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HELLOWEEN「GAMBLING WITH THE DEVIL」Special Interview

Translator:Urarako Kimura Supported by VICTOR ENTERTAINMENT

 ジャーマン・メタル史上の最重要作品、もっと言えばメタルシーンを塗りかえたといっても過言ではない「守護神伝」シリーズの新たな作品として挑んだ前作「守護神伝-新章」。大胆な挑戦ではあったが、結果は世界中で好評価を得てワールドツアーでは稀に見る盛り上がりをみせたという。
 このツアーで"新たな黄金期"を迎えることとなったバンドのコンディションの良さはしっかりと新作「GAMBLING WITH THE DEVIL」に受け継がれ、ここ数年のうち一番の快作となったのは既にアルバムをお聴きのファンは実感している事だろう。その"きっかけ"となった前作のツアーについて、まずは聞いてみた。


--前作「KEEPER OF THE SEVEN KEYS -THE LEGACY :守護神伝-新章-」はある意味ロック史に挑戦を挑んだ作品となりましたが、結果は非常に満足の行く反応が得られたようですね?

-アンディ・デリス(HELLOWEEN):確かに"守護神伝"というタイトルを使うということで色々と物議を醸し出した。「売名行為だ」とか、「売るためにやってるんだ」とかね…(苦笑) "Keeper Of The Seven Keys"というのはHELLOWEENにとってのヘッドライン(見出し)みたいなものだろ?だから政治的に考えてみても「どうかな?」という心配は最初からあったけど、結果的にはこのタイトルを使うことで色んな人の注目を浴びることができた。リリース前は大きな期待の他に反感みないたものもあったけど、実際聴いたら期待を裏切らない素晴らしいアルバムだったといことで結果的には世界中で受け入れられた。もし、ヘタなアルバムを創ってあのタイトルを付けていたら大失敗をして致命傷になりかねなかったけどね。それだけ自信があったんだ。
 世界のどこへ行ってもホントにみんなが大絶賛してくれた。日本でもそうだったけど、ライブではオープニングの「The King ForA 1000 Years」が始まった途端に皆が一緒に歌い始めたんだ!それだけあのアルバムをみんなが聴きこんで来てくれた証拠だ。皆が受け入れてくれたんだ。


--大きな"ギャンブル"でしたが、見事に勝ったようですね。

-アンディ・デリス(HELLOWEEN):正に"GAMBLING WITH THE DEVIL"だったね(笑)ギャンブルは10回に1回ぐらいは勝つことがあるのさ!今、君が言ったように「〜-LEGACY」のアルバムはある種のギャンブルだった。ギャンブルというものはいつでも、負ければ全てを失い、勝てば全てを手に入れることが出来るものだ。



--では、その新作「GAMBLING WITH THE DEVIL」のテーマを教えて下さい(笑)

-アンディ・デリス(HELLOWEEN):(笑)…OK。今回のテーマを思いついたのは前回のツアー中のある日、酒を飲んで酔っ払っているときだ。盛り上ってくると"人生哲学"みたいなものを語り合うことがあるだろ?そのときに、人間は個人個人の日常であれ、大きな政治の舞台であれ、ある種の"賭け"をすることが沢山あるっていう話になってね。自らの欲望のために悪魔とのギャンブルに走る、と。それが凄く面白かったからアルバムのテーマに相応しいとみんなで考えた。材料は幾らでもあったし、直ぐに歌詞のアイデアが出てきたよ。


--前作の「〜-LEGACY」では曲のパーツを集め寄って一曲を完成させていったという創りで、正に良いチームワークがあったからこそ出来た作品でしたが、新作「GAMBLING WITH THE DEVIL」でも一つのテーマでメンバーそれぞれが曲を持ち寄った結果、まったく焦点のぶれないアルバムに仕上がったと思いました。前作にも増して、更にチームワークが良くなった証しですね?

-アンディ・デリス(HELLOWEEN):もちろん前作以上にバンドの状態が良くなっているのは間違いないね。ただ、新作「GAMBLING WITH THE DEVIL」では曲を一人ずつで書いたというクレジットになってはいるけど、ほとんどの場合は丸々一人で最初から最後まで書いているわけではない。ほとんど一人で書き上げたものも中にはあったけど、誰かが誰かの曲に少しずつアイデアを付け足していく方法で完成させていったんだ。例えば俺だったらシンガーだから、誰かの曲の歌メロや歌詞をこういう風にした方が良いって提案し、メインで書いたメンバーの承認が得られたらアイデアが付け足される。このとき俺がアイデアを付け足しても"アンディ・デリスの曲"ではなく、あくまでも最初のアイデアを出した人の曲としているんだ。どちらにせよ、アルバムは"HELLOWEEN"として出すわけだから皆で協力して良いものを創っていくのは当たり前のことだ。クレジットされているのはあくまでも曲のアイデアを出したメンバーなんだ。


--今回プリプロダクションをいつもと違う方法(※)で行ったようですが、それがソングライティングに良い影響をもたらしましたか?
(※:それぞれ自宅にいるメンバーがネット上で集まって「ヴァーチャル・プロダクション」を行ったという)


-アンディ・デリス(HELLOWEEN):うーん、YesでもありNoかな。ソングライティングに関してはそんなに影響はなかったと思う。なぜなら、今回の各曲のアイデアはメンバーそれぞれがツアーの時に貯めていたもので、それがホントにみんな良いものばかりだったから楽に形にできた。新作「GAMBLING WITH THE DEVIL」の準備に入るときにそれぞれがアイデアを聴かせたときに「凄い!良いじゃん!」というものばかりだったというのに驚いたね。例えば元のアイデアが「チョットな…」という微妙なものだったら、それを膨らませていくのは凄く大変なんだけど、逆に最初から良いものだと膨らませるのが凄く楽に出来んだ。
 だから、曲を仕上げるのに"誰がどんなアイデアを付け足して、どの部分で貢献したか"なんていうのはどうでも良かった。逆に元のアイデアを持ってきたメンバーが素晴らしいものを創っていれば、そこにナンダカンダ言う余地はなくなり、簡単に膨らませることができる。今回はこれにメンバー自身、みんな驚いていたね。

 例えば良い例がマーカスのことだ。今までももちろんマーカスも曲を書いていたけど、一つの曲として仕上げるにはメンバーみんなで肉付けをして出来上がっていったものが多かったんだ。でも、今回彼が書いてきた曲は、ほぼ一曲丸々を一人で創ってきて、なおかつソレが素晴らしいものだったから特に驚いた。まぁ、少しはヴォーカルラインなんかを付け足したりはしたけどね。


--マーカスの書いた「Final Fortune」は凄くメロディアスな佳曲で、最初聴いたときはアンディの曲かと思いましたが、具体的にはどのぐらいアンディのアイデアが足されているんですか?

-アンディ・デリス(HELLOWEEN):全然だよ!90%以上ほとんど彼が書き上げたものだ。ただ、マーカスが創ってくるデモはいつも(ヴォーカルが)一オクターブ低くて、「(低い声で)ラ〜ラ〜ラ〜♪」ってな感じなんだ(笑) だから、彼のデモを聴く時は良い曲かどうか判断をするのに少し想像力が必要で、実際に一オクターブ上げて歌ってみると、「あれ、良いメロディーじゃん!」って…そこで初めて鳥肌が立ったりする(笑)


--なるほど(笑)。では次に新作「GAMBLING WITH THE DEVIL」のハイライト的でもあるアンディの書いた「The Bells of the 7 Hells」、「Fallen to Pieces」、「I.M.E.」の3曲についてお聞きしたいのですが、これはアンディのお祖父さんの経験が元になったようですね?

-アンディ・デリス(HELLOWEEN):要するにナチスのことだ。俺の祖父はドイツの軍隊にいてロシアとの国境で戦っていた。それである時、2週間の休暇があって家に戻ってきたんだけど、その時はじめてナチスがユダヤ人にしたことだとかSS(親衛隊:ヒトラーを護衛するための組織)がどういうことをしていたかというのを周りから聞かされたみたいで…。でも、それを聞いた瞬間には絶対に信じなかったという。なぜなら自分たちは本当に国を守るためだとか、ロシアの共産主義と戦うためだというのを心から信じ、命をかけてきたからだ、と。
 でも、戦争が終わり全てが明かされ、自分が聞かされていたことは偽りであることが分かった時には、世界中に対しても自国に対しても非常に大きなダメージを与えてしまい、結果的にはドイツも崩壊してしまったわけで…そのときにホントに涙を流し、自分の愚かさに落胆したそうなんだ。

 それから祖父は俺の父にも、俺に対しても「人間というのは自分の考えをしっかり持ち、自分の行動に全て責任を持たないといけない。誰かの責任にできない」と教えるようになった。当時、ドイツ政府の偽った言動を信じてしまったのも自分自身の責任だと。ナチスに追従した人が何百人もいて、その被害にあった人は何千人もいることを後で知ったんだという。

 そういった祖父の経験から書いたのがこの3曲だ。「The Bells of the 7 Hells」では大きな声で叫んでいる人に盲目的に追従してしまう人間。すなわち何事にも流されてしまう羊ような人間たちを描いていて、その結果全てが崩壊してしまい一からやり直さなければいけないと歌っているのが「Fallen to Pieces」。それから、誰に何を言われるのではなく自分自身で立ち上がり、自己というものをしっかりと持たなければいけないと歌う「I.M.E.」と続く。元々この3曲は1曲にしても良かったんだけど、あまりにも内容が違うから1曲にまとめられなかった。起承転結をつけるには3曲に分けるのがベストだと思って、こうしたんだ。
--ただ、お祖父さんの立場になって考えてみると非常に複雑で、仮にドイツ政府の過ちにお祖父さんが気付いていたとしても従わざる終えない状況もあったでしょうし…例え自分の考えが異なったとしてもそれに従わなければいけない状況というのは少なからずありますよね。

-アンディ・デリス(HELLOWEEN):確かに当時はそういうこともあっただろうね。でも、いろんなことが発展している今はそういった状況は起きないと思う。第一次世界大戦も第二次〜も元々のきっかけはドイツにある。第一次〜のときにはまだ"ドイツ"という国名の前のこと(註:おそらくドイツ帝国を指している)で、自分たちのテリトリーを広げていくために戦争を起こしていた。でも、この2つの戦争からはドイツだけではなく世界中が学ばなければいけないことが沢山あって、例えば2つの戦争で死んだ人間の数は7,000万人にのぼる。こんなことがあって良いわけないだろ?更に悲惨なことに今の時代の兵器の威力をすればそれだけでは済まない状態に陥る。核のボタンを誰かが押せば地球がむちゃくちゃになる状況だ。

 だから、過去の汚点をただ"ドイツ人が犯した過ち"としてみるのではなく、世界中が同じ過ちをしてはいけないと学ぶことが重要なんだ。例え、先導するのが上手い一人の人間が大声で周りを従わせようとしても、それに羊のように追従してはダメだ。誰かの後をついて行く生き方は人間にとって最も怠惰な行動で、自分の責任を放棄していることになる。そうではなく、一人一人が自分の頭で想像力を働かせて生きて行くことが正しい生き方だと思う。
 ただ、そうすると自らの行動に責任を取らなければいけないし、傷つくこと、失敗することもあるかもしれないけれど、これは人間が歴史により学ばなければいけない重要なことだ。昔あんなことが起きたのに何故まだ同じようなことをやっているんだ?ということが世の中にいっぱいあるだろ?いい加減に過去の戦争から人間は学ばなければいけない、ということをこの3曲で表現したかったんだ。



--個人的にもこの3曲の内容には特に興味深くて、なぜなら日本も戦時中には自国民や他国民に対し、してきた過ちが少なからずあるのですが、今の日本はそれらを隠そうという教育がされています。過ちを学ぶのではなく、なかったことにしよう、と…。

-アンディ・デリス(HELLOWEEN):やっぱり一番大切なのは"罪悪感を持つべきか、持たないべきか"というところではなく、新たな世代がそこから何を学べるか、ということだ。さっきも言ったように責任をとって過去の過ちに立ち向かうことは辛いことではあるけど、それはやらなくてはいけない。ただし、こういった過ちは世界中の誰もが多かれ少なかれ犯してきているわけで、一番最近では第二次大戦になるわけだ。そこで誰が悪者かとなると、歴史的には敗戦国が悪いと位置付けられてしまう。それが、ドイツであり、日本であり、スペイン、イタリアであったり…とのようにね。

 だから、自分は戦勝国だから、敗戦国だから、というのではなく、人間としてそこから何を学び今後どういうことをしていけば良いかを考えることが大切なんだよね。60年前の人間はこんなことをしたけど、それをしないようにするにはどうすれば良いかが一番の問題だ。過去から学ぶことが出来なかったら人間は他の生物よりも何が優秀なんだ??っていう話になるだろ?
 まぁ、こういった話は凄く物議を醸す問題で非常にナイーヴな話ではあるけど、とにかく良い方向に持っていくには過去から学べということだ。


--日本や世界中の若者にはこの3曲をはじめ新作「GAMBLING WITH THE DEVIL」を聞いて、何かを感じ取ってもらいたいですね

-アンディ・デリス(HELLOWEEN):そうだな(笑)


--では最後に、非常にスペシャルな世界ツアーが決まり日本公演も実現しますが、その意気込みを日本のファンへお願いします。

-アンディ・デリス(HELLOWEEN):そうだ、GAMMA RAYと一緒に周るから色んなサプライズが用意されると思う。楽しみにしてくれ!前回のツアーみたいに"HELLOWEENのコント"みたいな笑える要素もあるだろうし、HELLOWEEN+GAMMA RAYの共演みたいなものもあるかもしれないね!まだハッキリとは言えないけど、何かしらスペシャルなものがあるから期待していてくれ!!






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