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◆摩天楼オペラ・インタビュー

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-次に、楽曲を仕上げていくプロセスを聞きたいんですけど、作曲したメンバーがほぼ完成形で持って来るんですか?

苑:作曲者によって違いますが、僕はギターやピアノを弾きながらメロディーを歌ってメンバーに伝えるだけという、だいぶざっくりとした感じで持っていきます。

-「アポトーシス」なんて一見、Anziさんが書いた曲だと思ったんですけど、これは苑さんの曲ですよね?

Anzi:アレンジはほぼメンバー全員でやりますね。特に苑が持ってくる曲はコード進行とメロディーだけで、ギターリフやバックの演奏を指定することはたまにあるくらいです。「アポトーシス」に関してもメロディーとコードしかなかったので、曲を聞いて“こうするしかないでしょ?”というところに皆で持っていった感じですね。

悠:最初、この曲はバラードっぽくという提で持ってきたんですけど、俺とAnziが聴いたら「え、これバラードじゃないでしょ?」って。

Anzi:そう、「ツーバスどこどこしか鳴ってこないんだけど」みたいな。

苑:まったくコイツらは…って思いながら仕上げていきましたね(笑)

-「ニューシネマパラダイス」は非常に展開の激しいユニークな曲ですが、これも曲を持ってきた段階とまったく違った形で仕上がったんですか?

苑:この曲に関しては結構そのままでした。持ってきた時点であいまいなテンポ感で、「僕の表現したいことをやるとサビだけテンポ変わるよ」という感じだったんですけど、他のメンバーも「じゃあ、そのままやろう」と。

-ちなみにこの曲はあの有名な映画とは関係あるんですか?

苑:あります。この曲を書き終えた段階で人生の最後を感じさせるような哀愁感のある曲だと思ったので、人の人生を振り返るような歌詞にしたいと思ったんです。それで昔観た『ニューシネマパラダイス』という映画を思い出して、あの映画も人の人生の最初から最後までを全部みせる内容だったのでこのタイトルにしました。他の曲もだいたいそうですが、歌詞の内容を踏まえて後からタイトルを決めることが多いですね。

-「21mg」は80'sメタル的なギターリフが印象的で、この曲の構成も非常にユニークですね。

Anzi:これは苑が曲を持ってきた時、自然にこのアレンジが僕の中に鳴ったんです。何か大きいもので曲をサンドイッチした組曲っぽくしたいな、というのがあって仕上げたんですが、リフはそんなに深くは考えず自然と出てきたものでした。今回のアルバム単位で、個人的には印象的なギターリフをたくさん入れたいというのがあって、これはその延長線上の一つですね。

-この曲は非常にポジティブなメッセージソングですが、具体的にはどんなことを歌っているんですか?

苑:普段の生活で「これでいいのかな?」という葛藤は誰でもありますが、考え方次第でどうにでもなるんじゃないかという思いがあって、それを歌っています。広い世界のなかで自分がいなくなっても世界は変わらないし、自分一人が思いっきり楽しんでいてもまったく世界は変わらない。じゃあ、世界からいなくなるよりも思いっきり生きて、思いっきり楽しんだ方がいいんじゃないの?というメッセージを込めています。

-「Helios」は最後だけメジャーコードで終わりますが、これもポジティブなメッセージを意図したんですか?

彩雨:終わり方は色んなパターンを考えていて、はじめは恐い感じで終えようと思ってSEを作ったんですけど、メンバーに「これは恐すぎる」と言われてボツになったんです。ただ、今考えると昨年の震災がなかったらその終わり方でもアリだったのかも…。最後は光に向うという内容を踏まえて最終的にこのアレンジになったので、そういう意味では意識したことだったのかもしれません。

-「Mermaid」も彩雨さんの曲で、これもポジティブな雰囲気がありますね。

彩雨:摩天楼オペラの曲はわりと暗いイメージが多いんですけど、アルバム制作前から速いテンポで長調の曲を作りたいと考えていて、今回実現した感じです。

-「Designer Baby」も彩雨さんの曲ですが、ボーナストラック扱いですね?

彩雨:この曲は楽器陣の演奏がなく全て打ち込みの曲です。実は昨年やった“Abyssツアー”で既に披露している曲で、苑ひとりだけステージに立って歌ってました。元々は2009年に僕が制作したライブ用のSEで、これに苑がメロディーを付けたいというのがこの曲が出来たきっかけです。

-こういった曲は小室さんからの影響ですか?

彩雨:それもありますが、映画やアニメのインストゥルメンタル音楽の影響もあります。梶浦由記さんや“攻殻機動隊”の菅野よう子さんからの影響も受けていると思います。

-それと、サウンドのトータル的に感じたんですが、音楽的にはモダン・メタルの要素を持ちつつも、昨今のバンドとは違ってミックスの段階であまり後処理をせず、バンドの持つ生々しいグルーヴを敢えて残しているように感じました。

悠:そうですね、最近のバンドさんはCDを聴くとすっきりし過ぎていますが、摩天楼オペラの場合は本当は要らない帯域の部分も敢えて残していて、こうすることで昔のハードロック的な温かいサウンドが得られていると思います。僕はこれがアリだと思っていて、ドラムの音もあまりガチガチに作ってないですし、それが逆に個性だと思っています。

-往年のハードロック/ヘヴィ・メタルを意識した上での工夫なんですか?

悠:特別にそれを意識しているわけではないですが、他のバンドと差別化できているのかなと。確かにキッチリしているとカッコイイけど、みんな同じように聴こえてしまうんですよね。だったら敢えて生っぽいサウンドも良いかなと。

-最近のバンドはミックス作業の一環で、タイミングを合わせるなど演奏の荒(アラ)を後処理でカバーしていますが、摩天楼オペラはそれをしていないということで、プレイに相当な自信がないとできないですよね?

悠:…はい(笑)

燿:特にドラムからしっかり波形を編集してきっちりタイム感を合わせるバンドも多いと思うんですが、摩天楼オペラはそれはやってないですね。

悠:ディレクターさんもノリを重視してやろうみたいな感じでやってました。

-次に今後のことをお聞きしたいのですが、これから摩天楼オペラとして目指すところってありますか?

Anzi:さっきも言ったようにバンドヒーローになることですね。今はいないと思うので。みんなそれぞれにフェイバリット・バンドがあって、それを聴いてカッコイイと思いバンドをやるわけですが、今はチャートにバンドさんが入ってくることが減りましたし、バンドシーンに元気がないと思うんですよね。それってバンドをやっているミュージシャンに責任があって、ヴォーカリストを立てる“伴奏”に徹したバンドばかりではバンドキッズは生まれないし、ギターをやりたいとも思わないですよね?メンバーが個々に5つ“立って”一つの大きな化学反応が生まれる、というのがバンドの一番の魅力なので、そういうバンドになりたいというテーマはあります。

-確かにテクノロジーが進んで作曲するのにもアレンジするのにも一人で曲を仕上げてしまうバンドが多いと思うんですが、各メンバーがそれぞれの要素をぶつけ合えるというのはバンドとして大きな武器になりますよね。

Anzi:他のバンドさんとお話することが結構あって、摩天楼オペラの楽曲を聴くと色々と細部まで構築されていてしっかり“作り込んでいる”というイメージをもたれるみたいなんですけど、実は僕達のソングライティングって意外と適当(=頭で考えていない)なんです。スタジオに1時間ぐらい入ってセッションで一曲できちゃうみたいなスタンスなので、この部分は崩さずにやっていきたいですね。

悠:誰かが持ってきた曲を初めて聴いたときのインプレッションはすごい大事だと思っていて、各メンバーがそれぞれに感じてぶつけ合うことで良い物が生まれることが摩天楼オペラでは多いんです。みんなが何をやるかは大体分かってきてはいますが、マンネリにならずにそれぞれがプレイヤーとして引出しを多く身につけていきたいと思っています。

-まったくアイデアがないところからスタジオに入って曲が出来てしまうこともあるんですか?

Anzi:あります。

-今回のアルバムでもありましたか?

彩雨:「IMPERIAL RIOT」なんかはそうです。

苑:あれはサビだけはあったんですけど、ほぼ何もないところから出来た曲ですね。

Anzi:「濡らした唇でキスをして」も“こういう曲ないよね?”というノリで作り出した感じなので、完全にゼロからスタジオで出来た曲ですね。リフもその場で作って“ドラムはこういうビート感がいいんだよね?”ってアイデアを出して、何となく曲の世界観が出来てきたら、あんまりメロウな感じではないメロディーをのせて、っていう感じでフワッとした状態から皆で作った曲です。

悠:メンバー皆で曲を作り上げていくのは、やっていて楽しいですよ(笑)

-最後に、ハードロック/ヘヴィメタル・ファンに向けて一言ずつアルバムの聴き所を教えていただけますか?

苑:はじめての試みですね(笑)えー、やっぱりヘヴィメタルを愛している方はヴィジュアル系を嫌いな人が結構いると思うんですけど、そこは除外してまずは音を聴いて欲しいと思います。最初の「Justice」のサビだけでも聴いてもらえれば僕達のメタル魂は伝わると思います。

Anzi:ジャンルって凄くクダラなくて、それがあるから変な先入観や偏見が生まれるわけなので、広く括ったらただ好きな音楽をやっているだけなんです。僕はHR/HMがカッコイイと思ってギターをはじめたルーツがあるので、その辺は曲を聴いて頂ければ感じてもらえると思いますし、必ずカッコイイと思ってもらえる自信はあります。ジャンルを気にせずとりあえずは聴いてください。

悠:さっき苑が“メタルを好きな人はヴィジュアル系が嫌い”と言ったんですけど、僕はまさにソッチの人だったんです。でも、ヴィジュアル・シーンに入ってみてやっぱりメタル好きな人も結構いましたし、やっぱりメタルってカッコイイものなんですよね。一度聴いてもらえれば僕達がメタルを好きなことは分かってもらえると思いますし、共感してもらえるところも多いと思います。

燿:ジャンルを気にせず聴いて欲しいというのがまずは第一なんですけど、敢えてHR/HMでジャンルを言うならば、メロディアス・ハードロックやLAメタル、北欧メタル、ジャーマン・メタルが好きな方ならば気に入っていただけると思います。

彩雨:僕も敢えてジャンルを言うならば、シンフォニック・メタル・バンドから僕が影響を受けている部分はふんだんに取り入れているので、摩天楼オペラ自体はシンフォニック・メタルではないですが、そういう音に飢えている人はぜひ一回聴いていただければと思います。

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