BEYOND THE BRIDGE/「The Old Man & The Spirit」レビュー
ヘビーメタル、ハードロックアルバムレビュー
ヘビーメタル、ハードロックアルバムレビュー
-2012-

「The Old Man & The Spirit」BEYOND THE BRIDGEジャケ写
「The Old Man & The Spirit」
BEYOND THE BRIDGE

12.1.18release

 男女ツインヴォーカルを擁するドイツ産プログレッシブ・メタラー:BEYOND THE BRIDGEのデビューアルバム!

 男女ツインヴォーカルおよびツインギター、キーボーディストを擁する7人組、ジャーマン・プログレッシブ・メタラー:BEYOND THE BRIDGEのデビュー作。2005年にギタリスト:ピーター・デゲヌフェルドが本作のタイトルにもなっている“The Old Man & The Spirit”と名づけたプロジェクトを始動。キーボーディスト:クリフトファー・ターナウとともに5年かけて本作の楽曲と物語を創り上げたとのことだ。

 Spirit(精神)とOldman(老人)の2人の人物が登場し、“人間の審美性と超人の意識の対立”を描くストーリー・アルバムとなっている本作。登場人物2人を男女ツインヴォーカルが演じわけ、曲間も2人によるナレーションが導入されていることから、特に前半なんかは次の曲へ移ったのが分からなく、組曲的なニュアンスも感じさせる。
 サウンドはDREAM THEATERからの影響を強く感じさせるものながら、題材が題材だけにキャッチーなヴォーカル・ラインはほぼない。ただ、特にバラード「World Of Wonders」なんかでも顕著だが、叙情的なメロディーが全体を包みあげているのが特徴。元々ジャズを歌っていたという女性シンガーはいたって冷静沈着な歌唱だが、これに対照的な男性シンガーによるシアトリカルな熱唱は、アルバムのなかで良いフックを生んでいるのも特筆すべきだろう。というか、むしろ後半の“深い曲”になってくるとほぼ男性が活躍している。

 インストの「Triumph Of Irreality」なんかを筆頭にインストパートを部分的に聴けばDREAM THEATERと言っても分からないぐらい音作りもそのままだし、女性シンガーとピアノによる叙情的なイントロダクションを持つ次の「The Spring Of It All」に移る瞬間は、名作『Metropolis Pt. 2 : Scenes From A Memory』に近い感覚を味わえる。楽曲的には単体でみると佳曲も多く、「Doorway To Salvation」、「The Difference Is Human」などの長編の曲は聴き応えるし、男性シンガーによる叙情的なバラード「Where The Earth And Sky Meet」も素晴らしい。

 上記にも述べたとおり全体像からは非常にダークな印象が強く、かつ、ほぼ各曲が繋がっているため全71分を聴き通すには集中力を要する。ただ、特に後半の楽曲には光るものがあるし(というか前半がだらけ過ぎ?)、叙情的な描写はDREAM THEATERに肉薄するぐらいに感動的な瞬間もある。アレンジ/ソングライティング・センスに優れたDREAM THEATERフォロワーが、彼らへの憧れをそのまま高次元で具現化し、結果的にはシンガーの豊かな表現力によって魅力的な作品に仕上がった、という印象。聴きこみを嫌わなければ、DT系プログレ・メタル・ファンは文句なく楽しめるレベルだと思う。

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