摩天楼オペラ/「Justice」レビュー
ヘビーメタル、ハードロックアルバムレビュー
ヘビーメタル、ハードロックアルバムレビュー
-2012-

「Justice」摩天楼オペラ ジャケット画像

「Justice」
摩天楼オペラ

12.3.7release




▼収録曲
1.Justice
2.濡らした唇でキスをして
3.落とし穴の底はこんな世界
4.Helios
5.IMPERIAL RIOT
6.Mermaid
7.21mg
8.AGE
9.Just Be Myself
10.アポトーシス
11.ニューシネマパラダイス
12.絆 -full chorus-
bonus track
13.Designer Baby

 ネオクラシカル・ギター、シンフォニック・メタルのエレメントをフィーチャーした摩天楼オペラ、メジャーデビュー後初のフルアルバム『Justice』!



 某HR/HMラジオ番組でもパワープッシュしていたため既にご存知のメタルファンも多いであろう、摩天楼オペラの1stフルレンス。いわゆるヴィジュアル系のシーンで活躍する彼らだが、インタビューでも語っているとおりメンバー全員ヘヴィ・メタルのバックグラウンドを持っており、そのサウンドの端々には“ならでは”のエッセンスやグルーヴが感じとれる。特に気の利いたフレーズが随所に飛び出す楽器隊のプレイは、メタル・ファンを間違いなく楽しませてくれるセンスとテクニックを持っている。

 社会へ向けたメッセージ性のある歌詞は日本詞であり、シンガーの歌唱もいわゆるメタル系のソレとは異なる。ただし、彼自身も来日公演に足を運ぶほどANGRAやAVANTASIAがお気に入りで、歌唱法にV系ならではの粘着度があるものの広いレンジを使った多彩な表現をしていること、そして良い意味で日本人流のメロディーセンスにより摩天楼オペラのメインカラーを彩っていることをまずは記しておこう。
 そして注目はバックのプレイが非常に凝っている点。しかもそのセンスやテクニックの確かさからは、しっかりメタル魂を宿したミュージシャン達の集合体であることを実証している。“隙あらば”の如く繰り出されるネオクラシカルな速弾きはYngwie Malmsteen直系であることを隠さず、またその正確性、フレーズセンスは共に欧州の若手ギタリスト達に勝る。屋台骨を形成するリズム隊は、楽曲に重量感を与えるのに加え、随所のテクニカルなフレーズで楽曲を盛りたてる。そしてそれらを包みあげるシンセはまさにNIGHTWISHなどのシンフォニック・メタルに倣ったもの。独特の壮大感と悲壮感を創り上げているのが最大の特徴だ。

 ストリングスアレンジとメタリックなアグレッションが相まって摩天楼オペラ固有のスリルを生む「落とし穴の底はこんな世界」、ヘヴィなメインリフに対比する哀愁のメロディーと透明感のあるシンセにより悲壮感を創り上げる「Helios」は、さすがシングルカットされるだけの秀曲。一転、80'sメタル風のグルーヴをも内奥しつつ、バンド全員が膝を付け合せて行なうという、時にプログレッシブであるも理に適ったアレンジにより聴けば聴くほど旨みの出てくる楽曲が配されている。
 そんな中、様式美/ネオクラ系のギター満載、タッピングを交え飛び出すテクニカルなベース、ウリ・カッシュの如く両手両足を駆使したドラミングが高揚感を生むスピードチューン「アポトーシス」は、メロスピ・ファン必聴のキラーチューンであり、メタル・ファンはまずこの楽曲を聴いて欲しいと思う。

 メジャーシーンで活躍するだけあり、楽曲/メロディーのクオリティーは当然ながら申し分ない。ただ、摩天楼オペラが他のアーティストと異なる点は、結束力のあるバンドならではの構築美が各曲に刻まれていることだ。その分、一聴した“分かり難さ”は確かにあるかもしれないが、メンバー全員が楽しんで音楽をプレイし楽曲を構築している姿がサウンドに映し出されている。シーンの中で長く愛されるバンドがそうであるように、バンド5人が同じ目線で同じ方向を見ている理想の形が摩天楼オペラでは育まれている。


摩天楼オペラ:インタビューへ


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