JAPAN TOUR 2003 in SHIBUYA-AX 4.4(Fri.)

新世代メタル・シーンのリーダー格に相応しい怒濤の大盛り上がりを見せた白熱のライブ!

協力:マーキー・アヴァロン
photos:吉浜弘之

---SET LIST---
1.Intro〜Abandoned, Pleased, Brainwashed, Exploited
2.Kingdom for a Heart
3.Victoria's Secret
4.Broken
5.8th Commandment
6.Last Drop Falls
7.The Rest Of The Sun Belongs To Me
8.Champagne Bath
9.Blank File

10.UnOpened
guitar & key solo
11.San Sebastian
12Replica
13.My Land
14.Black Sheep
__encore__
15.Wolf & Raven
16.FullMoon
17.The Cage


 デビューから4年という決して長い時間ではない間に新世代バンドのリーダー格としてシーンを率いる若手No.1バンド、SONATA ARCTICA。その前進は衰えることを知らずニュー・アルバムのセールスはもとより、今回の再来日公演もほとんどの会場でソールド・アウト状態となっている。会場へ足を運んでまず驚いたのが、オーディエンスの年齢層が異常に若い! 昨今のメタル系のライブに訪れるのはだいたい20代後半から30代が主で、いつもなら会社帰りのスーツ姿が目立つだがこの渋谷AXではほとんど見かけない。会場を埋め尽くすオーディエンスのほとんどが20代前半、中にはまだ高校生ぐらいのファンもいるぐらいだ。バンドもまだ若くエネルギッシュなパフォーマンスを披露していたが、オーディエンスもそれに負けじとエネルギッシュな反応を見せた白熱のショウだった。



 ライブのために用意したという壮大なクワイアをフィーチャーしたSEテープが青の照明と共鳴してドラマティックな雰囲気を作り始めると、客席は既にヒートアップ!「ヘイ!ヘイ!ヘイ!」とのかけ声でメンバーの登場を待っている。薄暗いステージ上に光が見えるのは新加入のヘンカのキーボードだ。ショルダー・キーボードを肩から下げ大股を広げながら立つ姿から既にエネルギーを発散しており、リズミカルにコードを鳴らし始めるとやがてそれにバンドが加わり疾走を始める。すると、それが新作のオープニグを飾る名曲「Abandoned,Pleased,Brainwashed,Exploited」のリフだと気づき、オーディエンスのテンションは一気に駆け上がった!待ってましたかのようにオープニングから屋根を吹っ飛ばすかの大合唱が起きる。メンバー全員がコーラスを担当しハーモニーを聴かせるが、会場の1.600人による巨大な合唱隊にはかなわない。会場中を埋め尽くす大合唱が歌う感傷的なサビは、まさに鳥肌ものでアルバム以上に強力なチューンに聞こえた。 続けて1stアルバムから「Kingdom For A Heart」が始まるとまたまた大きな歓声が上がり、大合唱と「ヘイ!ヘイ!」の歓声の渦がたちまちに出来る。当然ながらオーディエンスはしっかり全てのアルバムをチェックしているのだろう、そのテンションは冷め止まない。ヤニとヘンカが隣り合ってヘッドバンギングをするパフォーマンスを見せる。トニーの喉も前回とは違い好調なようで、若干きつそうにしながらも高いところまできちんと出している。




 新作からの「Victoria's Secret」のAメロはトニーの喉を休めるのにもってこい(?)、サビはヘンカがハモリを付ける。そのヘンカはイントロではショルダーKeyと横に置かれた備え付けのキーボードとを片手ずつでプレイ、ソロでは膝ぐらいまで低く下げたショルダーKeyで流麗に弾いて見せオーディエンスから歓声を浴びていた。次は少しテンポ・ダウンし「Broken」がプレイされる。中低域のトニーの声は非常に安定しており、特に中間部の静のパートではしっとりと歌い上げ会場中を釘付けにしていた。シャウト系のコーラス・パートはヘンカの担当だ。彼の声はSONATA ARCTICAのライブにおいて大きな役割を担っている。「ナー、ナ、ナー、ナ、ナー」の部分はテープか?? 一番最後の一節を歌い終わると同時にヤニがスピーディーなリフを弾き始め、そのまま「8th Commandment」へとつながる。SONATAらしい高揚感のあるサビ・メロではやはり大合唱となり、あっという間に会場は熱気を取り戻す。そのサビをトニーとヘンカは見つめ合いながら一緒に歌う。ヤニとヘンカのソロ・バトル後、ギターのクリーン・アルペジオによる静かなパートへ入るとトニーはマイクを会場に向け、オーディエンスに全てを歌わせる。本人は中央に座って両手を上に伸ばしてオーディエンスに向かって祈りを捧げる様な動きを見せる。ステージへ向けられる1.600もの声を一斉に浴びれば拝みたくもなるだろう(笑)。途中でギターも止めオーディエンスの合唱だけにするというアレンジでドラマティックな演出をする。会場にいる誰もが隣の人に負けずとばかりに声を張り上げ歌っている。


 短い演奏を挟みまたまたテンポ・ダウンし2ndからの名バラード「Last Drop Falls」。トニーの喉の事を考慮したかの様な曲順だが、オーディエンスも休憩になってちょうど良い。しかも単なる休憩ではなくしっとりと歌い上げるトニーの歌がこれまた素晴らしく、感動的なバラードに聞き惚れる。ヤニのギターもアルバム・バージョンに手を加えたプレイで一層感動をもり立てた!
 「もっと聴きたいか!」のトニーの煽りに当たり前のごとく大きな歓声で応えるオーディエンスに紹介した曲は新作の日本盤ボーナス・トラック「The Rest Of The Sun Belongs To Me」。当然ながら日本公演のみの特別なプレゼントなのだが、ファンに特別なものをというバンドの気持ちが嬉しい。拍子のつかめないこの曲の複雑なソロ・パートも次の「Champagne Bath」のイントロもヤニとヘンカの息のあったコンビでバシッと決める。日本語で「誰かオナラした?」とのトニーのMCで笑いを取った後に続けて紹介されたのは「Blankfile」。デビュー・アルバムのオープニングを飾るこのスピード・チューンは曲紹介をした瞬間に大きな歓声が上がるほどで、オーディエンスの本能もすこぶる良く、コーラスの無いこの曲では各メンバーもステージ上を駆け回る熱いパフォーマンスを見せる。もちろんソロ後の印象的なメロディーは大合唱だ。

 もの悲しいピアノのアルペジオにヤニが泣きのギターをのせ、トニーが極めつけに叙情的な歌声をのせてくると思わず目頭が熱くなる。感動に浸り始めた次の瞬間、アップ・テンポへ展開するこの「Unopend」も1stからの楽曲。ギター・ソロのメロディーに合わせて大合唱が起きると思わずヤニもニンマリするほどの盛り上がりを見せる。この後も特にデビュー・アルバムからの楽曲になるとオーディエンスの反応は一層熱くなるのが印象的だ。




 いったんメンバー全員がステージを降りると、すかさずオーディエンスは「オイ!オイ!オイ!」とのコールでバンドを煽る。と、そこへ登場したのはヤニとヘンカの二人のみで、打ち込んだバック・トラックの上でインプロヴァイズド合戦を始める。トニーが日本語で「ヘンカはヤリチ○です。」と、途中でとんでもないツッコミを入れたものの、ソロ合戦はMETALLICA、PANTERA、DREAM THEATERのインスト・パートをつなげたメドレーで締めくくるなどの聴かせどころを設けオーディエンスを引きつけていた。この二人によるソロ・タイムが終わるのと同時にドラムのカウントから曲に入る。一瞬何の曲か分からずオーディエンスの動きが止まるが、イントロのメロディーが分かった瞬間凄まじい歓声が上がった!そう、念願の「San Sebastian」だ!!前回の来日公演ではプレイせず多くの不満をメンバー自身浴びたであろう。オーディエンスがどれだけ楽しみにしていたかは、イントロのメロディーから曲の最後までのこの大合唱を聴けば一目瞭然。それにしてもこの異常な盛り上がりは同空間にいる僕も思わず鳥肌が立ってしまうほどだ。


 ヤニの紹介をワザと省き会場中のブーイングをあびていたトニーによるメンバー紹介で笑いをとった後、モニターに腰掛けたヤニが「Replica」のきれいなアルペジオを弾き始める。同じくモニターに腰を掛けながら熱唱するトニーの歌が素晴らしい!曲が終わったかと思うと、すかさずトニーが透明感のあるアルペジオを弾き始める。再び1stから「My Land」だ。トニーが要求せずともイントロ部のメロディーをオーディエンスは合唱する。やはり、1stの曲の反応はすこぶる良くオーディエンスもしっかりと細部まで覚えているようだ。そして結果的に本編最後となってしまった「Black Sheep」がまたしても間髪入れずにスタート。もちろん代表曲のヒトツと言っても良いこの曲でも大合唱だが、最後の曲とも何ともアナウンスがなかったので曲が終わってメンバーが引っ込んでしまってもしばらく会場は静まり返っていた。

 しばしの沈黙後に上がったアンコールに応え、ヘンカのみがステージに戻り優雅なピアノを奏で始める。美しいアルペジオに聴き惚れているとピアノの旋律が聴いたことのあるフレーズへと変わってくる。それが「Wolf & Raven」のリフだと気付いた瞬間、一気に曲がスタート!何ともにくい演出で始まったこの曲のメイン・リフは日の丸のハチマキを額に巻いて出てきたヤニとヘンカによる高速ユニゾンなのだが、ピッタリと息のあったプレイを披露している。左隅で跪きながらトニーが熱唱したソロ後のメロディーは何とも感動的だ!続く「Fullmoon」は曲を始める前にオーディエンスにメロディーをハミングさせる。哀愁を伴う北欧メタル・チューンのお手本のようなこの佳曲は会場中で合唱となったサビの叙情的なメロディーも相まって、青いバックライトで照らされるステージ上は湖上のような雰囲気に包まれている。

 恐ろしく盛り上がったこの日のとうとう最後となってしまった曲は「The Cage」。アルバムではヤンス・ヨハンソンが弾いているフレーズをなぞったプレイを披露したヘンカも、ずっと以前からSONATA ARCTICAのメンバーだと錯覚してしまうほどに視覚的にも聴覚的にも馴染んでいる。ヤニのソロに入るとトニーはステージ裏へ引っ込んで行くが、ソロが終わり掛けてもトニーが戻ってくる気配がない。とうとうソロが終わりサビに移るがトニーの姿も声もなく、ヘンカのコーラスしか聞こえてこない(笑)。そのヘンカも様子がおかしいと歌いながら廻りをキョロキョロ見渡していると上手から走ってトニーがステージ上に表れ苦笑しながら歌っている・・・。トニーがいったい何をしていたかはインタビューの方を読んでいただくとして、こんな事も笑いで済ましてしまうほどに満足しきったオーディエンスの大合唱は最後まで絶えることなく続き、民族的なメロディーを取り入れたアレンジで「The Cage」とこの日のショウに幕が下ろされた。



 トニーの体調も含め若さゆえの問題点の多かった前回の来日公演よりも着実に成長を遂げたバンドのパフォーマンスと、まだまだ膨らみ続けるファンの数と反応の大きさが見事な比例関係を描いているこの空間では、日本ではあまり実感のない“ヘヴィ・メタルの復興”が手に取るよう分かる。今の日本には渋谷AXという会場をワンマンで満員にできるメタル・バンドはそういないが、多くの魅力的な楽曲を持ちつつヘンカという強力で魅力的なパフォーマーを得て成長し続けるSONATA ARCTICAが今後のメタル・シーンをリードし、今日と同じぐらいの魅力的で白熱したライブを披露してくれるメタル・バンドが今後増えていくだろう。SONATA ARCTICAというバンドの可能性に素直にこう期待してしまう、凄まじい盛り上がりを見せた一夜だった。




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