってください」とは言えませんし、自分勝手に「次のレベルにいつ達するか分かりません」って言うのは、職業として成立しないと思うんですよね。だったら「自分1人で勝手に表現しててください」ってことになってしまうので。ということで、素晴らしい、集大成的な作品を作ったところで終わっていくのが一番良い選択なんじゃないかと。

まぁずっと悩んではいたんですけど、勝手な話、すべて自分の本当に思ったこと、経験したことを中心に書いてきたわけですから、嘘とかは書きたくないし。最初に『礼』というアルバムをインディーズ時代に出したときから、自己中に自分の気持ちをただひたすら訴えて、他人のことを一瞬も考えないという非常に悪質な歌をうたってきたわけですから(笑)やっぱり最後までその姿で有りたいと思ったんですよね。だから最後まで自分の直感が赴くまま、他人のことを一切考えない、倉橋ヨエコっていう表現者でいられる。それが最高だと思ったんです。だから、言わば、勝手に初めて勝手に辞めるっていう、勝手な表現者として終えていこうっていう。

−−そこをすごく守りたかったと。

倉橋ヨエコ:そうですね。そういうところを聴いてもらっていたと思うんですよね、私のアルバムを聴いていてくれた方は。もちろんいろんな聴き方で聴いてもらってると思うんですけれども、自分の音楽、倉橋ヨエコの曲を何でみんな聴いてくれるか?って言ったら、大半の人は歌詞だと思うんですよね。で、実際に私がライブをしたときに「私の代わりに歌って代弁してくれているみたいです」って仰ってくれる方が本当にたくさんいて。それは、私は私で正直な自分を書いているからだと思うんですよ。誰かのことを書いていたのであれば、そういうことにならないと思うし、聴いてくれている人も本気で正直に聴いてるなら、私も正直でありたい。だからこそ「このタイミングで辞めるのが一番良い姿だ」って正直に思ったなら、その気持ちのまま終わりたかったんですよね。

−−ただ、それまで大事に育ててきたモノや培ってきた仕事や物事を「辞める」って決断するときって、当然その先の未来への不安が大きくあったりすると思うんですけど、そこはどうだったんですか?

倉橋ヨエコ:そこはありまくりですね。ある意味、すべてを捨てて。自分に何が残っているか、それは分からないし。多分、辞めた後は「職業は?」「いや、無職です」っていう感じになると思うんです。何もない自分になる。唯一、人に喜んでもらえたり評価してもらえたのが、この“倉橋ヨエコ”っていう表現者としての自分だったので、それを取ってしまったら自分がどうなるか分からないですね。今は最後のツアーが待っているっていうことで、それのことしか考えてないんですけど、その先のことを考えると非常に恐ろしい。ただ、ツアーの最終日に歌い終わった後、もしぽっくり逝っても全く後悔しなくて、むしろぽっくり逝けるなら逝ってもいいかなって思ってて。で、燃え尽きた後、お客さんに骨とか拾ってもらえたら成仏できるかなって思っているんですけど(笑)。

なので、ツアーの後のことを考えると怖いんですけど、ただ、正直さを貫くためであれば、それは仕方ないというか、「そのまま正直で居続けたらいずれ死ぬよ」って言われても「じゃあ、私は死んだ方がマシです」って言えるんですよ。だから正直さを貫けないことに比べたら、全然怖くはない。ツアーが終わっても生きているんでしょうけど、そこは揺るがないと思います。嘘を付くことに比べたら何も怖くないですから。

−−じゃあ「アーティスト活動に終止符」って発表しちゃった後に、「あ〜、発表されちゃった」って、ちょっと後悔したりすることもなく?

倉橋ヨエコ:そうですね。緊張はしましたけど。「応援してくれた人がその記事を読んだらどんなにショックだろう?」って想像したら、心が引き裂かれるような気持ちにもなりました。ただ、すごく胸を張って言えることだったので。私自身は幸せというか、表現者として幸せな最後だと思うんですよね。自分がやりたいことをやって、更に納得した時期に幕を閉じれるっていうのは。だからアスリートとかに例えれば、金メダルを獲って辞めるのか、体力が落ちて成績が落ちても続けるのかっていうところで、自分は勝手に表彰台に1位で立って辞めれる感覚なんですよね。なので幸せ感というのは、甚だしくありまして。ただ、それとは裏腹に応援してくれた方に対しては、逆の立場を考えたら「あ〜もう!どうしよう!?でもこれが正直な自分の想いだし!」ってなる。なので今は切ない気持ち。でも幸せっていう。

−−で、「アーティスト活動に終止符」ということで、倉橋さんのここ数年の所業をね、振り返ってみたんですけど、よく振り返れば振り返るほど、その終止符に向けての伏線はあったなと思って。てか、ここ数年はアルバムが出来る度に「これで終わってもいい」感はあったんじゃないかなって。実際のところはどうでした?

倉橋ヨエコ:そうですね。毎回、勝手ながらに自分の使命に気付いてからは、やっぱり「これ以上のアルバムは出来ないかもしれない」っていうのを繰り返して今まで来てて。で、それをいつも思いながらやっていたんですけれども、アルバムを出す時期になると「前回より良いモノができちゃったじゃん」みたいな感じになっていたんです。だから終わりに向けて突き進んできたのかなぁって、今になって振り返れば思いますね。「いずれ言葉が尽きる日が来るだろうし」っていうのも心のどこかでは思っていたし。で、それを出し惜しみしないで今までずっと出してきていて。そういう意味では、自分では気付かぬ内にゴールに向けて走っていた感はあります。

PAGE1 嘘を付くことに比べたら何も怖くない
PAGE2 生まれて初めて人のために→
PAGE3 ビルの上から飛び降りずに済んだ→  
倉橋ヨエコ OFFICIAL SITE  
 
http://www.kurahashiyoeko.com/   PAGE2へ  

倉橋ヨエコ ページトップへ戻る