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倉橋ヨエコ ライブレポート

   
   
倉橋ヨエコ
【感謝的 解体ヨエコ ツアー】
2008.07.20(SUN)
東京キネマ倶楽部
   
   
   
SETLIST:
01.白い旗
02.鳴らないピアノ
03.感謝的生活
04.卵とじ
05.あいあい
06.盗られ系
07.過保護
08.白の世界
09.マネキン人間
10.友達のうた
11.損と嘘
12.夜な夜な夜な
13.春の歌
14.夏
15.人間辞めても
16.恋の大捜査
17.はないちもんめ
18.輪舞曲
En1.メドレー
En2.沈める街
En3.ジュエリー
WEn1.依存症〜レッツゴー!ハイヒール〜
WEn2.東京
WEn3.楯
   
   
   
   
 
Live Report:平賀哲雄
Page Design:杉岡祐樹
   
   
 18:11。賛美歌の調べに清められた東京キネマ倶楽部のステージ、そのど真ん中のピアノの前になんとウェディングドレスに身を包んだ倉橋ヨエコが登場!あまりの美しさに別人かと疑ったが、その手が奏でるピアノの音色と「私にはもう明日なんてないのでしょう」と歌う声は、正真正銘、倉橋ヨエコ。白いドレスで白いピアノで『白い旗』を声高らかに弾き語った後、そこにギター、ベース、ドラムスの派手なグルーヴが絡み合い 、2曲目『鳴らないピアノ』で早々にこの会場の空気はヨエコワールドに染まりきる。しかしその世界の創造主は「倉橋ヨエコでいられるタイムリミットが近付いてきました。1曲ごと解体していきたいと思います」と、その世界の住人ひとりひとりに8年分の「ありがとう」を爆発させながら、これまでで一番良い声と良い音と良い表情で、もう二度とこうして皆の前で歌い奏でることのない、自虐的で、自分勝手に上がったり下がったりする、けれど確かに今ここにいる者たちの頭も体も心も鷲掴みにしてきた名曲や迷曲の数々をお届け。楽しそうにサヨナラを告げていく。

 
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  「生きてるだけで立派って言って!」そんなことを夜な夜な友達に泣きじゃくりながら言っているというカミングアウトをして(笑)、でも弱さと強さの両方を知っている人間でありたいと、「だからあとは強くなるだけなんです!」と、丸裸な想いを口にする倉橋。そして「惨めじゃない日はありません」と、『白の世界』を歌い、弱さに打ちのめされてきた自らの歴史とその時々の感情のすべてを、その歌声とピアノに叩き付けるのであった。この辺りから今宵の解体劇は、より壮絶なものとなっていき、すべてのフレーズに魂が宿り、それが僕らの中で止めどなく破裂。絶望のどん底に落ち、そこから脳天気に急上昇するという行為を延々と繰り返し、倉橋は、すでに今回のツアーの初日で壊れだしたというピアノと共に、フルスロットルで全解体に向かって生き急いでいく。

 体験して心から思ったことを書きたい―――、そんな素直な倉橋の姿勢を象徴するかのようなナンバー『春の歌』もこの日の解体劇には欠かせなかった。「元気は出るまで出すな」「元気はそろそろ出るよ」と満面の笑みで自分とみんなに歌い上げ、更には「夏!夏!行かないで 私を引き裂くんでしょ」「ああ さようなら」と、まるで現在の深層心理が綴られたかのような『夏』を続ける。そして「私の人生の中で一番幸せだったと思います」と8年間を振り返り、ここにこれだけの人が集まってくれたことが如何にあたりまえのことでないかを心の底から感じながら、「ライブをさせてくれてありがとうございます」と涙ながらに。で、そんな感動的な話をしておきながら「こんな曲を・・・」と笑って『人間辞めても』をぶちかます倉橋。そして畳み掛けられる、倉橋に“平成のシャバダ女”という異名を与えた名曲『恋の大捜査』、自由自在に童歌を破壊してあらゆるものを超越したグルーヴを宿らせた『はないちもんめ』、そして「8年間、本当にありがとうございました」と深々と頭を下げて披露したラストアルバムのラストソング『輪舞曲』。最後に「甘いよ しょっぱいよ 人生 これの繰り返し だからいいんじゃないって思います」そう歌いきった倉橋は、ドレスの裾を手にステージを後にした。

 
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  しかしみんなの熱い手拍子に呼び戻されるように再びステージに現れた倉橋。「これっくらいの おべんとうばこに♪」と、目に入った客席の子供たちのために即興で歌い始める(笑)。更には「東京キネマ倶楽部」のCMソングを勝手に作って披露!と、そんな感じで倉橋ヨエコを8年間形成してきたすべての人々との繋がりに喜んだり、感極まったり。そして倉橋は、初めて六畳一間の我が家に置いてあるグランドピアノで作った曲を含めたメドレーを聴かせてくれた。その先に聞こえてきたのは、倉橋ヨエコの恨み帳に書き殴られたすべてのネガティブとそれに藻掻きまくった歴史が生んだ“最高峰”『沈める街』。更にその先に拓かれた世界で聞こえてきたのは「上手に愛せなかったかもしれないけど、好きです」という音楽に対する言葉と、倉橋ヨエコが最後に生み出した曲『ジュエリー』。「あなたと過ごしたくだらない日々も私の宝物」と、壮絶なピアノの音色と声だけで響かせていく。それを聴いたみんなからの「ありがとう」に「こちらこそ!100万倍返しでありがとうございます」と、ステージを去った倉橋であったが・・・。

 
  解体の仕上げをするべく、もう一度だけステージへ。しかも今度はバンドメンバーにMEGANE WRENCHの古城康行(vo)も加わり、これまでで一番のハイテンションで『依存症〜レッツゴー!ハイヒール〜』をみんなと共に歌い叫び合い、踊り合い、倉橋ヨエコ史上最大に気持ち良いグルーヴを生み出していく。そしてオリジナルではあのチャーリーコーセーがデュエット相手を務めた奇跡のナンバー『東京』を、今夜は盟友・古城とのデュエットで、これまた全身全霊で披露。悔いの一欠片も残してたまるか!残させてたまるか!といった感じではしゃぎまくる。そして「今から私は倉橋ヨエコを辞めます」「寂しいんだけど、それと戦ってこれから歌いたいと思います」「この曲はお母さんのために書きました」と、彼女は『楯』を歌い始めた。

 「どうもありがとうございます!」と立ち上がって、みんなに手を振りまくる彼女。そしてバンドメンバーもとい戦友たちが見守る中、ティアラもハイヒールも客席に放り投げ、彼女は最後の最後にその場にしゃがみ込み、土下座のように深く深く、心の深〜いところで頭を下げて、“倉橋ヨエコ”を全解体。それと共にここにいるすべての者たちへ“倉橋ヨエコ”という名の人生のすべてを深く深く刻み込んだ。あの最後の『楯』で聴かせた「ごめんね」「裂けてもいいの」という生命の叫び、戦友と共に魂のすべてを爆発させた瞬間、忘れることはないだろう。

 なんて思っていたらぐしゃぐしゃの顔のままステージに駆け足で現れた、元(?)倉橋ヨエコ。そして彼女は「またね!またね!日本のどこかで、もしくはあの世で(笑)。あの世でも一緒に歌いましょう!」と、らしい言葉を最後に残して、命と魂と憤りと感謝と・・・いろ〜んなもんが入り乱れた、最後の夜の幕を閉じた。
   
倉橋ヨエコ OFFICIAL SITE  
 
http://www.kurahashiyoeko.com/

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