CYNIC/「Carbon-Based Anatomy + ReTraced」レビュー
ヘビーメタル、ハードロックアルバムレビュー
ヘビーメタル、ハードロックアルバムレビュー
-2011-
「Carbon-Based Anatomy + ReTraced」CYNICジャケ写
「Carbon-Based Anatomy + ReTraced」
CYNIC

11.11.23release

 フロリダ産、伝説的プログレッシブ・メタラー:CYNIC、最新EP2作をまとめた日本独自の企画盤!

 今でこそプログレッシブ・メタルというジャンルが完全に確立しているが、1stアルバム『FOCUS』発表当時の1993年は、DREAM THEATERの『IMAGES AND WARDS』が前年に大成功を収めるも、そこからのフォロワーを生むにはまだまだ時間経過が少ない時期。しかも、このCYNICは基盤がデス・メタルでありサウンドの方もDREAM THEATERとは変拍子の入れ方も、ソングライティングそのもののアプローチもまったく違うものであり、このジャンルのオリジネーターの一つといっても過言ではない。結局『FOCUS』1枚でCYNICは解散するが、その後も金字塔的な作品として語り継がれているのは言うまでもない。

 そんな彼らが突如復活して2008年に2nd『TRACED IN AIR』をリリースするのだが、本作はその後リリースしたEP2枚を1作品としてまとめたものだ。形としてはニューEP『Carbon-Based Anatomy』リリースに伴い、昨年リリースのEP『ReTraced』をカップリングさせたイメージで、CYNICらしくまったく異なる作品となっている。それぞれ6、5曲だがDISCを2枚に分けているのもおそらうそのせいだろう。

 『Carbon-Based〜』は再生した瞬間に中身を疑ってしまうほど、アンビエントで宗教音楽的なオープニングに驚かされるが、2ndでの変貌を経過しているリスナーであればある程度理解はできるだろう。そのアンビエント系と、2ndでもみられたMARS VOLTAをも彷彿とさせる浮遊感ただようなかでキャッチーさも際立つ楽曲とが両立した内容であり、よりいっそうの深化/進化を窺わせるもの。聴き入るほどに奥へ奥へと引き込まれる神秘的な魅力を持ったサウンドだ。
 『ReTraced』の方は、『TRACED IN AIR』収録の4曲をまったく違うアレンジにより再構築し、2010年にリリースしたもの。この時点で『Carbon-Based〜』へ流れる音楽的な変化が見てとれる内容となっている。

 間違いなく『TRACED IN AIR』にみられた1stの名残は完全に排除されているため、前作以上にリスナーを選ぶ作品となっていることは間違いない。これをCYNICの名前でやるには少し違和感を感じるのが正直なところだが、当時からの音楽に対する前衛的な構築方法は受け継がれており、当人からするとなるべくしてなった変化なのかもしれない。もはやメタル的なアプローチは皆無だが…。

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