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平原綾香 ライブレポート

   
   
平原綾香
【平原綾香 Concert Tour2007 〜そら〜】
2007.07.01(SUN)
東京国際フォーラム
ホールA
   
  SETLIST:  
   
01.Wall
02.誓い
03.Everyday
04.Gradation
05.Smile
06.歌う風
07.感謝
08.Fonk My Nola
09.I Love Your Smile
10.虹の予感
11.Circle Game
12.Re:Pepper
13.しあわせ
14.夢暦
15.君といる時間の中で
16.Jupiter
17.明日
18.シチリアーナ

En1.そら
En2.ありがとう
En3.Come on a my house
   
   
   
   
Live Report:元井庸介
Page Design:杉岡祐樹
   
   
 
 
 真っ暗なホールの中に、突然“そら”が広がった。『Voyagers』のイントロが流れる中、ステージの前に張られた巨大スクリーンの上を雲が滑って行く。次々と映し出されるスタッフのクレジット。【平原綾香 Concert Tour2007 〜そら〜】の最終公演は、まるで映画のオープニングのように幕を開けた。この春大学を卒業した彼女にとっては、きっと特別な意味を持つ今回のツアー。その決意の表れか、音楽だけでなく舞台演出も手掛けたというこの夜のコンサートは、彼女が表現者として新しいステップへ上った事を証明していた。

 5thアルバム、そしてツアーのタイトル通り、コンサートのコンセプトは一環して“そら”。青い光が激しく点滅する中、雲のように白い衣装に身を包んで登場した彼女は、アルバムでも序盤を飾る『Wall』、そして『誓い』を歌い上げ、観客を音楽の世界に誘い込んだ後、「最後までお付き合いください」と言ってペコリとお辞儀をした。絡み合いながら響く『Everyday』のストリングス。ここからは東京国際フォーラムは一気に空高くへと上昇して行く。

 身体全体から発振しているような、チェロの音にも似た低音と、天高く昇って行く伸びやかな高音の歌声を使い分け、切なくも暖かいストーリーを綴って行く歌声を聴いていると、まるで空の上からこの曲の主人公達を見守っているような気持ちになり、どうしようもなく胸が締め付けられる。続く『Smile』、『歌う風』ではステージ上のセットに足を組んで座り、自身の内面世界から丁寧に言葉を汲み上げて行く平原綾香。アコースティック楽器を基調としたサウンドと、ステージ後方に映し出された空の映像。穏やかな空間に身を任せ、しばらく目を閉じて聴き入っていると、「あなたがいれば 私、歌う風になれる」という言葉が飛び込んで来た。“そら”の上を自由に飛び回り、そっとメッセージを届けて行く今の彼女は、まさに歌う風。アーティスト・平原綾香が一体何を目指し、何になろうとしているのかが、この瞬間感覚的に伝わって来た。

 次に歌う『感謝』は、新婚予定の方の為に作られた楽曲。そのため今回のツアーでは36公演すべての会場で、結婚を控えたカップルを招待するというスペシャル企画を行っていたのだそうだ。今夜このライブに招待された新郎と新婦の名前を彼女が読み上げると、客席から「おめでとう!」と温かい祝福の言葉が飛び交う。その後、「私にも紹介したい人が居ます」という言葉に、場内は一瞬静まり返ったが、紹介を始めたのはバンドメンバー。思わせぶりな流れに観客から笑い声が起こり、ホールには和やかなムードが流れる。彼女が歌う『感謝』と共に、全員が新郎と新婦を祝福した後は、バックを務める“そらバンド”のファンキーな演奏でパーティーへ突入!!大学で専攻していたサックスを手にした彼女も演奏に加わり、「この春、大学を卒業しましたー!」と叫ぶと、客席からは大歓声と手拍子が巻き起った。高らかにサックスを吹き鳴らし、ステージを動き回って歌う『I Love Your Smile』に、座っていた観客も思わず立ち上がってヒートアップ!!こんな風に観客を盛り上げる姿も、歌う事に専念している時とは一味違う、コンサートならではの彼女の魅力的な一面だ。たて続けに『虹の予感』『Circle Game』『Re:Pepper』へと繋ぎ、観客総立ちのコンサートは続く。

 突然雷雨の音が響き、ステージ後方を黒い雲が流れて行く。不穏な空模様に少し不安に駆られるが、『しあわせ』で歌われる「青空さえぎる冷たい雨にも わたしは優しくなれますか」という言葉が、風景とリンクして温かく心を包み込み、まるで豪雨の日に我が家へと帰って来たような安心感と、穏やかな空気が周囲を覆う。コンサート終盤、夕暮れのように赤いドレスに着替えた彼女が歌うのは、子供の頃、眠りにつく前に人知れず行っていたような、優しくて壮大な祈りに似た楽曲群。静かに『Jupiter』が始まると、ホールの中には夜空が広がって行く。遥か宇宙の彼方から地球を見ているような雄大な歌の世界。やがてそれは『明日』へのささやかな希望に繋がり、クライマックスの『シチリアーナ』へと続く。ステージ前方にスクリーンが降りて来ると、海や砂漠など、自然の風景が映し出され、その向こう側で微かに輝く彼女の影が、揺れながら「静かな今日の終わり」を歌う。ゆっくりと階段を上り、上昇して行く彼女の小さな影は、まるで浮かんでいるよう。幻想的な風景の中、「この風は決して消えない」という言葉がホールいっぱいに響く。やがて音楽が鳴り止むと、スクリーンの上には「Fin」の文字が映し出され、まるで1本の映画を見終わったような本編のエンディングに、客席からは惜しみない拍手が贈られた。

 「ずっと1つの空で繋がっていること忘れないでください」アンコールで登場した平原綾香は、鳴り止まない拍手に向かってそう言った。きっと、言葉に出さなくても、この日のステージを観た人達には、そのメッセージが伝わっていたはずだ。ツアーの最終日に相応しく、空からは風船と紙吹雪。花束を受け取り、本編の緊張が解れたせいか、ステージで転びそうになるのもご愛嬌。こんなに無邪気で、無防備な人がたった今まで壮大なステージを作り上げたのか思うと、驚きと感動がこみ上げて来る。大学も卒業し、アーティスト・平原綾香の旅はまだ始まったばかり。「もう1曲歌わせてください!!」と笑顔で登場した彼女のサックスが、未来を明るく切り開くように高らかに鳴り響いた。


     
平原綾香 OFFICIAL SITE http://www.ayaka-hirahara.com/    

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