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−今年はシングル・コレクションの全国ツアーがあって、「秘密」、「クライマックス」、「光の川」の3枚のシングル、今回のニューアルバム「TIME」と、常に何かあった1年だったと思いますが、自分の中ではタイトに感じましたか?

スガ シカオ(以下S):そうですね。今年は最初から、曲を作るモードの調子がかなり良かったので、「このスケジュールこなせるかな」っていう自信はちょっとあったんですけど、今までだとスケジュールの中からシングル1枚出なかったり、アルバム出来なかったりで、半年くらい前に「あぁーもう無理!」とか言って大体1コくらい飛んでるんですよね(笑)。でも今年は全部こなしましたね。やっぱり調子が良いからというか、絶好調だったからっていうのがあったと思うんですけど。

−自分の中でも精力的に動いていた1年という意識や印象はあった?

S:そうですね。7ヶ月くらいでシングル3枚、アルバム1枚は、僕のデビューの時くらいの勢いなので、「よくやってたなぁ」みたいな。

−メンタル面でも音楽活動の関しては、常に充実していた感じでしたか?

S:そうですね。

−(活動モードに)ずっと入っていけない年もあったりするんですか?

S:ありますね。あと制作を始めて1ヶ月くらいはライヴも何も出来ないんですよ。(例年は)アダルトチャンネル見たり、サッカー見たり、雑誌買ってきて読んだり、そんなダラダラして訳の分からない生活を半月くらい過ごしてようやくギターを持つみたいな。好調になるまでに時間がすごく掛かるんですけど、今年はその期間が全く無かったのは確かですね。で、ツアー終わってもう1回制作に戻りますっていう時も、すぐ制作モードに切り替えられたんですよ。多分すごい(曲を)作りたかったんだと思いますね。新しい音像というか音も見えてきてたし、とにかく早く形にしたかったんですよね。

−それは「シングル・コレクションのツアーをやったから」っていうのもあって?

S:いや、「SMILE」を出した後くらいから。「SMILE」で色々やってみたんだけど、どうしても「これだー!」みたいな感じにならなくて、どうしたらそうなるのかな?って色んなCDを聴いたりして探してたんですよ。で、何となく突破口が見えた気がしたので、それをとにかく早くやりたかったんですよ。それは「サナギ」とか「魔法」とかに見る捩れた音像感という感じをやりたかったんですけど、それがやっと「あ!もしかしたら・・・」みたいな。

−早く形にしたいっていう衝動が?

S:そう。で、失敗なら失敗で早く次の手段を打ちたかった感じで。

−それを今回は形に出来て良かったというか?

S:まだ第一歩ですけどね。何となくは次世代のニュアンスをちょっと掴めたかな?って。

−先日の杏子さんのライヴで「せっかく出来た作品が消えてしまった」という話を聞いたんですが、それは今回のアルバムに入れる予定だった曲?

S:ちょうどあの頃は追い込みだったので、最後の1曲だったんですよ。それ用に取って置いた3曲があって、どれにしようかな?っていう時にコンピュータのデータが飛んで、普通だったら機械のせいにして逃げるパターンなんですけど(笑)。やっぱり自信があって「俺、今から新しいの作るから、今回のアルバムの中に足りない何かをドンピシャで作れるから」って言って作ったのが「June」というポップスの曲で。それが出来るまでは、アルバムが色的に思っていたよりもずっとディープになってきちゃってたので。で、本当はそこにもう1曲、けっこうエグいファンクを入れるつもりだったんですけど、飛んでくれたのもあって、エグいファンクじゃないなって気付いて。もうちょっと誰もが聴けるものが入ってないと可笑しいなと思って、飛んだのを良い事に「June」のような素直な曲を作った感じですね。

−沈んだりはしなかったんですか?

S:そうですね。すぐそっちにシフトできましたね。

−コンピュータが飛んじゃう事は今までもちょこちょこあったんですか?

S:たまにありましたね。でもそれは大体僕の所じゃなくて、他の人の所で飛ぶから、「早く直してよ!」みたいなね、けっこう他人事だったんですけどね(笑)。今度は僕の所で飛んじゃったんで、ちょっとビックリしましたけどね。まぁでも世の中に出るべきほどの曲じゃなかったのかな、みたいな事を後で言ってましたけど、そういう心持ちにはなれましたね。とにかく自信があったんですよね。

−そこまで何があっても自信を持っていられる時期というのは、そんなによくあるものじゃないですか?

 全国ツアーにシングル3枚、アルバム1枚と、例年に増して今年は精力的に音楽活動を行ってきたスガ シカオ。自分の音楽のオリジナリティはこれ!と言える楽曲を模索し続けていた彼は、その精力的な音楽活動の甲斐もあって、ようやく今作「TIME」で自身が求める音楽の形を表現することに成功。その背景には、一言で言えば“飽くなき追求心”がここに来て彼の中で急激に大きなものになったことがあるようだ。その辺についてとにかく内容濃く語ってくれているスガ シカオのスペシャルインタビュー、じっくりとご堪能いただきたい。

対談

スガ シカオ
×
Tetsuo Hiraga

NEW ALBUM
TIME

01.サナギ
02.カラッポ
03.光の川
04.アーケード
05.クライマックス
06.June
07.あくび
08.魔法
09.秘密
10.風(かざ)なぎ

完全初回生産限定盤[CD+DVD]
AUCK-18004/5
¥3,360(tax in)

通常盤[CD]
AUCK-11005
¥3,059(tax in)

2004.11.17 in STORES

<スガ シカオ オフィシャルサイト>
http://www.office-augusta.com/suga/

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スガ シカオ

S:うーん・・・でも、あれは考えてみると危ないですよね。下手したら発売日が変更になっちゃうくらい危ないですけど、何故か自信があるし、何とかなるだろうなと思えたんですよね。で、今までのアルバムでもけっこう危ない橋を渡ってきてるんですけど、大体「何とかなるだろうな」って思ってて何とかなってたんですよ。何ともならなかったのは「4Flusher」だけ(笑)。あれは本当に「何とかならないから何とかしてよ」って皆に助けを求めてたんだけど、何ともならなかったっていう感じだったんですよね。

−「4Flusher」は発売延期になったアルバムでしたっけ?

S:いや、あれはもう最後がグチャグチャで何が何だか分からないまま納品みたいになってしまって、もう寝てないから音とかも聴こえなくて、「とりあえずもうこれで良い!」みたいな感じで、自分の限界に挑戦したアルバムだったんですよ(笑)。でもそれ以外はいつもギリギリだけど、「大丈夫!大丈夫!何とかなるから!最終的にあと1曲絶対何とかなるから」みたいな感じですね。

−さっき少し触れさせていただいた、杏子さんの20周年記念ライヴを観させて頂いたんですけども、ゲスト出演されて福耳の曲も含めて3曲歌っていましたね。あの日のライヴは自分の中では楽しめるライヴでしたか?

S:もう楽しかったですね。とにかく石井(竜也)さんがスゴイよね(笑)。

−あれはちょっとビックリしましたね。

S:本当にスゴすぎちゃって。石井さんは僕には「僕だって皆の前に出てってバラ−ド歌いたいんだよ」って言ってて、お互い無い物ねだりと言えば無い物ねだりなのかもしれないけど、やっぱりすごい衝撃的でしたね。人のライヴはやっぱり勉強になります。しかもあの時は同じ客相手でやってますからね。

−他人のライヴに来てあそこまで引っ張れる人ってなかなかいないですよね。

S:引っ張れるっていうか、もうね、問答無用ですもんね(笑)。ビックリしました。

−スガさんは「イジメテミタイ」と「HAPPY BIRTHDAY」を歌ってくれましたが、あの2曲を杏子さんと演るというのは2人の中ですぐ決まったんですか?

S:以前にも二人でやった事があったので。実は僕、あの日レコーディングで本当に忙しくて、リハ無しのぶっつけ本番だったんですよ。「この構成でこういう風に歌おうね」っていうのだけ口裏合わせておいて、バンドにも言っておいて。「HAPPY BIRTHDAY」に至っては、この構成でっていうだけで、1回も音合わせをせずにやったので、変な緊張感はありつつ、やっぱり年がら年中一緒に飲んだりとかステージに出たり観たりしてるから、お互いの呼吸はすごく合ってましたね。「イジメテミタイ」なんて特にね、本当にリハやってないのかな?って思われるくらいピッタリの呼吸で出来たから、すごい楽しかったですね。

−リハをやらなかったせいなのか、その分「イジメテミタイ」は勢いもあって気持ちよくハマってましたよね。2人で歌うとサディズム感がより出てて(笑)。

S:杏子さん、本当はあんな人じゃないくせに、曲になると急にサディスティックになる(笑)。

−それが面白かったですね。

S:お客さんもすごい楽しんでたみたいで。観てて楽しかったでしょうね。

−あと。「HAPPY BIRTHDAY」は、杏子さんの作品にもスガさんの作品にもそれぞれ入ってる曲ですが、元々はどっちが先だったんですか?

S:元々は僕がデビューする前後ぐらいの時期に、杏子さんが「これ歌わせてくれない?」って言って、僕のデモテープからピックアップして歌ったのが一番最初ですね。

−杏子さんのバージョンは、どちらかと言えばアップ系の感じでしたけど、元々はスガさんが歌われているスローテンポのバラードだったんですか?

S:元々アップ系です。もうちょっとラテン系だったんじゃないかな。でもまぁ色々時代を経て、バラードになってしまったというか。

−僕の周りには「HAPPY BIRTHDAY」が好きっていうスガさんのファンが多いんですが、あの曲の詞は当時のスガさんの想いだったりするんですか?

S:「HAPPY BIRTHDAY」は・・・リアルな想いっていうか、別に普通に書いただけですね。こんな事もあるんだろうなぁって何となく。で、「HAPPY BIRTHDAY」とかそういうタイトルの曲って自分の中にあった方が良いじゃないですか。だからそれで作ったような感じですね。

−勝手にカラオケでこの曲を歌わせてもらってるんですけど。

S:ありがとうございます。

−友達の誕生日に歌ったりして、勝手に切なくなったりしてます(笑)。

S:すごい嫌がらせですよ(笑)!

−(笑)。あと、MCの中で杏子さんが、家じゃ弾けないのを理由にスガさんのスタジオでお琴を弾いてるなんて話もありましたが、よく人が集まるスタジオなんですか?

S:前はそういう感じのスタジオで、山(山崎まさよし)もよく遊びに来たりしてたんだけど、今はもう全然そんな事ないですね。山は山で自分の仕事場もあるし、あまりそういう事はなくなりましたね。うちの事務所の中にもスタジオがあるので、皆そこでやっちゃうから。

−お琴はデカいの持ってきて?

S:デカいの持ってきて弾いてましたよ。よく分からないけど(笑)。というか「弾けたんだぁ」みたいな。

−また、あの日のライヴでは、山崎まさよしさんと杏子さんと並んで「星のかけらを探しに行こう」を披露されてましたね。

S:今年は『オーガスタキャンプ2004』の時もやってましたね。あの曲はね、その前も僕が出演しているテレビ番組に来てもらってやったりとかしてて、何かにつけてやるんですよ。年がら年中やってて、なんか知らないですけど1年中やってるんですよね(笑)。とにかく集まるとやるみたいな。

−作品の話になりますが、ニューアルバム「TIME」の前に、シングル「光の川」が10月27日にリリースされましたね。この「光の川」が出来た時はどんな気持ちになりました?手応えみたいなものは?

S:すごい早い時期に出来たんですよ。「秘密」と同じ(時期)くらいかな。で、楽器を使わずに曲を鼻歌で作ってた時にちょっと異色っていうか、ポップじゃないんだけどポップな感じみたいな曲が浮かんで、それをデモテープにサーッと録って人に聴かせたら、「これは秋だね。秋のシングルでしょ」って感じになったので、早い時期に秋のシングルに決まって。

−では、リリースを秋まで待ってた感じで?

S:そうですね。で、先にもっとテンポのあるものとか明るいやつを夏に出してみたくて。「秘密」も「クライマックス」もかなり早い時期に出来てたんですね。「光の川」は元々淡白な歌詞だったんですけど、もうちょっと人の動きみたいなのを入れて、ちょっとくどい歌詞に書き直したりとかして。

−いつもシングル曲は、最初から「シングル曲作るぞ!」っていう感じで作るんですか?

S:今はね、ちょっと「作るぞ!」的になっちゃってますね。

−意識する部分は大きい?

S:そうですね。あまりポジティブな考え方じゃないので言いたくないんですけど、やっぱりシングルとなると構えちゃうところがすごくあるんですよね。で、アルバムの曲とかだとね、もう何と思われようが別にいいやって思うんですけど、やっぱりシングル曲でそれをやると、すごい色んな誤解やら何やらが一斉に降りかかってくるので、そういう経験があってちょっと怯んじゃうんですよね。それはイカンなと思うんですけど、「これシングルにしよう」って思っちゃうと、自分を作っちゃうんですよね。

−今年出した3枚のシングルは、いずれもシングルを意識したところはあるんですか?

S:でもまぁ「クライマックス」はそんな事考えずに適当に作りましたけど、「秘密」はもっとえげつない歌詞で自分の中でちょっとブレーキがかかっちゃって、「これはちょっとテレビで歌う気にはなれんな・・・」みたいな。そういう色んな事を考えちゃったりとかして、ちょっとマイルドな言葉に変えちゃったりとかしましたね。

−自分の本質的には何かとマイルドではない感じの方に行きがちだったりするんですか?

S:本当に放っておくと、どの曲も「サナギ」みたいになっちゃうから、それをあまり表立って出すと、色々と嫌な事が起きたりするので(笑)。

−(笑)。この「光の川」の資料に“「黄金の月」「愛について」に並ぶ名曲”と書かれていましたが、「光の川」に関しては自分でも近い感覚は持っていたりしますか?

S:そう言われてみるとテイストは似てますよね。平井堅ちゃんに曲を送った時にもそういう風に言われました。「全くその流れで来てるんだね」みたいな事を言われたんですけど、でも決定的に違うのは、「光の川」は歌うのが難しいんですよ。すっごい苦労したもん、これ歌うの!すごい難しいですね。

−どのあたりが難しいんですか?

S:なんかね、ピッチが合わないんですよね。ピッチがとれなくて、自分で作ったのにヘロヘロでオンチな歌になっちゃって。

−じゃあ歌入れは苦労した?

S:ちょっと苦労しました。いつもみたいにサッとはいかなかった。

−ライヴではもう披露された事あるんですか?

S:まだ全然。

−では、これからそのピッチに合わせる練習を(笑)。

S:そうですね。これは相当練習しないとダメかも。「黄金の月」も最初は本当に歌えなくて、どこかのテレビに出たりとかラジオで生演奏してくださいって言われる度に、最初の2年くらいはもうヘロヘロだったんですよ。で、「もうちょっと練習した方が良いんじゃないの?」って皆に言われて、ようやく3年目くらいからちゃんとCDみたいに歌えるようになった感じはしますね。

−結果、作ってしまって歌ってみたら難しかったという曲は他にもいくつかあるんですか?

S:ありますね。「こんなはずでは!?」みたいな。

−「想像以上に」みたいな?

S:そうそう。でも「黄金の月」なんて何百回歌ってるか分からないくらい歌ってようやくですからね。(「光の川」も)そういう曲になりそうな気がする。

−でも思い通りに乗りこなせるようになった時の喜びは、やっぱり大きいですか?

S:大きいし、やっぱり聴いてる人が全然違いますよね。そういう説得力のある歌い方で歌えるようになると、ライヴで歌った時のお客さんの集中力が全然変わりますよね。だからそれは一生懸命努力して頑張ろうと思ってます。

−そういうのはライヴ中に肌で感じるものなんですか?

S:感じますね。自分のライヴでは皆が(自分の曲を)聴きに来てるのが前提だからまだマシなんですけど、フェスとかはすごい如実に出ますね。ステージから見る一番後ろの方までずっと見えるじゃないですか。ヘボい歌とかヘボい演奏とかやると、帰っていくのが見えるじゃないですか(笑)。「おい!待て」みたいなさ。そういうのがあるので、フェスとかは本当に気を使うというか神経すり減らしますね。

−今年の『オーガスタキャンプ』はどうでした?

S:『オーガスタキャンプ』は大丈夫なんですよね、身内でやってるようなものだから。どっちかって言うと温かいんですけど、他のフェスはそういう余地がないので。特に僕はポップス編とマニアック編のステージに分かれてると、何故かマニアック編に放り込まれることが多いんですよ(笑)。去年の『RISING SUN ROCK FESTIVAL』で言うと、山やスピッツとか聴き馴染みのある人たちのいる方に入れてくれるのかな?と思ったら全然違うステージへ前日とかに入れられて、スカパラ(東京スカパラダイスオーケスイトラ)とか、すごい凶暴な連中の中に入れられたりとかするので、目を惹きつけるのがすごい大変なんですよ(笑)。

−なるほど(笑)。

S:だからすごいフェスは勉強になるんですよね。別にそんなにヒット曲があるわけでもないし、それをやればお客さんが沸くっていうほどのものは無いじゃないですか。だからそこでやるパフォーマンスだけでお客さんを惹きつけなきゃならないから、最初の頃は「俺ってなんてダメなんだろう・・・自分のファンの前でしか演奏の出来ない奴・・・」っていう衝撃はすごくありましたね。去年は積極的に(フェスに)出たんですけど、自分のファン以外の所でちゃんとしたライヴが出来る、ストリートの感覚をすごい求められて、勉強になったなぁ。それでやっぱり曲作りやプロモーションビデオ作りとかも勉強しましたし。だから「秘密」や「クライマックス」に関しても、何故難解でエグいのにしなかったかって言うと、パッと聴いた時にそれが伝わらないからなんですよね。パッと聴いた時に何が伝わるか?っていう事を考えちゃうと、今年のシングルみたいな作りになっちゃうっていうのはちょっとある。

−ただ、そういったフェスに参加して、「お!集中してるな」って感じられたときは、いつもより嬉しいんじゃないですか?

S:でも本当にそれが出来たのは1回、2回かな・・・。あとは(お客さんを)取り逃がしてる感じですよね。ロックじゃないのでまず身構えられちゃって、ノリ方が分からなくてタテに跳ねられないからどうしよう!?みたいなところからスタートするから、なんかすごい難しいんですよね。僕のライヴのお客さんだと、横のノリ方を知ってるんですよ。だからもう皆好き勝手踊ってくるし、楽しい雰囲気がもう出来てるんですよね。だけどそれが無い所でお客さんがノレるっていうのは・・・まだまだ難しい。

−まだ日本のシーン的にファンクやってる人もいないですからね。

S:いないし。でも僕が最初にライヴをやり始めた頃に似てますよね。最初に始めた頃は、来てるお客さんも「何!?どうすればいいの?」みたいなお客さんから始めたので、すごい初心に戻ってる気がしますね。

−「光の川」の話に戻りたいんですが、PVを拝見させていただいたんですけど、あれはどこで撮影されたんですか?

S:都内にある廃墟ですね。よく撮影とかをやる所らしいんですけど。

−PVに関してはイメージとか意見を言う方なんですか?

S:「光の川」は僕はあまり口出ししてないですね。その前の2作はすごい口出してて、僕の意向でああなってますね。稲川(淳二)さんの出演は、皆でブレストしている中で出てきた案なんですけど、「光の川」はあまり口を出してないですね。僕はどっちかと言うと、バンドバンドで押したい方なんで。

−「光の川」のクリップが上がってきた時は、どういう印象を受けました?

S:・・・暗い(笑)。

−(笑)。でも暗く表現されるのは別に嫌いじゃないですよね?

S:いつもっぽい感じですよね。

−あと、シングル「光の川」の2曲目には、ジョン・レノンの「STARTING OVER」のカバーが収録されていますが、この曲を今回カバーしようと思ったキッカケは何だったんですか?

S:CMのお仕事で「やってみない?」という話があったんですよ。で、僕はそういう話には大体乗るようにしてるんですけど、そういう仕事ってプロミュージシャンっぽいじゃないですか(笑)。そういう風に要望されるのが好きなので、「ONLY YOU」の時もそうだし、「やつらの足音のバラード」もそうだし、これもそうだし。

−実際に「STARTING OVER」をアレンジして歌ってみて、どんな感想を持ちました?

S:英語が難しいです。英語の歌は相当練習してるんですけど、やっぱり日本語と違いすぎて。自分の歌ってる中で日本語でやれる必殺技みたいなのがあるわけですよ、あまり沢山出さないですけど、「ここぞ!」っていう時に「必殺技!」みたいに使えるのがいくつかあるんですけど、英語になっちゃうと1コも使えない感じだから、ここはわざとグッと溜めたいなって思っても溜まらないんですよね。すごい難しい。ちょっとその気になって歌ってると、発音が悪くなって、「Rの発音が深すぎます」、「すいません・・・。じゃあもうちょっとRの発音を浅くします」って言って、もう1回。それでも「まだ深い」とか言われて(笑)。そんな事ばっかりでしたね。「EVERYTIME YOU GO AWAY」の時は特にひどくて、「STARTING OVER」の時はそれでも慣れてきたんですよ。比較的慣れてきた。まだまだですけどね。

−今後も英語詞をチャレンジしていきたい気持ちはあるんですか?

S:自作ではやりたくないですけど、カバーは色んな曲をやってみたいと思いますけどね。

−ジョン・レノン自体は元々よく聴かれていたんですか?

S:あまり聴いてないですね。このアレンジを聴いてもらえれば、いかにジョン・レノンを聴いていなかったかが分かると思うんですけど(笑)。そんなガッツリは通ってない感じですね。

−あまり敬愛しまくってないからこそ、このアレンジが出来たっていうのはありますよね?

S:そうかもしれないですね。ジョン・レノンのファンの人には怒られちゃいましたけど。「分かってない!」って(笑)。

−(笑)。また、このシングルには「ヒットチャートをかけぬけろ」と「あだゆめ」のライヴバージョンが収録されていますが、この2曲を選んだ理由はありますか?

S:デビュー曲と一番最後に作った曲って感じで選んだんですけど。あとMCがすごく面白かったのと、今までの作品にライヴバージョンとしては入ってない曲だったので、これで完成にしてくださいみたいな。

−「ヒットチャートをかけぬけろ」はスガさんにとってのデビュー曲ですが、今改めて演奏したり歌ってみてどういう印象を持たれますか?

S:こういう曲書きたいですね。書きたいけど、ここまで明るいのが今は書けるかな?っていう感じがすごくするんだけど、こういうテイストの曲が本当に今欲しいですよね。変なコード進行だなって思うけど、こういう曲すごく欲しい。また書きたいですね。

−今書くのが難しいなって思うのは?

S:何でしょうね・・・何で書けないのかは分からないけど。

−単純に若さとかそういう所だったりするんですかね?

S:単純に突発的に出来た曲なんですよね。(自分の曲の中に)こういう系統の曲って実は他に無いんですよ。だから突発的に出来ちゃった曲がデビュー曲になっちゃったので、多分2回も突発が起きないような気がする。この曲と「あまい果実」と同じようなタイプの曲は、ちょっと書けない気がすごくするんですよね。

−色々考えて作った曲じゃないから?

S:でも「ヒットチャートをかけぬけろ」とかは、コードとかすごい考えてますね。素直じゃないんで、わざわざ遠回りするコードだったりするから、すごい考えて作ってるんだろうなって気はするけど、逆に最近の方が考えてないですね。

楽してるのかな?あまり考えないで作っちゃってるので、それで(「ヒットチャートをかけぬけろ」みたいな曲が)作れないのかなぁ。「あまい果実」はもう無理です。もう出来た瞬間から「これはこの1曲しか出来ない」って思っていて、もう無理ですね。

−「ヒットチャートをかけぬけろ」は、まさにヒットチャートを駆け抜けてやろう的な意気込みがあって付けたタイトルだったんですか?

S:そんなわけないじゃないですかぁ(笑)。最終的にそういう風なネタになったら良いなぁくらいで、馬鹿げた洋楽の邦題ってあるじゃないですか。昔の70年代のアルバムとかに。ローリング・ストーンズの「夜をぶっとばせ」とか、何だかよく分からない感じのタイトルを付けたかったんですよね。

−「あだゆめ」は、ライヴでやっていて楽しい曲の中のひとつだったりしますか?

S:お客さんはこの曲始まると急に騒ぎますよね。でも、演奏がおぼつかないですよね。散々やってるんですけど、うちのバンドの特性から言うとまだ皆体に入ってないから、次のツアーあたりから良くなるはずなんですよ。

−曲によってバンドの人間がスッと入りやすい曲とそうじゃない曲はあるんですか?

S:ありますね。もう「アシンメトリー」とかひどかったぁ!もう途中でギター投げようかと思った。「ひどすぎるよ、演奏が!」みたいなさ(笑)。もう最初の「アシンメトリー」とか本当にひどかったですよ。でもその次の年のツアーでやったら、もうすごい皆上手になってて、「あれ!?」みたいな。最初から上手くいったのは「青空」とか。曲によって色々あるんでしょうね、ライヴでは。「アシンメトリー」はビックリしたね。「この先、俺たちはこの曲をやっていけるんだろうか?」って自信さえも無くすくらいひどかったもん。

−(笑)。それは曲が出来た段階でちょっと分かったりするんですか?

S:僕は簡単な曲だろうなと思ってましたけど。「青空」の方がよっぽど難しいだろうなって思ったけど、そうでもないんだね。皆の気持ちの合い方とかもあるんでしょうね。「ドキドキしちゃう」なんてひどいですよ。「FAMILY」のツアーで1回やったきり、あとほとんどやってないんですよ。何回やっても演奏が出来ない。で、毎回リハの時に「ドキドキしちゃう」がセットリストの中にエントリーされるんですよ。で、縁起が悪いって事になって最後に絶対に外されちゃうんですよ。いつも練習しては外れ、練習しては外れで、6年間くらい経って、ようやくこの間の渋公の時に「あれ!?もしかして出来るかも!」みたいな感じになって、6年目にして初めてエントリーが成功した。それ以来、今でもたまにやってるんですけど、そういう曲もありますね。6年経ってまだ出来ないのかみたいな(笑)。

−6年経ってやっと出来ると、やっぱり嬉しいですよね?

S:いやもう僕らも嬉しいけど、お客さんも嬉しかったみたいですね。「シングルなのに、この曲初めて聴いた!」みたいな(笑)。

−では、そろそろ11月17日発売のニューアルバム「TIME」についてもお話を伺わせて頂きたいんですけど、まずこの「TIME」というタイトルに込めた意味を聞かせてもらえますか?

S:意味はそんなに深くないんですけど、一番最初に思いついたのは、プリンスの「サイン・オブ・ザ・タイム」という曲がすごい僕の中で大きい存在で、自分の中で「サナギ」とかは、すごい「サイン・オブ・ザ・タイム」っぽいなみたいな。決して派手ではないし、ドカーン!っていうファンクではないんだけど、すごい新しいものが詰まってる感じがして。って思ってる時に「TIME」も良いかもなって思ってて。で、「少年性を帯びたものから、だんだん青年になって大人になっていく、段階を経てる歌詞が書かれてるね」って誰かに言われて、そうかもなぁって思って、「じゃあ“TIME”で良いかも」みたいな。そういうあやふやな決まり方ですね。

−タイトルはいつも一番最後に決まったりするんですか?

S:決まらなくて大騒ぎになるんですよね。苦手です。今回はもう悩むの分かっていたので、悩み始めちゃうと皆が見守ってる中でタイトル言わなきゃいけないじゃないですか。そうすると重いんですよね。先に「もしかしたらこれにするかも」みたいな事を言っておくと軽くなるんで、最初に言ってたんですよ。

−アルバムの制作自体は、「秘密」や「クライマックス」の制作と平行して作ってきたんですか?

S:はい。

−「TIME」が完成した時、このアルバムに対してどんな印象を持ちましたか?

S:制作過程ってイメージがコロコロ変わる感じがして、最初に並べようとしてた時は、すごいディープになりすぎるかなっていうのがあって、それで「June」とかを作ったんですけど。で、実際に並べて盤になりますよね。それを聴いてみたら、「あれ?意外に軽いかも。明るいかも」と思って、すごい安心したんですね。元々風通しの良いアルバムを作ろうと思ってたので。ただ、またしばらく聴いてたら、だんだんまたイメージが変わってきちゃって、「何て息苦しいアルバムなんだ」って(笑)。逆に最近はそういう風に思えてきちゃうっていう。だからイメージが変わりやすいですよね、これは。

−スガさんはアルバム毎にコンセプト的なものとか決めてから作ったりするんですか?

S:全然無いですね。

−今までの作品もそうですか?

S:全部無いですね。出来たもの勝負で、その時に出来た曲集で。まぁ企画盤の「Sugarless」は違いますけどね。

−結果、出来上がった時に「この辺が統一感あるな」って思ったり?

S:それぞれありますね。確実にそれぞれ違う色がありますよね。これだけ近い年数で作ってても、「SMILE」と「TIME」は全然違いますもんね。

−その辺は別に意識してるわけではなく?

S:コントロールはあまり出来てないですね。

−そういうのも面白いですよね。自然とそうなっていくっていうのは。

S:そうですね。まぁそれがマンネリになってるとすごい嫌ですけど、返ってそれがあっち行ったりこっち行ったりするので、不安定な所がすごい面白いですね。その時の精神状態の採れたてな感じがすごいする。

−それでは「TIME」の収録曲について、簡単な解説をそれぞれお願いしたいんですが、まず1曲目の「サナギ」はどんなイメージで作られた曲ですか?

S:2005年以降の、自分から自分以外の世界に向けて、「これが自分のオリジナリティです」って言える音って何だろう?って、「SMILE」の頃くらいからすごい探してて、足掛かりが何となく「SMILE」で見えたけど、確実に「こういう感じ!」っていう例を示せたのが「サナギ」と「魔法」と「風なぎ」と「アーケード」なんですよ。独特の歪んだ空間と、それが歌詞にビタッとくっついてる感じで、ファンキーなリズムみたいな。で、色んな要素も含まれてるんだけど、完全に歪んだ歌詞を追従した感じの音っていうのが作りたかったんですよね。それの足掛かりでやっと一作出来たっていうのが「サナギ」だった。かなり苦労したんですけど、自分ではひとつのオリジナリティがある曲が出来たなみたいな。だから楽器じゃなくて、どっちかって言うと声みたいなものなんですよね。「ファジーで揺らいでて」みたいなもので作られているので、声に対して声でアレンジしてるみたいな、そういうのが作りたかった。それにすごい近いものが今回は出来たかなっていう。すごい嬉しかったんですよ。

−じゃあ達成感も一際というか?

S:うん。それで出来て、「これ聴いてみてよ!」って友達とかに聴かせると、大体「キモい」とか言われて、すごいガックリ来るんですよ(笑)。

−こっちは「やっと出来た!」ってなってるのに(笑)。

S:そう。「これだー!誰も世界でまだやってないよー」とか思ってたのに、聴いてもらったら「なんかキモい・・・」とか言われて、すごいショック受けた。

−そんなキモいって感覚ないですけどね。

S:でも後ろから羽交い絞めされてる感じっていうのがあるんでしょうね。それでやっぱり「キモい」って感じなんだと思うんですけど。

−続いて、2曲目の「カラッポ」。この曲の持っているグルーヴもかなり心地良い感じになっていますが、今でも曲を作る際にグルーヴはすごく意識して作られてるんですか?

S:はい。で、もうこれはバンド一発録りなので、僕がベースを弾いてるんですけど、ドラムとキーボードと3人でほとんど「せーの!」で。もちろん曲は前もって聴かせますけど、「せーの!」で録って。勢いのある、でも熱くない感じにしたかったので。行き過ぎちゃうとつまらないので、皆で行きたいのを抑えて抑えて、ずっと我慢しながら演奏していって、最後のエンディングの方でもう我慢できなくなって、バーン!みたいな感じにしたくて、まさにその通りの演奏が出来ましたね。

−一発録りはよくやるんですか?

S:やっぱりライヴの影響が大きくて、ライヴに結びついたものを作りたいなって意識すると、一発録りはやりたくなりますね。

−曲の心地良さに対して、詞が“もうウンザリだ”“もうたくさんだ”とか、“まともなのは僕一人だけ”とか、自分本位というか痛い内容になってたり(笑)。

S:痛くないですよ(笑)!でもね、やっぱり皆そう思ってるんですよね。で、多分戦争とか暴力とかって、そういう事から起きるんだし、人間の脳の数だけ宇宙があるじゃないですけど、きっと皆そう思ってるんですよ。「サナギ」にも通じるものがあって、“私の事バカだと思ってるんでしょ?”みたいな、けっこう似てるような感触だと思うんですよね。そういうのが今回は根底にあったんだと思いますけどね。最初は歌詞が5番くらいまでありました。最後は個人名ね。“あいつのあそこが嫌い”。

−(笑)。

S:“なんであんな奴いるんだ!”くらいの、すっごい個人攻撃(笑)。それはさすがにマズイなと思ってそこを凝縮してみたいな。

−5番まで歌ったものって録ってないんですか?

S:いや、僕は持ってますよ。“あいつ歌超ヘタ”みたいなやつ(笑)。それはもうさすがにマズイんで削って(笑)。

−スガさんだけがそこまで知ってるわけですね。

S:はい。けっこう酔っ払って書いてるんで、やりたい放題。後でちょっと普通の歌詞になるように、順番を入れ替えたりとかして作ってますね。

−けっこうお酒を飲んで書く事はあるんですか?

S:多いですね。そうすると頭がカラッポになりやすくて、自分じゃない人が書くんですよ。

−そういう感覚が?

S:そう。僕はほとんどそうですよ。

−そうなんですか。じゃあ詞を書くとなったら、お酒を?

S:大体飲んで書いてますね。もうデビューの時からそうです。

−逆に飲まないで書こうとするとどうなるんですか?

S:それはそれで普通の歌詞にはなるんですけどね。ぶっ飛んだ歌詞とか「おいおい!」っていうような歌詞の時は大体飲んで書いてるやつが多いですね。

−続いて、「アーケード」。この曲は今までのスガさんの曲にない新鮮な印象を感じたんですけど、本人的にはどんな印象を持たれてますか?

S:多分アレンジが新鮮なんだと思う。曲は自分の持ってるものの中で作ってると思うんですよ。あとブリティッシュものをよく聴いていたり、ミスチルとかCOILとかと仲良いんですけど、自分に無いものが有りすぎる彼らの曲をよく聴いてるんですね。そういう影響がちょこちょこ出てきてるなと、ちょっと思ったりもして、だったらもういっそのこと、思いっきりそっち側に寄せたアレンジにしてみようっていう事で、ギターの間宮さんという方と一緒にアレンジをしてみたんですよ。で、「ほとんどキーボード使わないでやっちゃうよ」って言われて、「良いよ」って言って色々アイデア出したりして。ベーシックは僕が作ったんですけど、アコギとエレキとベースと歌とで作って、それにどんどん色んなギターも使っていって、クシャッとした歪んだ世界みたいに。

−これの歌入れはどうだったんですか?

S:これは3回くらい。バラードはもう2〜3回くらいしか歌わないですね。何回も歌うと上手く歌おうと思って色んな事考えちゃって、上手く歌っちゃったりとかするので、やらしいんですよね。「俺って上手い」「ちょっと今グッと来たろ?」みたいな(笑)、そういう歌になっちゃうので、2〜3回しか歌わないですね。

−この曲はどういうイメージを膨らませて出てきた曲なんですか?

S:これは酔っ払って書いたんで適当ですね(笑)。

−“真夜中の暗いアーケード”っていうフレーズから広がる感じが。

S:それどこだよ!?っていう感じですよね。アーケードのある所に住んだ事ないんですよ。まぁでもどこかのアーケードなんだろうなぁ(笑)。

−スガさんの歌詞って必ず映像がありますよね?

S:そうですね。精神世界だけで終わる詞よりは、映像があった方が映画っぽくて好きなので。

−続いて、5曲目「クライマックス」のアルバムバージョンですが、具体的にどの辺をいじられたんですか?

S:シングルで馬鹿になりきれてなかったので、もうちょっと馬鹿になりきって、サックスソロとかも「お馬鹿なソロ入れてください」って言って、ノリノリのソロを入れてもらったりして。結局全体的に明るめ明るめでもう一回作り直したんですね。シングルではちょっと度胸が無くて、明るくしきれなかったので。それで明るくしきれなかった上に、プロモーションビデオに稲川さんが出てもっと暗くなっちゃって(笑)。ものすごく暗くて変なイメージがついちゃったので、稲川さんの映像はそれはそれで良かったんですけど、アルバムの時はもうそのイメージを一切払拭する為に、ガンッ!と明るくしましたね。

−ライヴでやる時はこっちの色の方が強かったりするんですか?

S:その為に作り直しましたからね。

−そうしたい曲はちょこちょこ出てくるものなんですか?

S:放っておくと、どうしてもライヴ全体が本当に重苦しい曲ばかりになっちゃうので、こういう曲を無理してどんどん作ったり入れたりしていかないと、本当に暗くてドヨーンとしたままライヴが終わる感じになっちゃうので。

−この「クライマックス」の一体感はすごく気持ち良いんですが、これが完成した時はどういう印象を持たれましたか?

S:ちょっとヘボい感じにはしたくなかったんですよね。誰でも出来るファンキーな感じにはしたくなかったので。まぁホーンも入ってて一般的になりがちだったので、そういうのじゃなくて、もうちょっとギターのフレーズが散りばめられてる感じとかにして、おもちゃ箱をひっくり返すじゃないですけど、そういう賑やかな感じが出れば良いなと思って、色んなギターがあちこちからビュンビュン飛んで来るみたいな、そういうイメージで作りました。アルバムの方がよりそういう匂いになってますね。

−続いて、今作の中で最後に出来た曲「June」ですが、この曲に関してはどういうイメージを膨らませて?

S:ものすごいポップスを作ろうと思って、ちゃんと自分に言い聞かせながらデモテープを作りました。で、今回のアルバムはソロとか、間奏ちょっと入ってますけど、なるべく長いイントロとか長いエンディング、長いソロは一切止めようっていうのがあって、歌中心、歌ばっかりみたいなものにしようって思ってたんですよ。まぁ必要最低限は入っちゃうんですけどね。「June」も演奏が始まってすぐダンッ!みたいな感じにしてありますね。今回はそういうの多いです。

−この曲は歌ってみてどうでした?

S:これは難しかったなぁ。ちょっと練習が必要ですね、ツアーの前までに。これはね、カラオケで歌えそうと思ってナメてかかったら、けっこう痛い目見ると思う。

−(笑)。スガさんの曲って大体そうですよね。

S:これはでも僕も痛い目見ると思う(笑)。

−続いて「あくび」ですけども、この曲はどんなイメージで?

S:これは酔っ払わないで書いてました。まぁちょっと酔っ払ってたかな。と言うのはですね、僕は本当に睡眠障害がひどくてですね。まぁ母親がひどいんですけど、家系的に睡眠障害がひどくて、この気持ちを誰かに訴えない事には!みたいな感じで書いてる。まぁ曲がその分緩いんで、その苦しさがあまり伝わらないんですけど(笑)。でも本当に寝たいけど寝れない時が多いので、それを歌詞にしたんですよね。

−実際に寝ようとして寝れないっていう時に書いて?

S:うん。その時の苦しさを文字にしようと。そういう時に限って、マンションの下でケンカが始まったりするんですよ。

−余計寝れないようなシチュエーションに?

S:そうそう。この間も夜中の2時半で、もう少しで寝れるって時に「カァーッ!」てカラスが鳴いたりするんですよ。え!うそ!?みたいな。カラスってこんな時間に鳴くか!?って。でも幻聴だか鳴いてるんだかも分からなくて、でも今カラス鳴いた!って起きちゃったりとかする。また寝れない!みたいな。そういうのを歌詞にしました。

−ライヴでもこの曲はやっていく方向で?

S:そうですね、やりたいですね。

−続いて、8曲目の「魔法」ですが、ブランコの揺れる音から始まりますけど、あの音は実際に公園行って録ったんですか?

S:そんな事はないです。あれはそういうのがあるんですよ、映画効果音集。高いんですよ。

−いくらくらいしたんですか?

S:あのブランコの音を手に入れる為だけに1万4千円くらい出しました。

−高いですね(笑)。

S:本当はもうちょっと具体的じゃないのでも良いかなと思ったんですけど、「秘密」との繋ぎをずっと考えてて、「魔法」は繋ぎで置いてたので、それを考えるとこういう継続音の方がトリップするのかな?って事を考えながらやったんですけどね。これもけっこう自信満々だったんですけど、人に聴かせると「キモい・・・」って言われる(笑)。

−スガさんならではのディープさっていうのは、このアルバムの中では一番出てる印象を受けるんですが?

S:そうですね。なんかパキッとしたっていうよりは、歪んだ空間を見せるっていうアレンジの仕方を心掛けてるので、面白い音像になってると思いますね。

−こういうタイプの曲は作ってる中で自分もトリップしていく事ってあったりするんですか?

S:アレンジしてる時はヤバイですね。もっとミニマムな継続音とかだけで構成されてるものを爆音で聴きながらフレーズとかを入れていくんですけど、大体待っている間に飛んで、フレーズ弾くのを忘れたりとか、そういうのはよくありますね。

−続いて、9曲目の「秘密」ですが、今年一発目のシングルとして発表した曲ですけど、今改めてアルバムに入れて聴いてみると、どういった印象を持たれたりしますか?

S:僕の中では「魔法」との繋ぎが「秘密」にあったので、こういう形で収まってくれて良かったなっていう、ホッと一安心。ここでいつものアルバムだったら、ドスーン!と重いロックみたいな曲が来るんですけど、あえてそういう曲を作らなかったので、その分「秘密」で頑張ってもらおうみたいな。でも今アルバムの中で聴くとすごいポップですよね。物悲しいポップな感じのニュアンスがあります。

−そして、今作ラストの「風(かざ)なぎ」。

S:これは珍しく風景が出てこないですよね。

−そうですね。

S:歌詞も何を書いたのか自分でも分からない。酔っ払って書いてるんで、気持ちっていうものがあるとすると、感じてる気持ちの小さい所の部分だけで書いてる感じですよね。こういう事があって、こういう風に悲しいとかじゃなくて、小さな世界の中で悲しいみたいな、そういう曲の感じがしますね。

−「風(かざ)なぎ」というタイトルをこのスローナンバーに当てはめたっていうのは?

S:イメージがね、空があって、全く止まっちゃってる感じのイメージだけが先行してあったんですよ。それをどこで見たんだかよく分からないけど、そればっかり頭の中にチラチラあって、そういう状態の事を何て言うんだろうな?ってずっと探してて、「風(かざ)なぎ」というタイトルは最後の方で見つけたんですけど、風が一瞬フッと止んで、音が無くなるような状態を表現する言葉をやっと見つける事が出来たので、こんな言葉があったんだみたいな。

−今回は曲順は色々考えられたんですか?

S:色々考えましたけどね。多分これ以外は並ばないと思います。これ以外の並びで聴くと気持ちが悪いと思います。僕も色々とやってみましたけど、それ以外の並びだとアルバムにならないですね。

−それでは、最後になりますが、読者の皆さんにメッセージをお願いします。

S:多分僕を変なイメージで見てる人がすごく多くて、「すかしてる」とか「変わった事やってる」とか、まぁ変わった事はやってるんですけど(笑)。で、東京は特にラジオをやってるんで、そういうイメージはほとんど無くなってて、ストレートに音楽を聴いてもらえる環境が作れてると思うんですけど、ラジオ番組を聞けない地域だったりとか聞かない世代の人たちには、まだかなりイメージ先行なところがあるんじゃないかな。なんかそういう人たちも、あえて先入観無しに今回のアルバムを聴いてもらいたいですね。先入観無しに曲と向かい合ってもらいたいと思うんですよ。そうするとすごくハマる人はハマるし。まぁダメな人はダメだと思うんですけどね。でも今まで味わった事のないものを味わいたい人とか刺激を求めてる人には、他の音楽には絶対無いものしか入ってないから、それを味わえるとは思いますね。そういうアルバムを作れた自信はあるので、そういう人に聴いてもらいたいですね。

Interviewer:平賀哲雄