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 暗いステージ上に登場した日本が誇るネオクラシカル・パワーメタル・バンドGalneryusのメンバーは黒いエナメル質の生地に白いストライプの入った衣装で全員キメて来た。髪をばっさり切ったギタリスト:Syuのハイテクニックなプレイは相変わらず安定しており、さらに堂に入ったパフォーマンスでアピールする。同じく髪を短めにしたキーボーディスト:YUHKIも華麗に鍵盤上で指を滑らせ、Syuと壮絶なバトルを随所に配しながらオーディエンスの耳を釘付けにしている光景は彼らのサウンドを知る人には容易に想像出来るだろう。礼儀正しすぎるYAMA-Bの味のあるMCにも非常に好意的なオーディエンスは、「このGALNERYUSを目当てに来たのだろうか?」と思わせるほどの盛り上がりを見せている! クラシカルなメロディーを満載した上質なスピード・メタル・チューンを連発し、最後にはこの曲がなければGALNERYUSもなかったであろう名曲「United Flag」が披露されるのだが、特にこの曲への反応は素晴らしい。高揚感のあるヴォーカル・メロディー、構築美のあるクラシカルな名ギター・ソロを持つ完璧なメタル・チューンは否が応でも胸を熱くさせるのだ!!

 外タレのオープニング・アクトとして定着したGALNERYUSのパフォーマンスに暖められたオーディエンスは暗幕に閉ざされたステージ上に今日の主役が現れるのを待っている。その暗幕が下りたままSEが鳴り始めるとステージへ歓声が向けられ、やがて青い光を伴うスモークに包まれた幻想的な光景が目の前に広がるとウリ・カッシュがドラム・セットを前にして座る。カウントからスタートしたのは新作「AERONAUTICS」と同じく「Crimson Rider」だ! 一回りも二回りも大きくなったローランドがメイプル指板のレスポールを抱えギター・ソロを終えるといきなりのトラブルが発生。急に音が出なくなったのだ。オーディエンスもさすがにこの状況に気づくのだが、プログラミングされたストリングスの音だけが場内にかすかに聴こえてくると、この場を埋めるのはやはりヨルン・ランデ! 個人的に今夜一番の楽しみに来たヨルンのアドリブがこんなに早く聴けるとは不幸中の幸いなのか、すかさず披露されたデヴィッド・カヴァーデイルばりのソウルフルなフェイクはやはり素晴らしく、一瞬にしてオーディエンスを自分に引き付ける。







 MASTERPLANの持つメロディーの良さは迫力のあるヨルンの生歌によって、より魅力的な姿になる。元気付けてくれるポジティブなメロディーをフィーチャーした「Wounds」は新作でもハイライトのひとつとなっており、当然ながら反応も良い。前半は新作の曲を中心に組まれたセットリストが続くが、前回のようなヨルンのフェイクしまくりの歌はここまであまり聴かれなかったのだが続く「Kind Hearted Light」でようやくその姿を現し、楽曲をCDのまま披露するのではないライブならでは楽しみ方を与えてくれる。「When Love Comes Close」でもキレの悪い身のこなしとは対角を成す冴えまくるデヴィ・カヴァ風ソウルフル・シンギンが非常に魅力的だ!

 その巨体と太い腕からは想像も付かない多芸さをみせたベーシスト:ヤン・エッカートのソロタイムは速いスラッピングから「Amazing Grace」をハーモニクスのみで奏でるなど、結構楽しませてくれるものだった。そのベースソロから続いたドロップチューニングのヘヴィな「Bleeding Eyes」は終止ダークな楽曲で、ヨルンのソウルフルな歌とはまた違う"メタル・シンガー"然とした危機迫るパワー・ヴォイスでさらに楽曲に緊張感をもたらしている。
 ドラム・セットにエレピを仕掛けドラミングにより"第九"を奏でたウリ・カッシュのドラム・ソロもグッド・アイデアで聴き応えのあるものだったが、今夜はウリのドラミングにあまりキレが感じられないと思ったのは僕だけだろうか?ほとんどの曲で同期を使うためにヘッドフォンでクリックを聴いているせいなのか、ウリらしい高揚感をもたらす良いグルーヴがあまり感じ取れないのは残念だ。

 イントロが流れてきた瞬間、会場が一瞬にしてひとつとなりそのポジティブなメロディーを合唱させた人気チューン「Heroes」では、前回同様にマイケル・キスクのパートをローランドが歌う。“ドラム・ソロ→「Heroes」→本編終了”という何とも悪い流れで何も言わぬままにメンバー全員がステージを去ると、呆然とした会場はしばらくして本編が終了したことに気づいた。

 アンコール一発目に披露されたのはライブでプレイするのは2回目だという「After This War」。漸くヨルンのフェイクが100%に近い形で炸裂し、思わず"これが聴きたかったんですよ!"と身を乗り出していた所に、続く「Spirit Never Die」でも更に磨きがかかりその神業的なヨルンの歌にテンションが上がる! そのテンションの上がった次に展開されたのは、なんと・・・ローランドのソロ・タイム(苦笑)。HELLOWEENのアルバムにも収録されていたパガニーニのフレーズを相変わらずなフィンガリングで披露したかと思うと、今度はローランド自らがメイン・ヴォーカルをとりながらのブルースが披露され、そのなかなか渋いヴォーカルにオーディエンスも聴き入っていた。

 モダンさを加味したメタル・バンドのヘヴィ・グルーヴ、ダークさを併せ持つ地味な存在(!?)ながらも名曲である「Soul Burn」では前回同様にメロディーをなめ回すように少しずつ変えていきながら歌い上げるヨルンの魅力が堪能でき、危機迫るヨルンの気迫のヴォーカルがあってこそパワーを持つ曲「Crawling From Hell」で幕を降ろした・・・・って、"おいおい!「Black In The Burn」はどうした?「Falling Sparrow」は?・・・新作の一番のハイライトをやっていないじゃん"と思ったのは僕だけだろうか?(苦笑)

 トラブルはやむ終えないとしてもセットリストの流れに一部疑問を感じたり、新作「AERONAUTICS」の中のいわゆるハイライトチューンを思いっきり外していたりと、なんだか煮え切らなさを残す。オープニングを努めたGALNERYUSの気合に押され気味・・・とまでは言わなくとも彼らの成長ぶりからするとこのままでは逆転してしまう恐れもあり得るのではなかろうか? なんて、いつもどおり期待するバンドに対しては辛口なコメントをしてしまうのだが、HELLOWEEN脱退後すぐに結成したこのMASTERPLANへのファンからの反応は頗る良いし、ヨルン・ランデにしてみればようやく見つかった“バンド”なのだから大事にして欲しい。パワーメタルの一時代をトップで支えてきたローランド&ウリ、類まれな才能を有したシンガー:ヨルン、そしてヤン、アクセルの4人がもっと一体となり強力なタッグを組めてこそ頂点を成すバンドへと駆け上がるのであり、彼らの音楽にはその素質があるのだから是非がんばってもらいたい!
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