'03ジャパン・ツアーを大盛況に終えたエリック・マーティン
MR.BIG解散後初の来日公演となった今の心境と今後を語る〜

“もちろん「I'M GOIN' SANE」も自信作だけど、次のアルバムは凄い事になりそうなんだ!”

協力:ポニーキャニオン
通訳:KAKO SOMEYA

“直筆サイン入りポスター”プレゼント!!  Live Photos!


−遅ればせながらご結婚おめでとうございます。

エリック・マーティン(以下E):えっ、俺?結婚したっけ?(笑) もう8ヶ月ぐらいになるんだけど、そうやってみんなに後からお祝いの言葉を貰うと新鮮な気持ちになれるよ! この間なんて、友達に結婚してどの位経つのって聞かれて「2,3ヶ月かなぁ」なんて応えたらカミさんに横からバシッて叩かれたんだ。

−(笑)・・・昨夜(東京公演)はお疲れさまでした!振り返ってみてどうでしたか? 

E:大阪、名古屋、東京と凄く良かったよ!(このインタビューは札幌公演の前々日の1/26に行いました) 特に大阪は良かった!昨夜の東京も良かったんだけど・・・楽屋に人が多くてね。 挨拶する人がお客さんよりも多い・・・なんていうのは冗談だけど、ちょっとピリピリしていて集中力に欠けるところが実はあったんだ。でもショウ自体は良いものになったと思うよ。 今回のツアーは僕にとっての再スタートだからね。 MR.BIGの時と同じ状況っていうのは今は全然期待していないし、12年間バンドでの歴史があるからといってこれからも一生ロック・スターでいられるっていうものじゃないからね。 それなりの歴史もあるし日本には沢山のファンもいてくれるけれども、今回はショウも4本しかないしキャンペーンもすべて最初からやり直しっていう感じだね。 でもね、ここから始めて12年後にはまたMR.BIGみたいになりたい、なんて思ってはいないんだよ! 今は今回のツアーのように落ち着いてやっていけるのが凄く楽しいんだ。MR.BIGの頃は若かったから成功したいとか、大ヒット出したいっていう気持ちが凄くあったんだけどね。 今でももちろんそうなればなったで嬉しいけど、あまり期待していないよ。 大金持ちじゃないけど、お金はあるし愛してくれているカミさんもいるし、メンバーも良い仲間に恵まれている。大きな展開がなくてもこれを仕事として続けていけるっていうのが、今は一番良いと思っているんだ。 バラの香りに包まれる日が早く来ないかな、なんて思ってないよ(笑)。

−来日メンバーはAL「I'M GOIN' SANE」のレコーディング・メンバーと同じですか?

E:「I'M GOIN' SANE」とミニAL「PURE」を一緒にプロデュースしてくれたデイヴィッド・サイモン・ベイカーがサウンドマンとして来ている他は、マーク・ホーリー(Gt)、マーク・チョーリー(Ba)で、キーボーディストは今回はお仕置きのために連れてこなかったんだ。マジでね! アメリカでツアーを回るときに頼んだんだけど彼はセッション・プレイヤーで忙しく、他に大事な仕事があるからって断られたんだ。 でも、日本に行くって話をしたら「日本には行きたい」なんて言ったんだけども、そううまくいくかよ!ってね。 まぁバカな話でね、本当はキーボードがいてくれた方がサウンド的にも良かったんだけど、来日となると僕達にとってはかなりのご褒美だから頑張ってくれた人しか連れて来ないよ! ああいう偉そうなのはダメだね(笑)


−前回のインタビューではそのキーボードの方はフランク・シナトラに似ていてユニークなヤツなんだとおっしゃていましたよね?たしかポールっていう方だと・・・

E:そう、彼は(指を鳴らして)「ヘイ!」てな感じのフランク・シナトラ調でおかしなヤツなんだ。ただ腕は良いんだけどね。

−今回のセット・リストを決めるにあたってファンからのリクエストを募ったそうですが。

E:そうなんだ。僕のウェブ・サイトで告知をしたんだけど始末に終えないくらいになってしまってね(笑)。MR.BIGの曲の要望が凄く多くて、なかでも'89年以来聴いてないとかいって「Anything For You」だの「Colorado Bulldog」なんて出てきて・・・。「あれをやるんだったらポール・ギルバート連れて来なきゃダメだろ!弾けるヤツ他にいないんだからさ」ってね。 それで結局は、みんなの意見を採り入れつつも自分なりに考えて、たくさんの人に楽しんで貰いたいから出来るだけ多くの曲をやるために東京、大阪、名古屋とそれぞれセット・リストを変えたんだ。 まだ残っている札幌では最後だし長めにやるかもね!


−特に反応の良かった曲はありますか?

E:名古屋ではやらなかったんだけど「Somewhere In The Middle」とか、「Free Of It」や「My Disease」、それとアコースティック・バージョンでやった「Sucker For A Pretty Face」なんかも良かったね。この「Sucker〜」なんて僕が初めて書いた曲のひとつだから、もう20年も経つんだよなぁ...。 あと、もちろんMR.BIGの曲もやって、「Dancing In The Devil」なんかはギターを放り投げてリード・シンガーに徹して歌ったよ! そうそう、名古屋ではCARSのカバーもプレイしたんだ。「I'M GOIN' SANE」のヨーロッパ盤も出ているんだけど、このCARSの曲がボーナス・トラックとして入っていてね。



−「I'M GOIN' SANE」はヨーロッパでもリリースされたのですね。

E:そう。ヨーロッパと日本、東南アジアではレコード・ディールが取れたんだけどアメリカはまだなんだよね。 だからアメリカを廻るときは自前のCDコピーを手売りしている状態なんだ。アメリカっていうのは本当に「To Be With You」のように一曲ヒットすればっていう世界だから・・・。 でも、日本はそうじゃなくてもっと長い目で見てくれるところがあるんだ。まぁ、経済の状況が良くないとか聞いているけど、それなりに日本ではがんばれているからね。 僕のマネージャーはアメリカで契約を取れるまでは絶対に家を出ないと不精髭だらけで頑張ってくれているよ(笑)。


−外盤の収録曲は日本盤と違うのですか?

E:ヨーロッパ盤にはさっき言ったCARSのカバーともう一曲日本盤に収録しなかった曲が入っていて、そのかわりに「Fly」が入っていないんだ。この曲は日本のCMのタイアップ曲だからヨーロッパ盤にも収録するとなると、契約金と同じぐらいのお金を払う必要になってしまう可能性もあったんでね(笑) で、そのCARSの「Just When I Needed」と、「Only A Moment」っていうオリジナル曲を加えたんだ。


−その「Only A Moment」ってどんな曲ですか?

E:「Only A Moment」は自分ではパンクのつもりで書いた曲なんだけどファンに言わせるとMR.BIGっぽい曲だって言われてね(苦笑) MR.BIGのAL「ACTUAL SIZE」の「How Did I Give Myself Away」に似てるって言えば似ているかな。同じ時期に書いた曲だからね。
 ジャケットもヨーロッパ盤は違うんだ。(日本盤「I'M GOIN' SANE」のアルバム・ジャケット内p.1の蝶をくわえた写真を指さして)この写真どう思う? 表の写真も中身のミステリアスでダークなの(p.6,7)も気に入っているんだけど・・・(笑) 元々、蝶々を登場させるのは僕がリクエストしたんだ。 というのもタイトルの「I'M GOIN' SANE」は“正気になる”って言う意味で、これは“INSANE(頭がおかしくなる)”っていう意味にもひっかけている。 よく蝶々みたいな絵柄を見せられて「これ何に見える?」なんていう心理テストみたいなのがあったり、「羊たちの沈黙」っていう映画でも口に蝶々をくわえるシーンが出てきたじゃない! そんな感じで精神異常みたいな感じを出したかったんだけど、この写真を撮るときはこんな格好をさせられて笑いを誘う写真でも撮るのかと思ったよ(笑) ファッショナブルと言えばそうなのかもしれないけども・・・。 ヨーロッパ盤は背景が暗いゴシックな感じで、その前に立っている僕と座っている僕が反対側から見合っているという「ジキルとハイド」みたいなイメージのジャケットなんだ。 あと、「Fly」に関してヨーロッパのファンからは「なんで日本盤だけに入っているんだ?あの曲良いのに!」って言われているよ。




−わざわざ日本盤を手に入れて聴いているヨーロッパのファンもいるということですよね。このサイトにも海外のエリック・ファンから「是非、英文でインタビューを載せてくれ」っていうメールを貰いましたよ!

E:そう!それはクールだね。


−「I'M GOIN' SANE」リリース後は何をされていましたか?

E:ベイエリアやL.A.、ラスベガスあたりをライブ・サーキットしていたね。まとまったツアーとしてアメリカを一週間で4、5本のペースで6週間かけて廻っていたから相当キツかったよ。昔はもっとやりたいと思っていたんだけどね(笑) 結局全部で50本ぐらいやったかなぁ、まぁ終わってみるともっとやりたかったぐらいだけどね。


−ライブをやったのはアメリカでのみですか?

E:一回だけイギリスの“THE GODS”フェスティバルでHAREM SCAREMとかHONEYMOON SUITE,HARD LINEなんかと共演したんだ。他にも沢山いたんだけど思い出せないなぁ・・・。 そう、TENも一緒だったんだ、彼らは一幕,二幕みたいに芝居がかっていて面白いショウだったね。 イギリスでやるのはMR.BIG以来だったんだけど反応は結構良かったよ! 実は今ヨーロッパ・ツアーを調整中なんだ。MR.BIG時代に色んな人と知り合ってきたから、当時は電話の受付をやっていた人なんかが今はディレクターに出世していたりする人もいるし、マーク・エドワーズっていうスイスのプロモーターがいるんだけど彼が2、3週間のヨーロッパ・ツアーを企画してくれている所だよ。もし、これが決まったら日本どころじゃないもっと寒いヨーロッパに行くことになるけどね(笑)
 まぁ、その後は本格的に活動を軌道に乗せるためにアルバムを何枚かそろえないといけない。そのため、既に5、6曲書いた曲があるしバンドと一緒にも何曲か書いている最中なんだ。地元に戻って1週間ぐらいで時差ボケを直したら早速スタジオに入ろうと思っているよ! 自宅でやるから食事の後にスタジオへ直行することもできるしね。 僕は使えないんだけど(笑)カミさんが使えるプロ・ツール(デジタル・レコーディング用ソフト)があるし、新しい26インチのバス・ドラでキラキラ・グリーンのTAMAのドラムも入れたしね!


−ということは、ここ一年以内ぐらいにはもう次のアルバムが聴けるのですね?

E:そうだね、もっと早いかな。さっさと動いてどんどん前へ進まないとね! 特に今はレコードを作るのが楽しくてたまらなくてね。まぁ“エリック・マーティン・バンド”っていう僕のソロではあるんだけど、バンドのメンバーにも良い素材や曲があったらどんどん出してって言ってあるんだ!


−では、他のプロジェクト等に関わるのではなく当分はソロでやっていくつもりなのですね。

E:今はソロ・アーティストでやるのを凄くエンジョイしているから・・・誰かと組むというと次ではもしかしたらグレン・ヒューズとやるかも知れないし・・・まぁそれは冗談だけど(笑) MR.BIGみたいなバンド形態でやっていくのも確かに懐かしいと思うけど、兎に角音楽を作れれば僕は良いんだ。今こうしてソロとしてやっていくチャンスをせっかくポニーキャニオンが与えてくれたんだしね。 僕のキャリアはポニーキャニオンや(レコード会社担当氏を指して)彼女にかかっているんだ(笑) ごめんねプレッシャー与えて(笑)

 もちろん「I'M GOIN' SANE」も自信作だけど、次のアルバムは凄い事になりそうなんだ! さっき5,6曲出来ているって話したのは完成しているものだけど、10曲ぐらい“らしい”ものになっているのがあってね。 で、それを一緒に書いているのがクリス・ウィルソンっていうヤツでまだ16歳なんだよ! 彼がまだ12、3歳の頃に僕がギターを教えてあげていたんだけど、今はポール・ギルバート並みに凄いギタリストに成長していてね! 彼が10曲(インスト・パートを)書いて来たんで僕がそれにメロディーと歌詞を付けたんだけど、その作業がMR.BIG時代にやっていた事みたいだったから凄く楽しかった。 で、出来たものがこれがまたオールド・スクールな感じを全く感じさせなくて・・・もちろん僕はオールド・スクールなものも好きだけど、オールド・スクールなロックを全く知らない世代のヤツが書いたから新種のロックっていう感じなんだよ! 何せ彼はまだ16歳だからね!俺なんてもう76歳だっけ、75だっけ(笑) 兎に角エネルギッシュでバケモノみたいなものが出来そうなんだ!
 ちょっとこれに関して皮肉な話があってね(笑)。たまたま16歳っていう若さだけど才能は凄いものがあるから「コイツだったらいける」と思い、彼個人のための契約を取ってやろうとDEMOを作りはじめたんだ。僕がメンバーを集めてプロデュースや歌を書くっていう感じでね。 だけど出来上がってみたらこれがあまりにも素晴らしかったんで、結局「ちょっと待った。とりあえず一緒にやろう」みたいな話になった(笑) 彼は兎に角若いから成功したいっていう気持ちが凄く強くて、才能とやる気はもの凄くあるヤツなんだ。 僕自身音楽の持っている力を凄く信じているし、やる気も凄くあるんだけど、やっぱり年齢と共に時々フッと気が抜けてしまうときがある。その点やる気がいっぱいに詰まっているヤツみたいなのと組んでいるとこっちも気合いを入れられるよ! 彼もエリック・マーティンの大ファンだと言ってくれているから良い相乗効果になっているんだ。 さっきポール・ギルバートの名前を出したけど、ポールは色んなスタイルの曲をドンドンと書いて、MR.BIGをやっていたかと思うとRACER Xをやったり、そうかと思うと「ALLIGATOR FARM」みたいなアルバムを作ったりするヤツだろ?クリスもそれに通じるようなエネルギーを感じるんだ。 その内ポニーキャニオンも僕を切ってクリスと契約しちゃうかもね(笑)


−最後に、今からする質問への率直な気持ちを聞きたいだけなのでパスしていただいても構わないのですが・・・。

E:その前置きで何の話かは想像できるよ(苦笑)。


−(苦笑)・・・前回のインタビュー('02 5月)ではMR.BIGの解散はまだ実感がわかないとおっしゃっていましたが、1年経った今どうですか?

E:(目を押さえて泣きマネをして)え〜ん、え〜ん。 やっぱり正直言って寂しいよ。バンドを愛していたからね。 未だに僕のライブではMR.BIGの曲をやってはいるけれど、それよりもみんなでプレイしたりみんなで曲を書いたというのが凄くなつかしくってね。だから今のバンドのメンバーにも曲をどんどん書いてくれだとか言っているのはそれなんだ。 ひとりでやっていても楽しくないし、一緒に音楽をクリエイティブに組み立てて行く部分がバンドとしては楽しいのだからね。
 ステージでもMR.BIG時代は会場を壊してしまうんじゃないかと思うほど盛り上がって、そういうのも凄く懐かしいし・・・・だから、僕はきっとお墓に入るまで解散したのは大きな間違いであったと思いながら死んでいくと思うよ。でも、もうサヨナラしてしまったんだからね。今後もし“MR.BIG”という名前でもう一度やるとしても、それはビリーとパットとリッチーもしくはポール、そして僕の全員が揃わない限りあり得ないと思っている。

 MR.BIGの名前は忘れたくても忘れさせてもらえないよ、だって自宅だってプラチナ・ディスクやゴールド・ディスクがあるし、ファンから貰ったものもいっぱい飾ってあるしね。朝起きてコーヒーを飲む瞬間からビリーの写真が横にあって「あっビリー、おはよう!」なんていう生活だからね。 ・・・またベスト・アルバムの話があるんだけどね、「〜Vol.10」ぐらいかな(笑)

 まぁ、MR.BIGはどちらかとオールド・スクールのロックにちょっと新しさを加えた音楽だっ
たんだけど、これからの僕は振り返ってばかりしていられないから何か新しいものを作っていきたいんだ。その面でもそのクリスと作っているものも凄く楽しみだし、何か新しいものが生まれるのではという期待でいっぱいなんだ。


−もちろんファンもこれからのエリックに凄く期待していると思いますので、その次作を楽しみにしていますよ!

E:ありがとう!!




エリック・マーティン直筆サイン入りポスターを3名様にプレゼント!!

締め切らせていただきました。沢山のご応募ありがとうございました。

*当選者の発表は発送を持って換えさせていただきます。



Eric Martin '03 Japan Tour Photos
Home Interview Menu A to Z