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Akeboshi ライブレポート

   
   
Akeboshi
【[Roundabout]リリース記念ワンマンライブ】
2008.07.22(TUE)
Shibuya DUO -Music Exchange-
   
   
   
SETLIST:
SE.Collie gan crann〜Village stone〜
01.フクロウ
02.Sky In the Pond
03.Along the line
04.Night&Day
05.Wind
06.The Cliff
07.Hey There
08.Writing over the sign
09.Tall boy
10.Seeds
11.廃墟のソファ
12.One step behind the door
13.White Reply
14.Winter High〜Aggressive Silence(INST)
15.The Audience
16.Peruna
17.Sounds
18.Yellow Moon
19.A Nine days wonder
En1.Rusty lance
En2.leaf on leaf
WEn1.秋風のうた
   
   
   
   
 
Live Report:平賀哲雄
Page Design:杉岡祐樹
   
   
 アイリッシュの調べにその胸をときめかせながら影絵の一部となったその男は、めくるめく世界の中でやさしく、激しく、ピアノを弾き続ける―――。そんなアーティスティックな演出が施されたオープニングを経て、その姿を現したAkeboshiは、6人の音楽奏者と共に旅のようなライブを始める。「今日は30代最初のライブなので、楽しいライブにしたい」と本人も言っていたが、彼とその仲間たちが奏でる音楽は、アイリッシュ特有の郷愁美、儚さや切なさを匂わせつつも、ここが酒場であればそれこそポチーンやウィスキーの煽り合いになってもおかしくない、極上の心地良さでこの空間を覆いつくしていた。で、なぜそんなに幸福感いっぱいのライブになっているのかと言うと、この度、明星家に赤ちゃんが生まれたんだそうだ!その報告を、か細い小さな声で、でもその嬉しさはどうしたって伝わってきてしまう声で、聞かせてくれた。そして何の曲紹介もなしに彼は『Hey There』を歌い出したのだが、なぜ彼がこのタイミングでこの曲を披露したのかは、耳を澄ませばすぐに分かった。これは家族の歌。まぁ本人は「大袈裟な…」と言うかもしれないけど、父としての覚悟とも感じられる歌がそこにはあった。

  「年間に10ヶ月間は曇りや雨」というリバプールに在住していた時代の話を始めるAkeboshi。放っておいたらそのまま死んでしまうに違いないと思われたホームレスに、毛布やごはんを買えるようにそれなりに大きな金額を渡したところ、後にそのホームレスがワインやら大麻やらを買い込んで大盤振る舞いで騒いでいたそうな。そんなことがあたりまえのようにある街で出会った、スタンというハープ弾き。彼に何度もその心を救われた話をしながら、Akeboshiは『廃墟のソファ』を歌い始めた。日本で食べるモノにも着るモノにもさほど困らない僕らには“まるで映画の中のワンシーン”のようなその歌を、彼は映画ではなく正真正銘の現実で得た実感から生まれたものとして伝える。また続く曲も、イスラエルの友人が母国に戻り戦争へ行くか、二度と母国に帰らず亡命し外国を旅し続けるか、その選択に迫られているという現実から生まれた歌『One step behind the door』。生命と心の行き先をすぐに決めなければならない者の葛藤。生まれながらに背負った運命を受け止めるのか・抗うのかの戦いが今目の前で、激しき怒りのような音楽としてズシンと響き渡る。Akeboshiの音楽がアイリッシュの継承だけに留まらない理由、彼の音楽が単なるヒーリングに収まらない理由、彼が探し続け、突き詰めようとする音楽の存在意義がそこにはあった。
  ライブが終盤に差し掛かると、彼が音楽を担当した映画「ぐるりのこと。」の主題歌『Peruna』が披露された。隈無く心地良い音色だらけのその曲は、人を信じるには浅はかすぎる時代に生きる僕たちのこと。そんな世界の中でいくつもの夢を撃ち落としながら愛を探している人たちのことを歌う。理由は分からないけど、込み上げる涙。こじ開けられる心。そんな僕らの状態を知ってか知らずか、彼は「言葉じゃなく 常識じゃなく 宗教じゃなく 歴史じゃなく 届け」と、その音楽さえあればどこへでもどこにでも行けると言わんばかりにこの会場を、この世界を、僕らの心の中を駆け巡る!

 どう聞いても“賞賛”の拍手と歓声に包まれながらステージに再登場したAkeboshiは、先程より熱の帯びた音の流れの中で気持ち良さそうに泳ぎ始める。もちろん僕らも。そして「気持ち良さついでにもう1曲!」といった具合で、ライブはダブルアンコールへ。彼は「本当に最後です」と言って『秋風のうた』を歌い始めた。なんて美しくて、人の心を励ます音楽であろう。古(いにしえ)よりある音に今を刻み、光を生む音楽・・・とは、はたして言い過ぎだろうか。
   
Akeboshi OFFICIAL SITE  
 
http://www.akeboshi.com/

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