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AVANTASIA来日公演ライブレポート

AVANTASIA来日公演写真画像
photos by Hiroyuki Yoshihama
suported by MARQUEE AVALON

AVANTASIA来日公演写真画像  EDGUYの賢者、トビアス・サメットが主催するメタル・オペラ・プロジェクト“AVANTASIA”の来日公演が12月8日に品川ステラボールで行なわれた。前回と同じ会場であり、また同じくたった1回だけのショーだ。しかも、その凄まじい来日メンバーは発表された当初より大きな話題を呼んでいた。

 前作『THE SCARECROW』からの冒頭2曲でスロースタートを飾り、「THE SCARECROW」の2コーラス目で出てきたのはヨルン・ランデだ。マイク・スタンドを持ちつつステージを移動しポーズを決める様、そして髭を蓄え鬼のような形相で放つソウルフルな歌唱には、思わず鳥肌が立つ。この時点でトビーをはじめ、終始ステージ左上にいてバックコーラス(ながら声がデカイ=声量豊かってこと/笑)を務めるアマンダ・サマーヴィル、ギターを片手にお馴染みの力強いコーラスも務めるオリヴァー・ハートマン、そしてヨルンと4人の素晴らしいシンガーが舞台上にいるため、「SERPENTS IN PARADISE」のオペラティックなヴォーカル・ハーモニーもバッチリ決まっていた。

 「THE STORY AIN'T OVER」では“あの声”がはじめて日本の地に響き渡った。そうボブ・カトレイだ!英国のドラマティック・ハードロック・バンド:MAGNUMを率い、ソロも含めるとすでに30年以上のキャリアを持ちながらも、初の来日である。トビーよりもさらに小柄な体ながら、腕を機敏に動かしながら搾り出す渋い声は、想像を絶する存在感。CDで聴く分には分からないが声量が凄まじいのだ。所謂パワフル系のメタル・シンガーとは一線を画すものの、まったくインスト陣に埋もれないその強力ハスキーヴォイスは、オーディエンス全員の耳から入りそして心の心底に深く染み渡った。生で聴くその声に思わず涙腺を緩ませたファンも多かったであろう!ボブの登場と共に送られた大きな歓声も非常に印象的だった。

 そしてそして1stからの「REACH OUT FOR THE LIGHT」ではいよいよ、この会場の全員が待ち構えていたマイケル・キスクの登場だ!来日はなんと93年(HELLOWEENのAL『CHAMELEON』リリース)以来とのこと。昨今、自身のプロジェクトでメタルをやることはなく、CDへのゲスト参加のみ。生で拝めるのは実に17年ぶりであり、しかも“メタル”でこそ冴えるあのハイトーン・ヴォイスに多くのファンが期待を一心に寄せていたであろう。登場と同時に演奏が掻き消されるほどの歓声があがったのも無理もない現象だ。
そのキスクがいよいよ歌い始める…のだが聞こえづらい…。一生懸命“あの声”を探すのだが、かすかに聴こえるほど。ハイトーンを出した後、何度も咳き込むなど本調子でないのか、はたまたやはりメタルを歌うのにブランクが長すぎたのか…。あの突き抜ける強さがなく、またステージ上での動きもどことなくソワソワし本人も自信なさそうに歌っているのだ(泣)

 ただ、その後披露される「DYING FOR AN ANGE」,「STARGAZERS」など後半に行くに連れ少しずつ調子を上げ、あの伸びやかで聴いてすぐにソレと分かる声を取り戻していった。トビーの賢明なサポートもあり(キスケが歌えなくなる部分では率先して歌い、逆にキスケが歌おうとする部分では自分のマイクをかなり離して歌っていた!)、またオーディエンスの素晴らしい反応に、マイケル・キスクもステージを、そしてメタルを歌うのを心から楽しんでいたようだった。

AVANTASIA来日公演写真画像
AVANTASIA来日公演写真画像
AVANTASIA来日公演写真画像:マイケル・キスク×カイ・ハンセン  もう一人忘れてならないスターがいる。カイ・ハンセンだ。「DEATH IS JUST A FEELING」,「THE TOY MASTER」で登場したカイだが、2曲ともギターは持たず、頭にはシルクハット、片手にステッキとハンドマイクのみで、専任シンガーとしてステージに立った。CDではそれぞれアリス・クーパー、ジョン・オリヴァ(SAVATAGE)が唯一無二のイーヴル・ヴォイスを披露する特別な曲ながら、カイはしっかりと自分の声で世界観を創り上げていた。そして、マイク片手に自由に動きまくるパフォーマンスのカッコ良さときたら、これがまた素晴らしい。歌のみならず身振りでも世界観を創り上げるその様は、まさしくエンターティナーであった。本業でなくともオーディエンスを盛り上げる術を知るその姿からは、メタル史を大きく動かすジャーマンメタル・シーンを築き上げた存在であることを改めて確認できた。

  “ジャーマンメタル・シーンを築き上げた”カイ・ハンセン、そしてそのシーンをさらに不動にするのに大きな功績を残した人物がここにはもう一人いる。まぎれもなくマイケル・キスクだ。メタル史を大きく変えた名バンドの黄金期を支えた伝説の男2人がこのステージに揃っているのだ。当然、オーディエンスもこの2人の再演を夢見て会場へ足を運んだであろう。そしてその夢の共演はアンコール2曲目「SHELTER FROM THE RAIN」で果たされたのだ!

AVANTASIA来日公演写真画像:マイケル・キスク  初めのうちはよそよそしい雰囲気であったものの、今回はギターを手にしステージ右に位置していたカイ・ハンセンの元へ寄って行ったのはマイケル・キスクだった。キスクがギターを弾くカイ・ハンセンの肩を抱いた瞬間にも再び演奏を掻き消す大歓声があがったのは想像するに容易だろう。
この2人が数十年ぶりに同じステージに立ったとあれば、さらに大きな夢を見てしまう。きっと会場の多くもそう思ったであろう、とその時。オリヴァー・ハートマンが「FUTURE WORLD」のリフを弾き始めたのだ!会場のボルテージは一瞬にして最高潮に達する。も、実はこれオリヴァーのいたずら。「ここは俺たちのステージではないよ!」とカイの大人の発言にも納得するオーディエンスであった。

  メタルシーンの“Legend of Voices”による今回のAVANTASIA公演。ここまではゲストについて記してきたものの、やはり一番大きな拍手を贈るべきは、この場を作ったトビアス・サメットだ。もちろん影響を受けたミュージシャン達が自分の曲を歌ってくれるのは想像し得ないほどの喜びがあるのだろうが、そんな彼らを自分のステージに上げてしまうのは自分に相応の実力と自信が伴わないと出来る事ではない。反対にそんなトビーの才能に惚れ込むからこそ、こんな素晴らしいミュージシャン達がたった1回の日本公演のために力を貸すのだ。
トビアス・サメットという男は間違いなく今の、そしてこれからのメタルシーンをリードしていく存在だ。ゲストをサポートし、彼らがパフォーマンスしやすい環境を率先して作ることが、イコール、本来の目的であるオーディエンスを楽しませる事に繋がる。それを熟知したトビーだからこそ、彼の元に才能あるミュージシャンもファンも集まってくるのだ。まさに時代を引っ張っていく素質を持った男、それがトビアス・サメットなのである。
来日メンバー:
トビアス・サメット(Vo)
マイケル・キスク(Vo)
カイ・ハンセン(Vo&Gt)
ボブ・カトレイ(Vo)
ヨルン・ランデ(Vo)
アマンダ・サマーヴィル(Vo)
オリヴァー・ハートマン(Gt&Vo)
サシャ・ピート(Gt)
ロバート・フーネケ(Ba)
フェリックス・ボーンケ(Dr)
ミロ(Key)

--セットリスト--

1.TWISTED MIND
2.THE SCARECROW
3.PROMISED LAND
4.SERPENTS IN PARADISE
5.THE STORY AIN'T OVER
6.REACH OUT FOR THE LIGHT
7.THE TOWER
8.DEATH IS JUST A FEELING
9.LOST IN SPACE
10.IN QUEST FOR
11.RUNAWAY TRAIN
12.DYING FOR AN ANGEL
13.STARGAZERS
14.FAREWELL
15.THE WICKED SYMPHONY
ENCORE:
16.THE TOY MASTER
17.SHELTER FROM THE RAIN
18.AVANTASIA
19.SIGN/LOS SEVEN ANGELS

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