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東京事変 ライブレポート

東京事変
【DOMESTIC! Virgin LINE

2006.2.19(SUN)
日本武道館

SETLIST
01.葬列
02.群青日和
03.虚言症
04.歌舞伎
05.化粧直し
06.丸の内サディスティック
07.スーパースター
08.サービス
09.喧嘩上等
10.ブラックアウト
11.夢のあと
12.母国情緒
13.修羅場
14.秘密
15.手紙
16.透明人間

En-01.落日
En-02.恋は幻



東京事変 レビュー
『大人(アダルト)』
 
取材&テキスト:平賀哲雄

 

 垂れ幕を一切使用せず、すべての機材が袖に至るまで剥き出しのステージを見つめながら、東京事変の1st ALBUM『教育』のジャケ写がプリントされた旗をピラピラと振り続けるオーディエンス。開演時間の19:00を5分ほど回り「早く始まれ」と前のめり気味の様子。習字の授業で先生が使っていた指摘用の墨汁の色が見渡す限りピラピラユラユラ。

 真っ暗。聞こえてきたBGMはクレモンティーヌ『男と女』。ステージに人影。ワーキャー声を高く上げるオーディエンス。白い光がボワ〜ンとステージを照らし、その姿を鮮明に現す椎名林檎。徐々にその白い光が強くなって、亀田誠治(bass)、刄田綴色(drums)、浮雲(guiter)、伊澤一葉(key)の姿も肉眼で確認。みんな純白の衣装。その中でひとり、漆黒のドレスに身を包んだ林檎姫が歌うのは『葬列』。ステージの両脇から大人数の少年少女が現れ、葬列。マイクレスで大合唱。やがて血のように深紅な光がその少年少女を染め上げ、東京事変の織り成すサウンドは狂騒的になり、不気味でシュール、それでもって大迫力のステージを魅せつける。超衝撃演出。そのまま少年少女合唱団(杉並児童合唱団)も含む編成で曲は『群青日和』。メンバー全員が破壊的に音を鳴らすオリジナルのスタイルではなく、ちょっぴりあたたかい日溜まりアレンジで微笑ましい空気、世界を生み出す東京事変と子供たち。
  黒い衣装を脱ぎ去ると、今度は真っ赤なドレス姿になって「東京事変です」と、挨拶する林檎。そして、椎名林檎のセカンドアルバム『勝訴ストリップ』より、完全に事変バージョンに生まれ変わった『虚言症』が披露される。とりあえず軽快でご機嫌。でもってジャジィ。これを素面(シラフ)で聴くのは勿体ない。その音と歌声だけで武道館は巨大なジャズバーに早変わり。動く床の上で磨き上げられたお見事なプレイをみせる亀田誠治と浮雲。ひとりずつメンバーの名前がステージバックのスクリーンにデカデカと映し出される度に大騒ぎのオーディエンス。で、林檎は拡声器で『歌舞伎』を淡々と歌い上げていく。

 「こんばんは、ようこそ武道館へ。早速、亀田トークで申し訳ない(笑)」と言いつつ、先程の杉並児童合唱団の練習を楽屋で聴いていて、校舎を思い出して青春トークに華を咲かせていたことを亀田が他のメンバーたちと話していると、林檎が「そろそろ」と言ってその話を止め(笑)サポートメンバーの紹介に入る。そしてそのメンバーたちとちょっぴり南国の大人な夜の気分なサウンドでもって『化粧直し』が披露される。手動ミラーボールがステージ上から客席へ幻想的な光を突き刺して、大人な夜、もとい大人の恋を演出。静かな表情の奥では激しく蠢いている情炎の心模様。
  浮雲が響かせるシンプルで心地良いギターリフ、それに導かれるように、静かに林檎が白いドレスにジャケットを羽織った姿で歌い出したのは『丸の内サディスティック』。もちろんこちらも大人なアレンジで、林檎もゆっくりと右へ左へ歩みを進めながら大人な女性の雰囲気を前進で醸し出す。曲はそのまま『スーパースター』へ。静かな光と音の中で切なげに響き渡る健気な想い。その想いをより強く届けられるよう熱を増すバンドサウンド。冴え渡る浮雲のギターソロ〜震える林檎の熱情的な歌声、眩しいぐらいの光に覆われる世界、感動的。

 突如姿を現す三つの巨大スクリーン、そこに映し出される『サービス』という言葉。とりあえずメンバー5人、楽器を持たずに拡声器を持って、可愛らしくもセンセーショナルな振り付けありきでこの曲を披露。林檎がネコの耳をその頭から生やすと、飛び交う客席からのイエローな声援。ますます磨かれていく絶妙なシュールぶり。
  赤い花びらが舞い散るステージに林檎が名調子で掲げるのは『喧嘩上等』。腱鞘炎を乗り越えて、劇的に凄まじいプレイをオルガンで披露してみせる伊澤一葉。そのまま曲は『ブラックアウト』へ。一気に立ちこめる素晴らしい熱気。それを発生させているのはもちろん、東京事変の皆さんによるライブ熱。特に林檎、今日一番と言ってもいいハードな歌いっぷり。またひとつ、彼女に深く惚れちゃう人多数である。続いて、ピアノだけをバックに静かに、でも力強く林檎が歌い始めたのは『夢のあと』。彼女の一度立ちこめた熱情は燃え盛ることを止められないご様子で、音数がそこに増えていくのと共にその歌声は聴き手の心をきつくきつく握り締めたり、様々な感情を突き刺してきたりする。それこそもうこのまま何かが終わってしまうかのような切迫感でもって。

 

 「今から約130億年前、ビッグバンがありました。で、今に至ります」と、宇宙の神秘についてバッサリ語る伊澤一葉(笑)。その彼が鍵盤ハーモニカを持って、メンバー全員が列を成して行進しながら『母国情緒』を披露。ちなみに伊澤一葉、その鍵盤ハーモニカで間奏タイミングに『幸福論』を披露!でも何の違和感もなく曲は『母国情緒』へ戻る。実にピースフル、和やかな空気が広がっていた。続いて、まずアカペラっぽく林檎が「あ〜あああ」と歌い始め、そこに軽快なバンドサウンドが乗って、オーディエンスが顔をニヤつかせた『修羅場』。すべての音の鳴り、艶やかな歌声が気持ち良い。で、ステージの上に舞い上がる無数の炎、加速していく熱あるリズムと共に曲は『秘密』へ。ピンポイントで刺激される心の性感帯。心ゆくまま壊してくれる、溶かしてくれる東京事変の皆さん。そして『手紙』、とてもドラマティックな演奏と歌声は自らをも激しく感情的にさせ、いわゆる“泣けるライブ”を彼らは生み出してみせる。そんなめちゃくちゃ感動的な一曲の後は、なぜか後ろ向きで展開される妙に軽い刄田綴色のMC(笑)。そして最後は楽しくワイワイ盛り上がっちゃいましょうといった具合で『透明人間』の披露。誰もがその両の手を高く上げ、元気よく手拍子。「またあなたに会えるのを楽しみに待って、さようなら〜♪」、この上なくハッピーな終わり方でもって本編は終幕。

 アンコール。「皆さん、今日はお越し頂き、ありがとうございました。アンコールまで頂き、手前ども、大変幸せでございます」と、林檎。名バラード『落日』でまたもやドラマティックで感動的な音楽を聴かせておいて、刃田の恥ずかしいぐらいしゃかりきな叫び声が入り(笑)、演者も客も誰もがすごく良い笑顔を覗かせながらオーラス『恋は幻』を堪能。新生・東京時変の魅力を余すことなく堪能するのだった。
  すべてが終わった後、スクリーンには巨大な林檎(果物)を両サイドにふたつ置いて、エンドロールが流れる。ライブを作品として創り上げていく椎名林檎率いる東京事変らしい演出。素敵。

 
 

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