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突如、武道館に響き渡るド迫力のオーケストレーション。それを聴きながらハンドクラップを始めるオーディエンス。完全にクラシックコンサートの様相を呈したその空間が暗闇に包まれると同時に、湧き上がる歓喜の声。次の瞬間、光に照らされたステージの上には、かわいい一張羅に身を包んだCoccoの姿。軽快なバンドサウンドと共に彼女は勢いよく音楽の海を泳ぎ、気持ちよさそうに音楽の空を飛び交う。やがてそんな彼女の背後から神々しい光がいくつも射し込み、僕らはその光景を、そしてそんな光景がよく似合う歌と音楽をまっすぐに見つめながら、明らかな胸の高鳴りを感じて、微笑んだ。『樹海の糸』、より感情的かつ透明な声で聴くそれは、また大陸や海、空といった自然と共鳴するように鳴り響くバンドサウンドによって奏でられるそれは、なんとも言えない優しさでもって僕らに人の定めを諭した。抗う気も起きない程に、ごく自然に。そんないちいち崇高さ、神々しさみたいなモノをこちらが感じている間に、彼女は左手をバタバタさせながらその体を揺らして、笑顔で歌っている。あめあめふれふれ、かあさんが〜、じゃのめでおむかえうれしいな、ぴちぴちちゃぷちゃぷらんらんらん、ぴちぴちちゃぷちゃぷらんらんらん♪
幻想的な光と音の中でくるくるバレエを踊るCoccoちゃん。あまりの美しさに客席から大きな拍手が巻き起こる。そんな幸せのど真ん中にいる彼女が口を開けて叫んだのは、どうして、あのとき―――という後悔、懺悔。嘘みたいに綺麗な世界の中で、苦しみに頭を垂れる人の姿がじわじわと染み込んでくる。この人の表現は狙いも衒いもなく、ただただあたりまえに真理で真実で、丸裸だ。幸も不幸も隠れていない。「こんばんございます、Coccoです。そうです、私はあっちゃんです」「みんな落ち着いて座ってください」と彼女が言ってみんなが座ると、「おりこうだね」と嬉しそうなCocco(笑)。そしてせっかくなので少しだけ懐かしい曲を歌いますと、椅子に腰掛け、優しい曲を、優しく歌い、優しく聴かせる。そして、愛を求めて、ぶっ壊してた、あの頃の自分に言ってあげたいことがあると、ここにいる女性全員に送りたい歌があると、彼女は『花うた』をとてもとても綺麗な声と表情で真っ直ぐに歌い上げた。「あっちゃん、綺麗だよ〜!」「可愛い!」というみんなからの声に微笑みながら「みんなも可愛いから心配すんなよ!」と、Cocco。続いては、「いろんなことがあるけど、ここまで辿り着けたこと嬉しく思います」と、デビュー10周年を振り返りつつ、最近は木琴を頑張っていますと、子供の頃、大好きなお姉ちゃんと一緒に遊びながら奏でていた木琴と同じ型のモノを使って、『An apple a day』を披露。一音一音いちいち笑顔にさせるその木琴の音はとても穏やかで、爽やかな風を僕らの心に送り込んだ。そしてバンドメンバーを紹介して、「以上、この6名で、武道館からお届けしていまーす!」と満面の笑顔で叫ぶCoccoに、なんかいろんなもんが弾け飛んだ。すっごい力。そのすっごい力は、すっごい音とすっごい光になってみんなの体と心を照らし、更にすっさまじい力を呼び起こす。Coccoは全身全霊で、明確な意思を持って、音楽の力を借りて、届けたい想いを届け、伝えたい気持ちを伝えていく。
もう上がるだけ上がったところで、鼓膜を刺激するディストーションとピカピカ光る赤いサイレン。でもって、Coccoの脳天から爪先まで激しく突き刺さるシャウト。ここに来てグランジーなうねり、狂気的な叫び、首がもげるんじゃねーかと思うほどの激しい動き、立ちつくすオーディエンス。熱量の凄まじさはそれまでのステージと一貫されているが、ハッキリ言って同じアーティストのライブとは思えないほどの愛らしき狂いっぷり、壊れっぷりである。でもやっぱりみんなと一緒にタオルを振り回しながら「タイムマシーンに乗って〜♪」と、笑顔で歌うCoccoも愛らしい。てか、なんだ?今この空間に溢れ出てるトキメキ感みたいなもんは!あ、それは今Coccoがとんでもなく無邪気で可愛いからか。みんな、よく飛び跳ねること、飛び跳ねること。
「自分を育んでくれた沖縄と、夢を叶えさせてくれた東京、両方が大好きです」「東京に世話になってる沖縄人として、恥ずかしくないように精一杯歌いたいと思います。みんな大好きです」自分の夢を叶えてくれた大好きな街、東京への愛情を語った後、彼女は「悲しみはいらない。優しい歌だけでいい。あなたに降り注ぐ全てが正しい優しいになれ、正しい優しいであれ」と、強き祈り、願いのような歌声を響かせた。その後、彼女はアカペラで『チョッチョイ子守唄』を口ずさみ、「ハッ!」という掛け声と共に力強い舞いを披露。イーヤーサーサ!と、強烈な存在感でもって島唄を響かせる。イントロからCoccoの熱っぽい叫び声が鳴り響く形で披露されたのは『強く儚い者たち』。ここに至るまでの流れが強烈だったからだろうか、または、Coccoの想いがフルオープンだったからだろうか、とにもかくにも今日ここで聴いたそれは凄まじく痛烈だった。人の強さに感じる儚い気持ち、それに涙したり、怒りを覚えたりする人という生き物。醜くも映るその真実をとても美しく、凛々しく、彼女は歌い上げていく。続く『Never ending journey』でも、出せる限りの声で、溢れかえって仕方のない想いを遠く、高く、強く歌い叫ぶ彼女の姿に、僕らは感動して震えるばかりであった。「ありがとう!」と大声でCoccoは叫んでいたが、それはもうほんと、いわゆる「こっちのセリフ」ってやつである。 |
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