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−まずは『全力少年』オリコンチャート初登場3位おめでとうございます。この楽曲はスキマスイッチのポップ性が爆発した名曲だと思います。この曲がこうして評価された事をふたりはどう感じていますか?

大橋卓弥(以下O):僕ら自身はあまり実感が無いんですけど、男性のファンの方が増えてくれたみたいで。ラジオの公開収録とかに行くと男性の姿が増えてたりして、「聴いてくれてるかな?」っていう実感はありますけど。アップテンポって比較的苦手な方なんで(笑)、苦手なところがウケたっていうのがね。

常田真太郎(以下T):まあまあまあ(笑)。


−この曲をリリースした事でおふたりの中で変わった事などありますか?

T:ん〜、むしろ『冬の口笛』が自分の中で一番変わったターニングポイントであって、あれが出来たから『全力少年』、『雨待ち風』ができたっていう意識があるんですね。クオリティ、アレンジの音のバランスとか大橋君の声、メロディ、歌詞からタイトルまで、「おっ、いいじゃん!」ってもの凄く素直に思えたんですよね。1st『夏雲ノイズ』までは「まだまだだな」って思ってたんですけど、ようやくひとつ越えたかなと。

−そして6月22日に発売された『雨待ち風』は、一転して壮大なバラードとなりました。この曲はふたりがずっと暖めてきた曲だったと伺ったのですが?

O:そうですね、4年半くらい前からあった曲なんですけど、僕らが初めてライブをやった時にこの曲をやってまして、そのライブ会場に今のスタッフが見に来ていて、そこで声をかけてもらったっていう凄く思い入れのある曲なんです。いつか絶対リリースしたいなって言ってたんですけど、当時から曲がしっかりと出来ているのに対して僕らの力が追いつかなかった。うまく料理できなかったんで、「今は出せない」っていってる内にこのタイミングまできてしまったんです。実は『奏(かなで)』のタイミングでも『雨待ち風』も候補にあがってたんですけど、やっぱり選ばれなくて。でも『冬の口笛』を作った時にシンタ君が自分のアレンジにある程度以上の満足をしていたんで、もう一回料理しなおしてみようかって事でやってみたらいい作品ができましたね。

−やはりこの曲も『冬の口笛』の影響が大きいんですね。

T:(『雨待ち風』は)何回もアレンジして何回も録り直ししたり歌詞を書き換えたりしてみたんですけど、「まだ出来るな」って気持ちがあって。伸びしろを残したままリリースするのは自分の中では一番嫌なので、暖めてたって表現よりかは僕らが成長させてもらったという表現の方が似合ってると思いますよね(笑)。

−この曲はスキマスイッチの成長が強く出た楽曲だと思いました。この一年を振り返ってみてスキマスイッチとして一番成長した部分ってどこだと思いますか?

T:作業のスピードじゃないかなって思いますね。・・・まあこういう受け答えも相変わらずですし(笑)、話をまとめるのは下手なままですからね。作業のスピード、レコーディングのスピードは凄く上がったと思うし、やっていて楽しい事をそのまま注ぎ込めるかなと思いますし、大橋君が持ってきたメロディや自分で作ったメロディを形にする早さ、判断にする早さは去年と比べ物にならないくらい上がったのかなって思います。まあ個人的には(タクヤの)声が一番変わったなっていうのもありますけどね、うたう歌が変わりましたし。

O:僕も歌ですね。成長したって表現があっているのか分からないですけど、歌が変わってきたなっていうのがあって。レコーディングとライブっていうのを完全に切り離して考えてきたのが何となく繋がってきたというか、レコーディングにもライブの良さが入ってきたかなあと。簡単にいうと感情的な部分が前に出てくるようになってきて、そういう歌もうたえるようになってきましたね。

−その成長の理由は?

O:やっぱりツアーだと思いますね。そこで何かしらの自信をつけたのかもしれないし。

T:今までやってきた活動の中でツアーが一番、自分たちが間違ってないんだなっていう実感を感じさせてくれる物だったと思うんですよね。一番大きなところでは2000人近くの人の前でやったりして、それが僕らの中で「あってたんだなあ」って感じが今考えるとしますよね。


−ツアーに出れば各地の方々に出会えてそこから影響を受けたりとかできますよね。

T:デビューシングルの『view』の時に色んな方に会わせて頂いたというか、全国のキャンペーンで30ヶ所くらいまわったんですけど、そういう方たちとデビュー時に仕事しておいてよかったなってツアーに出ると思います。

 『奏(かなで)』というスマッシュヒットにより一躍全国区になり、その後もグッドメロディで瞬発力だけではないところをセールス的にも楽曲的にも証明、いまの日本のポップスを語る上では外せない存在にまで成長したスキマスイッチ。アレンジやトータルプロデュースまでをもを担当しその才を存分に発揮する常田真太郎と、特徴的な声質と独自の視点で描く世界観で聴き手を魅了する大橋卓弥。今年に入りふたりは『全力少年』で自身最高のセールスを記録し、スキマ=バラードと定着したイメージを完全に払拭した。そして満を持するように発売された2nd アルバム『空創クリップ』は、一年前に世間を騒がせた1st アルバム『夏雲ノイズ』を越えるクオリティと多数のミュージシャンを招いての豊富なバラエティに満ちた、間違いなく2005年の名盤のひとつに数えられる作品に仕上がっている。そんな訳で今回は各メディアに引っ張りだこの彼らを招き、2005年の活動を中心に色々と話してもらいました!疲れた表情ひとつ見せずに、互いに漫才のように楽しくやりあったりしながらも、自分たちの奏でる音に真剣に語ってくれた、ファンならずとも必見のインタビューとなっています、是非ご覧下さい!

対談

スキマスイッチ
×
Yuki Sugioka


2nd Full Album
「空創クリップ」

01.君に告げる
02.全力少年
03.水色のスカート
04.冬の口笛(feat. Takuya ver.)
05.フィクション
06.さみしくとも明日を待つ(Album ver.)
07.キレイだ
08.かけら ほのか
09.目が覚めて
10.飲みに来ないか
11.雨待ち風(Album ver.)


AUCK-11006
¥3,059(tax in)

2005.7.20 in STORES

スキマスイッチ オフィシャルサイト>
http://www.office-augusta.com/sukimaswitch/

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スキマスイッチ



みんながスキマスイッチのお父さんお母さんみたいになってるみたいで、僕らがテレビとか出ると手に汗握って見てくれてるそうなんです(笑)。そういう存在って凄くありがたいなって思います。

−では続いて7月20日に発売になりましたセカンドアルバム『空創クリップ』について伺いたいと思います。今回のタイトルは1st アルバムの『夏雲ノイズ』からの流れをくんでますよね。

O:実は今回のタイトルを決める時に『夏雲ノイズ』っていうものの延長線上で“漢字+カタカナ”っていうスタイルを続けるのか迷ったんですよね。というのは2枚目でこれをやったらこれ以降もシリーズ化されていくだろうと思われるだろうなって話してまして。そこに収まっちゃうのは面白くないなと思っていたんですね。でも、今回は気に入っているからこのスタイルでいって、もし今後気に入らなかったら単純にやめちゃえばいいやって思って。だから今回は気に入っているからこのスタイルですけど、これをシリーズ化していくって事は全然考えてはないんです。

−このタイトルの意味は?

O:最初は“空創”が普通の“空想”だったんですけど、字で書いてみた時にあんまり面白くなかったんですね、何か普通っぽくて。それで“空創”に変えよう、それは物を創る立場でもあるし、“空を創る”っていうのも響きが綺麗だしいいんじゃないかって。“クリップ”っていうのは、よくDVDとか映像作品には「ビデオクリップ集」みたいな言葉ありますよね。でも“ビデオ・クリップ”っていうくらいだからクリップって言葉の中には映像作品って意味合いは含まれていないんだろうなって思って、それならCDをクリップ集って呼んでもいいんじゃないかって。後は一曲々々を思い出にクリップして止めておく、想像した物を曲として止めておくって意味も含めて“空創クリップ”。まあ響きが一番気に入ったんですけどね。

−“空創”とした事で聴き手もイマジネーションが膨らんでいきますよね。

T:音もそうなんだけど基本的に受け手に意味を考えてもらうっていうのが凄い好きで。例えば歌詞でも「この主人公はこういう人物でこういう結末です」って決めてしまわずに、少し余裕であったり行間を持たせて想像をしてもらって、「これは死んでるよ」「いや、絶対生き返るんだよ」とか色んな話をして欲しいなって。そういう意味も込めて“空創”っていうのもあったりするんですけど、自分たちでも音楽とかそういう聴き方をするんですよ、「このイントロはここと繋がってるんだよ!」とか。そういう風に聴いて欲しいなって気持ちもあります。

−今回はジャケットも不思議な感じでしたけどもこれは?

O:1stの『夏雲ノイズ』の時と同じ塩田雅紀さんという方で。『夏雲ノイズ』の時に凄く気に入っていたので今回も頼んだんですけど、この絵を頼んだんじゃなくて出来上がったアルバムとタイトルの“空創クリップ”だけを渡して、「これで思い浮かんだ事を描いて下さい、質問は一切受けません」って(笑)。それで描いてもらったんですけど、このアルバムの発売日の7月20日っていうのが丁度アポロ11号の月面着陸(1969年)の日だったらしくてこの絵になったそうです。僕らは単純に塩田さんのファンという感じなんで、「何か描いてもらえませんか?」っていう感じですね。

−結果、月面にあるバス停で待っている、という不思議な絵になりましたがおふたりの感想は?

T:最初見た時「何コレ!?」って思いましたね(笑)。ラフスケッチの段階からワクワクしちゃって、素晴らしい物が出来るに違いないって確信したし、その通りになりましたね。中にもカットが数点入ってるんですけどそれも本当に素晴らしくて、物語として創ってらっしゃってそれも面白いんですよ。勿論その事はどこにも書いてなくて想像の世界になっちゃうんですけど、“空創クリップ”っていう言葉から湧いて出た物だなって分かりますし。

−アルバム全体で見た時の『夏雲ノイズ』と『空創クリップ』で、一番の変化というのは?

T:やっぱりクオリティは間違いなく上がってますよね。“っぽい”って言うのもおかしいですけど、メジャーで普通にリリースしているアーティストのクオリティになったんだって話してますけど、普通に聴けるようになったなって。他にもバランスが上手くとれてるとか、音の事を挙げるとキリがないんですけどやっぱり歌ですよね。

O:レコーディング中に意識して色々やってた訳じゃないんですけど、出来上がった物を客観的に聴いてみて、歌が変わってきたなって印象を受けたので、聴いてくれる人にもそういう印象を受けてくれる人がいると思うんですよね。

−この作品を作る上で周囲の期待というのは相当な物だったと思うのですが、プレッシャーなどは感じましたか?

O:それはあんまり感じないんですよね。よくそう聞かれるんですけどね。




T:僕らは逆にプレッシャーを楽しむとかもなく、スタンス的には『view』とかの感じと変わらずにやろうと思ってました。多分やりたい事が沢山あって、それをやりきった時に初めてプレッシャーを感じるのかもしれないし、出す曲出す曲全部1位、100万枚とか続き始めたらひょっとしたらプレッシャーを感じるのかもしれない。けどまだそんなレベルでもなくて、まだまだ楽しんでやれてます。

−そうした気持ちというのはアルバム通して出てますよね。それでは1曲ずつ伺っていきたいのですが、『君に告げる』はアルバムのイントロ的な曲になりましたね。

O:これはシンタ君が「声からいきたい」って。『夏雲ノイズ』の時は1曲目の『螺旋』がピアノから始まってて、2枚目は声からっていうのをその時から決めてたらしくて。それもあったし短くてアルバムのイントロでもあり『全力少年』のイントロにもなるような楽曲が1曲目に持ってこれたらいいねって話をしてたので。

−この曲は短くて単純な詞ですが、意外とこの詞がスキマスイッチの全てを表していると感じたんですよ。「一日がいい日だったらいいな」っていうメッセージはおふたりのどの曲に対しても込められている想いですよね。

T:深いですねぇ(笑)。「軽い感じの幸せであれ!!」みたいな事はあんまり歌わないですし、世界が宇宙が!って歌えるものでもないしって感じがあるので、ひょっとしたらそうなのかもしれないですね。「いい日だったらいいなぁ・・・」って確かに思いますからね(笑)。

−続いての『全力少年』は実質上のトップナンバーとなっています。やはりこの勢いをアルバムに出していきたかったというのはありますか?

T:単純に2曲目の曲調だなって。『夏雲ノイズ』の時も2曲目は盛り上がりのいい『ふれて未来を』を収録しましたし、自分の中でそういう流れが好きで。『君に告げる』をこの曲のイントロとして作ったっていうのもありますしね。



−『水色のスカート』はタイトル通りの可愛らしい楽曲になりましたね。

O:2〜3年前に“炎の曲だし期間”っていうのがありまして、10日間でひとり10曲ずつ出すっていうのをやった時に出た曲で。僕個人としては色んなタイミングで選曲会議の時にこの曲を推してたんですけど、「いつでも入れらるし・・・」という理由で弾かれてた曲。個人的には今回選ばれてやっと日の出を見たかなと思います。

T:この曲も『雨待ち風』と一緒で「まだ伸びるな」って言ってて。エヴァーグリーンな曲なので別に後でもいいかなって思ってたんですけどね。今回やっとアレンジも固まって。アレンジはいつも監修してもらってたんですけど、この曲はフレーズがちょっと浮かんできそうだったので弦を自分で全部やりましたね。


−次は『冬の口笛(feat. Takuya ver.)』ですが、このタクヤバージョンというのは?

O:アルバムバージョンって色んなアルバムでよく目にするじゃないですか。でも聴くと中には「シングルとどう違うのかな?」って分かり辛くなっている作品が結構あったりして、僕もそういう経験があったんで、こういう風に“○○ ver”とか書く以上は誰が聴いても分かるくらいに変えたいなと思ってたんです。勿論、もう一回手入れし直して音を変えたりしてるんですけど、それよりもっと分かりやすいように最後、ハーモニカを入れようと。シングルバージョンではフルートでアウトロをやってもらってるんですけど、そこを変えてタイトルも“feat. Takuya ver.”って書いたらもっと分かりやすくなるんじゃないかって。これでも分かってもらえない事もあると思うんですけど、書く以上は明らかに違う物、聴く時にシングルとアルバムのどっちを聴こうかなって迷ってもらえるくらいの物にしたかったですね。

−この曲を改めて今聴いてみると、『冬の口笛』というタイトルで詞にも冬っぽさがあるにも関わらず、今(2005年7月)に聴いても全然遜色ないというか、普遍性のあるポップ性というのを感じました。

T:この曲を作るきっかけというのが正にそこで、いっぺん“ポップスとは?”みたいな感じで作ってみようって去年の夏に話してて。大橋君が持ってきた曲の中で一番いい曲を選び出したつもりなんですけど、大橋君はずっと「これはシングルになんねえぞ」って言い続けてましたからね(笑)。俺は大丈夫大丈夫ってアレンジしていってシングルチューンになった。今の原点がありますね。

−大橋さんがこの曲をシングルに向かないと思った理由は?

O:僕の言い方、僕の中だけでの事なのかもしれないんですけど、・・・凄く普通なんですよ(笑)。勿論、ポップスって意味では合格なのかもしれないんですけど、普通すぎて面白くないんじゃないかなって。特に僕の持っていく曲は最初、ギターと歌だけの、アレンジっていう物に包まれていない素っ裸な状態なんです。そうすると余計に普通っていうのがひしひしと伝わってきて、アルバムの曲だと思ったんです、凄く好きな曲だったんだけどシングルチューンじゃないなって。アレンジが終わって上がってきたのを聴いたら「シングルになったな」と。

−続く『フィクション』は逆にもの凄くスキマスイッチらしい曲ですよね。

O:2〜3年前、こんな曲あったらいいなって思って作りました。銀行員の友達と電話してた時に、その彼が凄く愚痴を言ってたんですよ。僕は社会人経験が一瞬だったんで、その時に愚痴を言う上司っていうのもいなかったんですよ。でもそいつは上司に対して色々と愚痴を言っていて、代弁して曲にしたら面白いかなって思って最初は愚痴ばっかり言ってる詞を書いたんです。けど今回アルバムに入れるって事でシンタ君と詞を考え直してたら、「銀行強盗しよう!」ってエスカレートしていっちゃって(笑)。それで出来上がったんですけど、これは銀行員の方が聴いたら気持ち良く思わない人もいるんじゃないかって。けど詞は凄く気に入ってるし。じゃあタイトルを“フィクション”にしちゃえば何となくフォローは出来てるかなって浅はかな考えで(笑)。

−歌詞カードにも「この物語はフィクションです」という表記がありますよね。

O:最初はアウトロのフェイクのところでうたってしまおうかって考えたんですよ、あんまりやってる人いないし面白いなって。けどそうやっちゃうとそれまで冗談に聴こえて怒られちゃうんじゃないかって思って(笑)、うたうのをやめました。でも凄い気に入ってますね、サウンドもスキマスイッチの中で凄く新しいと思いますし。



−そして次が『さみしくとも明日を待つ(Album ver.)』になる訳ですが、この曲はGRAPEVINEさんとコラボレートした曲です。今回のアレンジっていうのは?

T:実はこれが元で、素の状態で収録した感じですね。シングル(『全力少年』のカップリング)の時は僕らふたりで作ってたデモの形だったんですよ、(曲の長さが)このサイズであの位置でフェードアウトしてって感じで。本当は先に『さみしくとも明日を待つ(Album ver.)』の方を出したいなって思ってたんですけど、「カップリングで7分は長いだろ!」ってのもあって(笑)。アルバムでじっくり聴いて欲しいなってのもあったので、それならもう一回メロディ繰り返そうかってアレンジしていきましたね。

−この曲の最後、「僕は」の後に壮大なギターソロに入りますが、詞のその後のストーリーを想像させられる終わりになってますよね。

O:嬉しいですね。「僕は」の後に、タイトルが来る・・・、のかな?みたいな(笑)、色々考えてもらえると嬉しいですね。これも古い曲でデビュー前からずっとライブでやってた曲なんですけど、その時からずっと「僕は」の後はこう来るんです!とか熱く語ってました。スキマスイッチの中では珍しいタイプの詞ですね。

−ちょっと抽象的な感じがありますよね。

T:先に出すよりかは後に出す方がいい楽曲ですよね。特に『全力少年』の後に聴くと、より色んな意味を考えてもらえるのかなって、「何かの意味があるんだろう」って。ああいう歌詞って昔から好きなんで、ちゃんと機を見て出せば聴いてもらえるんだろうなと。

−詞は共同作業で作っていくんですか?

O:そうですね、基本的には。ベーシックはどちらかが書きますけど、それをそのままという事はなくて、絶対にふたりで。いじるのが少ないにしても助言などを必ずお互いにしますね。

−この曲はベースが常田さんですよね。ベースがどちらかというのは結構分かりやすいのかな、と思うのですが?

T:最近はみなさん、結構間違えてますね(笑)。『夏雲ノイズ』の時は分かりやすかったんですけど。

−『水色のスカート』なんかも常田さんなのかな、と思ってましたが・・・?

T:それは大橋君なんですよ(笑)。その辺も想像してもらえると嬉しいですよね。ただ何処かしらに相手の言葉が入ってるし、特に俺の書いたものは大橋君が歌う時に「うたい難いから」って変わっていったりします。共作でテーマさえあればって作っていくので、どちらとも言えないですけどね、今となっては。

−お互いの詞の特徴を一言で言うなら?

O:シンタ君のは・・・、女々しいですね。基本的に人物像が女々しかったり妄想気味だったり、友達になりたくないタイプです(笑)。

−(笑)。それを受けての常田さんは?

T:そうですねぇ、大橋君は普通の人ですね(笑)。でも感覚的に物事を書いてくるので、俺には書けないなって思いますよね、俺は色々考えちゃうんで。人と話している感覚で書ける、珍しいタイプだと思います。それこそ歌詞が欲しい時は頼みますし。

−結構自由にやれているんですね。

T:そうですね、その中で自分も大橋君っぽく書いてみたり、大橋君の人間像を映して書いてみたりとかもやってますし。むしろ大橋君が俺の歌詞をうたった時に、これが大橋君の考えなんだってみんなが想って聴くのが俺は好きで(笑)。「何て事をこの人はうたってるんだ!」っていうのがありますね、黒幕的な。

−(笑)。そういう歌をうたうっていうのは大橋さん的には?

O:嫌ですよ!(笑) 歌をうたう事自体が嫌なんじゃなくて、そう想われる事が嬉しくない時はありますね。やっぱり僕の恋愛観だったら絶対にタブーな事だったりもあったりするんですよ、ふたりともそこも全然違ったりするんで。詞としては凄く良くて僕もその気持ちは分かる、でも僕ならこうしないっていうのもある訳ですよ。でもそれを僕がうたう事によってリスナーの方は僕の言葉だって思ってしまうじゃないですか、「あ〜、あの人はトースターを捨てられないんだなぁ」って。それが嫌というか・・・、尺に触るんですよ!(笑)

(一同笑)



−なるほど(笑)。次の曲、『キレイだ』はw-inds.に提供した楽曲ですよね。改めてスキマスイッチとして演奏する上で注意した事などありますか?

O:やっぱり形としてひとつ出来ていて、それを世の中の人たちは『キレイだ』って認識している訳ですから、いい意味でそれを壊したいなって。イントロが始まった瞬間に「あ、『キレイだ』だ。スキマスイッチも歌ってるんだ」って絶対言われたくなかったんですよ。それはw-inds.さんの方で聴いた人が何処かで僕らのを聴いた時に、Aメロが始まって初めて「あ、これ『キレイだ』だ!」って思って欲しいなって。

T:w-inds.さんが凄く大事にして下さっているので、尊敬の意を込めて壊そうって。下手に似るとw-inds.さんにも悪いですし、その辺は重々理解した上でセルフカバーするので、“ありがとう”という意味で壊す。後は丁度、演奏した面子が頭の中にひとつのネタとしてあったんですよ、「この人たちでやりたいな」って。バンドっぽく1曲やりたいって言った時と『キレイだ』のアレンジを考えている時が丁度同じ時期だったんです。壊してもらうんだったら自分たち二人よりもバンドっぽく壊す方が面白いなと思ってこういう形になりましたね。


−また、今後楽曲提供してみたいアーティストなどいますか?

O:ジャッキー・チェンですね!

(一同笑)

T:うたうんか?(笑)

−それは広東語?(笑)

O:いやいや日本語で!西城さんの歌とかよくうたったりしてるらしいので僕らの歌も・・・。『奏(かなで)』はちょっと聴いてもらった事があるんで。ああいう曲はジャッキー好きなんですよ(笑)。

T:それ自慢?自慢だね、「俺はアイツの気持ち分かる」みたいなね。


−ジャッキー・チェンさんの事好きなんですね(笑)。

O:大好きですね!「プロジェクトA」が一番好きなんですけど・・・、あんまり言うと気持ち悪いと思うんでアレですけど、本当に好きですね。

T:結婚しちゃえばいいのにね(笑)。

O:したいもんね!結婚ていうか同じ戸籍に・・・、こう・・・。

T:もういいよ!(笑)


−(笑)。常田さんは?



T:女性アーティストの方ですかね。スキマでは普段大橋君の声で聴いているので、その歌を女性アーティストがうたうのは面白いかなって。以前提供させて頂いたソニンさん(『あすなろ銀河』)の時も楽曲が化ける感じがして面白かったから、これからも機会があれば。勿論、色んな方にやってもらいたいですし、大橋君の歌を他の方のアレンジで聴いてみたりもしたいですね。やっぱり二人なんでそこはどんどん動きたいですね。

−なるほど。次の『かけら ほのか』は少年期を懐かしむ夏の楽曲です。おふたりの少年期というのは?

O:ホント歌詞の通りに色んな所に遊びにいって結構遅くまで走り回ってました。

T:そんな大橋君のような感じではなく・・・、俺は家でじゅくじゅくと・・・、ってそんな事もないんですけど(笑)。まあ遊んでましたけど、大橋君のようにピアノを習っていた男の子を、「女みたいな事やってんじゃねえよ!」みたいに言ってた憶えがあって、そんな少年でしたね、音楽にまったく縁がない・・・。

O:おかしいですよね(笑)、別に(ピアノは)女っぽくないんですよ。大体ピアノを弾く作曲家って女の人は少ないじゃないですか。男の弾く物なんですよ、本当は!アレは男の楽器ですよ!

−限定する物じゃないと思いますが(笑)。おふたりにとって少年期はいい思い出ですか?

O&T:いい思い出ですね。

−次の『目が覚めて』では山弦のおふたり、小倉博和さんと佐橋佳幸さんを迎えています。このふたりにギターを弾いてもらおうと思ったきっかけは?

T:単純に1ファンというのもありますし、丁度去年のアレンジを色々考えている時期に一番聴いていたアルバムが山弦さんがプロデュースした大貫妙子さんの『note』でした。後は『冬の口笛』で佐橋さんに参加して頂いたっていうのがあって、それなら山弦さんでもやってくれるんじゃないかって勝手な思いもあったりして。もっと言うとこの曲は3年前くらい前に大橋君が持ってきた曲で、大橋君が飽きちゃってたんですよね、うたいまくってたみたいで。「アルバムに入れるのもやめようよ」って言ってたくらいだったんですけど俺は好きで、山弦さんはプロデュースっぽいアレンジもやってらしたんで、そういう匂いもちょっと入れつつスキマスイッチとして出来たらなあって。

−この曲の詞は1曲目の『君に告げる』と繋げて聴くと、より寂しい感じが膨らんできていいなって感じました。

O:これは本当に眠りから覚めるっていうのもありますし、自分の描いていた夢から覚めてしまうというのもあったりして、全てが嘘かもしれないし妄想かもしれない。色々な意味を込めて書いた曲なんですけど、シンタ君が言った通りうたい飽きてしまっていたので最初は何とも言えなかったんですが、山弦さんに弾いてもらったトラックを聴いて「このままギターもう一本入れてもらえば、僕うたわなくていいんじゃないかなぁ」なんて思ってました(笑)。でも詞の世界に引っ張られたところがあって、いつもはレコーディングの時は立ってうたうんですけど、この曲は座ってうたったんですよ。何かすっきりしない詞の世界に引き込まれて、実際に電気も暗くして座って。これは昔にシンタ君と同じ部屋で話し合いながら書いた詞なので、お互いの恋愛観を知った曲ですね、「うわ、そんな奴なんだ!」とか(笑)。だから思い入れはあるんですよね、凄く。

−次の曲、『飲みに来ないか』はシングルにしてもおかしくないくらいアッパーでキャッチーな曲になりましたよね。

O:ありがとうございますっ!

T:ハハハハッ!

O:この曲はそういって頂きたかった曲で(笑)。

T:(大橋が)来る前にふたりで打ち合わせして「こう言ってくれ」って話してたんですよね?


−あ、俺と打ち合わせ済みだったんだ!(笑) この曲の思い入れというのは?

O:『全力少年』を発売したタイミングの時に、本当はこの曲をシングルとして切りたかったんですよ!(次は)アップテンポの曲を作りたいねって話だけあって「こんな曲出来たよ」ってシンタ君にプレゼンしたんです、構成もしっかりした状態でギターと歌が入っているMDを渡して。でもそのMDには2曲目として『全力少年』のデモ段階のも入ってたんですけど、そっちのAメロの部分が凄く気に入ったらしくて、「これを作っていきたい」って。だから僕としては「絶対負けない!」っていう対抗意識がありましたね、『全力少年』ってやつに(笑)。そういう想いがあったんで、そう言って頂けると「これでシングルカットできるな!」って。

−結果的には面白い楽曲になりましたね。そして最後に『雨待ち風』が収録されて、全11曲のアルバムに仕上がりました。このアルバムはおふたりにとってどのようなアルバムになりましたか?

O:今の僕らの歳、27〜28歳の時のスキマスイッチっていうアルバムの1ページができたかなって気がして。『夏雲ノイズ』の時は名刺代わりとして聴いて下さいって言ってたんですけど、そこから1年歳をとって僕らと同様に音もちゃんといい意味で歳をとって、成長してるかなってアルバムになりましたね。

T:その通りだと思いますし、一言でいうなら「セカンドアルバム!」。作っている時も成長しているって実感を感じながら作業する事ができたので、セカンドアルバムの中のセカンドアルバムになりましたね。


−分かりました。それでは今後についても伺いたいのですが、7月には「ap bank fes'05」に出演しましたが、この経緯というのは?

O:これはお話を頂いた時に出演を迷ってました。Mr.Childrenさんは大っ好きですから感情的にはめちゃくちゃ出たいって思ってたんですけど、一緒のステージに立てるのは夢だったんで。でも最初はap bankという主旨がちゃんと把握できてなかったんで、その状態でフェスに出てもいいのかなって迷ったんですけど、小林武史さんから直接主旨を聞かせてもらったので色々と見えてきました。でも聞けば聞く程、「僕らにお手伝いできるのかな?」ってくらい大きな事だったんですけど、今の僕らにできる事があるんだとすれば、お手伝いしたいなって事で受けさせてもらいました。



−9月の終わりからは「スキマスイッチ・ツアー'05「全国少年」」が始まりますが、このツアーはどういった物に?

O:これは去年のファーストツアーの時よりも色々な所に行かせてもらえるし、大きい場所でやらせてもらえるので「どうしようかな?」って思ってますけど、ひとつだけ絶対に貫きたいのは“アットホームな空間を作りたい”。それはファーストツアーより以前、スキマスイッチがライブを始めてからずっとテーマとしてやってきた“自分たちの部屋に遊びに来てもらった人に「ちょっとこの曲聴いて?」って聴いてもらうようなスタンス”でずっとやってるんで、それだけは壊したくないなって。後は広いステージでは走り回ってみようかなって思いながら・・・。

T:ローラースケートでね(笑)。


−じゃあ常田さんはショルキーで。

T:ショルキーで背中合わせってのが一番憧れますよね(笑)。やっぱりこういうアルバムを作ってたくさんの音が入ったんで、それをいかに再現してかつ壊していくかっていのが楽しみですね。後は曲が増えてお客さんにネタバレされにくくなったっていうのが嬉しくて。昔は「次アレだな」ってバレちゃうんで、そういう意味でも色んな意味で裏切っていきたいです。前回はセットリストが全部同じだったんですけど、今回はちょっと変えて場所々々に併せてやっていけたらいいなって思いますし、その流れを汲んでライブアレンジしてみたり、色々とアプローチできるようになってきたんで、今から凄くワクワクしてますね。

−それでは今後の抱負は?

O:歳を追うごとにその時のスキマスイッチというのをアルバムで残していけたらいいなって。その時にやってた事ってその時にしかできない、その日の歌ってのはその日にしか録れなかった物だと思ってるんで、そういうのを後から並べてみて「こんな時こんな事やってたのか。恥ずかしいな」って思うのも楽しいでしょうし、自分の写真みたいな物を残せていけたらいいなと思いますね。

T:長くやっていたいなって思います、内にも外にも。内には色んなクオリティだったり面白い音楽を追求していきたいですし、外には楽曲提供やアレンジプロデュースでもいいですし大橋君がうたいに行ってもいいし、「スキマスイッチは何でもやれるな」って言われるような。大体どっちかの活動しかやらないアーティストって多いと思うんですけど、僕らは全部楽しんでやりたいですね。イベントやセッション、テレビでも何でも呼ばれればできるようなスキルを身に付けたいですね。


−分かりました。本日はありがとうございました!

T:・・・1曲ずつでしたねぇ。あんまりなかったんでライナーノーツみたいで嬉しかったです(笑)。

Interviewer:杉岡祐樹