陰陽座
〜全国行脚公演2002年夏『彼の岸喚ぶは夏狂言』〜
8/17(土) 渋谷ON AIR WEST

協力:キング・レコード



〜SET LIST〜

1.火車の轍
2.百々目鬼
3.空蝉忍法帖
4.煌 (***)
5.土蜘蛛忌譚
6.月姫
7.百の鬼が夜を行く (*)
8.奇子 (**)
9.陽炎忍法帖 (***)
10.月に叢雲花に風 (***)

11.浸食輪廻
12.羅刹 (***)
13.おらびなはい (***)
〜encore 1〜
14.蟒蛇万歳
15.式を駆る者 (**)
〜encore 2〜
16.亥の子唄 (*)
〜encore 3〜
17.がいながてや (**)

(*)・・・1st AL「鬼哭転生(きこくてんしょう)」 (**)・・・2nd AL「百鬼繚乱(ひゃっきりょうらん)」 (***)・・・3rd AL「煌神羅刹(こうじんらせつ)」 (無印)・・・mini AL「封印廻濫(ふういんかいらん)」



 今年1月にメジャー・デビューを果たすと、そのクオリティーもオリジナリティーも高いヘヴィ・メタルに特異なヴィジュアル効果も助け、めきめきとファンを増やしつつある妖怪ヘヴィ・メタル・バンドの陰陽座。 今年7月には、いくつかのオムニバス・アルバムに提供してきた楽曲の新録6曲プラス新曲2曲を収録したニュー・ミニ・アルバム「封印廻濫」をリリースしており、今回はそれに伴う「彼の岸喚ぶは夏狂言」と題されたツアーの渋谷ON AIR WEST公演に足を運んだ。 兼ねてから陰陽座のライブは面白いとの評判を耳にしていたのだが....。

 なんと(!)チケットはソールド・アウトだというぎゅうぎゅう詰めの客席のヴォルテージが、尺八の音色をフィーチャーしたSEが流れメンバーが登場すると一気に高まる。 1曲目は最新ミニ・アルバムのオープニングを飾る疾走チューン
「火車の轍」。 瞬火はコンポーサーとして陰陽座を引っ張るのと同じく、ステージ上でも長身、長髪を活かしたアグレッシブなパフォーマンスでステージを主導し、黒猫とはまた違った種の華を添えている。 個人的に期待していたヘヴィ・メタルなアグレッシブさを押し出す気合いの入ったパフォーマンスに思わず鳥肌が立ってしまった! そして、瞬火と同じく陰陽座の魅力である黒猫のヴォーカルはアルバム通り・・・いや、それ以上にパワフルで、CDで聴くよりも祐に上回る凄まじい存在感を放っている。 世界的に名のしれる名ヴォーカリストとて最初からここまで全開に歌える人はなかなかいないが、のっけから120%の完璧な歌を聴かせている黒猫は予想を上回るシンガーだ!!

 演奏中のステージングは元より、随所に配置されたユニークなMCタイムは陰陽座のライブの人気を決定づけるもののひとつだろう。 特に1曲目後のMCでは(テンション高く)「本日は妖怪ヘヴィ・メタル・バンド陰陽座のライブへお越し頂いて誠にありがとうございます!!」という和風な(?)コメントに続いて、「なんでこんなに一杯集まってるんだ!今日はどっかでサマー・ソニックやっているんだぞ! GUNS N' ROSESが来る・・・いや来ないとは思うけども、来るらしいから今からでも遅くないぞ〜!!」というユニークな瞬火のMCに客席からは笑い声が漏れ、つかみは見事にOK(笑)。
 MCに続いた
「百々目鬼」,「空蝉忍法帖」,「煌」のアップ・テンポな楽曲でオーディエンスのヴォルテージも更に高まる!! 黒猫の強力なヴィブラートを効かせた圧倒的な歌唱に隠れがちだが、陰陽座の大事な要素を担う瞬火の独特なヴォーカルも安定しており、こちらもアルバム以上に上手い歌を聴かせていたことも忘れてはならない。 「煌」の後のMCを担当した黒猫は、その凄まじい歌唱と怪しい雰囲気を漂わせるパフォーマンスとは180度裏腹の“教育テレビの歌のおねえさん”もしくは“アニメ・キャラクターの声優”を思わせるハキハキとした口調と茶目っ気のあるトークによるもので、この恐ろしいほどのギャップもまた陰陽座の魅力になっているのだろう(これもある意味、陰と陽ですね!?)。 ココのMCでは黒猫主導により狩姦、招鬼、斗羅もマイクを持ち、それぞれの人間性を活かしたアット・ホームな時間をオーディエンス共々楽しむ。

 新作からの新曲
「土蜘蛛忌譚」はヘヴィなプログレッシブ・チューン。 これに続く月についての歌との紹介からの叙情バラードの「月姫」、コントがらみのグッズのプロモーションをからめたMCを挟み披露されたプログレッシブな大作「百の鬼が夜を行く」,「奇子」では、オーディエンスのテンションはいったん落ち着くが、これもバンドの意図することなのだろう、陰陽座の音楽の深い部分をじっくりと聴かせるパートを設けるという考えられたライブ構成にも好感が持てる。 このバンドのプログレッシブな曲に欠かせない要素の一つ、狩姦&招鬼の対照的なふたりのギターは適材適所で効果的なプレイを聴かせ、パフォーマーとして未熟な部分を残すもしっかりと自分たちの仕事をこなしている。 そして黒猫の今までのアグレッシブなものとは対象な、伸びのある素晴らしいクリア・ヴォイスも全く問題なく披露し、その表現力の豊かさはライブの方がより顕著だ。 特に招鬼によるクリーン・ギターによるアルペジオの上で、もの悲しいメロディーを説得力ある歌で披露された「月姫」でのソプラノ・ヴォイスと「奇子」における中間部の演技がかった語りパートにおける演技力は鳥肌ものだ!! 陰陽座の音楽の深みをたっぷりと堪能できた時間だった。


 “聴かせパート”が終わり、続く
「陽炎忍法帖」では久々のアップ・テンポ・チューンだけあり、待ってましたかのごとくオーディエンスが揺れに揺れる! 少々疲れ気味(?)の瞬火に比べ、黒猫の声は全く疲れを見せず、息切れ一つせずに相変わらずのパワフルな歌を披露する。 あまり左右の動きがないもののここまでパワー全開の歌〜声量たっぷりのソプラノ・ヴォイスを終始完璧に聴かせ(この強〜弱、弱〜強への歌の切り替えは技術的にも難しいのだろうが、すんなりとこなしている)ながらも、息も全く乱れておらず顔色一つ変えずに歌っている黒猫には本当に驚かされる。 続く「月に叢雲花に風」はデビュー・シングルとしてもリリースされたキャッチーなメロディーを前面に押し出した名曲で、招鬼がイントロのアルペジオを引き出すとオーディエンスは一気にヒート・アップする。 この「月に叢雲花〜」はコマーシャルな要素を持ちながらもしっかりと陰陽座サウンドを打ち出しており、僕をはじめこの一発で虜になったファンも少なくないだろう! 特にギター・ソロ直後の聴くものを高揚させる美しいメロディーが、アルバム通りの完璧な歌で聴く事の出来た瞬間、全身に鳥肌が走りそれは曲が完湊されるまでおさまらなかった。
 全身赤の衣装を身につけた瞬火自ら「今日の俺はシャア専用だ!ザクとは違うぜ!」とのMCから
「浸食輪廻」,「羅刹」を立て続けに披露し本編エンディングへ向かい、ドンドン加速していく! 「羅刹」はメジャー・デビュー作のオープニングを飾るスピード・チューンだが、黒猫のヴォーカルはここでも全くの疲れを見せず強烈なヴィブラートを披露する。 瞬火がステージ中央にてパフォーマンスをしたためコーラスに一度間に合わない部分があったが、そこは空かさずオーディエンスが代わってコーラスを入れるシーンも見られた。
 そして本編ラストを締めくくるお祭りソング
「おらびなはい」では、恒例になっているセンスを用いたオーディエンスとの掛け合いが繰り広げられる。 ここでは「1階席にいる一般のお客さんも2階席の関係者様も関係なくここにいるすべての人を楽しませる義務が我々にはある」と述べ、2階席へも掛け合いを求めるなど瞬火の徹底したエンターテイナーぶりに感心させられた(十分に楽しんでいましたよ、瞬火さん!)。


 一回目のアンコールでは瞬火と招鬼は実の兄弟だということを明かし、「誰も信じてくれないんだけどね」と言いながら招鬼が瞬火にケリを入れるなど微笑ましいシーンも見られたMCから
「蟒蛇万歳」,「式を駆る者」を披露。 二回目のアンコールでは瞬火と招鬼のダブル・ヘヴィ・ヴォーカルをフィーチャーしたスピード・チューン「亥の子唄」。 更にヒートアップするオーディエンス同様、バンドもフロント4人揃ってストレートなロング・ヘアを振り乱しながらヘッドバンギングする気合いの入ったパフォーマンスを見せる!!
 そして今日最後の曲となった3回目のアンコールは
「がいながてや」。 こちらもお約束の掛け合いをフィーチャーしたお祭りソングで、オーディエンスを左右半分に分け掛け声の大きさを競わせる。 これが結構な長い時間やっているのだが、最後の最後までテンションが下がることなくオーディエンス一人一人が精一杯の大きな声とセンスを持った手を必至に振り上げ、陰陽座のショウに参加しているのを心から楽しんでいるのが一目で分かる。 メンバーもオーディエンスも満面の笑みを浮かべながらショウの終わりを迎えた。 最後の最後までオーディエンスに対し心からの感謝を表し、ステージを一番最後に降りた斗羅の嬉しくてたまらなそうな笑顔がとても印象的だった。

 今回が陰陽座のライブ初体験だったので、毎回毎回こんなに素晴らしいショウを見せてくれているのか僕には正直分からない。 しかし、会場にいたオーディエンスの多く(しかもヘヴィ・メタルには縁のなさそうな女の子達!)がショウの楽しみ方を完璧に把握しているのを見ればその答えは簡単だ!! メンバー一人一人が心から楽しみながらそれ以上にオーディエンスを楽しませるショウの構成、各メンバーの人間性を活かした楽しいMCとヘヴィ・メタルを愛するアグレッシブなパフォーマンス、黒猫のシンガー/表現者としての超人的な才能と実力、そして何よりも瞬火の音楽とエンターテインメント両方を大事にした創造力、どれもが期待以上の素晴らしいものであり、これら総てがこれだけの多くのファンを熱くさせる理由なのだろう。 ヘヴィ・メタルをプレイしながらも、非メタル・ファンを楽しませることの出来るバンドは過去にも先にもなかなかいないし、方法論は全く違うがどこかX-JAPANを思い出させる。 陰陽座がB'zやモーニング娘と並んで音楽TV番組に普通に出演する日も遠くないかもね!? とにもかくにも、久しぶりに心からもう一度見たいと思えるライブだった!!


アルバム・レビューはジャケットをクリック!

「煌神羅刹」
KICS-927
02.1.10release

「封印廻濫」
KICS-961
02.7.24release





HOME  ALIVE&KICKIN'  A to Z