DREAM THEATER/「A Dramatic Turn Of Events」レビュー
ヘビーメタル、ハードロックアルバムレビュー
ヘビーメタル、ハードロックアルバムレビュー
-2011-

「A Dramatic Turn Of Events」DREAM THEATERジャケ写
「A Dramatic Turn Of Events」
DREAM THEATER

11.9.7release

 プログレッシブ・メタルの最高峰:Dream Theater、マイク・ポートノイ脱退劇を乗り越え、新体制となって初のニューアルバム!!

 “しばらく休みたい”とし結局は脱退の道を選ばざるを得なくなったマイク・ポートノイを余所に、想像よりもはるかに早いタイミングで仕上げてきたDREAM THEATERの新作。そのポートノイは本作のレコーディング中に早くも“戻りたい”と言ってきたらしいが、現メタル・シーンにおける精鋭たちを蹴落としニュードラマーの座を勝ち取ったマイク・マンジーニの見事な仕事ぶりもあり、何の違和感もなくいつものように進化を続けるDREAM THEATERの新作となった。

 全体像から受ける印象は、非常に叙情的なメロディー/歌をフィーチャーした作風であり、昨今のジャム・セッション型ソングライティングから脱した感のある楽曲群は、初期ファンにとっては嬉しいものだろう。初期のような“歌もの”的キャッチーさはないが、ジェイムス・ラブリエがもっとも情緒豊かに表現できるキーで歌っているのも功を奏し、アグレッシブな要素が強かったここ数作の中では、最も歌とインストの魅力が良いバランスで同居する作品となったことに間違いない。

 近代音楽的なハーモニーにより映画サントラ風のオープニングを配した「Lost Not Forgotten」、イントロに配した聖歌の如く盛り上がりも控えめな「Bridges In The Sky」、DREAM THEATERらしいスリリングなインタープレイによるインストパートを叙情パワーバラードで挟み上げたという斬新な「Outcry」、例えばRUSHのような比較的ストレート(?)なプログレッシブ・ロックが堪能できる「Breaking All Illusions」など、大作揃いでどの曲にも固有の仕掛けを設けながら、しっかりとヴォーカル・メロディーが耳に残るのも大きな特徴だ。Marillionを髣髴とさせる感傷的なバラード「Far From Heaven」などの小曲も、全体像を作るのに大きな役割を担っている=存在感がある。これらは精魂かけたジョン・ペトルーシのこまやかなプロデュース業があってのものだという点も見逃してはならないだろう。

 暴れすぎないマンジーニのドラミングには、ポートノイが生み出していた高揚感が足りないのも確かだし、そのせいか(テンポの設定もあり)全体的に重心が低く、本作を好意的に受け入れられないファンもいるだろう。しかし、筆者個人的にはここ数作の流れのなかで一際“映える”作品になったと強く感じる。アグレッションが前に出過ぎた昨今のアルバムと異なる“叙情的な作品”がようやく聴かれた喜びも非常に大きい。名作『IMAGE AND WARDS』で世界的ブレイクを果たしたDREAM THEATERのアイデンティティーを、このタイミングでメンバー自身が見つめ直したのか、はたまたポートノイがいてもこういう作風となったのかは分からないが、とにかく素晴らしい一作となったことには違いない。ポートノイがいつ戻るか分からないが、個人的に思い描く“DREAM THEATERはこうあって欲しい”という姿が本作にはある。そう感じたファンも多いのでは?

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