陰陽座

“アルバム「鳳翼麟瞳」発売記念ツアー”

「鳳凰の翼で舞い、麒麟の瞳で睨み付けろ!!」

at 渋谷 ON AIR WEST 2003.2.8

協力:キングレコード
photos:Hiroshi Goto

−SET LIST−

S.E.(焔之鳥)
1.鳳翼天翔
2.麒麟
3.妖花忍法帖
4.叢原火
5.化外忍法帖
6.鵺
7.文車に燃ゆ恋文
8.星の宿り
9.百の鬼が夜を行く
10.わいら
11.桜花ノ理
12.逢魔刻


13.火車の轍
14.浸食輪廻
15.羅刹
16.舞いあがる

〜ENCORE1〜
17.陰陽師

〜ENCORE2〜
18.月に叢雲花に風
19.おらびなはい

〜ENCORE3〜
20.鬼斬忍法帖
21.がいながてや

 快進撃を続ける妖怪ヘヴィ・メタル・バンド、陰陽座。その人気は1/22にリリースされた新作「鳳翼麟瞳(ほうよくりんどう)」がオリコン初登場23位という快挙を成し遂げる程で、各地で行われるライブの動員もすこぶる良い。彼らの東京公演の多くはこの渋谷オンエア・ウエストで行われるのだがいつもチケットは完売だ。今日も例のごとく、会場の前は当日券目当てに来た多くのファンが結局チケットを手に入れられず立ち往生していたり、通常関係者席として用意されている二回席にもファンが押し寄せているような状態。「今度はもっと大きな会場でやろう!」とリーダー兼Vo&Bassの瞬火も公演中語っていた。

 会場に入ると琵琶の音色と共に“耳なし芳一 ”でも語られているかのようなSEが流されており、線香の臭いが漂ってきそうな独特の雰囲気が会場を包んでいた。チケットを持ったファンが全て入り終わり、会場が暗転するとその異様な雰囲気を掻き消すかのごとく新作のオープニングを飾るドラマティックなインスト「焔之鳥」のテープが流れ、メンバーが大歓声で迎えられながらステージ上に登場する。そのままアルバム通りアップ・テンポなメタル・チューン「鳳翼天翔」へと続き一気に会場はヒートアップ! 黒猫のリードをとるブレイクの部分では(PAの問題で)ギターがハウっており、せっかくのドラマティックな出だしが壊され少々残念だったが、狩姦が中央でスピーディーなソロを決めエンディングでは黒猫がアルバム以上のハイトーン・ヴォイスを披露し会場を盛り上げた。続いても間髪入れずアルバム通りファスト・チューン「麒麟」がプレイされ、会場は更にヒートアップ!ソロ前の黒猫のソプラノ・ヴォイスをフィーチャーした怪しいパートでは薄暗い照明が雰囲気を創り上げる。のっけから会場全体を凄まじい熱気が包む。

 瞬火の気合いの入った口調による「我々の超自信作の新作からの曲をたっぷりと聴いて貰いたいので、私の長話はやめてサクサクと行くのでヨロシク!」とのMCで笑いをとり、陰陽座の魅力がたっぷりと詰まった先行シングル「妖花忍法帖」が紹介されると場内から大きな歓声が上がった。招鬼のクリーン・トーンのカッティングにあわせ「オイ!、オイ!」との声が客席から自然とあがる。狩姦のギター・ソロ中招鬼がステージ右へ移動したり、瞬火がジーン・シモンズばりにベースのネックをなめる仕草を見せたりと、パフォーマンスにも磨きがかかる。

 新作からキャッチーなサビが印象的な「叢原火」、2ndアルバムから「化外忍法帖」が連続してプレイされるが、この2ndアルバムはインディーズ時代の音源ながら今でも堂々と演奏しているのをみると自分たちの全ての作品に対して相当な自信を持っているのだろう。現在の洗練されたサウンドとは微妙に異なる独特なダークさを持った佳曲だ。

 「やっぱりお江戸は違うな!」というMCから黒猫が先導して“祟りのコーナー”が始まる。各所で設けられるユニークなMCタイムは陰陽座のサウンドと並び“ライブでしか体験できない魅力”であり、これがまたよく練られた面白いものなのだ。どんなジャンルのライブにおいてもチケットの売り上げが停滞している昨今、こうしたライブでしか味わえない魅力もライブに足を運ぶファンが多い理由のひとつだろう!
 で、今回の祟りはレコード会社の担当氏の右手の骨折。何でも去年の丁度今頃も同じ腕を骨折しており、「陰陽座の担当になったから祟ったんだ」とか冗談で言っていたのだだが、また同じ担当氏が今年も同じ時期に・・・。しかも、「その理由がイイ年してスケボーで転んだんだと。スノボーじゃなくてスケボーだよ!」とのツッコミで笑いを誘った。

 真っ赤な照明が不気味な雰囲気を漂わす「鵺」。この曲も陰陽座の魅力のたっぷり詰まったプログレッシブでシアトリカルな大作。中間部の黒猫による語りのパートでは妖怪に成りきり狂ったような振る舞いを見せ、名演技を披露する。続いて1st「鬼哭転生(きこくてんしょう)」から日本音階を大フィーチャーしたキメの多い8ビート・チューン「文車に燃ゆ恋文」が披露され、陰陽座の楽曲の“聴かせ所”を披露するこのパートではオーディエンスも各メンバーのパフォーマンスに見入り騒ぐことなく聴き入っている。


 続いてのMCでは新作で素晴らしいピアノを披露しているエディこと三柴理氏が今日のスペシャル・ゲストとして紹介された。黒猫のソプラノ・ヴォイスとピアノのみのこの「星の宿り」は他のメンバーはステージを降り2人のみでプレイされたのだが、これがまたアルバム以上に感動的で素晴らしい!! 繊細なピアノとは裏腹な“つのだ☆ひろ風ルック(笑)”三柴氏の、黒猫に負けず劣らずの感情移入プレイで一層の輝きが加わったこの名曲はホントに鳥肌もので、思わず目頭に熱いものを感じたぐらいだ。しかも、このスペシャルな演出はなんと東京公演のみということで今日会場にいたファンは2、3千円ぐらいチケット代を追加して払っても良いぐらいの満足度を得られただろう。名演を披露した後、退却していく三柴氏を見送るオーディエンスの大きな歓声も印象的だ。

 黒猫の“清く正しいおねえさん系”の爽やかなMCでメンバーが呼び戻されると「百の鬼が夜を行く」がプレイされ、この曲ではユニークな曲調にあわせてメンバー全員がステージ上をチョコチョコと走り回るパフォーマンスが毎度行われる。ガラリガラリと変わるカラフルな曲展開のなか、高揚感のあるメロディーが畳み掛けてくるサビが魅力的で陰陽座のライブでは欠かせない名曲のひとつだ!続いてはシングル「妖花忍法帖」に収録されている佳曲「わいら」を披露し、シングルB面曲もアピールする。

 瞬火が自分担当のMCを忘れ、すかさず黒猫がフォローし笑いを誘っていた“グッズ紹介”タイムもテンポ良く終え「桜花ノ理」を紹介すると一部で大きな歓声が上がる。これもインディ時代のアルバムに収録された瞬火&招鬼の実兄弟によるコーラス・ワークが印象的な佳曲。続く「逢魔刻」はダークなヘヴィ・チューンで、黒猫のソプラノ・ヴォーカルが加わるとゴシック・メタル的でもある。Aメロでの瞬火のヴォーカルは平家の亡霊が乗り移ったかのような不気味さをかもし出し、彼の声も黒猫と並んで陰陽座には欠かせない要素だ。そのままスピード・チューン「火車の轍」へと移り会場も熱気を取り戻し、男性陣3人も長髪を振り乱す激しいヘッド・バンギングで熱いパフォーマンスを披露する。

 短いMCを挟んでエンディング・パート「浸食輪廻」,「羅刹」とノリの良い曲が続く。デス・メタル的な破壊力を持った「浸食輪廻」での黒猫は珍しく激しいヘッド・バンギングを披露。イントロでのフラッシュのみの照明が会場のテンションを高める良い効果を生んでいたスピード・チューン「羅刹」でラストスパートをかけ、メンバーの動きも一層激しさを増す!ソロ後のキメのギターではフラッシュのみの暗い照明によりポジションを見失ってしまった狩姦が気の毒だったが、会場中誰ひとり気にせずに体全体でノリまくっている!そして本編最後にふさわしい追っかけコーラスをフィーチャーした「舞いあがる」へ。ヘヴィ・メタリックな楽曲の中でひときわ輝くメジャー・キーのポジティブでピースフルなこの曲は瞬火の豊かな才能を表す素晴らしい曲だ!会場にいる全員を穏やかな温もりで包み、生きる活力を与えてくれるかのようなメロディーを大合唱し、感動的なエンディングで本編の幕が下りる。

 当然このまま帰ろうとするファンはひとりもいない。思わず涙ぐんでしまう程の大きな歓声でアンコールを求めるまだまだ元気一杯のオーディエンスにバンドも応え、計3度のアンコールに応えてくれた。一度目のアンコールでは「せっかく来てくれたのに一曲だけじゃねぇ!」との言葉で、つのだ☆ひ・・・じゃなくて三柴氏が呼び戻され、今後二度とライブでやることはないかも知れないという瞬火の紹介から「陰陽師」がプレイされる。琴の音色にのる瞬火の静かな語りからスピード・チューンへと展開するドラマティックなこの楽曲は1st(インディーズ時代)からの曲で、現在のサウンドには殆どみられない正統的なメロディック・パワー・メタル型のチューンだ。

 2度目のアンコールではメジャー・デビューのきっかけとなった曲との紹介から、招鬼がアルペジオを弾き始めると同時にあがったギターを掻き消すほど大きな歓声が印象的だった「月に叢雲花に風」。高揚感が得られるキャッチーなサビと黒猫による見事なソプラノ・ヴォイスによる感動的なソロ後のCメロはいつ聴いても素晴らしい!オーディエンスのあげた大きな歓声も納得できる名曲だ。 これまた恒例の会場を揺るがす大きな掛け声をフィーチャーした「おらびなはい」に続くと、招鬼によるソロはギターを頭の後ろまで持ち上げて弾くというパフォーマンスを見せる。ユニークな言い回しで大爆笑を誘ったメンバー紹介を最後にメンバーがステージを降りた。

 2回のアンコールでたっぷりと楽しませてくれた後、三度目のアンコールに応えてくれるという何ともお客さん思いな陰陽座。これも彼らのライブ・チケットが速攻売り切れる理由のひとつだろう。先程宣伝していたカラフルなTシャツを身に付け「俺たちPUFFYみたいじゃない?」と言いながら斗羅と黒猫がメンバーをひとりずつステージに呼ぶ。各メンバーもTシャツ姿という貴重な姿で定位置につくと、「鬼斬忍法帖」がスタートし和やかムードが一転し会場が激しく上下に揺れる!狩姦の速いスウィープからIRON MAIDEN風のツイン・リードへと流れるソロ・パートが挿入されたこのメタル・チューンも1stアルバムからのもの。

 続いて「おぉ、一、二〜の、三、四、四!」というお馴染みの掛け声から今日のライブの幕をおろすお祭りソング「がいながてや」へ。最後の最後まで瞬火の“魂を削ったパフォーマンス”で一回席の一般のお客さんも、二回席にいる関係者も、会場にいる全ての人を心から楽しませようとする思いがヒシヒシと伝わる。陰陽座のサウンド面にも、ヴィジュアル面にも、曲のテーマにも、全てに対しての瞬火の明確なビジョンがあるからこそ、良い音楽、良いライブ・パフォーマンスを披露し多くの人の心を捕らえるのだろう。二回席でペンを持ちながら冷静にステージを観ようと務めるも、瞬火の思惑通り見事に心を鷲掴みにされ「おぉ、一、二〜の、三、四、四!」と思わず叫んでしまう(小声でね/笑)筆者であった。

 サウンドと共にオリジナリティー溢れる雰囲気で場内を包みあげる彼らのライブは、そこにいる視覚,聴覚を持った全てのものを心から楽しませてくれる。ヘヴィ・メタルが好きだとか好きじゃないだとか、ヴィジュアル系が好きだとか好きじゃないだとか、そんなうんちくに一切関わらず、たとえ彼らのCDを持っていなくてもこの場に1分でもいれば陰陽座というバンドに“取り憑かれる”に違いない。更に人気が爆発し、文字通りの“化け物バンド”になる日もそう遠くない陰陽座を、ひとりの音楽ファンとしてこれからも応援していきたい!


P.S.
 「小生も思わず感極まり、心から少しばかり漏れ出した小声で綱引きをしました」。えっ、何それって?陰陽座のライブに行けば分かりますよ!




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