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−こうしてお会いするのは、「エーテル」(岡北有由のセカンドアルバム)のリリース前のインタビュー以来なんで、約二年ぶりなんですが、この二年間は、岡北さんにとってどんな二年だったんですか?

岡北有由(以下O):カオスな状態の中で「自分はどうしようかなぁ・・・」みたいなのをすごく考えていた時期でした。

−二年前のインタビューで、「バンドをやりたい」と言っていましたが、その翌年から“PABLONIK”での活動が具体的に決まりましたよね。“PABLONIK”結成の話はいつ頃からあったんですか?

O:「エーテル」を出して少し経ってからですね。本当はまだ“岡北有由”で出していく予定はあって、新曲とかをレコード会社に聴かせていたんですけど、全然気に入ってもらえなくて。レコード会社の好みに変えさせようっていう感じがすごくあったんですよ。それで「(このままの形でやっていくのは)無理だな」と思って。それで、逆にインディーズでやった方が良いと思って、今までバックバンドをやってもらっていたメンバーと“PABLONIK”というバンドとして、動き始めた感じですね。

−PABLONIKの面々と一緒に組もうと思った理由は?

O:元々腐れ縁みたいな感じなんですけど、今までバックバンドとしてやってきてもらった中で、バックではなく、みんなが“PABLONIK”というバンドのメンバーとして横一線になったときに、私も含めて各メンバーの意識がどれだけ変わるのかっていうところに興味があったんですよ。

−実際に変化はありましたか?

O:正直なところ、私的にはそんなに違いは感じなかったですね。やっぱり今までの私とバックバンドの関係性を変えることができなくて。ただ、“PABLONIK”として完成させたアルバムは攻撃的なアルバムになりましたね。鬱憤っていうか、「えーそんなんはダメだろう」みたいなところがすごく社会に対してとか、特にその時はレコード会社に対して色々あったんで。レコード会社寄りの考えとかを気にしない曲をバーンッ!と、打ち出して。そういう違いはあったかもしれないですけど、「今までと違う方向性を意識して」みたいな感じはありませんでしたね。

−“PABLONIK”という名前の由来は?

O:パブロ・ピカソとレディオヘッドのアルバム『パブロ・ハニー』から来てます。ピカソもレディオヘッドもそうだけど、どんどん自分のスタイルを壊しては変えて、新しいものを生み出していく、想像のエネルギーをすごい持ってる人たちなので、メンバー一同、そんなところを尊敬していて。

−“PABLONIK”としての活動は今後もあるの?

O:自分たちなりに良くやったなと思ったし、「ずっと“PABLONIK”でやっていけたらな」っていう気持ちもすごくあったけど、どうしても他のメンバーが「私についていく!」みたいなバックバンドならではの意識のままだったので、なんか私が1人でどんどん先に行っちゃう感があって、温度差を感じたっていうか。これは辛いなと思って、それで色々合宿とかした挙句、再び1人でやっていく方向になった感じですね。

−元々バンドをやりたいと思ったのは、どういった衝動に駆られたからなんですか?

O:メジャーデビューしてからは、バンドっていうものをちゃんとやった事がなくて、無い物ねだり的なところがあったのかもしれないですけど、バンドだとインタビューを受けるのも4人でとか、例えばレコード会社とかと戦う時も4人で戦えるっていうのがあって、結構そういう仲間的なものが欲しかったんですよね。音楽的じゃなく、精神的なところですごくそういう風に思っていたんだけど、精神的に4人がちゃんと繋がっている状態を作るのは難しいし、無理に繋げようとするのもおかしいし。いきなり4人一列にしようっていうのは、お互いに無理があったとすごく感じてますね。

−あと、昨年の12月に、それまで所属していたレコード会社と事務所を離れる形になったわけですが、これに対して、正直なところ不安はあったりしました?

O:ないですね、もう全く(笑)。その時にやりたい事が出来なくてもどこかで妥協すれば、そのうちやりたい事が出来るようになる、そういった考えを口にする人がよくいるんけど、性格的に無理なんですよね。1回妥協してしまうと終わりじゃないかなって私は思うんですよ。だから嬉しくて仕方なかった。すごく開放された気分っていうか、不安とかよりも自由を味わって、2ヶ月間くらいはもう音楽もせずに毎日毎日フラフラしてたんですけど(笑)。

 メジャーレーベル時代にリリースしたセカンドアルバム「エーテル」。あのアルバムの発売前に敢行した4度目のインタビューから実に約2年ぶりに、デビュー以来から追いかけ続けている岡北有由と再会。今までにないぐらい彼女は活き活きとした表情で、待望のサードアルバム「耳を澄ませ」について彼女は語ってくれた。それだけではなく、メジャーレーベル時代に彼女が抱えていた悩み、彼女がボーカルを務めていたバンド“PABLONIK”での活動の裏側、そして、なんと!イギリスへ渡るという、驚きの発言まで飛び出す、スペシャルなインタビューとなっていますので、岡北有由ファンの皆さん、たっぷりとご堪能下さいませ♪

対談

岡北有由
×
Tetsuo Hiraga

3rd ALBUM
耳を澄ませ

01.足跡
02.Sleeping pills
03.PUt it OUt
04.耳を澄ませ
05.Blow
06.Where are you?
07.エン
08.Almost fake
09.When the sun sets
10.Pour the Rain

OASR-0401
¥2,500(tax in)

2004.9.22 in STORES

<岡北有由 オフィシャルサイト>
http://www.okakitaayu.jp/

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または過去の作品を知りたい方は
こちらまで

岡北有由

−ということは、音楽自体が楽しいものから苦に変わりつつある時期だったんですか?それまで所属していたレコード会社と事務所を離れる直前は。

O:すごく自分がやりたくて作りたくて完成させた曲に対して、色々言われて、それがどんどん変わっていくわけですよ。自分がやりたかった曲が周りにどんどん変えられていく。私が好きじゃない方に変わっていく。そういうのが辛くて、逆に足を引っ張られているような気になってたんですよね。

−それで2ヶ月くらい休んで、「さぁ、また動き出そう!」って思えたキッカケは何だったんですか?

O:正直、「音楽はやりたくならなかったら、やらなくてもいいや」って思ってたんだけど、さすがに2ヶ月間経つと、やりたい衝動が。それで再び始めましたね。

−そこから新しいレーベルに出会えた経緯を教えてもらえますか?

O:1人で弾き語りのアルバムを作ろうと思った時に、Oasis Recordsさんのスタジオをちょっと貸してもらおうと思って、電話して話した時に「ウチで作ろうよ!」みたいな話をいただいて。それで、会って話した時に、自分と同じような考え方を持っていることを知って、「作りたいものを作ればいい」みたいなところがあって、「もうやる!」って感じでしたね。

−そういう意味では、運が良かったというか、良いパートナーと出会えたみたいな?

O:そうですね!だから面白いのは、常に「どうしようかな?」って考えながら生活してたら、ポンポンポンと事が起きて、いつの間にか道が出来ていたみたいな感じでしたね、その頃はとても。

−1月31日に(RUIDO K2で)『3才ライブ』をやったじゃないですか。あの時点では、岡北さんの今の環境は整っていたんですか?

O:『3才ライブ』をやったのは、Oasis Recordsさんにお話をもらう前でしたね。とりあえず『3才ライブ』をやる事に集中していた感じですね。

−誕生日に行うライブは、この後も『4才ライブ』『5才ライブ』ってずっと続けて行きたいっていう気持ちは自分の中で強いんですか?

O:そうですね、それはすごく強いですね。

−やっぱり他のライブと気持ちの入り方が違います?

O:まずワンマンライブっていうので大きいし、やっぱりその1才、2才、3才・・・という数字が、自分が音楽でデビューしてからの数字と重なってるから、感慨深いものはありますね。でも今回はね、『4才ライブ』っていうのは無いんですよ。

−やらないんですか?

O:12月くらいからイギリスに行こうと思ってるんですよ、音楽を頑張りに。ちょっと刺激も求めつつ。それで、その『4才ライブ』は出来なくなっちゃうんだけど、11月5日に品川教会でライブをやるんですよ。『4才ライブ』の代わりっていうわけじゃないんですけど、『4才ライブ』を出来ない分、品川教会でのライブを大切にしたいとはすごく思ってますね。

−イギリスにはどれぐらいの期間、滞在しようと思っているんですか?

O:1年は絶対にいたいなと思ってて。で、「何で?」って聞かれるけども、直感的に「行きたい!」っていうのがすごくあって。逃げるとかじゃなくて、どうしても行って、自分をもっと高めたいっていうのがすごくあるんですね。

−そうなってくると、1年くらいはリリースはストップする予定なんですか?

O:まだ分からないですけど、もし次にアルバムを作るとしたら、結構時間を掛けて作りたいなと思ってるんで、すぐ出る感じじゃないですね。ただ、イギリスでもライブはやるつもりだし、何か活動出来ればなと思ってるし、自分がビビッ!と来るミュージシャンと会ったりしたいし、色々あるんですけど。でもそこは正直な話、行けば分かるかなっていうくらいにしか思ってなくて、「こうだ!」みたいに決め付けてはいなくて。ただ今回のアルバムとギターを持って行くのみ!って感じですね。大変な事もたくさんあると思うけど、結構アドベンチャー好きなんで(笑)。性格的にも。

−それでは、そのイギリスにも持っていく、約2年ぶりのニューアルバム「耳を澄ませ」について色々聞かせて下さい。今回のアルバムの制作はいつ頃からスタートしてたんですか?

O:5月頃からですね。古い曲もあれば最近の曲もあって。レコーディング中に書いた曲もあったりっていう感じですね。

−一番古い曲になると、どの辺になるんですか?

O:「エン」が一番古いと思います。ライブでやった事もある曲ですね。

−今回のアルバムを全曲弾き語りのスタンスで作ろうと思ったキッカケは?

O:例えば、10曲入りで3曲だけ弾き語りじゃない曲が入ってるのって、ちょっと微妙じゃないですか(笑)。だったら全部弾き語りでやってしまえ!くらいの。その結果、どんな内容のアルバムになるのかを楽しみながら作った感じですね。

−弾き語りだけでこれだけ世界観を広げているのには、感動しましたよ。

O:それは嬉しいですね。1人でどこまでやれるかに今回はこだわったんですよね。どれくらい出来るのか?っていうのをすごい思って。

−このアルバムに入ってる音っていうのは、基本的に岡北さんが全部奏でてるもの?

O:そうですね。私が奏でてない音は入ってないですね。

−今回新しい環境でやることに対して、気負う部分はあまりなかったんですか?

O:初めは少しあったと思うんですけど、本当に楽しんでたっていうのが本音で。今回ほど快適にレコーディングが出来た事っていうのは今までなかったですね。今まではレコーディング中に本当に嫌になったりとか、疲れて疲れて仕方ないみたいな事があったんだけど、今回はどんどん楽しくなっていくし、やりやすくなっていくし、それでレコーディング中に思いついた曲とかを「じゃあこれも録ってみよう」みたいな感じで録ったりとか、すごく柔軟性もあったし。そういう意味では、すごく自然に楽しみながら作ったアルバムなんですよね。

−今までにない環境の中で作れたんですね?

O:そうですね。だから今までの中で一番自然っていうか、レコーディングスタッフとの相乗効果もすごくあったと思う。

−今作はズバリ、自分が好きな音楽を作れた度数っていうのは、パーセンテージでどのくらい高かったりするんですか?

O:「この曲は好きだけど、このアルバムには入れたくないな」とか、たまにそういうのってあるんですよ。でも今回はね、そういう事もないし、本当にやりたいようにやったんで、後々聴いて「ここはこうしておけば良かったな」とかはもちろんありますけど、そういうのを除けば、本当に100%くらい。ただ思うのは、自分の中でこれが全部ではないんですよ。可能性がすごく感じ取られるアルバムだなと自分では思ってて。今まで、私のオリジナリティっていうのが、どこにあるのか分かってるようで分かってない部分があって。で、やっとこのアルバムを作った事によって、ようやく自分に自信が持てたような気はしますね。

−自分の事が自分で良く見えた?

O:そうですね。「こういうのやってます!」って自信を持って言えるように。

−分かりました。それでは、今作の収録曲について1曲ずつ触れていきたいんですが、まず1曲目の「足跡」。この曲はどんなイメージを膨らませながら作っていった曲なんですか?

O:この曲はね、元々エレキで作った曲だったんですよ。それでイメージ的には、トントントンと足跡が残されていったような感じで。面白かったのは、曲を書いた瞬間から自然と歌詞が口から出てきて。イメージがバーッと広がったんで、それをちゃんとアレンジするのには時間が掛からなくて、そういう意味ではアっという間に出来た曲ではあるんですね。あと、この曲は何気に乙女な1曲なんですよ、実は。恋が始まる瞬間みたいなのを私なりに歌ってます。

−続いて、2曲目の「sleeping pills」。

O:この曲は、結構眠れない夜とかあるんですけど、そういう時に出来たんですよね。だから結構自分を寝かしつけるために作った曲みたいなところはあって。誰も他に寝かしつけてくれる物が無いから、自分で歌いながら自分を眠らせるみたいな。そういう意味で「sleeping pills」っていうタイトルなんですよね。だからハッキリ言って、独り言バンバン炸裂!みたいな歌詞だし(笑)。

−そういう雰囲気は出てますよね。

O:そうですね。だからとても独り善がりな曲かもしれないけど、でもこの曲を聴いて「私もこんなところがある」とか、そういう風に思ってくれれば良いかなって。で、その人が眠れない時に聴いてくれれば良いかなって想いはあるんですけどね。

−今作はこの曲もそうですが、全体的に英語詞が多くなったのは、自然とそうなったんですか?

O:これはやっぱり「イギリスに行きたい」っていう想いからですね。

−続いて、「PUt it OUt」。この曲はどんなイメージを膨らませて作った曲なんですか?

O:この曲はね、間奏がすごく好きなんです、間奏のコード進行が。で、その間奏のコード進行のまま、途中からそのままずっと進む感じで、終わり方がちょっと今までとは違う、変な方向にいって終わる感じがすごく気に入ってる曲ですね、私の中では。詞に関しては、詞の言葉が持つ音がどう気持ち良いかっていうのを意識して、サビの“Put it out〜♪”っていうところがすごく、気持ち的にも言葉的にもすごく合ってたんで、そこから詞が出てきて。音を重視していたらこういう詞になった感じですね。なので、今までにはない感じの詞のつけ方をしてるかもしれないですね、この曲は。

−続いてタイトルトラック「耳を澄ませ」ですが、この曲をタイトルトラックにした理由はありますか?

O:この曲がタイトルトラックっていうよりも、実は別に何の曲でも良くて。ただ一番今回のアルバムには“耳を澄ませ”っていう言葉が合うなと思って、この曲から取ったんですよ。しっかりと自分の耳を澄まして、色んなものを感じたりすれば、たくさんの“美”の発見があると思ってるんですけど、今回のアルバムの核になってる事っていうのが、そういう自分の中にある想いなんですよね。それで「耳を澄ませ」に。

−「耳を澄ませ」の曲自体はどういうイメージから生まれてきたんですか?

O:これは夜の駒沢公園を自転車で走っていたら出てきた曲ですね(笑)。ふと初めの1行のフレーズが出てきて、「あ、なんかイイかも」と思って出来ていった感じですね。

−続いて、5曲目の「Blow」ですが、この曲もギターの音だけで深みのある世界観を創ってますよね。この曲はやっぱりレコーディングでも力の入った曲だったりします?

O:この時、歯が痛かったのをすごい覚えてるんですよ(笑)。レコーディングの時に。それが意外と良い方向に反映されて(笑)。アレンジはもう決まっていたので、それをとりあえずもうやってしまえ!みたいな感じで。その勢いが結果として良いものを生み出しましたね。

−この曲もイメージが一気に広がっていって出来た曲だったりするんですか?

O:そうですね。今回基本的にアレンジで悩んだ曲はひとつもないです。もう迷いなく。

−そんな事って今までありました?アレンジに全曲迷わずバーッ!と広がって出来たっていうのは?

O:ないないない!やっぱり無いですよ。いつも迷いまくるんだけど、今回はそういう意味では潔かった。潔いですよ、やっぱりどう考えても。

−6曲目の「Where are you?」ですが、結構詞の内容的には強いナンバーですよね?

O:よく「怒ってる歌詞だね」って言われる事があるんですけど、多分怒ってるっていうよりも、自分的には多分寂しかったと思うんですよ。私は、やっぱり楽な方に行ってしまう者に対して、怒ってるっていうよりもちょっと寂しいっていう気持ちがあって、「ヒーローはどこに行ってしまったの?」っていうフレーズがあるんですけど、自分の中にヒーローがいなくなっちゃうっていう事は、もう夢も何も無いって事じゃないですか。現実を見るのは確かに大切だけど、やっぱりそういう無くしちゃいけない部分っていうのは、常に無くしちゃいけないとも思ってたし。だけどそれに対して抗議するっていうよりは、ちょっと寂しくて曲が出来ちゃったみたいなところはあると思うんですよね。

−続いて、先ほども少し触れた「エン」ですけども、この曲は結構初期のシングル曲とかに近いですよね。この曲はいつ頃作った曲なんですか?

O:2年以上前。「エーテル」を作った前にあったから。

−今回この曲を入れようと思ったのは?

O:この曲はやっぱり弾き語りでよくやってるわけですよ。それで、弾き語り代表曲みたいな感じがあって外せないなって。確かに昔の私が好きだった感じのところも入ってるし良いかなと思って。すごくロック感があるから、そういう曲もやっぱり入れたいなと思ってて、それで入れましたね。

−この“エン”っていう言葉はどういう意味なんですか?“輪”?

O:そうですね、“丸”ですね。延々と抜け出せない感じ。これはね、確実にキャンペーンとかで、神経がおかしくなって、疲れちゃってた時に出来た曲なんで(笑)。ちょっと疲れてる感はあるみたいなんですけど、そこが個人的には好きなんですよね。

−続いて、「Almost fake」ですが、この曲は聴いた感じ、意外とラブソングなのかな?と思ったんですけど、自分自身的にはどういうイメージなんですか?

O:まずタイトルなんですけど、何でこういうタイトルかって言うと、高校生の時にカナダのバンフーに行った時にホテルから見た景色がすっごい綺麗で、あまりにも美しすぎてちょっと偽物みたいだと思って。その時に本当にあまりにも美しいものって、ほら「お人形さんみたいに綺麗」とか言う言葉もあるみたいに、多分なんかちょっと偽物チックなところがあるのかな?と思って。で、そういう事を思ってた時にこの曲のタイトルが出来て。ここにいるようで、いないような、そういう気持ちの時って、とても不思議だけど美しい、なんか揺れてるみたいな、そういう気持ちを表現したかったと思うんですよね。でも何にでも、恋愛にでも当てはまる詞。“ほとんど うそのよう”な美しさって色々あると思うんですよね。

−続いて、9曲目の「When the sun sets」。この曲は、静けさと激しさっていう、元々岡北さんが持ってる両極にあるものを取り入れる上手さが出ていますが、どんなイメージを大事にしてこの曲を作り上げていったんですか?

O:これはすごく映像が出てくる曲なんじゃないかな。その手を取っていくところとか、森を駆け抜けるところとか。で、この曲を作った頃って虐待とかのニュースがよくやってて、戦争のニュースとかも。で、そういう暗いニュースを見てた時に、人間って何気に一線を越えちゃったら、どういう行動に出るかっていうのは、その人にも分からないんだなって。自分も今、ちゃんと食べれてこういう状況にいるから、その手のニュースを見て「何やってんだ!?」みたいに思うけど、周りがみんなそういう状況になった時に、自分はどうするんだどう?って考えた時に、すごく怖くなっちゃって。それでそういうのを思った事とかが影響されて、この詞が出来たと思うんですけど。別に反戦歌とかではないんですよ、私の中では。ただその一線を越えた時に、周りが怒っておかしくなっていった時に、森を駆け抜ける!みたいな感じの、そういう映画のワンシーンみたいなのを想像して、それが曲になった感じですね。

−続いて、ラストの「Pour the Rain」ですが、この曲にはどんな想いを?

O:私は今まで生きてきた中で、何回か死んで生き返ってるんですね。もう何回か絶対死んだなって思って。で、また生き返って。その生き返る時の状況を歌っている曲ですね。

−岡北さんの言う「何度か死んだ」っていう「死んだ」は、要は精神的な死のこと?

O:そうですね。生きる屍みたいな。もう生きてない・・みたいな感じで、何事を見ても「ふーん」みたいな、「はぁ・・・」みたいな。心が完全に凍っちゃってる感じ。それが溶ける感じっていうか、そういう感じかな。その溶けていく感じが、映画のエンドロールのイメージと重なって、やっぱり最後はこの曲が良いと思って。

−今作「耳を澄ませ」について、色々とお話を聞かせてもらいましたが、アルバムが完成した今の心境は?

O:今回1人で色々やる事で、すごく学んだ事が大きい気がしてますね。まぁ一生1人でやるってわけじゃないですけど、色々見えた気がしますね。早くも次のアルバムがかなり楽しみですよ。

−それでは、最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。

O:結構ビックリする人もいるかもしれないですね、「うわぁ!」って。ただ、自分がこのタイミングでこのアルバムが出せる事は、すごく嬉しく思ってるので、是非聴いてもらいたいなぁっていうのもあるし。で、聴いて気に入らなくても品川教会には来て欲しいみたいな(笑)。それで気に入るかもしれないくらいの勢いでね。気に入らなくても品川教会には足を運びましょう(笑)。

Interviewer:平賀哲雄