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ローランド・グラポウ(Gt)、ウリ・カッシュ(Dr)がHELLOWEEN脱退したというニュースにファンが大きなショックを受けたのが2001年8月。あれから1年半、今年1月には思ったよりも早くにニュー・バンド:MASTERPLANでデビュー・アルバム「MASTERPLAN」を引っ提げ戻ってきた。しかもフタを開けてみればこれがHELLOWEENのエッセンスを受け継ぎながらも新しい要素に溢れた良質なメタル・サウンドに仕上がっており、衝撃の脱退劇は結果的には素晴らしいバンドがひとつ増えたというファンとしては嬉しい状況へと発展した。今日ここに集まったファン全員がバンドに対して漂わせていた、“両手広げの大歓迎”ムードが何よりもの証だ。
今日の東京公演初日は、日本では数少ないメジャー・デビュー組のMASTERMINDがオープニングアクトについた。(2日目も務める) 地道なクラブサーキットを続けているだけあり、今日も佐藤嘉哉&渡会喜之の高速ツイン・リード・ギターを主軸に安定したプレイを聴かせてくれた。佐藤
則夫の独特のMCも好調で、はじめは腕を組みながら様子をうかがっていた多くのオーディエンスもバンドに暖かい反応を見せ始める。イントロダクションのインスト「Departure」を含めて5曲をプレイされた中、既にマスタリング作業に入っているというニュー・アルバム「TO
THE WORLD BEYOND」から2曲の新曲が披露された。そして、このニュー・アルバムにはなんと(!)STRATOVARIUSのヤンス・ヨハンソン(Key)が2曲でゲスト参加というビッグ・ニュースもアナウンスされ、喝采を浴びていた。そのヤンスの参加したSTRATOVARIUS的なリフが特徴の「Under
Fire」、ツイン・リードを大フィーチャーしたMASTERMINDらしいスピード・チューンの「Over Enough」を含む彼らの新作は年内中にはリリースされるという事で、オープニング・アクトとしての仕事も見事に務めつつ、バンドにとっても良いプロモーションの場になっただろう。
オーディエンスが軽く暖まった後、数十分のセット・チェンジを経て登場するのはメインのMASTERPLANだ。客電が落ちた瞬間、まだSEも鳴ってないうちから既にMASTERPLANコールが展開され、オーディエンスのやる気具合が手に取るように分かる。ピースフルなSEが流れる最中にステージ上にあがるメンバーに興奮するオーディエンス。元HELLOWEEN組の2人への歓声の大きさはもちろんながら、その実力を初めて生で披露するヨルン・ランデ(Vo)への歓声も大きい。僕も今回のライブに対して楽しみのひとつは彼のヴォーカルだ。
アルバムどおりオープニングは「Spirit Never Die」。ローランドとウリからのメッセージとも取れるポジティブな歌詞を持ったこのスピード・チューンは、ファンにとっても期待通りの選曲で予想通り客席は大きなコーラス隊となる。そして注目のヨルンは、期待したどおり凄まじい! 声のハリは初っぱなから強く、アルバムどおりのクオリティーで唄を披露していて、しかもマイク・スタンドを手にしながらステージ上を左右に駆け回るパフォーマンスはフロントマンとしても一流だ! アルバムで聴かれるメタル・シンガーとしての力強さも生声では迫力が増すと同時に歌詞一語一語にエモーションを込め、オーディエンスに訴えかけるようなるようなその歌いまわしが実に素晴らしい。デヴィッド・カヴァーデイルそっくりに歌うTHE
SNAKEでも驚いたが、ただのモノマネではないことが今日のパフォーマンスで証明されたであろう!その“ブルース魂のある歌い回し”とでも言えば良いのか、パワー・メタルも彼が歌えば他のバンドとは一線を画すスペシャルなサウンドに仕上がる。
そのヨルンの歌が更に冴えたのは「Soulburn」,「When Love Comes」,「Crystal Night」のアルバムでは中堅どころの楽曲だ。ステージの上手に位置したキーボードの場所から下手のローランドの所までおちゃらけたそぶりで駆け寄ってきた(しかも手ぶらで)、アクセル・マッケンロットのめちゃくちゃ楽しそうな容姿も驚いたが(笑)、ヨルンの歌はこれらの曲をアルバム以上の特別な魅力を添える。激しいパートでの典型的なヘヴィ・メタル・ヴォイスも申し分なく凄いが、静パートでは薄暗い青い証明も助けアドリブでメロディーを崩しまくった歌に込められるエモーションに思わず聴き惚れてしまう。特にブルージーなアドリブで締めくくった「When
Love Comes Close」は、どこかに隠れてデヴィッド・カヴァーデイルが歌っているのではないかと思ってしまうぐらいのものだ。
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MASTERPLANでは以前のネオ・クラシカル・スタイルの速弾きギターを止め、メロディーとビブラートで聴かせるローランドのギターもなかなか魅力的。黒いレスポールを肩から下げ、低音の効いたサウンドを聴かせるその姿はどことなくジョン・サイクスを彷彿させる。ウリの手数、足数の多いドラミングは相変わらず軽快で、「Kindhearted
Light」,「Crystal Night」などではリズムで聴くものを高揚させてしまう魔力を持っている。
いきなり曲順を間違えて紹介するヨルンに、両脇のローランドとヤンのからツッコミが入りオーディエンスの笑いを誘った「Woman
From Tokyo」。この他にも「Man On The Silver Mountain」,「Show Must Go On」の見事なカバーを披露していた。「Man
On〜」ではロニー・ジェイムス・ディオさながらのこぶしを聴かせたヨルンのレインボー・ヴォイスぶりを、そしてオリジナル曲と思ってしまうほどの見事なアレンジでプレイした「Show
Must〜」は原曲とはひと味違う光を放っている! 日本のファンには馴染みの薄いであろう「Enlighten Me」(ファースト/デビュー・シングル)をいきなり2曲目にプレイしたのには、さすがに戸惑いを隠せないオーディエンスだったが、この他にもヨーロッパ盤に収録され日本盤未収録の「Bleeding
Eyes」もプレイされる。この「Bleeding Eyes」はヘヴィな曲調の中で哀愁を感じるメロディーが印象的なミドル・テンポ・チューンで、70’Sハードロックの影響を漂わせる佳曲だ。イントロのメロディーをローランドが奏でた瞬間に大きな歓声の上がった「The
Chance」〜「Sunset Station」〜「The Departed」のメドレーもテンポ良く展開させ効果的であった。ヨルンのソロ・アルバムに収録されている「Sunset〜」の反応は正直言っていまいちだったが、フックのあるメロディアス・ヘヴィ・メタルの佳曲でオーディエンスも聴き入っている。
アンコールの1曲目にでプレイされた「Heroes」ではマイケル・キスクのパートをローランドが歌うという意外な展開も見られたが、オーディエンスは待ってましたと言わんばかりに拳を上げながら一緒に歌った!
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僕が見た東京初日は会場の6割程度しか埋まっておらず、少し寂しい気もしたが集まったオーディエンス一人一人は大声で歌いヒート・アップしながらショウに参加していたのが実に印象的で、彼らを精一杯歓迎していた。所属レコード会社の担当氏によると翌日の最終日に人が集中したため、この日よりも凄い盛り上がりを見せていたようで、オーディエンスの熱さはナントSONATA
ARCTICA並みだったという。一緒に歌える良質なメロディーを持ったメロディック・メタルを日本のファンは求めているのだろう。HELLOWEENからのサウンドを継承しながらも、ただ亜流になるのではなく特別な“MASTERPLANサウンド”をアルバムでも、そして何よりも今日のショウで強く感じられた。その最たる要因としては、やはりヨルン・ランデの持つそこいらのシンガーよりも奥行きのある歌を聴かせられる“声”がやはり大きいだろう!! 各プレイヤーは新人ではないが、結成して約1年チョットの新人バンドながら、らしからぬ整合感とバンドの団結力がヒシヒシと伝わってきたショウだった。きっと彼らのスペシャルなメタル・サウンドに引きつけられるファンはどんどん増えてくるに違いない。
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