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SET LIST

01.花は桜 君は美し
02.真夏のエレジー
03.夢題〜遠くへ〜
04.ニセモノ
05.くちづけ
06.コイスルオトメ
07.ちこくしちゃうよ
08.月とあたしと冷蔵庫
09.カタワレ
10.愛のことば
11.ノスタルジア
12.蒼い舟
13.東京猿物語
14.夏・コイ
15.タユムコトナキナガレノナカデ

En1.ありがと
En2.からくり
En3.地球

『いきものがかり ワンマンライヴvol.5 〜よかった よかった!!!いきものがかり〜』
2005.3.26(SAT) 厚木文化会館 小ホールにて。



 厚木市文化会館。普段からピアノの発表会や吹奏楽部の演奏会、劇団公演に卒業式にと、言わば地域の人たちの集いの場。だから基本的に“ライヴ”、ではなく“コンサート”な場所。と言った方が会場の雰囲気を察することができるのではないでしょうか。ゆえに今日のいきものがかりのワンマンライヴも、ここ(厚木市文化会館)のホームページでは『ポップス系コンサート いきものがかり』と表記されてて、すっごくローカルな匂いがプンプンする。会場入りしてみれば、そんな匂いがさらにリアルに。文化会館小ホールの赤い客席には、子どもから若者、お父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃんと、その客層の幅の広さに驚かされる。大家族が年始に集まるみたいにアットホームな空間だ。それもそのはず。彼ら、いきものがかりのホームなのだから。
 “ライヴ”となれば、会場はちょっとの段差にも気付けず足を踏み外すくらい真っ暗で、あちらこちらに人が溜まってて、何だかせわしない。だから気持ちも焦って、開演と同時に感覚を頼りに文字をつらつらと書きつづけている。でも今日はどこか違う。用意していたメモ帳もペンもひとまず置いて、フカフカの赤い椅子にこの身を任せてみようか・・・。

 「ブーーーーッ」
 満員御礼の会場にブザーが響き渡り、注意事項のアナウンスが流れ始める。帰国子女を題材にしたコントみたいに、カタカナ英語の発音を異常なまでに強調する変わったアナウンサーだな、なんて思いつつ何気なく耳を傾けていた。アナウンサーは至ってマジメに話を進めてるけど、やっぱり可笑しいんだよね。客席からハハハッ!と笑い声も漏れるし、「バナナを投げるな」とか公共の注意事項には程遠い。あ、そういうことね。もうここから彼らのパフォーマンスは始まっていたってわけだ。

 初っ端から憎い演出に一本取られつつ、ようやく会場の照明が落ち、いきものがかりワンマンライヴがスタート。ドラム、ベース、キーボードのサポートメンバーに続いて立ち位置についた、いきものがかりの3人。ステージの真ん中を陣取るは、メインボーカル・吉岡聖恵。ノースリーブのワンピースで現れた彼女だが、女の子女の子してる装いとは裏腹に、1曲目「花は桜 君は美し」の歌い出し、ワンフレーズを歌い始めた瞬間、歌姫としての圧倒的な存在感を放つ。そして、この曲の繊細なメロディラインに沿って響く歌声が、一瞬にして会場の空気が引き締める。切なく儚くパワフルに、その後も曲を披露していく毎に客席の目を惹きつけていく様は、何度も何度もストリートライヴをこなしてきた彼らの賜物だとさえ感じさせられた。
 この日の為に半年前からスタッフらと準備に準備を重ねてきたというだけに、それがついに日の目を見るとくれば、嬉しさもひとしおなのだろう、すでにMAXを振り切ってるんじゃないかと思わせるくらいテンションの高い吉岡、そして、それに負けないくらい楽しくてしょうがないという表情の水野良樹(G)と山下穂尊(G)。微妙に・・・いや、けっこう噛み合ってないMCなんだけど、そこは3人の絶えない笑顔が自然とカバー。しばしほのぼのとした空気が流れていた。そして、魅せて聴かせる曲から一緒に楽しむ曲へとシフトチェンジ。新曲を、と言って披露された「コイスルオトメ」「ちこくしちゃうよ」では、客席の手拍子も相まって、しっとり感を吹き飛ばす明るさに何かが拓けた感じ。きっとこの手拍子で、会場の誰もが、それまでちょっと人見知りしていた心の扉をキィーッと開けたのかもしれない。吉岡、山下が初めて一緒に作詞を手掛けたという「月とあたしと冷蔵庫」。個人的に、何故だかこの曲の持つ世界観にスーッと惹きつけられていった。月と冷蔵庫の明かりにだけ照らされている時の、あの感じが見事目の前に浮かんでくる感覚だ。


 ステージ左に水野ただ1人、スポットライトの下で佇む。これから何が始まるのかと思えば、「カタワレ」を静かに静かに歌い出した。会場には彼の歌声とギターの音色だけが響き渡る。吉岡の透き通った伸びのある歌声に負けず劣らない切々とした想いが溢れた水野の歌声と、1人で創り出す空気感にグーッと引き寄せられたまま呑み込まれそうだった。次にスポットライトが当たったのはステージ右、そこにはアコースティックギターを抱えて椅子に座る山下が。「愛のことば」が披露される。会場には彼の歌声とギターとハーモニカだけが響き渡る。いきものがかりの楽曲ではハーモニカがよく登場するが、この曲はハーモニカの切ない音色が余計合う。そして、2人のソロの後、Tシャツにジーンズというラフな格好に着替えた吉岡も加わり、「ノスタルジア」へ。

 いよいよライヴは本格的な佳境へ突入。いきものがかりメンバーらに煽られて、客席は総立ちとなり、手拍子と共に「蒼い舟」「東京猿物語」とテンポの良い2曲が披露される。特に「東京猿物語」は、演奏、ボーカル、全てにおいてパワフル全開。和太鼓に見立てて叩かれるドラムには圧巻だった。その勢いに乗って、「夏・コイ」では客席からの大合唱で感動と一体感に包まれ、胸がキュンとなるワンシーンとなった。本編ラストは「タユムコトナキナガレノナカデ」。先ほどまでの賑やかさが嘘のように、そして、吉岡の口元から歌となって放たれる言葉ひとつひとつを受けて、先ほどの感動とはまた一味違う感動を与えてくれた。
 拍手は鳴り止まず、アンコールの手拍子に変わる。いきものがかりの3人が再びステージに戻り、まるで今日の日の事を歌うように「ありがと」を披露。「からくり」のハーモニカの音色はいっそう切なく響き、星をバックに披露された「地球(ほし)」で最後の最後に優しくて温かい気持ちにさせてくれた。




 黒板係も配布係も教室の中でただただ仕事をこなすだけ。黒板をキレイにする、プリントを配る、その繰り返し。でも生き物係って、地味に水槽を掃除したりする傍ら、毎日に発見がある。例えば元気のない金魚にいち早く気付いてあげたり。だから知らず知らずのうちに誰よりも愛情持って係りを務めてる誇り高き奴なのだ。
 こっちのいきものがかりは、4月からFMヨコハマの深夜枠でレギュラー番組『寄り切り!押し出し!!上手投げ!!!』のパーソナリティを務め、5月25日には3枚目のCD「人生すごろくだべ。」をリリース。春からさらに突き進んでいく彼らは、きっと生き物係のような愛情を今よりもっと注いでくれるに違いない。
 
Live Report:加藤絵里

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