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宇多田ヒカル ライブレポート

宇多田ヒカル 【WILD LIFE】ライブレポート
【WILD LIFE】
2010.12.09(thu)
at 横浜アリーナ
01.Goodbye Happiness
02.traveling
03.テイク 5
04.Prisoner Of Love
05.COLORS
06.Letters
07.Hymne à l'amour 〜愛のアンセム〜
08.SAKURAドロップス
09.Eclipse(Interlude)
10.Passion
11.BLUE
12.Show Me Love (Not A Dream)
13.Stay Gold
14.ぼくはくま
15.Automatic
16.First Love
17.Flavor Of Life -Ballad Version-
18.Beautiful World
19.光
20.虹色バス
 
En1.Across the Universe
En2.Can't Wait 'Til Christmas
En3.time will tell

 世界には色々な人がいて、分かり合うことは出来ないけど、みんな普段感じていることは同じなんじゃないかと思って。小さなことで悔しんだり、悲しんだり。ちょっと褒められただけで嬉しくなったり。みんな一緒なんじゃないかと思うんだ――――――。『虹色バス』を歌う前、彼女は満面の笑みでそう語った。


 くまちゃん型ロケットが宇宙から地球に落下。ロケットの中からは、くまちゃんが現れ、「あ〜夕日がきれいだなぁ」なんて声が聞こえてきそうな程、のどかな地を満喫している。すると、くまちゃんが自らの頭を取り、中からは宇多田ヒカルが!!……なんていうストーリー仕立ての映像がスクリーンに映し出された途端、会場の中央に設置された円形ステージから、『Goodbye Happiness』のイントロと共に本人が登場。悲鳴にも似た歓声の中、「あの頃へはもう戻れないね」と熱量を上げていく彼女は、なんだか少し緊張しているようにも、溢れ出しそうな感情を必死で押さえているようにも見えた。

 「今日はデビューから12年目の記念日です。長いような、短いような…不思議な12年だったなぁ。12年前、今日こんなに大勢の人の前で歌えると思っていなかった。本当に私は幸せ者です。ありがとう」12年の軌跡を振り返るように、一言一言を噛み締めるように、感謝の想いを告げる。

 「ヒッキー!」「大好きー!」間髪入れずに飛び交う黄色い声援。それに応えるよう「私がおばさんになってもヒッキーって呼んでくれるのかなぁ(笑)…おばさんになったらライブやろっ」と茶目っ気たっぷりの笑顔を見せるヒッキー。エディット・ピアフのカバー曲『Hymne à l'amour 〜愛のアンセム〜』では、(美しすぎて)恐怖すら感じるほどの深い愛情を表現し、「よっしゃ!いくか!」と気合を入れてピアノに向かった『SAKURAドロップス』では、女性ならではの感情の起伏を表現するなど、その多彩な変貌ぶりで聴き手のハートを射止めていく。

 そして、第2章の幕開けを知らせるように、キーボードやマニュピレーターなどによる轟轟たる音が響き渡り、信号色の照明が縦横無尽に客席を射していく。さっきまでの幻想的な雰囲気とは一変して、まるでダンスフロアのような熱気を見せる横浜アリーナで、ピンクのワンピースを身に纏った彼女は、腕を高らかに上げながら「未来はどこまでも続いてるんだ」と勇ましい歌声を真っ直ぐに伸ばす。「あ!今日まだやってなかった!私としたことが!」と、お馴染みの“ボンジュール”コール&レスポンスを繰り広げたかと思えば、「体力が最後まで続くか不安だわ。みんなと一緒に元気をチャージしたいの。一緒に歌ってくれると信じています」と『ぼくはくま』の大合唱まで。ハッピーグルーヴを隅々まで充満させたところで、多くの人が待ち望んでいたであろうあの曲をスタートさせた。

 イントロだけで大きな拍手と歓声が沸き起こったデビュー曲『Automatic』。15歳の頃よりもエモーショナル且つ切ない歌声を響かせると、続く『First Love』では憂いを帯びた歌声で心地良い緊張感を作り出す。「昨日はMCを用意していなかったんだけど、自然と話せてバランスの良いライブだったんだぁ。でも今日は何て言っていいか分からない時があって………………。別に引退するわけじゃないんだよ。本当にそれはないんだけど、ちょっとの間お休みするから、しばらくライブもないと思うと………」そう言葉を詰まらせながらも、冒頭の想いを語り、「有名なヒット曲とかではないんだけど、この場所で歌えることを楽しみにしていました」と『虹色バス』を披露。赤、橙、黄、緑、青、紫のライトを浴びながら穏やかな表情で「もっと声を聞かせてよー!」「もっと、もっとだよぉー!」と叫び、オーディエンスの声を全身で受け止めていた。

 アンコールでは、8日がジョン・レノンの命日だったこともあり、アコースティックギターを奏でながら『Across the Universe』を歌唱。Tシャツ×ジーパンというラフなスタイルで、無駄な感情なんて一切ない丸裸の心で、大好きな歌を丁寧に響かせていく。ファンの「ありがとう!」という言葉には「こちらこそ本当に、本当にありがとう。凄く凄くみんなの愛を感じます」と嬉しそうに返し、少し早いクリスマスプレゼントとして『Can't Wait 'Til Christmas』を。

 「来年から休むっていうのも、自分を見失いかけていた時期が沢山あって。自分を大切に出来ていなかったなと思ったの。それを色々な出逢いで気付かせてもらった。自分を大切に出来ないのに、周りを大切には出来ないと思ったの。だからこれからは、自分を大切にして、周りの人も大切にしたいと思う。なので、みんなも自分を大切にしてくれればいいなと思います! 今日は本当にありがとうございました!」

 特別な夜を締め括る1曲として、“時間がたてば分かる”“明日へのずるい近道はないよ”と『time will tell』を今日一番の熱量で届けていく。ステージをぐるぐると回りながら、お辞儀をしたり、手を振ったり。演奏が終わってからも溢れんばかりの“ありがとう”を振りまき続けた彼女は、最後に数秒間上を向いた後、どこかスッキリとした表情でマイクをそっとステージに置いた。
 「伝えたい!」という感情を剥き出しにして、終始“感謝”の想いを真っ直ぐに届けていた約2時間半。「みんな一緒」なんて言い切ってしまう彼女だからこそ、こんなにも大勢の人と、心を繋ぎ合わせることができたのだろう。宇多田ヒカルは必ずパワーアップして帰ってくる。主役が去った会場は、そんな確信を胸に抱く満面の笑みで溢れ返っていた。

宇多田ヒカル ライブ写真

Live Report:武川春奈
Page Design:佐藤恵