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ステージ後方、アルバム『Flora』のジャケットに描かれていた、淡く美しい色彩の蝶の絵がぼんやりと浮かび上がっている。渋谷C.C.Lemonホール、アノ渋谷公会堂である。数多のライブハウスで熱狂を生み出し、モッシュやダイブを誘発しまくっているART-SCHOOLが、遂にC.C.Lemonホール初ワンマン。台風4号の直撃を受け、天候は大荒れとなったこの日だが、客席はもちろん、前から後ろまでビッチリと埋まっていた。
この日のライブでは映像と光、音との融合がひとつの見所となっており、夕焼けの海の映像がやがて無機質でランダムな光の模様へと変わっていく『スカーレット』や、木漏れ日のようなライティングが美しい『BLACK SUNSHINE』など、序盤から曲の世界観を際立たせる演出が楽曲を彩る。常々「独自の世界観が…」と称される事の多いVo&G.木下理樹の詞世界〜音像に、より鮮明な視覚効果が加わる事で、会場全体が芸術作品となったかのような、幻想的な空間に変わっていく。
また、G.戸高賢史が『LITTLE HELL IN BOY』でコーラス、そして『Mary Barker』ではボーカルをそれぞれ務めれば、Dr.櫻井雄一はエレキドラムをも駆使して楽曲の音像をより忠実に再現。『Piano』の3連のリズムにのって、アップライトを爪弾くB.宇野剛史など、メンバーもそれぞれ、より高い完成度に導くために、様々なテクニックを用いて楽曲を支えていた。
もうひとつの目玉となったのが、アルバム『Flora』では共同プロデューサーとしてART-SCHOOLのサウンドを手掛けた特別ゲスト、益子樹だ。アルバムでも顕著だったが、彼がキーボードやシーケンサーなどを駆使して奏でる、キラキラとした暖かい音色が、ARTの楽曲が持つ鋭利な冷たさをより、際立たせていく。『Nowhere land』や『その指で』では、ART流ファンクとも言うべきそのグルーヴィンなテイストを助長し、腰にグッとくるサウンドに。
そしてこの日のセットの中でも一番の見所となったのが、益子も参加しての演奏となった『IN THE BLUE』。不規則に羅列されていく数字の映像と、時折訪れる静寂。そしてラスト、堰を切ったように押し寄せる轟音の壁に埋もれながらも、かすかに届く木下の「I miss the girl」という言葉。とんでもないカタルシスを生み出したこの楽曲の後、会場からはこの日一番の大歓声が沸き起こったのだった。
アンコールでは、アコースティックスタイルによる『ダニー・ボーイ』(※)、そしてWアンコールで『斜陽』『車輪の下』と、実に全35曲という圧巻のセットリストで幕を閉じたこの日の模様は、先日発売されたDVD『Tour'07“Flora”Live&Document』でも確認する事ができる。また、同日にはミニアルバム『左ききのキキ』を発売した彼らは、10月よりOGRE YOU ASSHOLEとのスプリットツアー【ART-SCHOOL / OGRE YOU ASSHOLE SPLIT TOUR 2007 〜Massacred Kiki〜】で全国を巡っている。『左ききのキキ』では原点回帰を思わせる荒々しいサウンドをも展開したARTが、新人バンドの中でも並々ならぬ評価を集めているOGREと共に見せるライブ。これもまた、今回のライブとは違った魅力に溢れたステージになっている事は間違いない。ツアーは11月末の渋谷O-EAST公演まで続きますので、音源を聴いて興味を持っている方も是非、お近くの会場まで足を運んでみては如何でしょうか。
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