本作は基本的には前作「SABER TIGER」の延長線上にあるサウンドだが、下山武徳のアグレッシブなストロング・ヴォーカル・スタイル面をさらに活かしたヘヴィな作品に仕上がっている。 一聴すると初期から支持するファンにとってはこのヘヴィなサウンドに困惑するかもしれないが、光るメロディーがタイミング良く繰り出される事によって、聴き込めば聴き込むほどに旨みのでてくる味わい深いサウンドだ。
特にアルバム前半はチューン・ダウンしたギター・リフが曲を引っ張っていく一聴して“重い”と感じるヘヴィな楽曲が多いが、どの曲もサビもしくはBメロでフックのあるメロディーが顔を出し、文字通り楽曲に良いフックをもたらしている。 このアグレシッブさとメロディアスな部分との調和が本作のタイトル「FUSE(融合する)」が意味するものなのだろう。 両者を上手い具合に融合させるのは至難の業であろうが、洗練された見事なサウンドを築き上げてしまうセンスはやはり世界レベルであると同時に世界的に見てもA級に位置するものだ。
下山のとてつもない気迫が感じられるアグレッシブなA,Bメロから一転してフックのあるサビ・メロへと流れる「屈辱」は、本作のサウンドを表したオープニングにふさわしいチューン。 ヴォーカル・エフェクトをかけ、アグレッシブで狂気すら感じさせる「RED
SHADOW」は、そこんじょそこいらのデス・メタル・バンドをも凌ぐサウンド。 ANNIHILATORを彷彿させるスラッシュ系のギター・リフと気分を高揚させてくれるサビのメロディーが印象的な「Reflecting
〜」,「Trap And〜」。 アグレッシブさを抑えた下山の表現力の豊かさがうかがえ、終始メロウなメロディーを持った「Myself」,「Sleep
With〜」。 シングルにもなった「Eternal Loop(clear)」は(男の?)哀愁を感じさせる下山の歌唱力が光るSABER
TIGER流パワー・バラード。 と、聴き所も多い。
2000年に入ってからヘヴィさを持ちながらもメロディーの光る歌を聴かせるバンドが世界的に成功しているが、本作はそんなシーンに対するSABER
TIGER流現代ヘヴィ・メタルを啓示したかのようなサウンドだ!!
アルバム前半から中間にかけての楽曲に比べると後半の楽曲のメロディー導入部の魅力に欠け、インパクトもその分薄れるのが唯一の汚点だが、“バンド”として進化を続けていくSABER
TIGERの今後に大いに期待を持たせるアルバム!! 初回生産分のみボーナス・トラックとして「A Boy 〜」のライブ・テイク収録。 |