Yngwie J. Malmsteen's Rising Force
Live In Japan 2001
photos:吉浜 弘之
(写真はすべて7/14の渋谷公会堂公演のものです)
22.July.2001 Tokyo Akasaka Blitz
★SET LIST★


1.Rising Force
2.Crucify
3.Bed Room Eyes
4.Far Beyond The Sun
5.Wild One
6.Miracle Of Life
7.Bad Reputation
8.Trilogy Suite
9.Guitar solo
Blue
Bass /Drum Solo
Masquerade
Seventh Sign
〜encore〜
Acoustic Solo
Black Star
Hiroshima Mon Amour
I'll See The Light,Tonight

 恐ろしいほど、2001年のイングヴェイ・マルムスティーンは働く。最新作「WAR TO END ALL WARS」リリース後のアメリカン、ヨーロッパ・ツアーも過酷な日程になっており、その間、新ヴォーカリストのヨルン・ランデとドラマーのジョン・マカルーソがあっけなく脱退し、マーク・ボールズが復帰するなど、話題も事欠かない。かのリッチー・ブラックモアもイングヴェイのツアー・スケジュールに驚いたとか。そして、日本では6月に音楽キャリアの集大成と言えるオーケストラとの共演を見事、大成功させ、7月には再び日本に上陸し、約2週間に及ぶ、“ロック公演”を行うという凄さで、さすが王者と言ったところである。

 “暑い!!” 30度は余裕で超える猛暑の中、赤坂ブリッツに足を踏み入れた。初めて赤坂ブリッツを訪れたが、なるほど、ジョン・ボン・ジョビが“ここで演りたい!!”と思うのも分かるような近代的な広いライヴ・ハウスで、2階には座席もあり、以前に旅行したラスベガスの“HOUSE OF BLUES”の雰囲気を感じる。さて、イングヴェイの人気の高さは相変わらずで既に場内は満員だ。不景気といわれる中、HM/HR界でも、イングヴェイのように長期にわたる来日公演を行えるアーティストがめっきり減ったが、彼だけは特別なようだ。前座を務めたDOUBLE DEALERも素晴らしく、さらに場内のムードを高揚させる。下山 武徳(Vo)の熱唱と明らかにイングヴェイに影響を受けたであろう、島 紀史(G)の卓越したギター・プレイは目を見張るものがあったことを声を大にして言いたい!!

 さぁ、イングヴェイ・バンドの登場である。ベートーヴェンの「運命」のテープが場内に流れ出すと、大きな歓声があがった。そして、それを掻き消すかのように、ステージに姿は見えないが、イングヴェイが「運命」の有名なフレーズを弾き出すと、歓声がさらに大きくなる。マッツ・オラウソン(Key)、ランディ・コーヴェン(B)、そして新ドラマーのティモシー・ドナヒュー(Ds)は既にステージ上で、準備万端といったところ。しばらくすると、マッツ・オラウソンのキーボードが“あの曲”を導き出す。マーク・ボールズもイングヴェイと同時にステージに登場し、耳慣れたギター・リフが響き渡る。オープニングは“これでどうだ!!”と言わんばかりに「Rising Force」である。どうしてもライヴでこの曲が聴きたかった僕は思わず飛び跳ねて喜んでしまった。こうでなくちゃいけない、ライヴのオープニングには最高の1曲で幕を明けたショウに観客も満足そうだ。それにしても赤のジャケットに黒いパンツのマーク・ボールズが異常に元気で、ジョー・リン・ターナーがソウルフルに歌い上げたこの曲を見事に歌いこなす。生で聴くとこの人のハイトーン・ヴォイスは本当に凄い!! 小さい体でこれだけの声が出るんだから。イングヴェイはいつものように、足を前方に蹴り出すパフォーマンスと、今や誰もやらなくなったギター回しを軽快にきめ、ギター・キッズがこぞってコピーしたであろう有名なパッセージとマッツ・オラウソンとの掛け合いも完璧にこなす。2曲目にはイングヴェイのコールで最新作から「Crucify」。七色のスポットと “これでもか”とたかれるスモークのコントラストが中近東的な雰囲気のこの曲にぴったりだ。また、新加入のティモシー・ドナヒューも無難なプレイをしており、やたらリズムの“モタリ”が気になった前任者よりはライヴ向きのドラマーだと感じた。ただ、HM然としたルックスのメンバーの中で、短髪にTシャツといったサーファー風のルックスには笑えたが...。マークのMCの後、続いて演奏されたのがイングヴェイ流のブルーズ・ナンバー「Bed Room Eyes」で、イングヴェイは腰をくねらせ、セクシー??なプレイを披露。「ECLIPSE」からの懐かしいこの曲はファンには嬉しい選曲だった。そして、屈指のヘヴィ・メタル・インスト・ナンバー「Far Beyond The Sun」では、イングヴェイのギターに目がくぎづけになる。指揮者のように手を回したりと気分はクラシック演奏家だ。20年近く経つこの曲だが、メロディは決して色褪せないし、北欧のロマンを感じさせる1曲である。この曲が終わると第1部終了という感じで再び場内が暗転し、曲は分からなかったが、クラシックが流れ出す。この演出はオーケストラとの共演の影響か、なかなか効果的だ。そして、最新作からの3連発は、キャッチーなスピード・チューン「Wild One」で再びスタートし、究極のバラード「Miracle Of Life」、さらに名曲「Queen In Love」彷彿の「Bad Reputation」と続いた。この3曲はどれも素晴らしかったが、特に最新作の中で1.2を争そうであろう「Miracle Of Life」は聴き応え充分で、アコースティック・ギターをバックに切実と歌い上げるマークの絶唱は格別で、それに呼応するように感情移入されたギター・ソロの泣き加減も鳥肌ものだった。速弾きだけでなくこういったプレイがイングヴェイの真骨頂なのだと思った。ライヴ感を重視したという「WAR TO END ALL WARS」の魅力がこの3曲に詰め込まれていた。その後、「Trilogy Suite」からはギター、ベース、ドラム・ソロと続いたが、これがとてつもなくつまらなく、ここまでの緊張感が途切れてしまった。イングヴェイのソロは良しとしても、ビリー・シーンやコージー・パウエル級のパフォーマンスを期待できないランディとティムのだらだらとしたプレイは無意味だ。イングヴェイの生み出す“歌モノ”を愛するファンには辛い時間だったと思う。実際、僕の前のファンはぐったりと手すりにもたれていたし...。
 さて、苦言を呈したが、終盤はマークが戻っての「Masquerade」、そして、マークから次の曲が「Seventh Sign」であると告げられると、ファンはこの曲を待っていたのであろう、熱狂の渦となり、この日最大の盛り上がりを迎えた。マイクをむけられた観客も「セブンス・サイン!!」と大声で応える。このコール&レスポンスがライヴならではの魅力だ。多少、崩しながらもイングヴェイのクラシカルなギター・ソロも最高だった。“やっぱり良い曲もってるよな!!”そんな気持ちにさせられたと同時に、マークが歌う「Seventh Sign」聴けたことが嬉しい!!
 アンコールは3曲で、「Black Star」では途中、マーク・ボールズがランディのベースを奪い弾き始めるなど(下手だった?)ツアー最終日ならではのリラックスしたムードも漂っていたし、イングヴェイもビールがまわったのか、すこぶるご機嫌だった。ALCATRAZZの「Hiroshima Mon Amour 」もファンには嬉しいプレゼントとなり、ラストは定番曲「I'll See The Light,Tonight」で締め括られた。他のメンバーが笑顔でステージ袖に帰っていく中、カメラ片手に、ファンと触れ合うティモシー・ドナヒューの姿が印象的だった。

 イングヴェイのプレイは模倣者が消えて行く中で“本物はどんな時代でも生き残る”という思いを強く抱かせてくれた。それに、前回のツアーに比べて選曲も良く、僕をはじめ、ファンは満足だったに違いない。また、マーク・ボールズは歴代ヴォーカリスト達を遥かに上回る歌唱を披露し、RING OF FIREでの彼の雄姿も楽しみである。ヨルン・ランデじゃなくて良かった!! 唯一の心残りは今回も「You Don't Remember、I'll Never Forget」が聴けなかったことだ。もしかしたら、2度と聴けないのかと思ったら悲しくなったけどね(笑) 死後となった“ギター・ヒーロー”という言葉が良く似合うイングヴェイ・マルムスティーン。“次のヴォーカリストは誰?” なんて楽しみもある。21世紀も彼の一挙一動に目が離せない。真夏の夜、天才は他を寄せつけない光を放っていた!!(Reported By Yosuke Takahashi)

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