Heavy Metal,Hard Rock専門情報サイトRocks On The Road
Supported by:MARQUEE AVALON
Translator:Mariko Kawahara
ミッコ・カーミラ(ミキシング・エンジニア)がこのアルバムをはじめて聴いたときに
「これはフィンランド初のヘヴィ・キャバレー・アルバムになる!」と言ったんだ(笑)
 日本で圧倒的な人気を誇る新世代メロディック・スピード・メタル・バンド:SONATA ARCTICA。新作「RECKONING NIGHT」でのアレンジにおける劇的な成長ぶりはSONATAフォロワーの追随を許さない一段とスケール・アップしたアルバムに仕上がっている! ライブでは“おとぼけキャラ”ながら非常に礼儀正しく、音楽についても真剣に語ってくれるトニーと、レコード会社の担当者も知らぬ間にお忍び来日していたマルコと昨晩飲み明かし、二日酔いで辛そうな(笑)ヤニに話を聞いた。


−先行シングルとなった「Don't Say A Word」がフィンランドのチャートで初登場1位を飾ったそうですね、おめでとう御座います!初登場でトップになったのははじめてですよね?

トニー・カッコ(以下;T):そうだね、いきなりの1位は今回が初めてだ。でも前作のシングル「Victoria's Secret」は初登場で2位だったんだけど、その2週後にランクアップして1位の座をとった。初登場でランキングされた位置よりも数週間後にアップするのってシングル・チャートではめずらしいことだろ? 逆に今回の「Don't Say A Word」は翌週にはCHILDREN OF BODOMに落とされてしまったんだ(苦笑)


−今のフィンランドのチャートではヘヴィ・メタル・バンドが上位を飾ることが多いのですか?

T:そうだね。ちなみにこの「Don't Say〜」が1位の時はトップ5のうちの4つはメタルもしくはロック系が占めていた。我々とMETALLICA、CHILDREN OF BODOM、あともう一つもロック系のバンドでいわゆるポップスものはなかったね。オールジャンルのナショナルチャートでこの顔ぶれはすごいよね。


−「Don't Say A Word」はSONATA ARCTICAらしい素晴らしい曲ですが、シングル盤では“エディット・バージョン”として収録していますよね。でもニュー・アルバムで見られる劇的な成長ぶりはこの“短くされた”先行シングルからは誰も想像できないと思いました。

T:そう言ってもらえると嬉しいよ!日本へ来る前にヨーロッパで150本ぐらいのプロモーション・インタビューをしてきたんだけど、そこでも殆どの人が今回のアルバムが過去最高の作品だとか、もしくは
「ECLIPTICA」以来の傑作だと言ってくれている。ニュー・アルバム「RECKONING NIGHT」で打ち出した新しいスタイルをみんなが認めてくれた証だね。日本のファンもそう思ってくれたなら嬉しいな。俺自身もアルバムの仕上がりには凄く満足しているし、なによりもこれまで以上にアルバム創りが楽しかったんだ!



−新作の、特にアレンジ面での成長が著しいと思いましたがヘンカ(Key)の正式加入というのが大きかったのですか?

T:もちろんヘンカが持ち込んだものも大きい。今回は各曲にハモンド・オルガンの音が全面に使われているしね。何曲かは俺自身の中で強力なヴィジョンがあったからそれに関しては別だけど、他はあまり細かい指示は出さずかなり自由にやってもらったんだ。だから彼の色はかなり出ているんじゃないかな。



−実際にはじめて聴いたときもオープニング・チューン「Misplaced」のイントロで急にオルガンの音が出てきたので驚きましたが、これは意図的に最初に持ってきたのですか?

T:特に意図したことではないね。ヘンカはハモンド・オルガンが好きなスタイルのキーボード・プレイヤーで、レコーディングの前に既にライブで一緒にやっていたから彼の好みはもちろん知っていた。だけど今回初めてレコーディングを一緒にやるときになって、“オルガンの音がはたしてSONATAのサウンドに合うのか?”と俺自身懐疑的だったんだ、正直言ってね(苦笑) でも一番最初にやった
「Don't Say A Word」のキーボード・サウンドを聴いたときに「これはいけるぞ!」と思い、他の曲にもどんどん使うように言ったんだ。曲中に少しでも隙間があるとヘンカにハモンドを入れてもらったしね。

ヤニ・リマタイネン(以下;J):あえてアルバムの最初に入れようとしたわけでは全くない。たまたまオープニングに来ただけだね。



−たいていハモンド・オルガンを多く取り入れると“古臭さ”を感じさせてしまいますが、ニュー・アルバムでは全くそんなイメージはありません。全体のサウンドも“今までの4人+ヘンカ”というのではなく“5人によるバンド”として上手くまとまっているからこそ古臭さを感じさせず、どこを切っても“SONATAの音”に仕上がっているのだと思いました。

J:この手のヘヴィ・メタルでハモンドを使うバンドは殆どないよね。君の言うようにもっと古いタイプの音楽ではよく使われているけど、今回ハモンドを使った結果、逆にこれが個性になっている部分もあると思うね。

T:他のメタル・バンドではやっていないからこそ、あえて使った、というのもあるよ。



−ヘンカが持ち込んだものが新しいスタイルとなったということは、彼がただの“やりチ○”(前回の来日公演で日本語で「カレハヤリチンデス」とヘンカを紹介していた)でないことが実証されましたね(笑)

T&J:(笑)....そうだね。



−ヤニのギター・リフなんかもニュー・アルバムではこれまで以上にフィーチャーされていますが、ヘンカのプレイに感化されたのでは?

J:う〜ん、そうでもないかな(苦笑) 実はレコーディングではギターを先に入れたから、俺がプレイするときにはまだヘンカのプレイは聴いていなかったんだ。



−インスト陣のアレンジも凝っていますが、特にヴォーカル面でのアレンジは著しくドラマティックですよね? トニーはソングライティングの段階から“今回の楽曲はドラマティックなものにしよう”との思惑があったのですか?

T:もちろん今回のアルバムは今までよりもドラマティックになっているけど、特別に意図してやったことではないんだ。逆にアレンジに関しては、元々俺は曲中に色々詰め過ぎてしまうタイプなんだけどそれを他のメンバーが「もういいんじゃない?」って押しとどめてくれた。ドラマティックで壮大なサウンドといえばヨーロッパではNIGHTWISHが大人気だろ?そういったサウンドがある種のトレンドみたいなっているから無意識のうちに影響されていたのかもしれないね。



−NIGHTWISHももちろんドラマティックなアレンジですがSONATAの新作で見られる“ドラマティックさ”はまたこれとは違って、ヴォーカル・メロディーの創り自体が非常にドラマティックに次々と展開していますよね。どの曲も普通のバンドのものよりも倍近い数のメロディーから一つの楽曲が成り立っていますが、ソングライティングには相当時間をかけたのではないですか?

T:実を言うと曲創りの時間はあまりかかってないんだ(笑) 俺が家で考えてくるメロディーというのはたいてい一曲につき一種類のリード・メロディーしか用意していかないんだけど、スタジオで実際レコーディングしているときに他のパートをひらめいて突然歌ってしまったりする。これが一番顕著なのは新作の中の「White Peal,Black Oceans...」だ。ホントにこれは究極の形でメインとなるメロディーが殆どなく、常にハーモニーで展開していっている。というのもこの曲を創っている時には一つのメイン・メロディーだけではなく、常に複数のメロディーが鳴りながら進行していかないと成り立たないと思った。常にクワイア状態だからこの曲は一生ライブではやれないんじゃないかな(苦笑)



−一曲の中でもトニーの歌は様々な表情に変わっていきますし、ハーモニーもQUEENを彷彿させるぐらい充実していますがシンガーとしてかなりチャレンジをしたのではないですか?

T:今回、俺はシンガーでありながらリードを歌うよりもバッキング・ヴォーカルを歌う方が楽しかった。リード・ヴォーカルが苦手なんだよ(笑) それでコーラスをやたらと重ねて分厚くなった部分もあるかもね。特に「Don't Say A Word」なんかでは一番多い場所では250ものトラックを使ったんだ! 本当は100人ぐらいの本物のクワイアを一気に入れたいところだったんだけどメンバーは5人しかいないから、5人の声を重ねていくうちに気づいたらこんなに多くのトラックを使っていたよ。
 新作でのヴォーカル面は俺にとって全体においてチャレンジだった。特に「Shamandalie」では一番最後にならないとコーラスが入ってこないから、そこまでは苦手なリード・ヴォーカルだけで持って行かなくてはならない(笑) リード・ヴォーカルがむき出しになってしまっているからね。



−(笑)...「Shamandalie」のAメロはめずらしくアコースティカルなアレンジですものね。

T:そうだね、こういったヘヴィなアルバムの最後(ボーナス・トラックを除けば)を静かに終わるのも良いと思った。アコースティカルなぶん、ごまかしが利かないからシンガーは大変だ。


−個人的に本作のハイライトチューンのひとつだと思っている「Wildfire」は非常にシアトリカルな楽曲でヴォーカルの表情も多種多様ですが、すべてトニーの声なのですよね?

T:ヘンカがちょっと加わっているけどね。



−ダミ声の部分ですか?

T:あぁ、“They claim I've purloined〜 ”(とマネしてダミ声で歌う)の部分だね(笑) 確かにちょっと変わった曲だから歌うのは難しかった。変わっているからこそ俺のお気に入りの曲でもあるんだけどね! どこで何をどうしたらよいのか全体の構成を決めるのも非常に大変だったんだ。それにミッコ・カーミラ(ミキシング・エンジニア)がこのアルバムをはじめて聴いたときに「これはフィンランド初のヘヴィ・キャバレー・アルバムになる!」と言ったんだ(笑) なぜ“キャバレー”という言葉を使ったのかは「Wildfire」や「The Boy Who Wanted To Be A Real Puppet」の事を表現したかったのだろう。どうもキャバレーっぽいらいしよ(笑)



−中間部のギターリフも非常にユニークでシアトリカルな曲に良く合っていますが、これはヤニの・・・ヤニ!起きている?

J:(驚いたように)あぁ、大丈夫だ。ちゃんと起きているよ。



−(一同笑)...この中間部のリフはヤニのアイデアなのですか?

J:...(低いテンションで)No、あれはトニーのなんだ。



−(一同爆笑)

J:俺が好きなDREAM THEATERっぽいパートだけどトニーのアイデアなんだ。トニーはキーボードで弾いたフレーズを持って来たんだけど、それをギターで弾くのがめちゃくちゃ難しくてね。キーボードではすんなり弾けてもギターに置き換えるのが大変なフレーズの典型的な例だ。

T:最初アイデアを聴かせたときは“これギターで弾くのかよ”ってな感じで目が点になっていたよ(笑) 他の曲でも今回の様なケースがしばしあるみたいだ。だから次作ではもっともっと複雑なものを弾かせてやるよ!

J:どうなることやら・・・(苦笑)



−(「Wildfire」は)非常にシアトリカルなアレンジですけど、どんなことを歌っているんですか?

T:これはある村に住んでいる男について歌っている。彼は村八分にあって他の村人からいじめられているんだけど、彼自身は悪くはなく、彼の家族が悪いことをしたことによって彼も避難の対象になってしまったんだ。そんな状況で過ごしている中、とうとう彼の怒りが爆発して住民たちに復讐をするというストーリーなんだよ。彼は本当は悪くはないのに家族のことによって偏見の目で見られてしまい、それに我慢ができなくなったんだ。



−この曲もそうですがアルバム全体を見ても今回のアルバムは非常にバラエティー色が豊かですよね。特に「Blinded No More」はあまり今まで見られなかったポジティブな印象を与え、僕自身“太陽の下”という様な感じをこの曲から受けました。

T:一見すると“I love you,I need you”のようなラブストーリー風なんだけど実は違うんだ。確かに他の曲は内容がダークなものが多いからある意味この曲はポジティブではあるんだけど、決して太陽が降り注ぐ“快晴”ではない。天気で例えるならば“薄曇り”だね(笑) 全くのハッピー・ソングではなく、ちょっと“影”を持った曲なんだ。



−この曲のギター・ソロは他の楽曲とは違って往年のヘヴィ・メタルを思わせるものですが、意識して弾いたのですか?

J:俺はこれに限らずいつも“曲にあったソロ”を弾こうと心掛けている。だからこの曲では速弾きで弾きまくるのではなく、メロディックな感じがあうと思ったんだ。ちょっといつもと違う感じのソロを弾くのも良いのではと思い、ああいったものにしたんだけど凄く新鮮だったし弾く事自体も楽しかったよ。



−新作の最後には前作と同様に“おふざけソング”が収録されていますが、当然これは意味のないものなんですよね?

T:もちろん(笑) いつもアルバムの最後には“変なもの”を入れていて、前作の「WINTERHEART'S GUILD」では偶然スタジオに入ってきたときのことをフィンランド語で語っている様子を入れた。今回はたまたまヤニとヘンカがスタジオでジャムっているのをみて「これを録ったら面白いのでは」と思い、部屋の真ん中にマイクを立ててそのときのままを録音したんだ。“曲”じゃなくてホントにその時のそのままのものを入れただけなんだけど、実はこれが“曲”の形であったことが後にいろいろと問題を引き起こした。前作みたいに“しゃべり”だけであれば何の問題もないんだけど、一応音楽の形になったものは一曲毎に登録をしなければいけないみたいでタイトルを決めてくれと言われたんだ。タイトルも何もないのにね!(笑) しょうがなくて「Jam」という名前にしたんだけど・・・。
 ちなみに最後にフィンランド語で叫んでいるところがあるんだけど、それは「マルコは何処だ!?」と言っているんだ。そのときマルコは行方不明になっていてね。実は日本にいたんだけど(笑)(このインタビューの日の前後もそうだが、マルコは頻繁にプライヴェートで単独来日をしているらしい。しかもレコード会社担当しなどにも内緒で。大の親日家・・・だけなのか!?)
 まぁ、それはともかく“曲”を入れてしまうと色々と問題が生じるということを学んだから、次からはまたじゃべりだけに戻そうかな(笑)



−逆に“意味のない”このトラックが僕には凄く意味のあるものだと思いました。この瞬間までは壮大な楽曲群に感動し余韻に浸っていたのですが、この“意味のない”トラックが出てきた瞬間に「なんて事ない、いつも通りにニュー・アルバムを創っただけだ!」というとてもリラックスしたバンドの状態が表れているように感じましたよ!

T:俺も実はアルバムを創り終えた後に一番気に入った曲があの“Jam”だった(爆笑) というのも、それまでは作業をしながら死ぬほど他の曲を真剣に聴いていたから、もういいよという感じだったんだけど逆に最後のあれが妙に新鮮に聞こえてね。何回も聴いてしまったよ!

J:なにげに良いグルーヴがでてるしね(笑)



−これがリード・トラックでなくて安心しました(笑) 今回のニュー・アルバムは今までのメロディック・スピード・メタルから前進し新しい方向性を打ち立てた作品だと言えると思います。昨今SONATA ARCTICAのフォロワーバンドが日増しに増え続けていますが、僕個人的にはこのニュー・アルバムで彼らの追随をいとも簡単に退けてしまったと思いました。ご自身はなにか意識されたりするのですか?

T:ありがとう、でも俺等自身特に何も意識していない。あまり人がどう思うかとか、人が言ったことなどを気にせず、いつも通り自分たちの好きなことをやったまでの結果だよ。スタジオでも色んなアイデアに対して常にオープンな姿勢でいて、「もしかしたらこれは合わないんじゃないか?」と神経質になることはせず、ホントにその時のフィーリングで良いと思ったものをどんどん取り入れていくというスタンスなんだ。こうやってきた結果、俺たちの音楽を気に入ってくれたファンがたくさんいることはこれまでに実証されている。もちろん、少し変な方向へ行ってどうなのかな?と思うファンも中にはいると思うけど、そういった人達のことを気にしていても仕方ないしキリがないよ! とにかく周りを気にせずやりたいことをやっているだけなんだ。



−このアルバムでももちろん来日公演があると思います(2005年2/4を皮切りにジャパン・ツアー決定)、この分厚いヴォーカル・ハーモニーはどうなるのでしょうか?

T:ライブで歌えるメンバーは4人いるからこれで再現できるところは生でやるよ。もちろん100人クワイアが要求されるパートは4人で再現できる分けないからディスクに録ったものを流すと思う。どちらにせよトニーはずっとクリックを聴きながらたたいているから合わせるのにも問題ない。



−それでは近々、再び上品な日本語を覚えて帰って来てくれることを願っています(笑)

T:(爆笑)...日本語を覚えていくのは日本のみんなが喜んでいる顔を見たいからなんだよ。その一つの手段として前回のがあるんだ。まぁ10年後も同じ様なことを言っていたらアホだけどね。またみんなが楽しめるような言葉を覚えていくよ!今度はじゃあ路線を変えて、みんなが「ウォ〜」と驚くほどインテリジェントなことを言ってやるよ(笑)
home album review interview alive&kickin' release info catch the move A to Z links mail
Copyright (C) 2001-2005 ROCKS ON THE ROAD All Rights Reserved.