RING OF FIRE
〜JAPAN TOUR 2002〜
2/20 at TOKYO “ON AIR EAST”


photos by OSAMU“TIO”SUZUKI(写真は全て2/21のものです)
-SET LIST 2/20-
1.(Key Intro)〜Circle Of Time
2.City Of The Dead
3.Vengeance For Blood
4.Atlantis
5.(Interlude/Vitalij and Tony)
6.Death Row
7.Samurai
[Guitar Solo]
8.Dreams Of Empire
[Bass Solo]
[Drum Solo]
9.Keeper Of The Flame
10.The Oracle
[Key Solo]
[Vocal Solo]
11.Bringer Of Pain
12.Face The Fire
〜ENCORE〜
13.Fairytales Won't Die
14.You Don't Remember,I'll Never Forget〜Magic Mirror
15.Ring Of Fire



 マーク・ボールズとヴィタリ・クープリが組み、ヘヴィ・メタル・バンドを結成したことは日本の多くのファンを喜ばせたに違いないと思う。 何を隠そう、僕もそんなファンの一人である。 それまでは、クラシカルなヘヴィ・メタル・ソングをマークの驚異的なハイトーン・ヴォイスをもって聴く事の出来る機会は、イングヴェイ・バンドに在籍している時のみだと思っていたし(マエストロ・アレックス・グレゴリーのアルバムにゲスト参加したものを除けば'86年から'99年のインギー・バンド復帰まで彼の歌うヘヴィ・メタルは聴けなかった)、ARTENSIONの活動停止によりしばらくの間ヘヴィ・メタル・シーンから身を潜めていたヴィタリだったために、二人のタッグには喜びと期待とで一杯だった。
 そんな彼らの来日公演までが実現し、ギタリストにはネオ・クラシカル・ファンにはお馴染みのトニー・マカパインが来日、同時にヴィタリのプレイをようやく生で拝めるのだから今回のライブは色んな意味で楽しみにしていた。

 会場の入り口でレコード会社の担当の方から聴いたのだがチケットの売り上げが今ひとつだと聞き、個人的な喜びとは裏腹な現状に少々残念だった。 しかし同時期に来日するOZZY OSBOURNEやAEROSMITHでさえ、チケットが余っているというご時世なので致し方ないのだろう。 会場に入ったのが開演時間の約15分ぐらいだったが、確かに人は少なく会場の半分にも満たない
程のものだった。 それでも開演時間ギリギリには当日券を購入したファンが多かったのか(?)6、7割を埋める程度になっていた。
 客電が落ち、マーク以外のメンバーが各パートに付き始めるも、ヴィタリの登場にはやはり大きな声援が送られる。 そのヴィタリのピアノ・アルペジオからAL「THE ORACLE」のプレリュードへと流れ、アルバム通りテクニカルで派手なイントロをもったスピード・チューン「Circle Of Time」が始まった。 イントロの途中でD.C.クーパーばりの、サングラスにゴールドのジャケットという派手な衣装に身を包んだマークが登場すると、会場のヴォルテージはグンと上がり、本調子ではないもののそのパワフルで驚異的なハイトーンにはやはり驚かされる。 続いてAL「THE ORACLE」から「
City Of The Dead」,「Vengeance For Blood」,「Atlantis」とテンポ良くプレイされ、さすが強者達が集まったバンドだけにアルバム通りのテクニカルなフレーズも難なくこなし、それに加え自身の最新作ではリード・ヴォーカルも披露しているだけありトニー・マカパインが上のパートのコーラスをつとめ、各曲をさらにテンションの高いものにしているが嬉しい。 その反面マークの歌はまだまだ本調子ではないのが気になるが、それは期待が大きすぎるからなのだろう。
 そして、注目はヴィタリのプレイだ!! 本職(今となってはどちらがどうだか分からないが・・・)はクラシック畑のプレイヤーだけに、安定したプレイを聴かせるのは間違いないと思っていたのだが、弾き方も行儀正しい紳士なスタイルなのではと心配していたがそれは全くの誤解だった。 クラシック・プレイヤーとは思えないほどアグレッシブで、ロック・スター的な堂々としたそのパフォーマンスはヴィジュアル的にもイングヴェイを彷彿させている!! 各曲のソロでは、右手では驚異的なスピードで鍵盤の上に指をはわせながら、使っていない左手ではギターの早弾きをしているかのように腕を上げながら指をパタパタとさ
せ、顔の表情は良くギタリストがやるように口をアングリと開けながらの余裕のパフォーマンスをしているのだ!! それは慣れない人がやると凄くカッコ悪いものになりかねないのだが、ヴィタリは常にそうしてきたかのようにとても様になっており、尚かつクールなものだった。 間違いなく彼はロックン・ローラーであり、メタル界のベスト・キーボーディストに違いないと確信出来た!!

 続いてAL「RING OF FIRE」から「Atlantis」を紹介し、曲をスタートしようとするがどうもキーボードのコンディションが悪いらしい。 なんとか調子を戻し、続けてテクニカルながらも叙情的な短い即興的なインストがヴィタリとトニーで披露され、軽快なビートの「Death Row」へと流れる。
 東洋的なメロディーが印象的でドラマティックな展開を持つ「Samurai」が次ぎに演奏されるが、この曲の後半でキーボードにトラブルが発生し、ヴィタリの意としない音が鳴りやまないというアクシデントに見舞われた。 他のメンバーも顔を見合わせ心配しながらも急遽、即興アレンジにより曲が終えた。 この緊急事態において曲を止めることなく即興のアレンジを出来てしまう各メンバーの能力もさすがだし、曲が終えてもまだ鳴りやまないキーボード音を何気なくギターで弾きだし、続けるようにしてすかさずギター・ソロを披露し対処時間のカバーに入ったトニー・マカパインのとっさの判断と、場つなぎではすまさない内容のソロ・タイムの内容には感激した(元々ソロ・タイムは用意されていた様だが・・・)。 実際に会場でもアクシデントに気付いたオーディエンスがトニーのファイン・プレイに盛大な拍手を送っていた。


 なんとかキーボードの問題も解決され「Dreams Of Empire」〜ベース・ソロ〜ドラム・ソロ〜「Keeper Of The Flame」,「The Oracle」と順にプレイされるが、アクシデント後にソロ・タイムやミドル・テンポで展開の多い長めの楽曲が続いてしまうために、オーディエンスのヴォルテージもすっかり下がってしまった。 しかし、そんな中でも個人的に密かに期待していたヴァージル・ドナティのドラム・ソロはオーディエンスの目をくぎ付けにするものであった。 彼はデレク・シェリニアンのプロジェクトPLANET Xでの来日公演で凄まじいプレイを見せつけていたので、ソロ・タイムがもしあれば・・・と期待していたのだ。 目を瞑りながら、しかもヘヴィ・メタルでは珍しいレギュラー・グリップでパワフルかつ柔軟でテクニカルなスティックさばきを披露したソロ・タイムだ。 中でも驚いたのは、タム回しやリズムの合間に両手のスティックの先端とグリップ側リズミカルに鳴らすという、観たことのない技を披露した瞬間だった。 はじめはスティック操作を誤ってぶつかってしまった音だと思い、彼ほどの人がと耳を疑った程だったが良く聴くとそれは意図的に鳴らしているのだと気付いた。 会場もそのプレイが飛び出した瞬間は静まり返り、驚きを隠せなかったが、しばらくすると地面の底から「オーッ」という声と凄すぎて思わず笑ってしまう人もいた程で、期待以上のパフォーマンスを披露し、その場にいた全ての人を圧倒させていた!!

 続いては
AL「THE ORACLE」からタイトル・チューン。 しばらく休んでいたせいかマークの声は絶好調に達し、素晴らしい伸びの歌を聴かせてくれた!! 次に用意されたのは誰もが期待したであろうヴィタリのソロ・タイム。 これは先にも書いたような余裕なパフォーマンスで、床に寝そべりながら逆手で弾くという荒技も飛び出したり、ショパンの曲を殆ど手を見ずに目を瞑り上を見上げながら感情移入したプレイを披露するなど期待通りのものだった。 そして今度はマークのヴォーカル・ソロ・タイム。 あまりヴォーカルのソロ・タイムは見かけないが、イングヴェイのジャパン・ツアーでテノール歌手もびっくりのオペラを披露したのをきっかけに、このバンドの2枚のオリジナル・アルバムにも定番となっているものだ。 さすがに曲は「サクラ・サクラ」ではなく有名なオペラ・ソングで、メタル・シンガーとは思えないスタイルでの声を披露し会場を圧倒させていた。
 ソロ・タイムが続きオーディエンスのヴォルテージが下がるのは否めなく、構成に問題があるのではないかと思うが、このメンバーなら見に来ているファンもそれぞれ色々な見方があるのだろうし仕方がないのかもしれない。 本編終盤となった「Bringer Pain」、ラストには「Face The Fire」とスピード・チューンが披露され、そのリスナーを高揚させる日本人好みのメロディー・ラインをマークの最高の声で聴くことが出来、テンションの下がっていたオーディエンスも一気に盛り上がりを見せる・・・もこの曲で本編が終了した。

 シャイな客が多かったのか、歯痒いRING OF FIREコールに応え、まずヴィタリが両手を広げ前列のオーディエンスの手を叩きながらステージに走って戻ってきた。 こういう仕草も非常に様になっており、音楽的なリーダーなのは元よりメンバー中一番のパフォーマーでもある。 ここで気付いたのが、ヴィタリの手のデカさだ!! 日本人とは違い顔が小さいのは承知だが、片手で顔の2倍はあるのではと思わせる程のもので、良くピアニストは鍵盤の届く範囲を広げるために指の間の水掻きを切ると聞くがヴィタリの手の大きさも生まれながら素質なのだな・・・・と、どうでも良いことに感銘を受けていた(笑)。 
 アンコール一発目はなんと知る人ぞ知るマエストロ・アレックス・グローリーのアルバムでマークの唯一参加したパワー・バラード「Fairytales Won't Die」!! しかし会場の反応は殆どなく、確かにマニアックな選曲なのだが後で話を聞くと某業界関係者氏からの強い要望があったらしい。 続いては「You Don't Remember,I'll Never Forget」から「Magic Mirror」へのイングヴェイメドレー!! さすがに「You Don't〜」のリフが始まったときの反応はもの凄かったが、「Magic Mirror」の反応は今いち。 アップ・テンポで決して悪い曲ではないが、僕個人も「なぜ、この曲を?」と思わずにはいられない選曲だ。 そしてラストは「RING OF FIRE」からの劇的に幕開けをするスピード・チューン「Ring Of Fire」で、この日一番の盛り上がりを見せショウの幕を閉じた。

 
たった一週間のリハーサルのみでこれだけのパフォーマンスができるのはさすが強者揃いのバンドならではだが、そんな派手なテクニックをもったインスト陣に負けることのないマーク・ボールズの圧倒的な歌唱力を改めて実感させられたライブだった。 派手なエンターテーメントやカリスマ性を持ち合わせていても、そこんじょそこいらのシンガーでは決してこのバンドのシンガーを勤められないだろう!!
 ショウの運び、選曲、ソロ・タイムの持ち時間等、課題はいくつもあり最高のパフォーマンスだったとは決して言えないが、これ程のメンバーが揃ってヘヴィ・メタル・アルバムを制作し、来日公演までもを実現してくれたことは一HM/HRファンとして凄く喜ばしいことだ。 新作を制作する予定という情報は今のところ無いが、終始楽しそうにプレイをしていたメンバー達を信じ、今後もこの最強テクニカル・様式美・ヘヴィ・メタル・バンドRING OF FIREとしての活動に期待したい。



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