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熊木杏里 アーティストスペシャル『はなよりほかに』発売記念特集

 熊木杏里は恋をした。『ひとヒナタ』の頃からまた2倍も3倍も人を好きになる気持ちを知った。故に『君の名前』はあんなにも切なく、『はなよりほかに』からは泣いたり笑ったり、心を揺さぶられっぱなしの人の“生きる”姿を如実に感じ取ることができる。彼女はどんな恋愛をして、こんなにも生き生きした歌たちを生み出したのか。人生初のラブソングアルバムについて語ってもらった。

熊木杏里『はなよりほかに』インタビューはこちら

はなよりほかに
『はなよりほかに』
2009年11月6日 [初回限定盤]
[KICS-91503]
\3,000(tax-in.)
『はなよりほかに』限定盤を購入

はなよりほかに
『はなよりほかに』
2009年11月6日 [通常盤]
[KICS-1503] \2,800(tax-in.)
『はなよりほかに』限定盤を購入

他の誰も知らない、はなよりほかに知ることのない、私だけの―――。手紙はBLOGにて11/30公開

 ひとりで生きていけるなら、自分のことだけを考えていたら、人はそんなに悩むこともないし、いつもこんなに想いを駆け巡らせることもないのだろう。そこにあなたがいるから、私の心の中を掻き乱したり振り回したりする対誰かがいるから、浮いたり沈んだり。熊木杏里自身の言葉だが、頭の中では世界一周してるぐらい繰り広げるのだ。様々な感情や想像を。

 今作『はなよりほかに』には、そんな心の巡り、人を深く想ったり愛したりすることによって芽生える気持ちを、まるで独り言のように囁く歌が詰め込まれている。それ故の純度の高いラブソング。幸福感も焦燥感も、希望も絶望も、とても優しい声と音楽ではあるのだが、一切のオブラードに包まれていない形で聴き手の耳へとお届けされる。そして僕らは知るのだ。誰かと共に生きる素晴らしさと難しさを。今この瞬間、自身の心にある何にも代え難い気持ちを。他の誰も知らない、はなよりほかに知ることのない、私だけの―――。

(Review:平賀哲雄)

01.君の名前 AL Ver.
02.今日という日の真ん中
03.花言葉
04.センチメンタル
05.未来写真
06.桜見る季節
07.祈り

08.天使
09.Snow
10.一千一秒
11.バイバイ
12.光(ボーナストラック)
13.ふるさと(ボーナストラック)
※初回限定盤のみ収録

Discography

本作の帯には「スタイリッシュ・フォーク・シンガー 熊木杏里」と書いてあるが、今思えば当時の彼女が一番スタイリッシュじゃない(笑)。その声は“心の拠りどころ”と表現したくなるほど美しく、優しく。けれど歌われる内容はどれも悲しく、どこか冷めてて、けれど必死で。不器用さを懸命に隠す様が逆に痛々しかった。今作はその苦しみを儚げに歌い上げた楽曲群、未完成ゆえの静かなる激情を感じ取れる一枚だ。

『無から出た錆』

17歳~22歳までの自伝的フォークソング『長い話』をはじめ、ふるさとの長野を思い出しながら「私は旅立ちをしたんだ」と知った『夏蝉』、ボブ・ディランの影響を受けて「何かを訴えてみよう、若者らしく」と生み出した『景色』。更には、グラウンド・ゼロ(9.11アメリカ同時多発テロ 世界貿易センター跡地)に足を運び、素直な想いを綴った『イマジンが聞こえた』など、フォーク然とした楽曲が顔を並べている。

『風の中の行進』

熊木杏里の音楽はこのアルバムを機に大きな変貌を遂げる。立ち止まったまま何かを表現する時代を終え、緩やかながらも、確かに外の世界へと“行進”を始めていく。その心の変化を顕著に感じ取れるのが『それぞれ』『一期一会』『風の記憶』『明け方の操縦士』といった序盤の4曲になるのだが、いずれも聴き手の心を晴れやかにするだけではなく「自分も変わりたい」と前向きな気持ちにさせる力がある。

『私は私をあとにして』

まず過去3作のジャケットと今作のジャケットを比べてみてほしい。良い笑顔だ。前作で大きな気持ちの変化を迎えた彼女は、嘘みたいな話だが「資生堂」企業広告テレビCMソングや映画「バッテリー」主題歌など、大型タイアップに次々と恵まれ、心境だけでなく環境までも変えてみせる。故にこのアルバムは彼女の喜び、そして「こうして生きていたいんだ」という決意に満ちており、熊木杏里史上最も感動的な作品に仕上がった。

『ひとヒナタ』

自身の生き方を見つけた彼女の快進撃は続く。オープニングから「これが熊木杏里か?」と思うぐらい、過去最大にエモーショナルなポジティブチューン『モウイチド』が鳴り響き、他のバースデイソングとは一線を画す『誕生日』では、今日まで辿り着いたあなたが今いることに「おめでとう」を告げ、涙を誘う。また、初めて明確な誰かへの想いを綴った『こと』なども収録されており、それらは『はなよりほかに』への伏線となる。

先日、ファンと本人の感涙と共に幕を閉じた秋ツアーより、自身2度目の挑戦となった東京国際フォーラム公演の模様をレポート。ラブソング中心のセットリストという新たな試みを施行しながら、人を深く愛せた27歳の熊木杏里だからこそ生み出せたエモーションの数々―――。叫びにも祈りにも願いにも聞こえた愛のメッセージをここに残したい。

ライブレポート

2002年『窓絵』でのデビュー以降、人生を反映させた唯一無二の詩世界とフォークソングをベースにした音楽性、そして透明感と存在感の両方を併せ持つ歌声で聴き手を魅了。3rdアルバム『風の中の行進』より「私もあなたもここから歩きだそう」という意思表示と提案を音楽を通じて発信するようになる。5thアルバム『ひとヒナタ』は、収録曲のほとんどがクリエーターたちから求められる形でタイアップを獲得。そして2009年11月には、人生初のラブソングアルバム『はなよりほかに』を発表し、彼女は新しい未来へと。