早くも折り返しを迎えた2010年、彼らは都内だけでも渋谷C.C.Lemonホールや下北沢SHELTER、日比谷野外大音楽堂などでワンマンを行ってきた。どの会場も超満員の観衆を動員し、出し惜しみ皆無の全力ライブを続ける。その間にシングルやアルバムのリリースもと、まさに大車輪の活躍で激走する怒髪天が、5月から全国を巡ってきた大規模なツアーのセミファイナルとして用意した舞台が、ここ新木場STUDIO COASTだ。
同会場でのワンマンは初のこととなるが、低音の鳴りが特徴的なこのステージだ。ライブはハードロックにいじましい愚痴みたいな詞を掛け合わせた『ヤケっぱち数え歌』よりスタートするのだが、ツアーを経て5kgほど増量したという坂詰克彦(dr)が踏みつけるバスドラムに、ダンサンブルな輪郭が隆起したサウンドに、身体の芯まで揺さぶられていく。怒髪天がCOASTにもフィットするなど、誰が想像しただろう。「よくきたー!」。右手を頭上でグルグルと回す増子直純(vo)も、本当に楽しそうだ。
最新アルバム『オトナマイト・ダンディー』では、「“怒髪天ができる”とか“怒髪天らしい”を全部ひっくり返してやろう」と語っていた増子だが、確かにこの日の序盤。エヴァーグリーンな疾走感が心地良い「俺ときどき・・・」や、人力エフェクトによる音像が不思議な感触の「ふわふわ」など。同作に収録されたチューンも織り交ぜることで、これまでにはないテイストを生み出していく。さらに、その直後には「不惑 in LIFE」「GREAT NUMBER」と強烈なサウンドを打ち鳴らす死角無しのアクトで、一見さんもコアなファンも平等に驚喜させていく。
そんな観衆の笑顔に、「お前ら最高だ。天才。人をノセる天才」と増子が照れた表情を見せれば、後のMCタイムを担当した坂さんは「Ladies & Gentlemen,We are DOHATSUTEN〜!!」と椅子の上に立ってご挨拶。さらに、この日は“サーフィンタイム”と題して、映画「パルプ・フィクション」で知られる「ミザルー」や榊原郁恵の「夏のお嬢さん」といった仰天のカバーまで披露し、気合いの入ったステージを繰り広げる。
7月14日リリースのニューシングル『真夏のキリギリス』で、何ていうか、涼しいまでは行かないけど暑苦しくはない。湿度はあるけど心地良くもあるような、まさに“日本の夏”なグルーヴで会場を盛り上げると、終盤は代表曲のオンパレードへ。アンコールにも気前良く応え、サンバなリズムに2300人が狂喜乱舞する「セバ・ナ・セバーナ」でハッピーな盛り上がりは最高潮に達した。
Wアンコールは坂さんのMCに始まり、「(感謝の言葉は)一言じゃ絶対、収まんないよね」(清水泰而(b))、「今日は暖かいので、スゴく指が動きます!」(上原子友康(g))。それぞれが改めて観衆に感謝(?)の言葉を告げると、最後に登場した増子は「一生懸命、渡したいモンを渡せたと思う」と、感無量の表情で何度も頭を下げた。今日で満タンになってもまた減るから、また来い。観衆ひとりひとりに「名前を言え」と叫ぶと、この日の締め括りとして、「ド真ん中節」が鳴らされた。
立っていることすら覚束なくなるほど渾身の力を込めた轟音に、2300人の大観衆から無言の拳が上がる。流行らないバカヤローだと自認する40過ぎのバンドに呼応する、パノラマ状に広がった若者たち。今の時代を生き抜く彼らに、“オトナはサイコー!”と本気で信じさせてくれるモノが、他にあるだろうか。“強きを挫き、弱きを助く”のがかつてのヒーローなら、“強きに舌を出し、弱きと共に歌う”、それが現代のヒーロー 怒髪天なのだ。「生きてまた、逢いに来い」。増子が最後に放った言葉は、多くの若者に今、最も必要なあたたかさなのかもしれない。
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◎怒髪天 リリース情報!

シングル『真夏のキリギリス』
2010.07.14 RELEASE
TECI-221 1200円(tax in.)
怒髪天 シングル『真夏のキリギリス』を購入する

◎DVD『リズム&ダンディー “Dメン2010 日比谷より愛をこめて”』
2010.07.14 RELEASE
TEBI-48146 4800円(tax in.)
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Live Report:杉岡祐樹
Page Design:佐藤恵