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IRON MAIDENニューアルバム「A MATTER OF LIFE AND DEATH」2006.9.6リリース!

photos by Simon Fowler
Translator:KAKO SOMEYA / Supported by TOSHIBA EMI

-サッカーは日本で見ているのですか?

スティーヴ・ハリス(以下S):ああ、今日イングランド戦があるから夜中までがんばって起きているよ!


-どこが優勝すると思いますか?

S:ブラジルかイタリアかな?


-イングランドではないと?

S:そうだと良いんだけどね・・・フルバックの二人が調子悪いからね・・・。


-まず、ファンの一人として伺いたいのですが昨年の夏のOzzfest中、オジー・オズボーンとの間で何かトラブルがあったようですがどんなものだったんですか。

S:(苦笑)・・・正確にはオジー本人ではなく彼の「妻」となんだけど、ツアー中にプロフェッショナルでない対応をいくつか受けてね。1本目のボストンのショーではMAIDENが凄く良いショーをやったんで次の日の新聞等でも取り上げられてね。ただ、その翌日の2回目のショーをスタートした途端、1曲目でPAから音が出なくなるというトラブルが起きたんだ・・・
 そういった奇妙な出来事が重なってああいう結果になってしまったんだ。上手く説明はできないけど、いわゆる背後での政治的な問題で「あってはいけないこと」が起こってしまった。あまり僕らのほうからは話さず、深入りはしないようにしているんだがね。


-でも、そんな障害があっても負けずに熱心にショーを続けることで結果的には非常にエキサイトしたショーになったようですね。非常に大人な対応をしたのですね。

S:(笑)・・・今話した2本目のショーで音が出なくなることは最初の1回だけだった。だけどツアーを降りる最後のショーではライブ中4回ぐらい同じような事があったんだ。でもMAIDEN目当てで来てくれたファンは凄く協力的で、PAが聞こえなくなったら皆で歌って間を繋ぎ、自分たちで盛り上げてくれたかんじだった。・・・有り得ないよね、普通であれば。ああやって僕らをステージから下ろそうとしたのかもしれないな。


-分かりました。さて、新作『A MATTER OF LIFE AND DEATH』を聴いてアルバム全編でプレイ面のテンションの高さを強く感じられましたが、実際レコーディング中はいかがでしたか?

S:スタジオでのテンションの高さは確かにあったね。でも、聴いてもらったときはあまりにも酷いオーディオシステム(※)だったから非常に残念で・・・上手く伝わらなかったんじゃないかな。(※:プレス向けに開かれた新作試聴会の際に使用したオーディオシステム)


-でも、アルバム全体像は十分に伝わりましたよ。聴き終えて「宇宙」や「生命」などの言葉が連想できるようなスケールの大きさを感じましたが、全編を通してコンセプトみたいなものはあるのですか?

S:アルバム全体が大作でもあるし、構成も非常にドラマティックだからね。コンセプトアルバムではないけど10曲中7曲は同じようなテーマを持っている。それは「戦争」と「宗教」だ。ただ、全体的にみるとまさにアルバムタイトルである『A MATTER OF LIFE AND DEATH(死活問題)』に集約されていて、生や死に作用するようなものに関して扱っている曲が多いね。


-ドラマティックさにおいては過去最高レベルのものだと思いますが、まずタイトルを決めてからソングライティングをはじめたのですか?

S:いや、タイトルは後から考えたものだ。実は他にも3、4つ候補があったんだけどコレが一番効力のある言葉だと思ったし、同時に本作の音楽に一番相応しいものだと思った。アルバムの内容を総括した非常に良いタイトルだ。


-仕上げたものを客観的に見て、前作『DANCE OF DEATH』との違いはどんなところですか?

S:非常に大作である、という事とプログレッシブな面が色濃いという事が一番の違いかな。今までのアルバムにも大作は2、3曲は必ず入っていたけど、本作には7曲ある。全体としても72分という長編になっているんだ。方向性としては70年代のプログレッシブロックの影響が特に色濃いアルバムだね。今まで以上に、だ。ただ、これは狙ってやったものではなく自然とこうなったんだ。


-実際にアルバムを聴かせていただいて2曲目の「These Colours Don't Run」を聴いたときには「もうハイライトチューンか!?」と。しかしながら、聴き進めて最後まで聴くとハイライトチューンばかり、という感じでした(笑)まずは、最初のハイライトチューンである「These Colours Don't Run」について聞きたいのですが、どんなことを歌っているのですか?

S:これは戦場に送られていく若者の心境を歌っている。実はこの若者の祖父も同じ経験をしていることから祖父と同じ足跡をたどることになった自分を見つめているんだ。決して戦争を賛美しているのではなく、だからと言って真っ向から否定するわけでもなく。行かざるをえないから行く、というある意味悲しい曲であるかもしれないけど、「責任を果たす自分」を誇りに思うような若者の心境を描いている。

 人生において自分の意思に反してやらなくてはいけないこともあるんだ。特に最近こういう状況は多いだろ?自分の家族で以前軍人だった人から昔話のように聞いていたことが、ここに来て息子や孫の世代が同じことをしなければならない状況に追い込まれている。そんな今の状況を反映しているんだ。

 今回のアルバム全体を見ても、現世界の状況に影響された歌詞が多いが、「今」のことだけではなく、過去・歴史を踏まえての「今」の人間のあり方を描いている。戦争や宗教をめぐった問題など様々なことがあるが、同じ問題を見ても人によっては全く意見が違うこともあるだろ。だから、その両面から見た状況を描いたんだ。結構内容が濃いだろ?


-今注目されている『ダ・ヴィンチ・コード』の内容に通じるものもありますね。

S:そうだね。映画は見ていないが、本では読んだよ。だけど、本を読んだのはアルバムを作った後だったからこれとは関係ないね。アルバムの作業をしているときは本を読む暇もなかったからね!


-「The Longest Day」のイントロではブルースは非常に低い声で歌っていますね。アルバム全体においても今回の彼のヴォーカルはいつにも増して広い表現力を持っていると感じました。ヴォーカルパートに関してスティーヴから注文することは多かったのですか?

S:この曲に関してはドラマを描き出すために、僕の方からああいった歌い方を要求した。メロディー自体はブルースが書いたものだけどね。曲が進むに連れてどんどん盛り上がっていき、最後のヘヴィなパートでは頂点に達する。はじめは非常にムーディーだけど最後には熱狂的な曲になっているだろう?最初からそれが狙いだったんだ。

 内容的には第二次世界大戦がテーマとなっていて、同じタイトルの映画があったのは知っていると思うけどそれを少し取り入れているんだ。世界大戦の絵が浮かんでくるような曲になっていると思う。

 この曲で歌っていることにも言えるけど、今の戦争も昔のものも起きた原因を深く追求すると宗教が絡んでいたりとか、文化の違いからくる意見の相違によって戦争を巻き起こしている。こういったことを歌った曲が今回のアルバムには非常に多い。人間の歴史を振り返って見ても、現代を見ても、いつでも争いごとは耐えないんだ。今行われている争いも実は昔にも同じようなものがあったりするからね。


-色んな環境で育った人間の意見が異なるのは仕方ないことだと思いますが、それを力尽くで押さえつけようとする行為は卑劣ですよね。話を戻してしまいますが昨年のフェスの問題も、同じようにごく僅かな人間が起こした問題だったのですよね。

S:そうだね。文化やライフスタイル、意見を自分と同じ物を人に押し付けようとすれば拒否反応が起きるのは当然で、そこに争いが生まれる。でも、どうも人間というものは誕生してからずっと変わらない状況をみると「人間は学ぶ動物」と言われることに疑問を感じるよ(笑)。昨年のフェスでは随分違うレベルの話で、僕らに飛んできたものは爆弾ではなくて「卵」だからあまり大した問題ではないけどね。ベーコン&エッグは僕も好きだから(笑)


-「The Reincarnation Of Benjamin Breeg」もブルースの歌い方はストーリーテラーのようで、7分間の旅に導くような役目を果たしていますね。

S:まさにタイトルどおり「生まれ変わり」がテーマなんだけど、過去に亡くなった人間の魂がある男の体を借りてこの世に甦ってくる。その男は過去の人間がやり残してきたことを自分の体でやろうとしていることも分かっていて、その人間のスピリットを感じることが出来ている。そんな状況を歌った曲で、確かに深いストーリーがあるんだ。個人的にもこういった題材には凄く興味があるからこの曲の登場人物を扱うことによって、俺自身も「生まれ変わる」ことを疑似体験できるんだ。


-モダンなヘヴィリフが印象的でしたが、これはデイヴのアイデアですか?

S:そうだね、しかもデイヴの持っていた別々のアイデアをくっつけて1つの曲にし、それから歌メロと歌詞をのせたんだ。ミディアムテンポでかなりヘヴィなリフだけど、今までここまでヘヴィなものはなかったんじゃないかな。あっても「Chains Of Misery」(AL『FEAR OF THE DARK』収録)以来だろうけど、曲そのものはまったく違う。今までのMAIDENサウンドとはかなり毛色が違うものだ。


-モダンな音楽もチェックしているのですか?

S:デイヴはそうかもしれないね、よく分からないけど(笑)彼が持ってくるアイデアはリフがメインだけど、普段彼が聴いているものまでは分からないな。


-スティーヴがプライベートで聴くのは相変わらずプログレがメインですか?

S:そうだね。ただ、アルバム制作の前ソングライティングの最中は潜在的に影響されるのが嫌だからまったく何も聴かないんだ。


-今回のアルバムも細部まで練り上げられた力作ですが、だいたいベテランのバンドになると新譜のリリースが5年から10年に一度になりますよね?でも、IRON MAIDENは今回も前作から3年ぶりの新作です。今後もIRON MAIDENはこのスタンスを崩さないで続けていきますか?

S:僕らはその都度必要な仕事だと思うことをしているだけなんだ。今回の作業がいつにも増して早かったのは事実だけどね。スタジオと僕の関係は愛憎入り混じるものがあって、入る前は凄くウキウキしているんだけど実際に入って作業を終える頃になると、もうウンザリっていう感じさ(笑)。多分皆もそうなんだろうけどね。

 そういう意味でも今回のように早い作業が出来たのはすごく良いことで、エネルギーのレベルが下がらないし、それと同時に曲の緊張感も保てるんだ。今回は全部の曲のバッキングトラックをまず一斉に録ってしまってから、その他のパートの録音とミックスを曲毎に仕上げていった。そうすることで一つ一つの曲に集中出来るし、新鮮味も保てる。次の曲に移ったときのテンションも高まるしね。凄く良いやり方だったから間違いなく次作も同じやり方で行くだろう。


-コンスタントにアルバムをリリースできるということはそれだけアイデアが湧き出てくる証拠ですが、特に本作はメンバーがお互いを刺激しモチベーションを上げていって出来たアルバムではないかと感じました。

S:まさにそうだね。一人で曲を書いているときは湧き出たアイデアをテープに貯めておいて、後から引っ張り出して曲を作って行くんだけど、やっぱり他のメンバーと一緒に曲を書くと実際に凄く触発されるんだ。特に今回はそうだった。それで曲作りの作業も凄く早く出来たんだ。何もインスピレーションのないところから曲を書くのは大変なことだからね。


-ギタリストが3人になってから特にそういった傾向が強くなったのではないですか?

S:やっぱりギターが3本になれば当然やれることが増えるわけだし、“曲を書いたとおりに再現できる”ということが大きい。特にMAIDENの場合はギターパートが多くて、表で鳴っている音の裏でハッキリとは聞こえないかもしれないけどまったく違うことをやっていることが非常に多いんだ。以前から3本どころか4本分ぐらいのギターパートは書いているから曲の書き方自体はそれほど変わっていない。ただ、それを具現化して表現できるようになったことは大きいね。例えばソロひとつとってみてもスタイルがあれだけ違うプレイヤーがいるから様々な表現ができる。幸いMAIDENの曲は長いから3人分のソロも十分入れられる余地があるからね。

 ソロの分担は民主的に決める場合もあるし、俺の方からその部分にあったスタイルをもったプレイヤーを指定する場合もある。例えば「Out Of the Shadows」なんかの頭はデイヴが弾いているけど、これは俺から指示して彼にプレイしてもらったんだ。


-既にヨーロッパツアーは決定していますが、日本へはいつ頃来られそうですか?

S:10月の終わりぐらいだね。【10/25(水)東京:日本武道館、10/26(木)広島:郵便貯金ホール、10/30(月)大阪:大阪城ホール、10/31(火)名古屋:名古屋市民会館】


-生卵じゃなくキャンディーを持って待ってますね。

S:(笑)


-最後に日本のファンへメッセージをお願い致します。

S:毎度の事ながらまた日本に戻って来られそうで楽しみだ。アルバムのリリースが9月でジャパンツアーが10月の終わりだから、あまり時間がないよね。しかも本作は内容が濃いからしっかりと熟聴してもらわないといけないんだけど(笑)・・・新曲を沢山やる予定だから、しっかりと宿題をしておくように!!



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