不意にカメラを向けられ「ブチュ〜として」「チュ〜して」とスクリーン上の倖田クマから指示を受けてキスするカップルや家族。開演前から会場はラブラブムードでいっぱいだ。やがて、アルバム『TRICK』のメインカラーである紫の光がぶっといビートに合わせて激しく揺れ、本日の主役・倖田來未はなんと!ステージの遥か上、天井近くに設置されたピエロ(モニュメント)の口の中からゆっくりと舞い降りる……といった前代未聞の衝撃的な演出でオープニングを飾る。そして爆音に包まれながら彼女が歌い始めたのは、完全戦闘モードによる最高傑作『TABOO』。ライブ用に新たに制作された映像をバックに、貫禄を感じさせる声と表情で僕らを圧倒する。更に最新形ハウスミュージック『Driving』に乗せて、文字通り客席を縦横無尽にドライビングしていく彼女。続く『show girl』では艶めかしいショウガールを演じたムービーを上映し、その世界観をまんまステージ上へと繋いだストーリーの中で『キューティーハニー』『恋のつぼみ』などの大ヒット曲も盛り込んでしまう。もはやちょっとしたミュージカルである。どこを切り取っても明朝の芸能番組、スポーツ新聞、ウェブニュースのネタに成り得る、すべてがセンセーショナルなライブ、ここまで観る者を飽きさせないステージを創れるアーティストは他にいないだろう。そんな彼女の指令の下、客席からステージに連れてこられる4人のファン。その1人1人に彼女は近付いていき、優しく触れていく。そして幸運にも「You」と囁きかけられた女の子は、あまりの喜びに涙。2人ステージ下へと抱き合いながら消えていくのであった。
第2幕、倖田來未はなんとバイクに乗り込んでの登場。しかも空飛ぶバイクで。高所恐怖症もどこへやら、その状態で『Hurry Up!』を高いテンションで歌い叫んでいく。更にダンスもボーカルもエモーショナルの塊のようにぶっ放していく新曲『ECSTASY』で、会場の熱気をひとつの臨界点に到達させたところで『Your Love』『Moon Crying』と彼女の人間性が色濃く出たバラードを続けて披露。こちらもただしんみり聴かせるのではなく、思わず涙を溢れさせてしまうほど感情を爆発させながら歌い上げ、僕らを大いに興奮、感動させた。そして次の曲では「泣いてる場合ちゃうよなぁ〜!」と自らを鼓舞し『Bling Bling Bling feat.AK-69』、日本のシーンへの挑戦としか言いようのない先進的なヒップホップチューンで大いに暴れてみせる倖田來未。そして更なる驚愕。『That Ain't Cool』のイントロと共にファーギーが登場!倖田來未と肩を並べて、触れ合いながら見つめ合いながらオーディエンスを煽っていく様は、まさに圧巻。そしてステージを後にしたと思われたファーギーが、倖田來未のMC中に『Boom Boom Pow』のイントロと共に再登場。しかも彼女の周りにいるのは、ウィル・アイ・アム、アップル・デ・アップ、タブー、これはどっからどう見てもブラック・アイド・ピーズ!その4人の間に倖田來未が立っているという、これまた前代未聞の衝撃的な光景。めっちゃ得した気分(笑)。
第3部の幕開けでは、シンデレラや白雪姫といったファンタジーの世界のお姫様を彷彿させるドレス、しかもエレクトリカルパレード並みのスケールで光り輝く衣装姿で『stay with me』を熱唱。その後もファンクラブのアンケートで“東京で最も歌ってほしい”バラードに輝いた『you』が披露されたり、ステージの中央でウェディングドレス姿に変身し満面の笑みで『Always』を披露したりと、様々な想いや景色を歌ったバラードたちを表情豊かに響かせていく。が、次の瞬間、自ら動かない者に幸せはやってこないと『This is not a love song』を雷の落ちる音に高揚しながら歌い放っていく彼女。気付けばまた別の衣装に変わっており(このブロックはなんと1曲ごとに衣装をチェンジした)しかもラストは椅子の上に座っていたはずなのに一瞬にして姿を消してしまうイリュージョン付き。そんな第1〜3幕まで息つく間を与えない彼女であったが、第4幕では『Winter Bell』を歌いながらケンカしてるカップルに仲直りするように言ったり、ハートマークでいっぱいの世界でめちゃくちゃキュートに踊るくぅちゃんの映像を流したりと、とにかくラブリーモードの中でスタート。そして確実にオーディエンスのテンションを高めていき『Lady Go!』と共に誰もがその手のタオルを振り回しながらくぅちゃん直伝で振り付けまでマスターできるという、楽しい時間を提供していく。更に『Joyful』が響き渡れば、たくさんのカラフルな風船が空から舞い降りて、同時に10000人の笑顔も溢れ出して、心地良い大合唱も生まれる。「輝く向こうの君の笑顔に歌おう!」と感情の限りに叫ぶ彼女。
アンコールでは無造作に運ばれた箱の中から突然飛び出すトリックで登場し、再び『Driving』で使用したマシーンに乗って客席中にサインボールを投げ入れながらヒット曲メドレーを連発。更にはSANKYO「KODA KUMI FEVER LIVE IN HALL II」CMソングでもお馴染みの新曲『Lick me』を、みんなからのハンドクラップを浴びながら、腰を思いっきり振りながら、ゴキゲンに響かせていく。そして昨夜は1時間以上使ったという(笑)MCコーナーへ突入。ダンサーSHINTAを招いて、中学校時代も交えた恋愛リアルトーク大爆発!台本なしで思ったことをとにかく語りまくりながら「背中越しのアイラブユー」「テトリスラブ」など様々なラブコミュニケーションをみんなにレクチャーしていく(笑)。そんな思いっきり“素”をさらけ出した後「みんなの人生に入り込んでいけるような音楽を作っていきたい」「みんなと一緒に歩いていきたい」という言葉をみんなの心に残して、今宵も最後に『walk』を披露。止めどなく溢れ出す涙を拭いながら「ありがとうございました!」とここにいるすべての人へ、ここに今はいない大切なすべての人々へと向けて熱く届けるのであった。そして彼女は雨に濡れながら“to be Continued”次のステージへ。
Live Report:平賀哲雄
Page Design:佐藤恵