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GRAND ILLUSION スペシャル・インタビューwithアンダース・リンドホルム

Supported by AVALON  Translator : Mariko Kawahara

GRAND ILLUSIONアルバムジャケット
11.10.19 on Sale!!
「Prince Of Paupers」
GRAND ILLUSION

Disk Review
Q:まずは東日本大震災チャリティ・アルバム『One For All, All For One』でのサポートを日本人を代表して御礼申し上げます。ありがとうございました。

アンダース・リドホルム(以下A):とんでもない!僕にとって当然のことをしたまでだ。震災があった日はたまたま仕事が何もなくて、目が覚めてテレビをつけたら目を覆うような恐ろしい映像が飛び込んできて…。日本に知り合いがたくさんいるからすぐに皆に電話して無事を確認したんだけど、デーモン閣下や彼のマネージャーに電話したら「連絡してくれたのは日本人よりも先に君がはじめてだよ」って言われてね、嬉しかったよ。
まぁ、チャリティーには2曲提供していて、1曲はヨーロッパのチャリティーアルバム。もう一曲を『One For All〜』にしたんだけど、自分としてはこんなことしかできないし、少しでも皆さんのお役に立てればと思ったんだ。

Q:『One For 〜』には「The One」という曲を提供してくれていますが、どんな曲だったんですか?

A:元々はGRAND ILLUSION用に書いたものではなく、アメリカL.A.在住でGRAND ILLUSIONのここ2作でも共作しているアーリーン・マッツァ・ジャクソンと共作してあった曲だったんだ。歌詞の内容が希望を与えられる内容だったから、チャリティーアルバムにピッタリだと思ってこの曲にした。


Q:我々は被災地の方々に金銭的な援助しかできないんですが、こうやってチャリティーアルバムを購入することで支援するきっかけを作ってくれたことは非常に大きいと思いました。好きな音楽を聴くことで支援ができるという、嬉しい環境を作ってくれたことに改めて感謝します。

A:ホントにささやかなことだよ。スウェーデンのテレビでも震災からの3日間は普通の番組をやらず特番ばかりで、いかに多くの方々が被害に遭われたか知っていたからね。映像を見てもその酷さはわかっていたし…。何か少しでも自分に出来ればと思ったよ。でもこうやって日本に戻って来られて、復興しつつあることが肌で感じられて良かった。


Q:では、新作の話をさせてください。『PRINCE OF PAUPERS』は復活第二段の作品となりますが、何かこれまでとは違った姿勢で臨んだことなどありましたか?

A:意図的に何かをしたことは特になかったね。曲を作るときどんな曲になるかは考えていなくて、僕にとって一番重要なのはやっぱりメロディーなんだ。ただ、結果として前作の方がよりヘヴィで本作の方がすこしソフトになったかもしれない。でもそれはたまたま出来た曲がそうだっただけで、そういう方向にしようと思ったわけではないんだ。バラードだろうがハードな曲だろうが、ヘヴィなものだろうが、とにかく一番大事なのはいかによいメロディーを書くかが重要だからね。


Q:アレンジがこれまで以上に壮大なものになっていると感じましたが、それも全く意図したことではないのですか?

A:そうだね。ただ、オーケストラアレンジに関しては、今までGRAND ILLUSIONでは余り取り入れてこなかった。これまでミュージカルやデーモン閣下なんかの仕事をやってきたから、そういった手法は僕にとってとても自然なことなんだけどね。GRAND ILLUSIONではもっとシンプルにやってきたことは確かだね。でもやっぱりあまり考えずに作ったかな。


Q:デーモン閣下のプロデュースをすることによって何かインスピレーションがあったわけでもないですか?

A:閣下の音楽とGRAND ILLUSIONの音楽は多少なりとも共通点はあるけど、基本的には違っていて、お互いが影響を及ぼしあうことはないね。


Q:例えばオープニングの「Gates Of Fire」なんかはQUEEN的なコーラスを導入した中間パートもあって、これまで以上にドラマティックですが、この辺も自然に出来たんですか?

A:実は「Gates Of Fire」のオーケストラアレンジはポール・バックマスターがやっているんだけど、その前に僕がバッキングなんかのその他のアレンジは全て仕上げていたんだ。そこにオーケストラアレンジが加わったから少し変わったのかもね。見事な仕事をしてくれたと思うよ。メタルにオーケストラが加わったような感じだったり、映画音楽っぽい部分は確かにあるよね。


Q:それともう一つ重要なポイントが、マリス・ヴァラジックというギタリストが今までのGRAND ILLUSIONになかったような非常にテクニカルなソロを披露をしていることですね。その印象も大きいのかもしれません。

A:君の言う通りだ!ホントに彼のテクニックは凄まじいものがあって、曲全体にスパイスを加えているとは思うね。彼のプレイはこの世のものとは思えないぐらいなんだけど、彼自身とてもナイスガイなんだ。彼に参加してもらった曲は「Gates Of〜」に限らず、どの曲も特別な味付けをしてくれているね。


Q:元々彼のプレイスタイルは知っていたと思うんですが、彼がこういったソロを弾いてくれるんだと見込んでこの曲に参加要請したんですか?

A:そうだ。「Gates Of〜」についてはネオクラシカルやツインリードをガンガンやりたかったので彼を選んだんだけど、期待どおりのプレイをやってくれたよ。


Q:そういったネオクラシカルでテクニカルなソロを必要とする曲は、今までにはあまりなかったですよね?

A:なかったかもしれないし、それっぽい曲があったとしても他のギタリストが弾いたことによって若干イメージが変わったのかもしれない。今回は彼が凄いプレイヤーだというのが初めからわかっていたから、起用しない手はなかったね。
確かにマリスはテクニカルなギタリストだけど、バラードの「Believe In Miracles」ではとてもスローでフィーリング重視のソロもやっていてね、スティーヴ・ルカサーっぽいんだ。テクニックだけではなくて、それ以上に凄いものを持ったギタリストだよ。


Q:今名前の出たスティーヴ・ルカサーも本作に参加してますよね。非常にビッグな存在ですが、もともと知り合いだったんですか?

A:知り合いというほどでもないけど、何回かは会ったことがあった。直接的なきっかけは、去年の7〜8月にかけてこのアルバムのドラム録りをグレッグ・ビソネットとするためにL.A.に行ったんだけど、その際にギターも録った。既に参加してもらうことが決まっていたジェイ・グレイドンに、L.A.に着いて最初に電話したんだけど、「今回は誰が参加するの?」って言うんだ。僕がティム・ピアースとか、グレッグ・ビソネットだと教えたんだけど、そしたら「他に誰か参加してもらいたい人いる?」って。だから、昔からルカサーに参加してもらいたかったって話したら「紹介してあげようっか?」って言ってくれてね。嬉しいんだけど無理にとは言わないから…ってな具合に頼んだんだけど、そしたらもう翌朝にルカサー本人からメールが来ててさ、「ハイ!オレを探してるんだって?」ってさ(笑)それで参加してもらえたんだ。
今年の夏にTOTOがスウェーデンに来たときにも会ったし、つい先週もデーモン閣下のレコーディングのためにL.A.に行ったんだけど、その時にも会ったね。僕が紹介して閣下のアルバムに彼も参加することになったんだ。


Q:デーモン閣下つながりで色々と新しい交流が出来ているんですね。

A:そうなんだ。色んなところで繋がっていて、CODEの時もオーラと一緒にやったおかげでさっきのアーリーンと知り合えたし、閣下まわりでも彼と僕が一緒に仕事をしたことによってお互いに新しい人脈ができたよ。色んな人と知り合うことでミュージシャンとしてだけではなく、人間としても成長が出来ているのは嬉しいことだね。


Q:ルカサーは後から参加が決まったにせよ、ティムにしてもジェイ・グレイドンにしても有名なギタリストですし、もちろんマリスもしかり、新作には素晴らしいギタリストが参加しています。素晴らしいギターを新作の楽曲が必要としていた、ってことですよね?

A:確かに素晴らしいギタープレイを必要とはしていたけど、別に有名な人材を集めることが目的だったわけではないんだ。豪華ゲストは前作の『BRAND NEW WORLD』の時もそうだったしね。ドラムはグレッグ・ビソネットだったし、彼と一緒のときに好きなギタリストの話をしたんだけど、僕がティム・ピアースを挙げたら「オレが電話してやろうか?」って言われてビックリしたよ。でも実際にその2日後にはティムが来てレコーディングした。
まぁ、そんな経緯もあって芋づる式に参加メンバーが決まっていったんだけど、自分がヒーローと崇めていた人たちと仕事ができるっていうことはホントに光栄だよ。素晴らしいことだ。実際に彼らもGRAND ILLUSIONの音楽を気に入ってくれているからこそ参加してくれているんだと思うし、それがものすごく自信に繋がったよ。
それに、実際に彼らが参加した後の反応もちゃんと返ってきている。今日の朝なんかティムからメールが来て、「こんな良いアルバムに参加“させてくれて”ありがとう」なんて書いてあったし(笑)、ルカサーも何度も誉めてくれたね。彼らから良い反応をもらえること自体、凄い嬉しいことだ。


Q:グレッグについて言えば、YouTubeにあがっているレコーディング映像を見ても彼は非常にバンドに馴染んでいるようで、GRAND ILLUSIONにとって今後も中心的なメンバーになるのでは?

A:まさにそうだね。あの映像をみてわかるように彼との仕事はとても楽しいし、楽だ。ほとんど4人目のメンバーと言っても良いぐらいだね。ただ問題は、彼はアメリカに住んでいるし、他にもやることがいっぱいある。GRAND ILLUSIONがヨーロッパでライブをやるときにこっちに来てもらうのは難しいけど、正式メンバーではないながら重要なメンバーとして今後もぜひ一緒にやりたいね。


Q:GRAND ILLUSIONは以前はバンドとしてメンバーも正式にいましたが、今後はそういった動きはしないんですか?

A:実は前作で再結成をしたときに前のメンバーに声をかけてはみたんだ。でもドラマーはかなり良い賃金をもらって仕事をしていたみたいだから、それを捨てたくないって(笑)たまにライブをやるぐらいだったら良いけどフルタイムでは出来ないって言われたんだ。ギターのオーラも同じく他の仕事があって出来なかったから、結局3人しか残らなかったのさ。
でも、レコーディングに関して言うと、最初からリズムギターとベース、キーボードも僕がほとんど弾いていたし、この部分はどのみち変わらなかった。一番大きな違いはドラムがクリスチャンからグレッグ・ビソネットという有名なミュージシャンに代わったというところだ。なのでレコーディングに関して言えば、今までとあまり大きな変化はないね。


Q:なるほど…。これまでに素晴らしいアルバムを何枚も作ってきているので、やっぱりファンとしてはライブを観たいという気持ちがあると思います。今後も予定はないんですか?

A:ライブは実はヨーロッパではやっていて、その時はクリスチャンとかオーラも参加しているんだ。ライブは数週間前からリハをやればいいから、短い時間を割けば済むけど、問題はレコーディングだ。レコーディングは長期にわたるから、他のメンバーはその時間がないって言っているのさ。ホントはライブもグレッグ・ビソネットにやってもらえれば嬉しいけど、これもまた難しいしね。
ただ、僕自身は日本でライブすることが究極の目標だから、呼ばれればいつでも来るよ(笑)クリスチャンもグレッグほど有名ではないけど腕前はそれほど引けをとらないし、オーラも素晴らしいギタリストだ。ヨーロッパではマリスも参加してライブをやったことがあるんだけど、凄まじいツインギターだったよ。マリスも含めて日本に来られたらホント夢のようだね。


Q:マリスはたしかヨーロッパの出身ではないですよね?

A:そう、彼はボスニア・ヘルツェゴビナ出身でサラエボに住んでいるよ。飛行機で3時間ぐらいかけて来てもらった。マリスに関してはスウェーデンの小さなクラブギグだけのために呼ぶとなると難しいけど、ちゃんとしたツアーであれば来てもらえるし、ましては日本でやるとなればまったく問題ないよ。


Q:ところで、ちょくちょくデーモン閣下の話があがっていますが、まだ彼との仕事はやっているんですか?

A:うん。そもそも今、日本にいるのは彼のアルバムのドラム録りのためなんだ(笑)日本で録ったのは聖飢魔IIのドラマーのライデン湯沢だったけど、グレッグ・ビソネットも彼のアルバムに参加していてそれをこの間L.A.で録音した。まだはっきりとはわからないけど、来年の春頃にリリースされるんじゃないかな。


Q:なるほど。ということは、GRAND ILLUSIONのメンバーの何人かが例えばデーモン閣下の仕事で日本に集まる可能性もあるんですね?そのタイミングでライブが出来ればよいですね。

A:もちろんそんな話がでれば当然やるよ!マリスも閣下のアルバムに参加しているけど、GRAND ILLUSIONのライブのためだけに各国からミュージシャンを呼ぶとなると金額も高くつくからね。
ただ、さっきの話に戻るけど、ルカサーがGRAND ILLUSIONのアルバムに参加してくれたことは僕にとっては凄いことだし、特に最近の彼はほとんど人の作品にゲスト参加してないんだ。自分の作品かホントに数少ない友達のためにだけやっていて、他のオファーは断っているみたいだしね。その彼が参加してくれたのは、自分の音楽が認められたということだから嬉しいよ。
ホントに日本でライブをやるのは究極の目標なので、閣下と一緒だろうが単独だろうがぜひ実現させたいね。


Q:ところで少し話が変わりますが、スウェーデンではH.E.A.Tなどを筆頭にメロディアス・ハードの再燃が見受けられます。彼らのような若いバンドと交流はあるんですか?

A:H.E.A.Tに関して言えば、ギタリストとベースと新しいシンガーには会ったことがあるね。他のバンドもいくつかは会ったことがあるけど、彼らはほとんどストックホルムに住んでいて、僕は南部に住んでいるからあんまり接点はないんだ。


Q:アンダースからみて、今のスウェーデンでのメロディアス・ハード・ブームは長続きすると思いますか?それとも一時的なものだと思いますか?

A:それはわからないね。ただ、この手の音楽が歓迎されているのは確かで、好きなファンも大勢いるんだけど、問題はこういったバンドがライブをやれる場所があまりないんだ。残念ながら…。


Q:なるほど。では、最後に日本でのライブを待っているファンにメッセージをお願いします。

A:日本にくるチャンスがあれば絶対に来るよ!そして10年間、GRAND ILLUSIONをサポートしてくれて心から感謝したい。ホントにいつか日本でライブをやりたいんだ、それは何よりも僕自身の夢だからね!


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