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UNISONIC インタビュー

UNISONICインタビュー画像
Supported by MARQUEE AVALON  Translator:Mariko Kawahara
UNISONICマイケル・キスク画像

-一日取材尽くめでお疲れですか?

マイケル・キスク(以下M):時差ぼけがあるけどインタビューは問題ないよ。スケジュール的にもゆったりしているしね。ヨーロッパでは朝から夜にかけて、たった20分しか休まないでぶっ通しで取材だったから悲惨だった…。


-それだけ注目されているという事ですね。

M:その通りだね。


-さて、まずは新しいバンドで「お帰りなさい」と言わせてください。マイケルの魅力的な声でまた新たな音楽が聴けるのが嬉しいです。

M:確かにバンドとしてやるのは久しぶりだ。ソロの時はレコーディングも楽曲アレンジもシンプルだったけど、UNISONICの場合は最初のアイデアからメンバー全員のアイデアが加わる事によって全く違う“バンドの音”になるんだ。今はバンド活動が凄く楽しいし、何よりも5人全員が働くからソロの時よりずっと楽だよ。


-本格的にバンド活動を再開したわけですが、何か心境に変化をもたらした理由があるんですか?

M:まさに“時”だね。ここに至るまでバンドをやっていなかった期間が必要だったんだと思う。HELLOWEENを辞めた頃はビジネス面でウンザリしていたし、全てが嫌だった。だから、またやろうと思えるのに時間が掛かった。だけど、その長い年月の間にはドイツ哲学や自然科学、スピリチュアルな事も勉強したんだ。自分のなかにあった疑問を解決したいという想いが強かったからね。そんなこんなで16、7年近く経ってしまったけど、それだけの時間が必要だったんだ。


-そのバンド復帰がマイケルにとってもファンにとっても特別な存在である、カイ・ハンセンと一緒だというのも特別なことだと思います。そのカイと一緒にやるようになったきっかけを教えてください。

M:そもそもなぜUNISONICを始めたかと言うと、これもやっぱりタイミング的に“時”が合致した。2009年にUNISONICに誘われた時、まさに「Yes」と言える状況にあった。最初はカイ抜きの4人で曲作りをはじめて、2010年には2回だけだけどフェスティバルでライブもやった。その後にAVANTASIAのライブで同じステージにカイと立ったんだけど、何か感じるものがあったんだ。そもそも俺たちは仲違いしていたことは一度もなかったし、まさに20数年ぶりだからね!
ただ、久しぶりに一緒に立ったその瞬間は、まさか一緒にまたバンドをやるとは思っていなかった。でもステージ上の雰囲気もよかったし、2人とも直感的に「また一緒に何かやらなければ」と感じていたんだ。元々俺たちは頭で考えるのではなくハートで感じるタイプだからね。それでAVANTASIAのツアーの最中に、一緒にやろうという話になった。
それに、4人でやっていた時も悪くはなかったんだけど、何か物足りないと俺は感じていて、2010年頃からUNISONICには曲も書けるセカンド・ギタリストが必要だと漠然と考えていた。別に誰という候補はなかったけどね。
今思えばカイはまさに打ってつけのメンバーだった。もちろんレコード会社はこのアイデアに飛び付いてきたけど、俺としては商業的なことを目論んだのではなく、カイと一緒にやればクリエイティブな面で良いものが出来ると思った。カイだったら更にエッジを効かせてくれて、ユニークなサウンドになると思ったんだ。


-マイケルの方からカイに加入を持ちかけたんですか?

M:一緒に何かやりたいという話は2人同時にしたけど、具体的にUNISONICに入るアイデアはカイが出してきたんだ。俺としては、当初からUNISONICはプロジェクトではなくバンドにしたかったから、カイをこのバンドに入れるという発想はなかった。まさかカイが興味を持つとは思っていなかったし、そういう選択肢がまったく俺の頭にはなかったんだ。だからカイが「俺がUNISONICに入ろうか?」と言ったときは目から鱗だったね。


-具体的にカイを迎えるにあたって「UNISONICではこんな音楽をやりたい」など具体的な話し合いはあったんですか?

M:ないね。俺は音楽をクリエイトする上で話し合いとか分析はいっさいしないんだ。もしかしたらコスタはマネージャーでもあるから少し考えているかもしれないけどね(笑)とにかく良い曲を作って、良いパフォーマンスをして楽しくやるということだけだ。制作過程で話し合える事といえば、アルバムに収録する曲をどれにしようかと絞り込む作業だけだね。“こういうアルバムにしよう”という話はホンモノのミュージシャンであればあまり考えないんじゃないかな。


-UNISONICのサウンドを聴いた時は、予想していた音よりハードだと感じたので…

M:まさにカイだね。彼がもたらしたものだ。彼がいればメタルの要素を持ち込んでくれることは分かっていたし、俺はカイの書くメタルチューンは凄く好きで、自分に合っていると思う。それはHELLOWEEN時代から感じていたし、GAMMA RAYで俺がゲストで歌った曲も同じだ。カイの曲にはネガティブなものや悪魔的な要素がまったくない。凄くアップリフティングでポジティブなものなんだ。凄く好きな理由はソコだね。


-またこのようなハードな音楽をやろうと思ったのは何か心境の変化が?

M:考えてみると俺が書いていた曲は昔からヘヴィな曲ではないし、それは“KEEPER OF THE SEVEN KEYS”の時もそうだった。それをHELLOWEENというバンドがやることによって、ああいったサウンドになったんだ。どのメンバーでやるかによって変わるだけであって、俺一人がやればもっとソフトになっていた。でも俺自身、小さいときはエルヴィス・プレスリーが好きだったけど、決してロックやメタルが嫌いなわけではないよ。14、5歳でメタルに目覚めて、IRON MAIDENとかJudas Priest、Black Sabbath、Queensrycheとかが大好きだった。
ただ、俺がメタルシーンにウンザリしていた頃は、メタルの悪魔主義とか非人間主義みたなものに凄く嫌悪感を覚えていたんだ。俺はドイツ人だからナチスが支配していた頃のようなネガティブな事はあってはならないと思う。例えば、女の子をレイプするような人の道に外れることも、何かにこじつけて美化するようなバカげた風習がメタルにはあると当時の俺は感じていたんだ。
でも、そういった考え方はアンフェアだったと今になってやっと理解できるようになった。当時の俺はメタルシーンがすべて邪悪なものに満ち溢れてしまったと思っていたんだ。実際にはクラシック・ロックみたいなものもあったんだけどね。それにオーディエンスやファンからの生の声には耳を傾けず、プレスが書き立てていることばかりを気にしていたこともいけなかったんだと思う。

俺は人生の意味とか人としてのモラルというものを凄く真剣に考える人間で、人生に必要な愛とか友情とか信頼がメタルの世界だと歪められてしまっているように感じていた。特にジャーマン・メタル・シーンには苛立ちを感じていたね。
だから、“そんなんじゃない”って客観的に見られるようになるのに時間がかかった。ネガティブなことではないと今は分かっている。でもやっぱり、ネガティブなものが全くないわけではないから、その部分は出来れば払拭していきたいね。


-先ほどスピリチュアルな勉強をしていたと言っていましたが、それが今のマイケルのパフォーマンスに影響したりとか、ソングライティング面で作用した曲などはありますか?

M:スピリチュアルな勉強をしたことで俺自身は凄く変わることができた。音楽活動をしていないときも幸いなことに別の仕事をする必要がなかったから、沢山の時間があった。だから本もいっぱい読んだし、自分自身を見つける旅みたいなことができて、頭と心の整理ができたんだ。そういった意味で、今の俺は昔の自分とまったく別の人間だから、昔書いた曲やパフォーマンスもまったく今と違うと思う。でも直接的にそういった物を歌っている曲はないね。


-昨年の震災で今の日本には心のコントロールが上手くできなくなっている方もたくさんいると思いますし、政治・社会的な問題もたくさんあります。過去の自分を乗り越えたマイケルから日本に対して何かアドバイスはありますか?

M:物事にはすべて理由があると信じているんだ。今回は日本で震災があって、それに伴って原発の問題も起こっているだろ?日本だけでなく世界が考えなければいけない問題だけど、これはある意味、考えなければいけない時が来たんだと思う。今はすべてが早いペースで進んで量産されているけど、このままずっといったら世界はどうにもならなくなってしまう。一人一人にあることも国のことも根本にあるものは同じで、今回のように大きな悲劇が起こった時は皆が意識してどうすべきかを考えなければいけない。そして、ただ壊れたものを元に戻せば良いのではなく、そこから何かを学ばなければいけないんだ。

これは皮肉でも何でもないけど、全てを失わないと分からないこともあると思う。例えば人生の喜びを味わうには、その前に苦しみを味わわなければならない。それがまさに日本で起きてしまったんだと思う。ここから日本だけではなく皆が学ぶ必要があるんだ。特に震災から派生した原発の問題はちゃんと考えていかなければいけない。神が何を思って今回のようなことをしたのかはもちろん分からないけど、日本人はここから何か学んで道を見つけなければいけないんじゃないかな。

人生というものはちゃんと見つめる必要があって、価値ある人生で価値あることをすることが重要なんだ。自分にとっての世界は一瞬にして終ってしまうかもしれない。例えば俺は日曜日に帰るけど、事故で死んでしまうかもしれない。人生って短いんだ。俺は今44歳で自分ではそれなりに充実した人生を送って来ていると思うけど、まだ決して長くはないよね?だからこそ、常にアンテナをはって自分勝手にではなく、モラルを考えながら、その中で価値あることを探しながら生きていかなければいけない。特に日本人は世界一勤勉な人種だからね。人生を楽しむことを忘れないように!


-最後に、80年代後半にメタルシーンを大きく変えた2人が25年経った今、またこうして新しいバンドで再スタートを切るわけですが、改めて今の心境をお聞かせください。

M:まさに初心に戻った気持ちだ。すごく長い間、充電期間があったから完全にリチャージした感じだね。とにかく今やっていること全てが楽しくてしようがない。こういうインタビューも、プロモーションで色んな国を回るのも凄く楽しい。当然ツアーも絶対楽しいだろうし、はじめての時のように新鮮だろうね!俺がこのバンドのなかで一番新鮮な気持ちで臨んでいるんじゃないかな。長い間、まさか自分がまた今の心境になるとは思っていなかったし、やりたいとも思わなかった。もう終わったと思っていたよ。それがまたこうしてやれるということが楽しくて仕方ないね!


-今後の活動も期待していますよ。

M:UNISONICには色んな可能性があると思うから今後も続けていきたい。ただ、全員個性が強すぎるメンバーだからね…(笑)とにかく、また“9月”に会おう!



>>デビューアルバム『UNISONIC』レビューへ


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